健康生活TOP 顎関節症 顎が外れる顎関節症!応急処置と治療法、外れる原因と外さないコツ

顎が外れる顎関節症!応急処置と治療法、外れる原因と外さないコツ

口を開けて驚く女性

大笑いしたりあくびしたりした瞬間「ガックン!」と顎に大きな衝撃が。そして大口を開けたまま口が完全に動かなくなってしまう…。顎が外れたことのある人なら、その時の怖さを共感していただけるかと思います。

顎が外れるの原因、そしてどうすれば顎が外れるのを防ぐことができるのか、顎関節の仕組みを知っておくと安心できますよ。

顎が外れた時の応急処置と顎が外れるのを防ぐコツについて説明していきます。特に顎関節症が疑われる方は必見ですよ。

「顎が外れる」とは「顎関節の脱臼」のこと

「顎が外れる」とは、顎の関節が外れて元に戻らなくなっている状態のことです。医学用語では「顎関節脱臼(がくかんせつだっきゅう)」といいます。

運動中に肩や指の関節が正しい位置から外れてしまう脱臼と同じで、顎関節を形成する骨と骨がずれてしまうのです。顎が外れると、口が大きく開いて顔が長く伸びたまま口が閉じなくなるため、パニックになってしまいます。

やはり肩などの脱臼と同じで、ずれた骨を元の位置に戻せば治るわけですが、顎関節脱臼の治し方を説明する前に、顎関節脱臼のイメージを把握していただきたいと思いますので、顎関節の構造と脱臼が起きた時の顎関節の状況から説明しておきましょう。

顎関節は下顎を形成する「下顎骨」と左右の耳の周辺に位置する「側頭骨」を連結する関節です。位置は、ちょうど耳の穴の少し前となります。

顎関節の役割は食事や会話をするために口を開閉させることです。とても重要な部位と言えますね。顎関節を支点にして下顎骨を上下に動かすことで、口を開閉させることができるのです。

普段は下顎骨の突起「下顎頭」が左右の耳の周辺に位置する「側頭骨」の凹んだ部分「下顎窩」(かがくか)にはまり込んでいて、下顎頭が滑らかに回転することで下顎窩から外れたりおさまったりして下顎骨を上下に動かすることができています。

下顎窩の前には「関節結節」または「関節隆起」という出っ張った骨があります。

顎関節周辺の関節や骨の名称

しかし、なんらかの事情で下顎頭の動きが許容範囲を超えてしまうと、下顎窩から外れた下顎頭が元の位置に戻らなくなってしまいます。

この時、下顎骨が前に向かって下がったままになるので、開いた口が閉まらない状態で固定されてしまいます。

正常な顎関節と外れてしまった顎関節

ほとんどはすぐに治せる前方脱臼、顎関節脱臼の症状

顎関節脱臼のほとんどは、口を大きく開けた時に起こる「前方脱臼」です。そのほかの「後方脱臼」「側方脱臼」は重症の脱臼で発症頻度はまれなので、この記事では前方脱臼の対処法に特化して説明を進めていきます

脱臼の種類 脱臼の状態 特徴 原因
前方脱臼 下顎頭が前に向かって脱臼
  • 口が閉まらなくなる
  • 治しやすい
口を大きく開ける
後方脱臼 下顎頭が後ろに向かって脱臼
  • 口が開かない
  • 骨折など外傷を伴う
運動時などの外傷
側方脱臼 顎関節が横にずれる
  • 大ケガを伴う
交通事故など

顎関節脱臼が起こると次のよう状況に陥ります。

  • 口が開いたまま動かすことができなくなる
  • 顎が下にだらんと伸び、顔が面長になる(かなり長く見えることもある)
  • 上の歯列より下の歯列のほうが前に突き出る
  • 言葉が話せなくなる
  • 口の中に唾が溜まる
  • 顎関節や周辺の筋肉に痛みを伴うこともある

痛みはそれほどでもありませんが、顔が長くなったりよだれが口から垂れたりして恥ずかしい上、この状態では何も手に付かずに大変な思いをします。一刻も早く、ずれた骨を元の位置に戻しましょう。

