健康生活TOP 脳卒中 50代以上必見!脳卒中の前兆でおこる症状や行動、FASTをチェック

50代以上必見!脳卒中の前兆でおこる症状や行動、FASTをチェック

脳卒中は、脳の血管が破れたり詰まったりしたために脳に機能障害が起こる状態です。

「脳卒中」という呼び方は、昔の人が「悪い風に中って(当たって)卒然と(急に)倒れる病気」と思っていたことが由来しています。その名の通り、脳卒中は急に発症して倒れ、最悪の場合はそのまま帰らぬ人となってしまう重篤な病気です。

しかし早期発見・早期治療を行えば脳卒中を予防することも十分に可能です。そこで、脳卒中を早期発見するためのポイントを説明したいと思います。

日本人の死因の上位に挙がる「脳卒中」とは

脳卒中は、5~6人に1人の割合でみられ、常に日本人の死因の上位に挙がっている怖い病気です。

脳卒中を発症すると、血管が詰まってその先にある脳細胞へ血液が流れなくなるために脳細胞が壊死し、脳がつかさどっている機能に障害が起こります。

現代では、脳卒中の発作で倒れる前に早期発見されることも多くなってきました。このようなケースも含めて脳卒中のことを「脳血管障害」とも呼んでいます。(脳血管に起こる疾患ということで「脳血管疾患」と呼ばれることもあります。)

脳卒中の特徴

脳卒中には「脳梗塞」「脳出血」「くも膜下出血」があります。それぞれ発症の機序は異なりますが、どの病気も脳細胞の壊死が起こるため次に挙げるような脳機能の障害が起こります。

脳卒中の発症時にみられる代表的な症状
  • 片側麻痺(体の右側または左側だけ麻痺が起こる)
  • 四肢麻痺(左右の手足が麻痺する)
  • 感覚障害(しびれる、感覚が鈍くなる)
  • 言語障害(ろれつが回らない、言葉が出ない)

脳卒中は、朝方、起床時、何か作業をしている途中などに突然起こります。これらの症状の表れた人がいたら、すぐ救急車を呼んで病院へ搬送しなければなりません。

ただ、脳細胞のどこで壊死したかにより体にあらわれる機能障害も異なり、人によって発作時の症状は少しずつ異なっています。

例えば大脳で脳卒中が起こると、運動機能、言語機能などに麻痺が生じます。また脳幹や小脳で脳卒中が起こると、バランス感覚が保てなくなったり、ものの見え方に異常が出たりします。

また、脳は右と左に分かれ脳の右側は体の左側、脳の左側は体の右側の機能を支配しているので、脳卒中が起こった脳の位置によって体の右または左半分の神経が麻痺やしびれが起こるのも特徴です。また、顔だけ、手または足だけ、という場合もあります。

脳卒中は早期発見と早期治療が大切

一度壊死した脳細胞は再生しないので、脳細胞の壊死する範囲が広いほど機能障害も重くなります。また、脳細胞の壊死は血流が途絶えてから1時間以内に起こるとされているので、脳卒中を発症した人がいたら一刻も早く病院へ搬送しなければなりません。

