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失神の原因は?前兆症状と起こりやすいシチュエーションごとの対策

失神と言うのは意識を失うことで、気絶と言う言葉と同義語です。突然倒れることで周囲の人に心配をかけることも少なくありませんが、最も多い原因は、それほど心配する必要のないものです。

とは言え、中には危険な病気が潜んでいることもありますので、どのようなシチュエーションで失神したかをしっかり見極めておくことが求められます。

失神の多くは急激な血圧低下で起こることが多い

失神とは、一時的に脳に回る血流が途切れてしまうことで意識を失い、その結果自分の姿勢をキープできなくなることです。つまり「意識がなくなって倒れる」と言うことですね。その原因の多くは血圧低下です。

そしてこの時に重要なのは、そのあと何もしなくても、完全に意識が回復することなのです。それがなければ失神ではなく、別の意識障害として扱われます。

失神前の前駆症状はあったりなかったり

失神を起こす直前に何らかの前駆症状があるかないかはケース・バイ・ケースになります。全く何の前兆もなしに失神することもあれば、気分が悪いと言ってから倒れるということも少なくないと言うことです。

気分の悪さとは、

  • 吐き気が起こる
  • 冷汗をかく
  • ふわふわした不安定感を感じる
  • 眼が見えにくい

と言った症状で現れることが多く見られます。さらに、失神から回復した時に、失神前の記憶がなくなる「逆行性健忘」が見られる場合もあります。

失神は決して珍しいものではなく、アメリカで行われている長期間大規模研究として有名なフラミンガム研究でも、年あたり1000人中6.2人、10年の累積で人口の6%が経験したとされています。

なぜ失神したのかの原因分析では、研究や報告ごとにばらつきが大きいものの、最も多いのは「原因不明」であると言って差し支えありません。全体像で見た場合、危険性が懸念される「心臓に原因がある失神」は10%~36%程度です。

多少ばらつきがあるのは、普通の生活をしている人の中で失神を経験した人で見た場合と、何かの病気で医療機関を受診していた人の中での失神経験者を見た場合の統計と言う、母集団の取り方に差があるからです。

もちろん、何かの病気を持っていて失神を経験した人の方が、心臓に原因があったケースが多くなっています。

失神と似ているが異なる病気があるので見分けが大切

失神と同じように倒れてしまうという症状を起こすものには、他の病気もありますので念のため受診しておくと安心かも知れませんね。

まず、糖尿病や栄養バランスの極端な偏りなどによって糖代謝に異常が生じる低血糖症では気分の悪さに引き続いて意識を失うことがあります。しかし、これは失神よりずっと重篤で、放置すると意識が戻らず生命を落とすこともあります。

低血糖症については別のカテゴリに詳しいので、そちらから参考になる記事を選んでご覧下さい。

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また、意識を失う病気の代表格とも言えるのがてんかんです。てんかんも失神とは別の病態として切り分けて考えなくてはいけません。てんかんは、多くの場合大脳のトラブルによって起こっています。

てんかんについても別のカテゴリに詳しいので、そちらから参考になる記事を選んでご覧下さい。

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その他、何らかの薬物や化学物質などに曝露され、あるいは吸入・摂食することによる中毒でも意識を失うことがありますので、それも失神とは言えません。前後の状況から判断して救急車を呼んで下さい。

誤飲・誤食は判りやすいですが、毒性のある気体を吸入してしまったり、液状のものが皮膚からの吸収で体内に入ったりした場合は原因がわかりにくいこともあるので、そうした危険のある場所では常に注意を怠らないで下さい。

労災事故でよく見られる硫化水素中毒や酸素欠乏症(酸欠)は、生命の危険に直結するものですから、酸素欠乏症等防止規則に従って、空気の検査などをきちんと行うことが重要です。

特に注意が必要な失神類似症状は一過性脳虚血発作

失神と同じように、脳への血流が障害されて起こるものに一過性脳虚血発作と言う物があります。脳動脈には二つの系統がありますが、そのうち椎骨脳底動脈の領域で循環障害が起こると意識を失うことがあります。

この場合、一旦意識は回復しますが、それには失神より長い時間がかかることがあります。多くの場合数分から数十分で意識が回復します。それに対して失神の場合は倒れたときにはもう回復に向かいますので、数秒から十数秒で回復するのです。

これは、失神では血管が詰まるのではなく、血圧の急降下などで脳の血流が途絶えるためで、失神して倒れたら頭の位置が低くなって血流が回復し、意識が戻るためです。

一過性脳虚血発作では、どちらかと言うと意識を失うことより、片麻痺やろれつが回らない、手足の痺れ、左右どちらかの方向が見えなくなる、言葉が思うように出ないなどの症状が注目されがちですが、一時間以内の意識喪失と言うのも無視できません。

一過性脳虚血発作は脳梗塞の前兆症状で、発症後48時間以内に脳梗塞を発症する可能性が非常に高くなっています。意識が1分以上戻らない失神のような状態が起こったら、その後完全に回復したように見えても、すぐに脳神経科を受診させて下さい。