顎関節の前方脱臼は、脱臼してから1週間以内なら、関節を手で正常な位置に押し戻す療法(徒手整復)で容易に顎関節を元の位置に戻すことができるとされています。

脱臼が長く続くと何かと不便な上、顎関節周辺の筋肉に炎症が起こる可能性も出てきますので、顎が外れたら至急に

  • 口腔外科
  • 整形外科
  • 歯科

を受診して直してもらいましょう。

私は休日にあくびをしたら顎が外れたので、救急医療機関に駆け込んでその場ですぐ治してもらいました。

医療機関で受ける顎関節脱臼の治し方、自分で行う治し方

医療機関で顎関節の前方脱臼を治す時は、施術者が患者の口内に指を当てて行なう「口内法(ヒポクラテス法またはボルカース法)」と、口に触れずに治す「口外法」などの徒手整復が用いられます。

口内法と口外法の施術方法

口内法

  1. 施術者は患者の下顎臼歯の咬合面(上の歯と噛み合う所)に両方の親指を置く
  2. 残り4本の指で下顎を支える
  3. そのまま臼歯を下に向かって押す
  4. 続いて後ろに下顎を引き、ゆっくりと下顎頭を関節窩へ導く

ヒポクラテス法では施術者が患者の前に、ボルカース法では施術者が患者の後ろに立って徒手整復を行ないます。

口外法

  1. 患者は座り、施術者は患者の背中に接するように後ろに立つ
  2. (または患者が仰向けに寝て正座した施術者のひざに患者の後頭部を乗せる)

  3. 施術者は両親指を患者の下顎に当て、患者の頭部を前屈させる
  4. そのまま下顎にある下顎体という骨を前下方にゆっくり押す
  5. 他の指でおとがい(顎の先端)を上に持ち上げると同時に、口を閉じていく

顎関節脱臼の徒手整復は短時間で済み、怖いものでもありません。顎が外れるとパニックになってしまい、不安や恐怖で筋肉がこわばりやすくなりますが、筋肉を弛緩させた方が顎関節は戻りやすいので、徒手整復の際はリラックスすると良いですよ。

基本は医療機関だけど、自分で治すなら

顎関節脱臼は医療機関で治してもらうのが基本ですが、自分で治せる場合もあります。応急処置としてできる徒手整復法を覚えておくと、いざという時にとても役立ちます。

1.頬の上から顎関節を押し戻す方法

STEP1 出っ張りの位置を確認
耳の前辺りに出っ張っているところがあると思います。アゴの関節頭が外れて、前方に飛び出てしまっています。

STEP2 出っ張りの上側を囲むように3本の指を当てます
出っ張りの上側に指を当てます。人差し指・中指・薬指の腹で、出っ張りを囲むようにするとよいです。

STEP3 出っ張りを下(やや後下方)に移動
顔の皮膚ごと、下、もしくは やや後下方に、その出っ張りを押し下げます。

その際、緊張して筋肉が硬くなっていると、うまくいかないことがありますので意識してアゴの筋肉の力を抜きながら行って見て下さい。

うまくいけばこれでカクンと入り、すぐに治ります。1回で治らない場合は何度かトライしてみてください。

2.ヒポクラテス法

上記のヒポクラテス法を自分で行なうことも可能です。「ハンバーガーを持つようなイメージ下顎をつかむ」と考えながら整復するとスムーズかと思います。

顎が外れたのを治すヒポクラテス法

  • 両親指を下顎の下に、残り4本の指は口の中に入れて下の奥歯に当て、下顎をつかむ。
  • 下顎を下げてからゆっくり後ろに押し、顎関節がはまったことを確認する。

ただし、自分で応急処置をする時には必ず注意していただきたい点もあります。

  • 必ずゆっくり行う
  • 力まかせに行なわない
  • 顎関節が元に戻っても、必ず受診して顎関節に異常がないか確認してもらう

顎関節はデリケートなので、脱臼後の炎症や違和感に注意してください。顎関節が戻った後には、炎症の悪化を防ぐために冷たいおしぼりや冷却材などで顎関節の周辺を冷やしておいてください。

