健康生活TOP 脳卒中 【女性の飲酒】1日1~2合で脳卒中と乳がんのリスクがアップ!

【女性の飲酒】1日1~2合で脳卒中と乳がんのリスクがアップ!

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酒は百薬の長などと言って、適量を飲む分にはむしろ健康を増進するものとしてとらえられてきた側面があります。一方で、お酒は胃腸や肝臓に大きな負担を掛けますから、量を過ごすと毒になることは言うまでもありません。

そこで適量と言うのが問題になってきます。お酒のもう一つの効果で、精神的な抑制を緩めることでストレスを解消してくれると言うメリットは、一方で適量を狂わせるデメリットでもあると言うジレンマが発生します。

つまり、「酔っぱらったら適量を忘れてしまう」と言う現象ですね。そういう意味では「気分良くなってしまわない程度の量が適量」と言うことになるのですが、それではお酒を飲む意味があまりありません。

今回は女性とお酒について、胃腸や肝臓以外の病気とのかかわりを見て行きましょう。それによって、病気になるリスクを避ける適量が見えてくるかも知れません。

お酒は乳がんのリスクを高めてしまう

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日本人女性において、ある程度以上お酒を飲む人は乳がんにかかるリスクが高くなっています。その原因はいろいろ考えられていますが、まだこれと言う決定的な理由はわかっていません。

どの程度飲むとダメなのかと言うと、ワインなら週にフルボトルで2本より多く飲む人でリスクが高くなります。このデータは週単位で示されていましたので、参考までに1日当たりで言うとグラス1.8杯程度です。

ワインはフルボトル750mLをグラス6杯としますので、底に残る「おり」の部分を除けばグラス1杯は120mLくらいですから、220mL弱と言うことですね。さらに、他のお酒も見てみましょう。

お酒の種類(アルコール度数) /日 /週
日本酒(15%) 約0.8合 約5.6合
ビール(5%) レギュラー缶約1.2本 約8.6本/週
ウイスキー(40%) シングル1.8杯 12.5杯

これ以下の飲酒量であれば、乳がんについてはそれほどリスクは上がりません。一方、これより多い量を飲んでいた人のグループでは75%も乳がんにかかるリスクが高くなっていました。

そして大変重要なのは、この調査に参加した女性の中には「大酒飲み」と言うレベルの人がゼロであったということです。つまり、習慣的にちょっと多めに飲むだけで、リスクが跳ね上がるということなんですよ。

そして、過去にお酒を飲む習慣を持っていた人でもリスクは予想されていたよりも高くなっていました。しかし、これは「体調を崩したからお酒をやめた」と言う人の割合が高いために出てきた数値で間違いないでしょう。

決して、お酒をやめたら乳がんになるとか、遠い過去のお酒の習慣が乳がんのリスクファクターとして大きいとかいう意味ではありません。

現在のお酒を控えるのが、最も乳がんリスクを下げる行動だということですので、誤解のないようにしてくださいね。また、乳がんに大きな影響のある更年期ですが、閉経の前後でお酒によるリスクに変化はありませんでした。

では具体的な研究データを見てみましょう。具体的なデータなどに興味のない方は、次の「1日1合で1.5倍~」の見出しまで飛ばして下さって結構ですよ。

約5万人の女性を対象に行われた大規模研究

この研究は、全国10の地点で40歳から69歳までの女性約5万人を対象に行われました。1990年と1993年の2回にわたって生活習慣をアンケート形式で調べたのが調査開始です。

その後2006年まで、平均13年間の追跡を行った結果570人余りに乳がんの発生が見られたそうです。データを見てみましょう。

 

飲酒習慣・飲酒量 乳がん罹患ハザード比
過去に飲酒習慣あり 1.40*
飲んだことがない(基準値) 1.00
時々飲む 1.17
エタノール換算150g/週以下 1.06
エタノール換算150g/週超 1.75*
*統計的に有意

なお、先に示した目安量ですが、ここにある「エタノール換算150g/週超」の境界線の数値を、私が計算して実際のお酒に置き換えたものです。

研究グループが目安として示していたのはもう少し緩い基準で、日本酒なら週に7合、ビールなら週に大瓶7本、ワインは週に14杯、ウイスキーは週にダブル7杯と言うものです。

