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疳の虫の正体は病気!?夜泣きやかんしゃくに隠れた症状とは

泣く赤ちゃん

すぐに「キーッ!」とかんしゃくを起こしたり、毎晩のように夜泣きしたりする子供は「疳の虫がついている」と言われます。

疳の虫とはいったいどんな病気なのでしょう。赤ちゃんが疳の虫を起こす理由、ひどかった疳の虫も簡単に治すことのできる治療法について説明していきます。

疳の虫はどんな虫?名前の由来とその正体について

疳の虫(かんのむし)は、乳幼児にみられるさまざまな神経症状の俗称で「小児神経症」ともいいます。しかしなぜ「疳の虫」という名前で呼ばれているのでしょう。まずは名前の由来を説明いたしましょう。

「疳」とは「甘」という漢字で構成されているように、漢方では「甘い物を食べることで脾(消化器)を傷める=消化器の不調」を意味する時に使われてきました。

また癇癪(かんしゃく)の「癇」に通じることからも、疳は神経がたかぶってイライラする症状も意味する時にも使われるようになりました。

漢方では「五疳」という用語も存在します。これは、五つの臓器(心臓、肺臓、肝臓、腎臓、脾臓)のバランスが乱れるために起こる神経過敏や虚弱の体質を意味しています。

疳の虫とは、まさに乳幼児の神経過敏や虚弱体質によって心身の不調が起こり、特に理由もないのに急に不機嫌になってぐずったり泣いたりする症状が特徴の病気です。

日本では、昔から赤ちゃんが夜泣きをしたりかんしゃくを起こしたりするのは体の中にいる疳の虫が悪さをするからだ、という言い伝えがあり、虫封じの祈祷が行なわれてきました。

全国に虫封じにご利益のあるお寺や神社があります。そこで赤ちゃんの手のひらに墨でおまじないの梵字を書いて祈祷してもらい塩で手を洗うと、白くて細い疳の虫が出てくるというものです。

疳の虫が出てくると、不思議なことに赤ちゃんの症状がおさまってしまうんですね。ところが、実際に虫が体内に寄生していたわけではありません。手から出てきた白い虫の正体は、予め塩に真綿を仕込むなどのトリックなのです。

祈祷してもらって白い虫が出てきたのを目撃することで、お母さんに「疳の虫が追い払えた」という暗示がかかります。するとお母さんの気持ちが軽くなって赤ちゃんに良い影響をもたらし、自然に疳の虫が治っていくのです。

言い換えると赤ちゃんの疳の虫には、お母さんの普段の感情や赤ちゃんへの接し方が少なからず原因になっていた、ということになります。

もちろん疳の虫には赤ちゃんの生まれつきの気質や体質も関係しているのですが、お母さんに育児ストレスが溜まってそのストレスが赤ちゃんに伝わって不安や緊張を与えてしまう場合もあります。

赤ちゃんの不安や緊張は自律神経を興奮させ、まだ言葉の話せない赤ちゃんは疳の虫や夜泣きという形で不快感を表に出すようになるのです。

大人がストレスで嫌な気持ちになる、体の調子が悪くなるというのと一緒ですね。

泣いたりぐずったりして大変…疳の虫の特徴は

疳の虫を起こす子供は神経が興奮しやすいため、ちょっとした刺激で驚いたり怖がったりして泣いたり暴れたりすることが多くなります。精神症状だけでなく消化器症状が起こりやすいのも特徴です。

疳の虫の症状

疳の虫は次のような症状が特徴です。

  • 急に不機嫌になる
  • 急にかんしゃくを起こしたり奇声を発したりする
  • 特に理由もなく火のついたように泣く
  • たそがれ泣き(夕方になると理由もなく泣く)
  • 夜泣き
  • 不眠
  • 夜驚症(夜中の就寝中に急に起き、寝ぼけたまま叫んだり泣いたりする発作)
  • ミルクを吐く
  • 下痢
  • 食欲不振
  • 一過性の発熱

疳の虫が起こりやすい子供の特徴

疳の虫が起こりやすい子供は外観や仕草にもその特徴があらわれます。昔は近所のおばさんが赤ちゃんの顔を見ては「あら、この子は疳が強いわね。」なんて言っていたりしていたものです。

  • 顔が青白い
  • 表情が険しい(目つきが鋭い、眉間に縦じわを寄せる)
  • 眉間やこめかみに青筋が浮いて見える
  • まぶたがただれる
  • 鼻の下が赤い
  • 指しゃぶりや爪噛みがみられる
  • イライラしやすい
  • 物音に敏感
  • 奇声を発する
  • 眠りが浅い
  • すぐ暴れる
  • 食が細い