また顎関節脱臼はすぐに整復しておかないと顎関節が外れやすくなり、脱臼が癖になってしまいます。顎が外れたらなるべく早く整復しましょう。

癖になるのを防ぐ!顎を外さないコツは

一度顎が外れたことのある人は、口を開ける時に顎関節がずれやすくなっているので要注意です。顎が外れないよう、口を開ける時にはちょっとしたコツが必要です。

  • 急に大きな口を開けない
  • 大きな口で食べ物にかぶりつかない(りんご・ハンバーガーなど)
  • あくびやくしゃみをする時は顎を手で押さえる
  • 思い切り笑う時は手を口に添え、口が開き過ぎないようにする
  • 口を開ける最中に首の角度を変えない
  • 歯科治療で口を開ける必要のある時は医師に相談する
もしも顎が外れそうになった時には、自分で徒手整復を行なうのも効果的です。

私は顎が外れた時に病院で受けたヒポクラテス法の感覚を覚えておき、あくびをして顎がガクッと外れ手前で顎関節の位置を戻し、事なきを得たことが何度かあります。

顎関節症も原因に!顎が外れやすいのはこんな人

顎が外れる主な原因は、顎関節のゆがみ・ゆるみです。次に挙げるタイプの人は顎が外れやすく、一度外れると癖にもなりやすいので注意してください。

  • 女性(顎関節の噛み合わせが男性よりも浅いため)
  • 高齢者
  • 顎関節症
  • 咀嚼筋(そしゃくきん)の力が衰えている人
  • 噛み合わせが悪い人

特に「顎関節症」は顎関節脱臼と大いに関係があります。

顎関節症は、顎関節やその周辺にある咀嚼筋(下顎からこめかみにかけて縦に分布している筋肉の総称)に異常や炎症を起こす病気の総称で、器質的な病気がなく次の3大症状のどれかがある時に顎関節症と診断されています。

  • 顎関節が痛い
  • 口が開きにくい
  • 顎関節から音がする

約7割もの人が顎関節に何らかの違和感を自覚しているといわれ、近年は顎関節症の人が急増しています。

顎関節症で顎が外れやすくなる理由には、顎関節症の場合に下顎窩と下顎頭の間にあるクッション「関節円板」のずれやすいことが挙げられます。関節円板がずれていると、口を開ける時に下顎頭が下顎窩から大きく外れてしまいやすくなるのです。

正常な顎と顎関節症の場合の顎関節と関節円板の様子

顎関節のちょっとした違和感はありふれた症状かもしれませんが、顎関節症が顎の外れる原因につながるだけでなく、口腔や全身の健康に悪影響を及ぼすようになることからも、意識して予防・治療を行なうことがのぞましいです。

こんな症状が気になれば歯科へ!顎関節症の症状とは

次のような症状があれば顎関節症の可能性があります。

  • 口を大きく開けることができない
  • 口を開けようとすると「ゴリッ」「カックン」という音が聞こえる
  • 口が開きにくい、口を大きく開けることができない
  • 口を開けようとすると顎関節が痛む
  • 物を噛む時に咀嚼筋が痛む
  • スルメや硬い肉が食べられない
  • 顎を左右に動かすと関節から「カチカチ」「パチパチ」という音が鳴る
  • 口を大きく開けた時、口の左右どちらかが曲がっている
  • 咀嚼筋を押すと圧痛がある

口が開きにくいのは顎関節症の特徴的な症状です。口がどれくらいまでスムーズに開くかセルフチェックしてみてください。

人差し指、中指、薬指を揃えて縦に並べ、開けた口にスムーズに入れば問題ありませんが、「そこまで口が開かない」「口は開くが顎関節が痛い」という場合は、顎関節症の可能性が考えられます。

