健康生活TOP 脳卒中 悪玉扱いされるお肉の飽和脂肪酸は脳卒中を予防してくれる食べ物

悪玉扱いされるお肉の飽和脂肪酸は脳卒中を予防してくれる食べ物

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飽和脂肪酸と言えば、お肉をたくさん食べると身体に悪い元凶のように言われている栄養素ですね。しかし、飽和脂肪酸を食べなければ良いと言うものでもありません。

事実、厚生労働省は全摂取カロリーに対するエネルギー比率で4.5%~7.0%の飽和脂肪酸を摂るように勧めているのです。これは飽和脂肪酸が不足すると健康を害する事が判っているからなんですね。

飽和脂肪酸は脳の血管を保護してくれる要素がある

飽和脂肪酸の摂取量が少ないと健康に害があることは判っていますが、これは飽和脂肪酸が動物性脂肪に多いことから、飽和脂肪酸と同時に摂れる良質のたんぱく質の量が減ることとも関係している可能性があります。

ですので、厚生労働省は飽和脂肪酸は肉や牛乳を摂ることによって、食べ物から取り入れることが大事だとも示しているんです。

大規模な研究による日本人と飽和脂肪酸の関係

多目的コホート研究と言う手法で、日本人8万人余りを対象にした、飽和脂肪酸の摂取量と脳卒中・心筋梗塞の発症リスクが調査されました。期間はフォローアップを含めて21年にわたる長期間のものです。

まず、グループを5つに分けます。飽和脂肪酸の摂取量が一日当たり0.8g~11.7gの人を最も少ないグループとし、この人たちのそれぞれの病気にかかるリスクを1.00とします。

そして、このグループを含めて

  • 0.8g~11.7g (病気にかかるリスク:1.00)
  • 11.8g~14.8g
  • 14.9g~17.7g
  • 17.8g~21.5g
  • 21.6g~96.7g

となるようグループ分けして、それぞれの長期間にわたるリスクを観察しました。

一番多い5のグループと、一番少ない1のグループにはかなり大きな幅がありますね。これは極端な摂取パターンの人も、統計上は数字に入れる必要があるからなんです。

しかし、だからと言って最多と最少の間を比例配分で割り振ると本当の傾向が見えてきません。

そこで、一番少ないグループの一番多かった人と、一番多いグループの一番少なかった人を調整することで5分割が公平になるようにしているのです。

2と3、3と4の平均を見比べると、だいたい3~3.35gくらいの間隔です。そのあたりから推計してみれば、ある程度は見えてくるでしょう。

と言うことで完全な推論による計算になりますが、実際のところは一番少なかった1のグループの中心的な集団は8.9g~11.8gくらい、一番多かった5のグループでは21.6g~25.0gくらいだったんじゃないかと思われます。

飽和脂肪酸が8.9g~11.7gと言うのを一般の食品に当てはめてみると、牛サーロインで78g~103gくらい。牛乳なら380g~500g程度です。

一番多かったグループの極端な例でみると、飽和脂肪酸が96.7gとあります。これは牛サーロインで850g、牛乳なら4kg以上です。

開始時に40歳以上であった方で、毎日牛肉400g以上と牛乳を2L摂る人って…一度お会いしてみたい気もします。

しかし、毎日0.8gしか飽和脂肪酸を摂らなかった人も同じですが、こうした極端な例は統計的に処理されて、全体には悪影響が出ないように工夫されています。

増えも減りもしなかった脳卒中もあった

ひとくちに脳卒中と言ってもさまざまな種類があります。とても有名なクモ膜下出血は、厳密には脳出血ではありませんが脳卒中にカウントされています。

また、脳梗塞には、欧米でよく見られる太い血管が詰まるタイプの皮質枝脳梗塞と言うものと、日本人に多い脳の深いところの細い血管が詰まる穿通枝脳梗塞があります。

このクモ膜下出血と皮質枝脳梗塞の2つについては、飽和脂肪酸の摂取量には影響を受けなかったと言うことです。

しっかり減った脳卒中は日本人に多いタイプだった

日本人に多いタイプの穿通枝脳梗塞の発症割合は、飽和脂肪酸の摂取量が一定量を超えた段階でストンと減っています。

先の一覧で1~3のグループではほとんど増減が見られなかったのですが、4と最も多かった5のグループでは脳梗塞の発生が25%減っています。

一方、脳の奥の方で出血する深部脳出血は、飽和脂肪酸の摂取量に応じて段階的に減っています。

飽和脂肪酸の摂取量 脳卒中のリスク
0.8g~11.7g 1.00
11.8g~14.8g 0.91
14.9g~17.7g 0.85
17.8g~21.5g 0.75
21.6g~96.7g 0.67

と、最も飽和脂肪酸を多く摂ったグループでは、脳卒中のリスクがおよそ2/3になっているんです!

心筋梗塞に対しては量によって飽和脂肪酸がリスク要因になる

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最近では否定されつつありますが、飽和脂肪酸の害と言われていたものに、動脈硬化のリスクがあります。動脈硬化と言えば心筋梗塞と言うくらい関係が深いものですね。

同じように動脈硬化との関係が取り沙汰されていた脳卒中は、逆に飽和脂肪酸を摂った方が少なくなると言う傾向が見られました。では心筋梗塞はどうなのでしょうか。

飽和脂肪酸は心筋梗塞のリスクを高める要因だった

脳卒中と同じときに調査されたものに心筋梗塞があります。その結果を見ると、2のグループではやや少なくなる傾向があったものの、ほとんど影響はありませんでした。

一方、3のグループと4のグループでは24%リスクが上昇しています。最も多い5のグループでは39%の上昇ですね。と言うことで心筋梗塞については、ある程度以上摂るとリスクが上昇してしまうようです。