※髪の毛が逆立つ(髪の毛が多い赤ちゃんはもともと髪が逆立ちやすく、疳の虫と関係ない場合もあります。)

これらの仕草は緊張によって起こっています。顔色の青白さや青筋は、緊張から皮膚の血行が悪くなって赤い動脈が目立たなくなり青い静脈が目立つようになるためにみられます。

「この子は疳の虫」と判断する前に

といっても、上記のような兆候が赤ちゃんにあれば必ずしも疳の虫だというわけでもありません。疳の虫に関係なくどの赤ちゃんにもごく当たり前に起こる症状や仕草も多いからです。

不機嫌の原因は、体のどこかがかゆい、暑い、寒い、お腹にガスが溜まっているなどの不快感だということも少なくありません。まずは、なぜ子供が不機嫌になっているのか原因を探して解消してあげましょう。一時的な不機嫌なら疳の虫ではありません。

赤ちゃんが急に火がついたように激しく泣く時は、まれに「腸重積」のような重篤な病気を起こしている可能性もあります。赤ちゃんが泣いたりぐずったりする時は必ず下痢、嘔吐、発熱の有無をチェックし、すぐ病院へ連れていく対応を取るようにしてください。

受診しても器質的な原因が見つからず、赤ちゃんに夜泣きやかんしゃくが続く、そのためにお母さんが疲れ果ててしまう…という場合は、やはり疳の虫だと考えられますね。

どんな子供がなりやすい?疳の虫の原因は

疳の虫は自律神経の機能が未熟なために起こる病気です。5歳になる頃には自律神経が発達してきて異常に興奮することが減り、疳の虫も自然におさまるようになります。

6歳を過ぎても疳の虫やひどい夜泣きが続く場合は、器質的な異常が原因となっている場合が考えられます。小児科や小児神経科のある病院を受診して専門的な検査を受けることもおすすめします。

疳の虫のはっきりした原因は分かっておらず、次に挙げる傾向がいくつか重なった子供にみられやすい病気といわれています。

  • 神経質な性格
  • 虚弱体質
  • 外的な刺激(騒音、来客、日中の体験など)
  • 欲求不満
  • 栄養状態
  • 保護者の情緒不安定
  • 保護者の過保護または愛情不足

それから、子供が疳の虫になるのは、決して両親がダメな親だからということではありません。

どちらかというと真面目で責任感の強い親御さんの子供に疳の虫が起こりやすく、親御さんが頑張り過ぎてストレスを溜めてしまっていることが影響していると考えられます。

また先天的な気質や体質の影響も大きく、これは原因が分かりませんが第2子以降の子供にも疳の虫が起こりやすいともいわれています。

穏やかな方法で体調を整える!疳の虫の治療法は

疳の虫は自然に治る病気なので、子供が成長するまで大らかに見守りながら育児するというのもひとつの手かもしれません。しかし我が子が頻繁にかんしゃくを起こしたり毎晩のように夜泣きをしていたら、保護者のほうがすっかりまいってしまいます。

我が子が疳の虫かもしれないと思ったら、まずは小児科を受診しその症状に何か器質的な原因がひそんでいないか検査を受けてください。

子供に器質的な原因がない場合は、疳の虫の治療として鍼灸院で小児鍼(はり)を受けたり小児科や薬局で漢方薬を処方してもらったりするのが一般的です。

疳の虫の治療法:小児鍼

小児鍼とは、一般的な鍼とは異なり皮膚に刺さない子供向けの鍼です。皮膚の表面上に軽い刺激を与えるだけなので痛みや事故の心配もなく、赤ちゃんから高校生まで安心して受けることができるものです。

鍼はいわゆる細くとがったものではなく、円鍼、ローラー鍼、てい鍼といった皮膚に刺さらない形状の器具を使います。

疳の虫には

  • 商陽…人差し指の爪の横
  • 少沢…薬指の爪の横
  • 太敦・隠白…足の親指の爪の根元
  • 肝兪・腎兪…背骨を挟んで両脇

といった自律神経のバランスを整えたり消化器のはたらきを促進させたりするツボをやさしく刺激します。小児鍼は定期的に受けるのが効果的です。

疳の虫の治療法:漢方薬・五疳薬

漢方薬は赤ちゃんの年齢から飲ませることができ、体全体の調子を整えることで疳の虫を穏やかにしずめていくのが特徴です。

漢方の考えでは、疳の虫は気の流れを調整している「肝」や消化器のはたらきに関与する「脾」のバランスが変動するために疳の虫が起こりやすくなるとされており、主に肝に関係のある漢方薬が用いられています。