顎関節症の原因とは

顎関節症は、顎関節や咀嚼筋に負担がかかり過ぎて顎関節と咀嚼筋の連携がスムーズにいかなくなるために発症する病気です。

しかし顎関節、咀嚼筋、靭帯に負担がかかる要因はさまざまで、検査をしても顎関節症の原因を一つ特定することは難しいとされています。

どちらかというと、次に挙げる要因が少しずつ集まって顎関節などにかかる負担が蓄積した時に顎関節症を発症しているケースが多くなっています。

顎関節症の主な要因

要因
怪我や体質
  • 女性(特に10~20代、40~50代)
  • 咀嚼筋が弱い
  • 歯の噛み合わせが悪い
  • 頭や首に外傷を受けた
  • 硬い物を噛んで顎関節を傷つけた
精神的なもの
  • 緊張や不安を感じやすい
  • ストレスが多い
習慣
  • 歯を噛みしめる癖がある
  • 歯ぎしりする
  • 片側でものを噛む
  • 姿勢が悪い(猫背)
  • 頬杖をつく
  • うつぶせ寝をする
職業
  • 重い物を持つ職業
  • 緊張が持続する作業
  • 楽器演奏(特にバイオリン・吹奏楽器)
スポーツ
  • 格闘技
  • 球技
  • スキューバダイビング

顎関節症の患者は男性より女性のほうが約3倍多いといわれています。女性が発症しやすいのは男性より筋肉や骨の力が弱い上、症状に女性ホルモンの変動も影響しやすいためです。

また現代人は顎の力が弱くなってきているため、子どもや若い人に顎関節症が多くなってきています。

精神的なストレスにより無意識のうちに歯を食いしばったり、睡眠途中に歯ぎしりをしてしまうことも顎関節症の原因のひとつとして考えられています。

放置しないで早めにケアを!顎関節症の治療と予防

顎関節症を放置しておくと

  • 肩こり
  • 首や腕の痛み
  • 頭痛
  • 吐き気
  • めまい
  • うつ病

…などの全身症状を引き起こしやすくなります。また顎関節症が悪化すると口がほとんど開かなくなって、話したり物を食べたりすることにも大きく差し支え生活の質が低下してしまう可能性が出てきます。

顎関節症かもしれないと思ったら、早めに口腔外科のある歯科医院を受診し検査を受けましょう。問診・視診・触診に加え、X線やMRIによる画像検査などの結果から分析して診断されます。

治療法は、患部の状況や原因によって異なりますがスプリント法・理学療法・薬物療法を用いることが一般的です。

スプリント法
「スプリント」という板を歯列にかぶせ、顎関節のずれを矯正する
理学療法
超音波療法、マッサージなどで筋肉の緊張をほぐす
薬物療法
鎮痛剤で痛みを和らげたり、ボツリヌス注射で筋肉を弛緩させたりする

家庭では、顎関節症の要因となる生活習慣をなくしたり、顎関節にかかる負担をやわらげたりすることで症状を改善させることができます。

  • 急に大きな口を開けない
  • あくびは、下顎を手で固定してゆっくり口を開けながら行う
  • 硬い物は少しずつゆっくり噛むようにする
  • ほおの筋肉を指でやさしくマッサージして筋肉のこりをほぐす
  • 咀嚼筋のトレーニングとして、無理のない程度に毎日ゆっくり口の開閉を数回行なう
  • うつぶせ寝や頬杖などの顎関節をゆがめる姿勢を取らないようにする

顎関節症が軽度なら、適切な治療を受けることで2~3ヶ月程度で症状を改善することができます。また、後天的な要素が強い病気なので生活習慣を改善するだけでも大きな効果が得られます。

顎が外れたら慌てず恥ずかしがらず病院へ

食事をしたり話したりと日常生活で頻繁に使っている顎関節は、疲れが溜まりやすく負担のかかりやすい場所です。そのため、顎関節症や顎関節脱臼を引き起こしやすいので、普段から顎関節の負担や軽減するよう心がけましょう。

また顎は急に外れるので、初めて経験する時は恐怖でパニックになってしまいますが、顎関節は元に戻りやすい関節なので、慌てず、そして恥ずかしがらずにすぐ受診しましょう。

キャラクター紹介
ページ上部に戻る