こうなってくると、お肉を食べた方が良いのか悪いのか、ちょっと悩んでしまうところではあります。

なにごとも「ほどほどに」が一番

この研究では、脳卒中と心筋梗塞のほか急性死を合わせた全循環器疾患との関連も見ています。

その結果、最も少なく飽和脂肪酸を摂っていた群に比べて、最も多く飽和脂肪酸を摂っていた群では発症リスクが約18%低下していました。

つまり全体像で見た場合、飽和脂肪酸はリスク低下に貢献していたと言うことになりました。それに関して研究グループは次のように述べています。

従来、飽和脂肪酸は血清のコレステロール値を高くし、将来的に粥状動脈硬化になりやすくなることから、摂取を控えるような指導がなされることがありました。

一方で、最近の結果から、飽和脂肪酸は無害であり、制限する必要はないという説もあります。

今回の研究結果からは、日本人におけるこうした議論のひとつの決着として、「飽和脂肪酸摂取は、多すぎても、少なすぎても良くない」という結論が得られました。

この結果は、日本人で約40年前に発見された「血清コレステロール値は、高すぎても低すぎても良くない」という知見とよく一致しています。

研究グループはこのようにまとめた後、この研究以外の国内外での研究も引き合いに出して、「最も好ましいのは1日に20g前後の飽和脂肪酸」とまとめています。

また、この量を調査で使ったアンケートに当てはめてみると「毎日、牛乳をコップ1杯(200g)と、2日に1回150gの肉を摂ること」とも言っています。この量、多く感じますか?少なく感じますか?

油じゃダメ!飽和脂肪酸は肉や牛乳から摂るべし

飽和脂肪酸と一口に言っても、様々な摂り方が考えられます。例えばラードやヘットを炒め油などに使うと言うのも一つの方法ですね。

ココナッツオイルやパーム油などのヤシ油も非常に飽和脂肪酸が多い油脂です。しかし、この方法で飽和脂肪酸を摂るのはメリットが少ない、あるいはデメリットが多いかもしれないのです。

大切なのは動物性たんぱく質

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厚生労働省が5年ごとに発表している「日本人の食事摂取基準」の2015年版で飽和脂肪酸のところを見ると、やはり飽和脂肪酸の摂取量が少ないことは、脳卒中の重大なリスクファクターであることを指摘しています。

飽和脂肪酸の摂取量が 10 g/日(3. 9% E)以下だと、総死亡率、がん死亡率、冠動脈疾患死亡率、脳卒中死亡率が急増し、10 g/日以上の約 2 倍になる。

同時に、飽和脂肪酸が身体に悪いと思って動物性食品を避けた人は、動物性たんぱく質の摂取不足によって脳血管疾患を招いた可能性もあると指摘しています。

そして、飽和脂肪酸は肉類や乳製品から摂るのが望ましいとまとめています。

献立の参考に数値を出してみます

先の研究に携わった研究グループは牛乳1杯と肉150gを2日に1回と判り易く示してくれています。しかし、お肉と言っても色々ですよね。ここでちょっと、お肉の種類によってどの程度食べれば良いのかを見てみましょう。

まず、牛乳200gに含まれている飽和脂肪酸ですが、文部科学省の「五訂増補 日本食品標準成分表 脂肪酸成分表編」によると4.66gと言うことになります。毎日牛乳を飲んだら、残り15.34gですね。

しかし、例えば植物性の物や外食・中食で口にする調理油などは判りませんから、安全を見て半分弱にしておきましょうか。2日で12.5gくらいを基準に考えてみます。

と言うことで、飽和脂肪酸を2日で12.5g摂ることのできる肉類はどの程度の量になるか、同じ成分表を基に計算してみましょう。特に断ってない限り脂身がついた状態のものです。

  • 牛肩肉:176g
  • 牛肩ロース:103g
  • 牛リブロース:84g
  • 牛サーロイン:77g
  • 牛バラ:80g
  • 牛もも:219g
  • 牛ランプ:128g
  • 豚肩肉:200g
  • 豚肩ロース:170g
  • 豚ロース:139g
  • 豚バラ:81g
  • 豚もも:228g
  • 豚ヒレ(赤肉):2.6kg
  • 鶏手羽:296g
  • 鶏むね:354gg
  • 鶏もも:290g
  • 鶏ささみ(皮なし):7.3kg
  • ベーコン:84g
  • ロースハム:254g
  • ウインナーソーセージ:123g
  • うなぎ:303g
  • さば:379g
  • まぐろ腹身:211g
  • タチウオ:214g
  • いわし:325g
  • ぶり:282g
  • さんま:295g
  • あじ:578g

かなり多い数字ですね。飽和脂肪酸はこれで良いかもしれませんが、カロリーが怖いです。また、豚のヒレ肉や鶏ささみは、たんぱく質はともかく、飽和脂肪酸を摂るには適していないようです。

そこで、下の方に魚の数値も載せておきました。と言うことで、お肉はここに書いてある量の半分を2日に1回、お肉を食べない日はここに書いてある量の半分のお魚を食べれば良い感じでしょう。

もちろんいろいろな種類がありますけれど、電卓を持ち出して計算する必要はありません。1か月平均でこんな感じと言うことで良いと言うことです。

油で揚げた既製品はできるだけ避けよう

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例えばポテトチップスですが、ヤシ油の系統で揚げてあることが多いですね。インスタントラーメン(油揚げ麺)も同様です。これは飽和脂肪酸が非常に多いので酸化耐性が高いから使われているんです。

しかし、たんぱく質はほとんどありません。ですので、飽和脂肪酸のデメリットばかりが浮上してくる恐れが高いと言うわけです。

ある程度日持ちする、油で揚げる加工をした既成の食品は、控えめにした方が良いでしょう。

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