できれば救急車を呼んで、倒れた本人に有無を言わせず連れて行くくらいの方が、最悪の結果を招かなくて済むでしょう。

一過性で意識を失う場合でも、失神と一過性脳虚血発作ではその後に起こる現象の危険度が全く異なります。「倒れた→名前を呼んだ→朦朧としながらも応答した」くらいの時間であれば失神の可能性が高いでしょうが、もちろん受診はして下さいね。

失神には原因があり、その原因によって危険度が大きく変わる

失神は表面に見えている「現象」です。その現象には必ず原因があり、その原因によってはまったく気にしないで良いものから、すぐに受診しないと生命に危険が及ぶものまでが存在しています。

さらに、原因が心配のないのもであっても、失神する状況によって危険にもなります。車を運転中や、ホームの最前列で電車を待っている時、階段を上っている最中などに起こると、原因に危険のない失神で生命を落とすかもしれませんね。

もっとも多く起こる失神は神経調節性失神症候群

名前は難しいですが、現象としてはよく見られるものです。例えば小中学校の朝礼で、立っていて気分が悪くなり倒れる子はこのタイプです。また、血液検査や注射などで針を刺した時に気分が悪くなって気を失うのもこれです。

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さらに、ネクタイを強く締めて気を失ったり、お酒を飲んでトイレに立ち、小用を済ませている時に突然倒れるのもこのタイプです。これは男性に多いですね。中には排便中に倒れる場合もあります。

また、咳をしたり、食事を摂ったりすることがきっかけで起こる失神と言うものも存在しています。これも状況失神と言う神経調節性失神症候群の1つに数えられているものです。

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神経調節性失神症候群は、原因になる心臓病がなければ危険なものではありません。ですので、失神を経験したら念のため受診して検査を受け、心臓の異常がないかどうかを調べておいてください。

また、一度経験すると3分の1の人が再発を経験していますが、特に治療しなくても自然に治ってしまうことも少なくありません。お医者さんと相談して、治療を行うかどうかを決めて下さい。

さらに、弾性ストッキングを着用して、心臓への血液の環流を促すことが有効な場合もありますので、これもお医者さんに相談してみて下さい。

この神経調節性失神症候群は、多くの場合自律神経の反射によって、本来あるべきでない血圧調整が起こってしまって倒れることが多いようですが、詳細なメカニズムについては関連記事をご覧下さい。

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高齢者の入浴中の失神に注意

状況失神のひとつに、高齢者の入浴中の失神がありますが、これは主に高温の入浴・長時間の入浴によって引き起こされやすいことが判っています。

本人の側の原因となっているのは、高齢であることと高血圧など循環器に問題があることです。ですので、高齢者の方は、浴室暖房を利用して半身浴を行うとか、お風呂の温度を低めに設定して入るとかの工夫が必要です。

最近、入浴によって深部体温を上げることが勧められる風潮がありますが、高齢者の失神は体温上昇が原因になることが多いので、事前にお医者さんに相談してからでないと、深部体温を上昇させる入浴法は危険になる可能性があります。

万が一、ご家族の方が高齢者が浴槽の中で意識を失っていたり、朦朧としているのを見つけたら、すぐに助け上げて下さい。もし重くて上がらないようであれば、お風呂の蓋を利用してあごを支え、お風呂のお湯を抜いて救急車を呼んで下さい。

起立性低血圧による失神の危険度は基礎疾患の有無による

起立性低血圧による失神と言うのは、その名の通り、立ち上がったことが原因で血圧が大きく低下することが原因で起こります。その血圧の低下によって、めまい・ふらつきから失神へとつながります。

特に朝起きたときや、食後・運動後に起こりやすく、お酒を飲んだ時にも起こりやすいことが知られています。原因になるお薬の服用や基礎疾患がない場合は弾性ストッキングの着用も効果が期待できます。

基礎疾患としては、糖尿病や、難病に指定されているアミロイドーシスやパーキンソン病などによる自律神経障害で起こります。そして、ひどい下痢や出血性の病気・怪我、さらに難病のアジソン病(慢性副腎皮質機能低下症)でも発生します。

この「立ちあがると気分が悪くなって失神する・失神しそうになる」と言う症状は原因によって危険度はまちまちです。ですので、こうした症状を経験したら必ず検査を受けて下さい。

さらに、起立性低血圧は特に高血圧のお薬を飲んでいる高齢者では起こりやすいです。ですので、起立性低血圧の症状が出た場合には、普段診てもらっているお医者さんに報告して、その後の服薬指導を仰いで下さい。電話でも良いので、すぐに連絡する方が良いですね。

その際、お医者さんが応対された場合にのみ、その分の診察代を次回受診時に支払うことになりますので、あらかじめ知っておいて下さい。電話相談でも診察代は必要なんですよ。もちろん、医療機関の判断で請求されないケースもありますが、それはサービスなんです。

心臓に病気がある場合の失神はとても危険

実は多彩さで言うと心臓に病気がある場合の失神と言うのは自律神経に原因があるものと並ぶくらい種類が豊富です。しかも、多くの場合危険であったり大きな治療を必要としたりすることがありますので、疑いがある場合は必ず受診が必要です。