脳卒中の症状は明らかにいつもと様子が違うために気付きやすく、すぐ病院へ搬送して3~6時間以内に救急治療を行えば、一命を取り留めることが可能になります。

ただし脳細胞のどこかに壊死があれば、残念ながら体に後遺症が残ります。もし発見が早く脳細胞のダメージが小さければ、ほとんど後遺症が残らずに済むこともあります。

また脳卒中が発症する前には、症状の軽い前兆(前駆症状)がみられる場合もあり、この時点で気づいて受診すれば脳卒中を予防することも可能になります。

大切なことは、「いつもと違う」と感じたら些細な異常でも放置せず、しばらく自分の体調を慎重に観察して、早めに医師へ相談することです。

脳卒中の種類:脳梗塞、脳出血、くも膜下出血

脳卒中の種類と特徴をチェックしてみましょう。

脳卒中の中で最も多い「脳梗塞」

脳卒中の中で最も多いのが脳梗塞です。脳梗塞は脳の血管が詰まり、血液が流れなくなった部分の脳細胞が壊死してしまう病気です。

脳梗塞には「ラクナ梗塞」「アテローム血栓性梗塞」「心原性塞栓症」の3種類があります。

ラクナ梗塞
ラクナ梗塞は、日本人で最も多いタイプの脳梗塞。脳の奥にある細い動脈が詰まってしまう脳梗塞です。

原因は高血圧です。血管に負担がかかるため、血管に小さな傷ができやすくなり、時間の経過によって傷が血管の詰まりに進行します。

進行はゆっくりで、症状は比較的軽症です。初期は違和感がないため「隠れ脳梗塞」「無症候性脳梗塞」と呼ばれることもあります。

梗塞が小さいためにすぐ命に関わることは少なく、後遺症も残らないこともあるのですが、繰り返し血管が詰まると、血管性痴呆やパーキンソン症候群を併発しやすくなります。

アテローム血栓性脳梗塞
アテローム血栓性梗塞は、脳の動脈や頚動脈など太い血管が動脈硬化を起こし、血管が詰まってしまう脳梗塞です。

原因は、高脂血症や高血圧などの生活習慣病によって「アテローム硬化」と呼ばれる動脈硬化です。そこに粥状の血栓(アテローム)ができて動脈をふさいだり、血管からはがれた血栓が流れて血管を詰まったりしてしまいます。

アテローム血栓性脳梗塞を発症した場合に処置が遅れると、命を落とすこともあります。

ラクナ梗塞の発症率は年々低下していますが、アテローム血栓性梗塞は年々増加している傾向にあります。

心原性塞栓症
心原性塞栓症は、心臓にできた血栓がはがれて血流に乗って脳の血管にたどり着き、詰まりを起こしてしまう病気です。

心臓でできた血栓は大きいため脳の血管で詰まりやすく、脳細胞の壊死が進みやすいので強い症状があらわれやすくなります。脳梗塞の中で最も死亡率が高い病気です。

心筋梗塞、心筋症、心房細動など心臓の病気がある人は注意が必要です。

脳梗塞が起こる前に、前兆として「一過性脳虚血発作(TIA)」の起こる場合があります。一過性脳虚血発作は、脳の血流が一時的に滞るために起こる現象で、数十分以内で自然におさまります。

この時点で異常に気づいて受診すれば、治療によって脳梗塞を予防することができます。しかし、そのまま放置しておくと、15~20%の人が3か月以内に、またその半数の人が数日以内に脳梗塞を発症してしまうといわれています。

前兆は軽症ですが「疲れが出た」「年のせい」と勘違いして見過ごしてしまわないようにしなければなりません。

後遺症が残りやすい「脳出血」

脳出血は、脳の血管が破れて出血する病気です。かつては脳卒中の中で最も死亡率の高い病気でしたが、死亡率は1960年台がピークで、以降は死亡率が低下しています。

主な原因は高血圧です。血管に圧力がかかってもろくなり、ちょっとしたことで破れやすくなってしまいます。

脳出血には、強い頭痛や嘔吐などの症状を伴うことが多くなります。出血の起こった場所によって症状は異なり、後遺症が残りやすい病気です。

激しい頭痛に襲われる「くも膜下出血」

くも膜下出血は、脳の動脈が破れて出血し頭蓋骨の内側にある「くも膜」と脳のすき間に血液が溜まる病気です。

主な原因は脳動脈瘤の破裂です。また、同じ家系で起こりやすい傾向があります。

くも膜下出血は、突然に激しい頭痛が起こってしばらく続くのが特徴です。その痛みは、よく「後頭部をいきなりバットで殴られたような」と表現されるほど強烈です。同時に嘔吐や首の硬直を伴います。また出血量の多い場合は短時間で死に至る場合があります。

急に激しい頭痛が起こるだけでなく、前兆として軽い頭痛が起こる場合もあります。

このような症状があれば脳卒中の前兆の可能性あり

日本脳卒中協会などは「脳卒中を疑う典型的な症状」として、次の5つの症状を挙げています。

  1. 片方の手足・顔半分の麻痺・しびれが起こる(手足のみ、顔のみの場合もある
  2. 力はあるのに、立てない、歩けない、フラフラする
  3. 片方の目が見えない、物が二つに見える、視野の半分が欠ける
  4. 片方の目にカーテンがかかったように、突然一時的に見えなくなる
  5. 経験したことのない激しい頭痛がする