漢方薬 効能 適しているタイプ
抑肝散
(よくかんさん)
  • ひきつけ
  • 夜泣き
  • イライラ
虚弱体質
抑肝散加陳皮半夏
(よくかんさんかさんちんぴはんげ)
  • ひきつけ
  • 夜泣き
  • 食欲不振
虚弱体質
甘麦大棗湯
(かんばくたいそうとう)
  • 不眠
  • 夜泣き
  • 神経過敏
虚弱体質
柴胡加竜骨牡蛎湯
(さいこかりゅうこつぼれいとう)
  • 夜泣き
  • 神経過敏
比較的体力がある
桂枝加竜骨牡蛎湯
(けいしかりゅうこつぼれいとう)
  • 不眠
  • 夜泣き
  • 神経過敏
体力が中くらい

疳の虫の代表的な漢方薬である抑肝散は、赤ちゃんだけでなくお母さんにも一緒に薬を飲んでもらう「母子同時内服」がすすめられています。お母さんも薬を飲むことで

  • 成分によるお母さんの精神安定
  • 母乳を通して赤ちゃんに成分を与える

といった2つの効果が期待でき、赤ちゃん一人に薬を飲ませるより高い効果が得られるようになります。

漢方薬は体質や症状に合わないと効果が発揮されません。漢方薬で疳の虫を治したい時は、漢方薬の専門家がいる薬局に相談して購入してください。

樋屋奇応丸や宇津救命丸といった「小児五疳薬」も、疳の虫に効果があることでよく知られる家庭薬のロングセラーです。主な成分には

  • ニンジン(高麗人参)…滋養強壮効果
  • ゴオウ…鎮静作用
  • ジャコウ…精神安定効果
  • ユウタン…胃腸の調子を整える
  • ジンコウ…精神的ストレスで起こる身体症状をしずめる

などがあります。薬局で気軽に購入でき発熱や食欲不振といった赤ちゃんのちょっとした不調に利用できるので、常備しておくのも良いでしょう。

疳の虫の治療法:家庭でのケア

併せて、子供の自律神経のバランスが安定しやすくなるよう家庭でもケアをしてあげると、疳の虫が治りやすくなります。

親子とも規則正しい生活を送ることが大切です。疳の虫の子供は夜の睡眠が浅く夜泣きをすることが多いのですが、昼と夜が逆になっていることも多いので、なるべく日中によく遊ばせて適度に疲れさせ、夜はぐっすり眠れるようにしてあげましょう。

また赤ちゃんはデリケートで保護者のストレスを察知しやすいので、夫婦喧嘩や嫁姑トラブルをなるべくなくし穏やかな家庭環境になるよう心がけます。家事や育児は家族で協力し合って分担し、誰か一人に比重がかかることのないよう配慮しましょう。

「日本スキンタッチ協議会」が普及している「スキンタッチ法」もおすすめです。スキンタッチ法は、小児鍼を家庭用のケアにアレンジした赤ちゃん向けのツボ刺激法で、スプーン、歯ブラシ、ドライヤーを使って簡単に実践することができます。

簡単に方法を紹介しますが、全国にスキンタッチの会があるので最寄りの教室で実際に体験してみるのも良いでしょう。

仰向け

  1. スプーンの背でへその周りを左回りにやさしく撫でる
  2. 鎖骨と鎖骨の間から外側に向かってスプーンでやさしく撫でる
  3. 歯ブラシの毛で頭をトントンとごく軽い力で叩く
  4. ドライヤーの温風でへその周りを温める
うつ伏せ

  1. スプーンの背と手のひらで交互に背骨の両脇を下から上に向かってさする
  2. ドライヤーの温風をふくらはぎと首筋に当てる

全部の行程を5分以内で済ませます。ドライヤーの熱は十分注意してください。

迷信と侮ることなかれ!虫封じを受けてみてはいかが?

お子さんの疳の虫が強くすっかりまいっているというお母さんは、ものは試しに
虫封じの祈祷を受けてみてはいかがでしょう。虫封じは単なる迷信ではありません。

住職(神主)さんはたくさんの子供の虫封じをしてきた経験を活かして温かく適切なアドバイスをしてくれます。話を聞いてもらえるだけでも安心して気持ちが楽になるので、まずはお寺や神社に問い合わせをしてみてください。

子を持つことには涙あり笑いあり。子供が大きくなった時には「あなたが赤ちゃんの時は疳が強くて大変だったのよ」と笑って話せるような日が来るので大丈夫ですよ~。
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