まず、脈が遅くなって意識を失う徐脈性不整脈による失神では、心臓を動かしている電気信号の発生や伝達にトラブルが起こっています。この場合は原則として心臓ペースメーカーの埋め込みで対応することになります。

逆に、脈が触れないくらいとても早くなる(毎分300回くらいのレベル)頻脈性不整脈による失神は、AEDで回復させないとそのまま突然死につながることもあります。

治療としては心臓ペースメーカーに除細動器の機能を持たせたICDと言う機械の植え込みや、カテーテルを使って心臓の中で原因になっている部位を焼き切るカテーテル・アブレーションと言う治療が行われることもあります。

その他、心臓弁膜症や心筋症、心筋梗塞などの致死性疾患を含む急性冠症候群などでも失神が見られます。高血圧や糖尿病、脂質異常症など、動脈硬化による病気のリスクを指摘されている人や、心電図検査で異常を指摘されたことのある人はハイリスク群です。

そうしたリスク要因を持っている人が失神を経験したら、急いで受診し検査を受けて原因を究明するべきです。

血管の病気でも失神は起こる

脳卒中による意識障害は失神には数えられませんが、血管に原因があって脳の血流が低下して失神が起こる場合はあります。例えば、鎖骨下動脈盗血症候群では、左右どちらかの鎖骨下動脈と椎骨動脈の分かれ目の心臓寄りの位置で血流が途絶えます。

その結果、椎骨動脈を通って脳に血液が送られないだけでなく、鎖骨下動脈から腕への血流も途絶えます。一方、頭の中で左右の椎骨動脈は合流して脳底動脈になります。

そのため、詰まっていない側の椎骨動脈を通って脳に供給されるはずの血液が、詰まっている側の椎骨動脈を逆流して鎖骨下動脈に入り腕に供給されてしまいます。そうすると、脳への血流が大幅に減少して失神などの脳症状をもたらすことがあります。

頭が腕に血液を奪われたように見えることから、これを盗血と呼んでいますが、絶対に治療する必要のある病気です。また、指定難病の高安動脈炎でも失神が起こることがあります。主に若い女性に多い病気で、ステロイドや免疫抑制剤で治療します。

その他にもエコノミークラスい症候群や先天性の心臓病など、数えきれないぐらい失神をもたらす病気は多いので、失神を経験したら様子を見ておいても良いものなのか、すぐに治療しないといけないものなのかを見分けるために必ず受診して下さい。

大動脈解離でも血圧低下による失神が起こりますが、激痛を伴う病気なので、失神をうんぬんしているようなものではありません。

子供の失神は大人が症状の発生状況をよく観察する

もちろん大人の場合でも、周囲の人から得られる情報は重要になりますが、子供の場合、失神していたことや直前の状況などが全く把握できていないことも多く見られます。

ですので、子供が失神したという場合には、必ず周囲の大人が正確な状況をお医者さんに報告できるようにしておいて下さい。

朝礼の時に倒れるのは心配ないケースが多い

もちろん、初めて失神した場合には必ず受診させて、治療を必要とする状況がないかどうかの検査は必須です。しかし、2度目以降では、頻発しない限り心配はないでしょう。

特に思春期では身体の成長も著しいため、様々なバランスが崩れやすい時です。神経調節性失神症候群や起立性失神、さらには失神の原因となりうる自律神経失調症は思春期の子供によく見られるものです。

15歳未満であれば小児科での診察で大丈夫ですので、基礎疾患がないかどうかをしっかり検査してもらって下さい。

先天性の病気などが失神を契機に見つかることもある

子供の失神の原因となるものには、先天性房室ブロックや家族性洞機能不全による徐脈などもあります。こうしたものは失神を契機に見つかることもありますので、最初の失神の時の受診が重要になるのです。

さらに乳幼児の病気として有名な川崎病や冠動脈奇形の他、先天性の心臓病を手術した後にも失神発作が起こるケースがあります。

多くの場合、大人と同じような原因で失神が発生しますが、子供の場合精神的なフォローも非常に重要になりますので、親御さんは学校の先生やお医者さんと充分なコミュニケーションを取るよう努めて下さい。

それでも子供の失神と言うのは、長時間立っていることによる起立性失神が多いようです。それを防ぐために、児童生徒を座らせての朝礼もあるようですね。

とにかく「初めての失神」では必ず受診して詳細な検査を受けること

ここには書ききれませんでしたが、マイナーな原因を含めると失神をもたらすものは大変たくさん存在します。しかし、共通することとして「初めて失神を経験したら必ず受診して原因を探ること」が挙げられます。

上でお話ししたように、まったく心配のないものから重い病気が隠れているものまで実に様々なケースが想定されるからです。また、一度検査を受けて心配ないと判った場合でも、何年も間を置いて再び起こった場合には、念のため受診した方が良いでしょう。

回復してしまうと、ついつい「大げさにする必要はない」と考えてしまいがちですが、失神している間は周囲の人が大騒ぎしていたであろうことを考えて、必ず受診して下さいね。

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