このようにいつもと明らかに違う異変、重篤な症状が急に起きたら、脳卒中または緊急を要する何らかの病気を疑い、すぐに医療機関を受診しましょう。

また米国脳卒中協会は、脳卒中が疑われる症状が出た時に簡単にチェックできる「FAST」というテスト法を提案し、次のような症状があれば迷わず救急車を呼ぶことを勧めています。

ACT FAST
  • Face…顔の片側が下がって、笑おうとすると片側の顔や口がゆがむ
  • Arm…両腕を前に出して上げると、片側の腕が下がってしまう(バレー兆候)
  • Speach…簡単な短い文章が正しくしゃべれなくなる
  • Time…F・A・Sのどれかが異常ならば、発症時刻を確認しすぐ救急車を呼ぶ

中には症状が軽く、単なる体調不良と間違えやすい症状もあります。日常生活では次のような脳卒中の前兆に注意してください。

脳卒中の前兆:はしや歯ブラシを落とす

片側の運動機能が麻痺して、手に力が入りにくくなる場合があります。はし、歯ブラシ、茶碗などがうまく持てず落としてしまう時は、注意してください。

脳卒中の前兆:字がうまく書けなくなる

片側の神経が麻痺して手指にしびれや震えが起こりペンがうまく握れなかったり、バランス感覚が麻痺して思い通りの形に字を書くことができなくなったりする場合があります。

なんだか字が下手になったと感じる場合も要注意です。

脳卒中の前兆:つまづきやすくなる、足がもつれる

片側の運動機能が麻痺して足が持ち上がらなくなり、段差でつまづいたり足がもつれやすくなったりします。

片側のスリッパがすぐ脱げる、階段が上がりにくいといった症状が起こる場合もあります。

脳卒中の前兆:まっすぐ歩けなくなる

バランス感覚が麻痺して、自分ではまっすぐ歩いているつもりが自然と曲がって進んでしまったり、ふらついてしまったりすることがあります。

食事をする時に口から食べ物がこぼれる

顔の片側麻痺が起こると口が半分開きにくくなり、食事をする時に食べ物が口からボロボロとこぼれやすくなる場合があります。

脳卒中の前兆:物が飲み込みにくくなる・痰がからみやすくなる

脳卒中によって嚥下障害が起こり、食事の時に食べ物や飲み物が飲み込みにくくなって、むせやすくなることあります。また、痰がからみやすくなったと感じる人もいます。

脳卒中の前兆:ろれつが回らなくなり「パタカ」とタ行・ラ行がうまく言えなくなる

顔面神経または舌下神経が麻痺すると「構音障害」が起こり、いわゆるろれつが回らなくない状態になってしまいます。

脳卒中による構音障害の特徴は、カ行、タ行、ラ行、パ行、の発音が難しくなるところです。

脳卒中の構音障害が疑われる場合に「パタカ」という言葉を繰り返して言ってもらうようにすると、脳卒中の人は続けて発音できなくなることが多いです。

脳卒中の前兆:人の話している言葉の意味が分からない・言葉が口から出てこない

言語中枢に障害が起こると「失語症」の症状があらわれ、人の話している言葉の意味が分からなくなったり、言葉が口から出なくなったりします。

脳の左側頭葉にあるウェルニッケ野という場所で脳卒中が起こると、人の話している言葉の意味が理解できなくなります。

一方、脳の左前頭葉のブローカ野という場所で脳卒中が起こると、頭では言いたいことは分かっているのに、口からその言葉が出なくなってしまいます。

脳卒中の前兆:もの忘れが増えてきた

脳卒中により記憶をつかさどる海馬回への血流が一時的にとどこおると、その間の記憶が残らなくなります。そのため「さっき何をしていたか覚えていない」といった記憶障害が起こり、もの忘れが増えてきた印象が強くなります。

脳卒中の前兆:お湯の熱さの感じ方が変わる

脳卒中によって感覚障害が起こると、温度、痛みなどの感覚に異常が起こります。そのため、片側の手足にしびれを感じたり、感覚が鈍くなって熱いお風呂に入っても体の片側だけあまり熱さをあまり感じなくなったりします。