覚えやすいということと、実際に境界線を越えたらいきなりリスクが跳ね上がるわけではないだろうと言うこともあって示された数値だと思います。

ほかのリスク要因を取り除いても傾向に変化はなかった

先に示したように、乳がんは女性ホルモンに影響されるものですので、閉経前・閉経後について比較したデータの分析も行われています。

その結果、最も飲酒量の多いグループで1.78と、閉経前の方がややリスクが高くなっていました。しかし、閉経後においても飲酒量の増加とリスクの上昇の関連性は有意であったと言うことです。

さらに、ほかのリスク要因・リスク排除要因を加味してデータを精査しても、リスクに差は現れなかったとあります。その要因とは次のようなものです。

  • 年齢
  • 体重
  • お酒で顔が赤くなる傾向
  • 喫煙
  • 葉酸の摂取
  • 初潮年齢
  • 妊娠回数
  • イソフラボン摂取
  • 閉経年齢

どれも乳がんには大きな関わりを持っていそうな要因ですが、これが影響を及ぼさなかったと言うことは、お酒による影響力がそれだけ強かったということなのでしょう。

確定的ではないもののリスク要因の推定はできている

先に簡単に示したところでは「まだ確定的な要因は判っていない」とお話ししましたが、ある程度の推論はもちろん存在しています。ご紹介しましょう。

一番に挙げられているのはアセトアルデヒドと言う物質の悪影響です。アセトアルデヒドはエタノールを代謝する際に最初にできる物質で、さらに酢酸へと代謝する流れがあります。

悪酔いの原因物質で、これを代謝する能力が弱い人がアジア人には多いことがよく知られていますね。日本人では約半数がそうしたタイプだと言われています。

アセトアルデヒドそのものが発がん性物質ですから、当然悪影響はあるでしょう。しかし、これは乳がんに限った話ではないので、他にも原因はあるはずです。

アセトアルデヒドは体内にある葉酸を破壊するということも、アセトアルデヒドの大きな害の一つでしょう。葉酸は妊娠中や妊娠を予定している女性にとって、大変重要なものであることはよく知られていますね。

それのみならず、葉酸は乳がんを防いでくれる可能性を示唆されている物質ですので、これによってアルコールそのものやアセトアルデヒドによって乳がんが増えたとも考えられます。

さらに、アルコールは女性ホルモンと相互作用を起こす可能性も指摘されています。これによって乳がんのリスクが跳ね上がったと言う説もあるようですね。

1日1合で1.5倍、2合で2.3倍になる女性の脳卒中リスク

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お酒と脳卒中や心筋梗塞のリスクについては、男性に関して多くの研究がなされてきましたが、女性のものは意外に少なかったことがわかりました。

今回紹介するデータは、日本人の女性に絞ってそのリスクを測ったものですから、とても参考になるんじゃないかと思います。

まず、結論から言うと「お酒を飲むと女性の脳卒中リスクも高くなる」と言うことです。そしてここでも乳がんの時と同じお酒の量が境界線になることがわかりました。

乳がんのリスクが増す境界線は先にご紹介したものを見て下さい。この量を超えてお酒を飲んでいる女性は脳卒中全体のリスクが55%増えています。

さらに、この研究ではもっとたくさんのお酒を飲む人のリスクについても測っています。

お酒の種類(アルコール度数) /日 /週
日本酒(15%) 約1.6合 約1升1合
ビール(5%) レギュラー缶約2.4本 約17.1本
焼酎(25%) 1合 6.7合
ウイスキー(40%) ダブル1.8杯 12.5杯
ワイン(10%) グラス3.6杯 フルボトル4本

この量を超えてお酒を飲んでいる女性は、脳卒中のリスクが130%も増えている(2.3倍になっている)のです。

以前から、体格や臓器の大きさの関係から、男性より女性の方にお酒の害が大きいのではないかと言われていましたが、そのことがデータで裏付けられたようです。

では詳しいデータや脳卒中の病態ごとに見てゆきましょう。細かいデータなどを見るのがが面倒な方は、次の「女性の飲酒と心筋梗塞~」の見出しまで飛ばして下さって結構ですよ。

