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葉酸には高血圧の人の脳卒中発症リスクを下げてくれる効果がある

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ビタミンB9と言う別名を持つ葉酸は、妊娠の可能性のある女性において大変重要な栄養素であることから、女性でこれをご存知ない方は少ないでしょう。

一方で、男性にとっては、普段あまり意識する機会のないものかもしれませんね。日本人では欠乏症が現れるほどの不足も珍しいため、余計に意識されないのかもしれません。

欠乏症が起こるほどではないにせよ、日本人でも不足気味の栄養素ではありますので、より良い効果を求めて積極的に摂取したいものでもあります。

葉酸について詳しくご存知ですか?その成分がどのように体に影響するのか

水溶性でビタミンB系列に含まれる栄養素です。水溶性には珍しく、摂り過ぎによる過剰症が存在するビタミンでもあります。これは後でお話ししますが、他のビタミンとの相互作用があるからなのです。

もともとホウレンソウから分離されたので葉酸と言う名前を貰っているようですね。英語でもラテン語由来の「葉っぱの酸」と言う意味の名前を貰っています。

葉酸不足が及ぼす様々な体への影響はDNA、貧血、なんとハゲまで!?

不足すると欠乏症を引き起こす働きとして、一番に挙げられるのは核酸塩基の合成に関係している部分ですね。細胞の遺伝情報を記録しているDNA、これの正式な名前はデオキシリボ核酸です。

そのDNAには遺伝情報を記録するために4種類の塩基がたくさん並んでいますが、葉酸はそのうち3つの合成に深くかかわっています。そのため葉酸が不足すると、DNAの形成に悪影響が出ます。

人間の身体の中で活発に細胞分裂が起こっている場所の一つに、造血機能の中心ともいえる赤血球や白血球を作るステージがあります。

私たちの身体の中では毎日数千億個の血液細胞が作り出されていますが、その大元となる造血幹細胞は、骨髄細胞の中のわずか100万分の1から多くても1万分の1程度しかないのです。いかに細胞分裂が活発であるかが判りますね。

葉酸が不足すると、細胞分裂に必要な核酸塩基の合成が行われにくくなり、この血球合成に支障が生じます。そのうち赤血球の産生がダメになると、いわゆる悪性貧血と言う生命に関わる貧血を起こすのです。

人間の身体の中でもう一つ、活発に細胞分裂を起こしている場所があります。それは毛母細胞です。ですので、一言で申し上げると、葉酸が不足するとハゲます。と言うことで、葉酸は男性にとっても大変重要だったんですよ。

葉酸が積極的に働くシーン

欠乏症を起こすほどではないけれど、本来の性能を発揮するにはやや不足気味だと言えるのが、現代における私たち日本人の葉酸摂取状況なのだそうです。もし、充分な葉酸が摂れていたら、どのような効果が期待できるのでしょうか。

詳しくは後程お話ししますが、葉酸が少なめであると、高ホモシステイン血症と言う状態になってしまい、これが動脈硬化を促進する事が判っています。

つまり、充分な量の葉酸を摂ることは、動脈硬化を防ぐことが期待できると言うことなんですね。

脳卒中予防への寄与

ならば、葉酸をしっかり摂っておけば動脈硬化を予防し、ひいては脳卒中リスクを下げることができるのではないかと言う仮説はこれまでにもありました。ところがこれに関する大規模研究はこれまでなかったんです。

中国で行われた大規模研究

中国において、高血圧治療薬を服用している2万人余りの高血圧患者に対して、5年間葉酸を追加した群と追加しなかった群に分けて、経過観察を行うと言う「中国脳卒中一次予防観察実験」が行われました。

これらの観察対象の人々は、脳卒中や心筋梗塞を起こした事のない人が選ばれています。つまり、初発脳卒中を葉酸が抑えられるかどうかの観察研究実験だったと言うわけですね。

脳卒中の8割弱が、再発ではなく初発であることから見て、初めて脳卒中になる人を減らすのが大きな課題であったので、このような研究が行われたと言うことでした。

その結果、葉酸を併用した群では使用しなかった群に比べて、脳卒中の発生率が21%下がったと言うデータが得られたそうです。一方、心筋梗塞に対しては、葉酸による予防効果は見られず、双方の群で大差のない数値になりました。

葉酸の過剰摂取による症状

最初にお話しした葉酸の欠乏症である悪性貧血ですが、実はビタミンB12の不足でも発生します。さらにビタミンB12不足は深刻な脳神経障害など生命に関わりかねない病気の原因にもなります。