脳卒中の前兆:首の後ろから肩がこる

くも膜下出血の前兆として、うなじから首、肩にかけてこりやすくなる場合があります。

また首や肩のこりは、脳卒中のリスクを高める高血圧でも起こります。

特に理由もないのに、今までできていたことが急にできなくなっていたら要注意です。

脳卒中の前兆に気付いたら…受診と予防的治療について

脳卒中の前兆に気付いたら、症状が消失しても放置しないですぐに脳神経内科・脳神経外科・循環器科を受診し検査を受けましょう。

脳卒中が疑われる場合は、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血のどの病気が発症しているのか、またはほかの脳血管疾患を発症している可能性があるか、検査をして原因を見つけます。

問診、血液検査などの一般臨床検査、頭部CT、頭部MRI、胸部レントゲンなどの検査を行い、脳の血流が悪くなっている場所を探していきます。

もしも初期の脳卒中が見つかったり脳卒中を発症する可能性が高いと診断された場合は、脳卒中の大きな発作が起こるのを防ぐため、血栓を溶かす薬、血栓ができるのを防ぐ薬など、脳卒中の症状に合わせた内科的治療をすぐに開始します。

また頸動脈の狭窄が大きい場合は、脳梗塞の発症を防ぐために頸動脈ステント留置術(CAS)や頸動脈内膜剥離術(CEA)などの手術を行うこともあります。

基本的には服薬または点滴での薬物療法が中心です。

定期的な検査がおすすめ!脳卒中を予防するには

脳卒中の危険因子には次のようなものがあります。

脳卒中を予防するため、これらの危険因子を避けるようにしましょう。

  • 高血圧
  • 脂質異常症
  • 糖尿病
  • 不整脈
  • 加齢
  • 肥満
  • 喫煙・飲酒
  • 運動不足

特に高血圧に高脂血症、糖尿病、内臓型肥満が重なっている人は注意が必要です。これらは、動脈硬化を招き、脳梗塞や心筋梗塞のリスクを一気に高めることから「死の四重奏」という恐ろしい名前でも呼ばれています。

40代に入ったら定期検診を受け、しっかり生活習慣病を予防していきましょう。また、脳の健康状態をチェックすることのできる「脳ドック」を受けることもおすすめします。

上記の危険因子に複数該当すると感じた人は40代から、同じ家系にくも膜下出血を発症した人がいる場合は30代から脳ドックを受け、脳卒中を早期に発見しましょう。

主な検査内容は、頭部MRI、 頭頚部MRI・MRAなどの画像検査です。

全国には脳ドック学会の認定施設となっている医療機関が約270ヶ所あります。脳ドックを受ける場合は、最寄りで脳ドックを行っている医療機関を探し、早めに予約をとります。

脳ドックの費用は、検査内容によっても異なりますが3万円くらいが相場で、だいたい半日あれば受けられます。人間ドックとセットで予約するのもおすすめですよ。

発症率・死亡率は減ってはいるが後遺症が残りやすい脳卒中

厚生労働省が毎年統計をとっている「人口動態統計の概況」によると、脳血管疾患は「悪性新生物」「心疾患」「肺炎」と共に常に死因の上位に入っています。

主な死因別にみた死亡率の年次推移

また平成27年度に亡くなった人の死因については「気管・気管支及び肺の悪性新生物」「心不全」に次いで2番目に脳梗塞が多くなっていました。

脳血管疾患の患者数・死亡率は年々下がってきているのですが、脳に障害を受けるため幸い命を取り留めても約6~7割の人にはなんらかの後遺症が残ってしまうのが現状です。寝たきりまたは要介護になっている人の3割以上が脳卒中の後遺症といわれます。

また脳卒中は、患者さんの発症後の生活の質を低下させるだけではありません。脳卒中の年間医療費が国民医療費の1割を占めるなど社会的負荷も問題になっています。

脳卒中を発症した後に「今思えば、あの時のあの症状が前兆だったのかもしれない。その時点で気づいていれば…。」と振り返っても遅いのです。

脳卒中は50代以降で増える病気ですが、近年は若い人にも増えてきています。若い人、健康な人も脳卒中について知識を身に付けておき早めに予防を始めることをおすすめします。

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