この研究は17年の長さで行われ、やはり飲酒の悪影響が見られた

この研究も、全国10の地点で40歳から69歳までの女性約5万人を対象に行われました。1990年と1993年の2回にわたって生活習慣をアンケート形式で調べたのが調査開始です。

その後2009年まで、平均17年間の追跡を行った結果1900人弱に脳卒中の発生が見られたそうです。乳がんに比べると数倍と言うレベルの数値ですね。

そして、このデータでは乳がんの時より多い飲酒量での区切りを行っていますが、過去の飲酒歴については研究されていません。また、脳卒中の種類ごとの分析も行っています。データを見てみましょう。

飲酒量 脳卒中全体 脳内出血 脳梗塞
飲まない 1.10 1.15 1.10
時々飲む(基準値) 1.00 1.00 1.00
エタノール換算74g/週以下 1.15 0.90 1.15
エタノール換算75g-149g/週 1.06 1.25 1.00
エタノール換算150g-299g/週 1.55* 1.95 1.50
エタノール換算300g/週以上 2.30* 2.85* 2.03*
*統計的に有意

くも膜下出血では傾向は見られたが有意の差は出なかった

出血性脳卒中には脳の中で起こる脳内出血と脳の外で起こるくも膜下出血があります。このくも膜下出血については、最も多く飲んだグループでリスクが1.86と言う数値が得られていて、やはり飲酒の悪影響の傾向は見られました。

しかし、女性においてはくも膜下出血と飲酒の関係のデータにばらつきが多く、有意の差と断じることはできなかったようです。

このことについての考察は行われていませんが、男性喫煙者の間では飲酒がくも膜下出血のリスクファクターであるという研究もあります。

くも膜下出血は男性の2倍も女性に多い脳卒中ですので、飲酒がリスクになるという数値をぼやけさせてしまっているのかも知れませんね。

女性の飲酒と心筋梗塞の間の関係はデータ不足だった

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この研究は、脳卒中と同時に心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患とお酒の関係についてもデータを集めようとしました。

しかし、5万人弱の女性を17年間観察しても、虚血性心疾患を患った女性が少なかった上、いわゆる大酒飲みの女性がいなかったことから、傾向を示すだけのサンプルが集まらなかったということです。

ですので、飲まない方がいいだろうということは判るのですが、数値としての裏付けはとれませんでした。

でも、お医者様から心臓病の疑いを指摘されている人は絶対飲んじゃだめですよ。このデータは飽くまで「調査開始時に健康であった人」が対象のデータですので。

同じお酒でもアルコール濃度には差があるので注意

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先にお話しした「日本酒で1合」とか言うのは参考の数字です。一応アルコール度数15%と書いていますが、日本酒と一口に言ってもさまざまな度数があります。

一応酒税法では、日本酒の定義としてアルコール度数22%未満であることも条件としていますから、それ以上はないですけれど、21%だったとしても15%の1.4倍になります。

ワインも10%で計算していますが、実際のワインで10%だとボディがスカスカで美味しくないでしょう。多いのは12%前後、アメリカやオーストラリアのワインは15%以上のものもあるので要注意ですね。

さらにウィスキー。有名なサントリーの角瓶は40%ですが、高級ウイスキーの山崎は43%です。ビールも国産で7%のストロングがありますし、世界記録で有名なギネスビールには7.5%のものもあります。

最も注意が必要なのは焼酎ですね。例えば梅酒をつける時に使うホワイトリカーも焼酎甲類ですが35%のものが多いです。焼酎甲類は酒税法で36%未満と決められているからですね。

さらに、高級焼酎に多い焼酎乙類では45%未満と決められていますから、意外に強烈なものがあるでしょう。

45%を超えるようなアルコール度数を持つお酒を女性が飲まれる機会は少ないと思いますので省きますが、上には上がありますので、くれぐれも飲みすぎには注意してくださいね。

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