一方、充分な葉酸があると、悪性貧血の部分でビタミンB12不足が補われてしまうため、不足が判りにくくなって他の欠乏症が起こったりします。

これが葉酸の過剰摂取による症状なのです。一般には過剰症が出ないはずの水溶性ビタミンであるにもかかわらず過剰摂取の問題が現れるのは、こうした理由からなんですね。

ビタミンB12は必要量が非常に少なく、普通は不足しませんが、完全菜食主義の人や、病気で胃を切除した人の場合不足しますから意識して摂取する必要があります。

肉類は豊富に含んでいますが、菜食主義で肉を食べない人は、海苔を食べましょう。野菜には含まれていません。

心臓病予防への寄与

中国の研究では、心臓病予防効果について、葉酸が果たす役割は明らかにされませんでした。では、葉酸は心筋梗塞に代表される心臓病には効果がないのでしょうか。

先の研究を読み返してみると、中国での研究は高血圧と脳卒中にターゲットを絞った研究において、副次的に心臓病への予防効果が否定されたものでした。ですのでこれだけでは良いとも悪いとも言えません。

日本における大規模研究

日本では、およそ5万8千人を平均14年間にわたって追跡調査した、大規模な要因対照研究が行われています。対象は40歳~79歳の男女で、集められたデータは一人一人の差異を修正してデータ化されています。

例えば飲酒喫煙の習慣の有無や年齢、既往症、脂肪摂取の影響などが数値的に取り除かれたとあります。対照研究の要因はビタミンB6、B12、葉酸の3つのビタミンで、摂取量を5段階にグループ分けして行われました。

リスク低下はそれぞれに見られたのですが、その内容は男女で異なったそうです。いずれもリスク低下はあったものの、一番少なく摂取したグループに比べて、一番多く摂取したグループにおいてリスクが低下した疾患は異なっています。

男性においては心不全の死亡リスクが最も大きく下がりました。葉酸を多く摂ったグループでは50%、ビタミンB6を摂ったグループでは61%も低かったと言うデータが出ています。

女性では虚血性心疾患、つまり心筋梗塞での死亡リスク低下が一番大きかったそうです。葉酸で43%、ビタミンB6で53%下がると言う寄与度のデータが取れました。

この原因についてもホモシステインの代謝に関する機能がクローズアップされています。特にシステインへの代謝のルートに影響が大きいようですね。そして先にお話しした通り、ホモシステインがたまりすぎると動脈硬化が起こります。

動脈硬化の真犯人はホモシステイン?葉酸・ビタミンB6・ビタミンB12の3つにフォーカスを当てろ

最新の研究では、いわゆる悪玉コレステロールだけでは動脈硬化を起こせないんじゃないかと言う考え方が広まってきています。

まだ確定したわけではありませんが、少なくとも善玉コレステロールと悪玉コレステロールと言う、単純な二元化では説明できない現象が数々発見されています。

必須アミノ酸の代謝

上でも幾度か触れたホモシステインと言う物質があります。これについて少し見て見ましょう。

人間の身体を作っているたんぱく質は20種類のアミノ酸からできていて、そのうち9種類は身体の中で充分な量を合成できないため、食べ物から摂ることが不可欠な必須アミノ酸と言う扱いになっています。

その中の1つにメチオニンと言う物質があります。これは単にたんぱく質を構成するだけでなく、コレステロール値を下げ、活性酸素を除去すると言う大きな働きも持っています。

このメチオニンは2つの物質を経由してホモシステインと言う物質に代謝されます。ここで代謝の流れは2つに分かれます。

1つは5-メチルテトラヒドロ葉酸-ホモシステインメチルトランスフェラーゼと言う早口言葉のような名前の酵素を使って、メチオニンにリサイクルされる流れです。この酵素の名前に葉酸と言う言葉が入っていますね。

つまり、メチオニンのリサイクルには葉酸が必要不可欠なんです。また、同時にビタミンB12も補助的に使われるようですね。

もう1つの流れは1つの物質を経由してシステインと言うアミノ酸に代謝される流れです。システインは多くのたんぱく質に普遍的に存在しますが、お肌や髪の構成に重要な役割を果たしています。

この代謝過程においてはビタミンB6が使われます。

中間物質の停滞

さて、この流れの中で3つのビタミンが出てきましたが、これが不足するとどうなるでしょう。代謝の流れが2つに分かれるところで停滞してしまうんですね。

そうするとリサイクルされたり、お肌のたんぱく質になる前の中間物質、ホモシステインが血液中にあふれてきます。

ホモシステインは悪玉コレステロールと結びついて変成し変成LDLになります。これがマクロファージに異物として取り込まれ、血管壁に溜まって動脈硬化を引き起こすと言うのが今考えられているメカニズムです。

そうなると、悪玉コレステロールとされるLDL-cがいくらたくさんあっても、ホモシステインがないと動脈硬化を効率的に起こせないと言うことになりますね。

一方、LDL-cは、身体の細胞を作る際に必須の物質ですから、血液中には常に一定の量が必要です。そうなってくると動脈硬化の本当の犯人はホモシステインだったんじゃないかと言うことになります。

しかも、ホモシステイン自体はお肌などを作るためのシステインの原料になる物質ですから、代謝に必要なビタミンさえ揃えてやれば、どんどん正しい流れに乗って、血液中には多く流れてくることはありません。

ですので、葉酸・ビタミンB6・ビタミンB12の3点セットが非常に大きな意味を持ってくると言うことなんです。

地方自治体の挑戦から見る!ビタミン3点セットの摂り方を考えよう

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日本では珍しい道教の寺院、聖天宮があることで知られる、埼玉県坂戸市。人口10万人ほどの街です。ここは女子栄養大学と協働で葉酸を1日400マイクログラム摂取する運動を平成18年から始めたそうです。

もともとは認知症や脳梗塞対策に重きを置いていたようですが、様々なところで効果が表れ始めているようです。

葉酸摂取の効果

先にお話しした通り、葉酸はホモシステインをメチオニンにリサイクルすることで過剰にならないよう調節する重要なビタミンです。

現在では坂戸市の医療費は埼玉県下では最低の伸び率となり、介護保険の給付も減少を続けているそうです。お金の面から見ても葉酸の効果ははっきり表れているようですね。

そこで先にお話ししたビタミン3点セットについて、どのように摂るのかを考えてみます。

ビタミンB6

ピリドキシンと言う化学物質を中心とするビタミンで、腸内細菌が作ってくれるので、滅多に欠乏症は表れませんが、高血圧・結核・リウマチなどの薬の一部がこれを邪魔することがあるそうです。

一日摂取推奨量は成人男性で1.4mg/日、女性で1.1mg/日、妊婦さんで1.9mg/日です。許容上限量は40mg~60mgですから、2~4mg程度は摂ってみても問題ないんじゃないでしょうか。

多く含まれる食べ物は、

  • にんにく
  • ピスタチオナッツ
  • ヒマワリの種
  • カツオ
  • マグロ類
  • 牛・豚・鶏レバー

などです。現実的にたくさん食べられるのは魚や肉類ですね。さすがににんにく100gはちょっと厳しいです。

ナッツも悪くないですが、同じ程度のビタミンを摂るのにナッツだと600kcalを越えますし、牛レバーで130kcal、マグロの赤身だと100kcal程度ですから、お肉やお魚がお薦めですね。

葉酸

ビタミンB9です。一日推奨摂取量は240μgですが、先にお話しした坂戸市の例では400μg/日を目標に設定されておられます。成人の一日摂取上限量は900~1000μgです。

坂戸市では、食べ物だけからこの量を達成するのが難しいと言う意見から、葉酸を強化した食品の開発などを進められたそうですね。

参考までに葉酸を400μg摂るのに必要な食品と量を一部割り出してみました。

  • 焼き海苔 21g
  • 鶏レバー 31g
  • 牛レバー 40g
  • 豚レバー 49g
  • 乾燥わかめ 90g
  • 小麦胚芽 101g
  • 生うに 103g
  • 枝豆 125g
  • キャベツ 167g
  • フォアグラ 182g
  • ブロッコリー 190g
  • ほうれんそう 190g

葉酸は熱に弱く水に溶けやすいので、調理することを考えると、この2倍から4倍量が必要になります。1日や2日なら何とかなりそうですが、毎日となるとちょっと厳しいかもしれませんね。

でもレバーと野菜類を上手く組み合わせれば、この程度は食べられるかもしれません。サプリの併用を考えるかどうかは個人差が出そうですね。

ビタミンB12

シアノコバラミンと言う物質を中心としたビタミンです。一日の推奨量は成人で2.4μg/日、上限量は設定されていません。

魚介類、特に貝類や、動物のレバーに豊富に含まれています。だいたい数十グラム食べるだけで推奨量を満足することになります。

お得な食べ物はやっぱりレバー!

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ビタミンB6については推奨量を満足させようと思うと、にんにく以外100g以下で足りるものはありませんが、もともと腸内細菌が作ってくれるため不足しにくいビタミンですから、仮に半分量で足りるとしましょう。

その場合、牛レバーだと生の状態で81gあれば3つのビタミンを満足できます。鶏レバーで107g、豚レバーで123gですね。レバーと言うと、何となくこれまでのイメージがあって、動脈硬化の観点から避けた方が良いような気がします。

しかし、実態は逆だったようですね。毎日食べるとなると少々厳しいものがありますが、少し積極的にレバーを食べることが動脈硬化の防止に、かなり役立つのではないかと考えられます。

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