健康生活TOP ストレス 自分の髪の毛を抜く癖の原因はなに?抜毛症の恐怖のリスクと治し方

自分の髪の毛を抜く癖の原因はなに?抜毛症の恐怖のリスクと治し方

髪を気にする女性

「あ~またやってる!」と妻に指摘されることがあります。特に意識しておらず「ぼーっと」しているだけなのに、一体彼女は何を言っているのでしょう。

しかし次の言葉でその内容を理解することができます。…「また爪を噛んでいる」、そう私には爪を無意識で噛む癖があり、彼女はテレビを見ながら爪を噛んでいる私を注意していたのです。

人間にはその人独自の癖があります。昔から「なくて七癖」と言う言葉がありますが、これは「癖がないと思っていても最低7つは癖がある」と言う意味が含まれています。つまり誰もが癖を持っているのです。

しかしこの癖が身体に悪影響を及ぼすと、それは病気であり対処しなくてはいけないものとなります。

無意識で髪の毛を抜いてしまう「抜毛症」もそのような病気の一つです。

誰もが必ず持っている”癖”って何?無意識中の行為の正体

癖を真剣に考えた経験がある人は少ないと思いますが、人間には様々な癖を持っている人がいます。そもそも癖とはどのような動作を意味しているのでしょうか?

習慣と癖は似ているようで違う

「生活習慣」と言う言葉があります。そもそも習慣とは「同じ状況下において行う動作が効率よく固定されること」であり、例えば通勤ルートを最短で歩くことも習慣の一つです。

また朝起きたら水を一杯必ず飲むことも、生活習慣と言えます。しかし習慣には問題があります。例えば習慣の前提である状況が変化したにも関わらず、その習慣を続けてしまうことで悪影響を及ぼすことがあります。

「毎朝寝起きに一杯の水を飲むことは健康にとって良いことです。しかし、寒い冬にまで寝起きに水を飲むと、内臓を冷やしてしまい身体に悪影響を与えます。

毎朝水を飲む習慣がある人は、たとえ体調が悪くなってもそれを止めることはできません。これが「悪習慣」と呼ばれるものです。

それでは癖はどうでしょう。癖とは「無意識に身についてしまった行動や習慣」を意味しており、習慣を含んで説明していることが多いようです。

癖は習慣を含んだ行動や動作であり、大部分が自分では自覚していない動作です。また自分では問題とならない癖でも、周りの人から見て不快と思われることも多いようです。

癖はどのようにして出来上がるのか?

癖は知らない間に身についていることが多いのですが、それは人間の学習能力によって作られると考えられています。人間の行動には個人差があり、興味や嗜好にも様々な違いが見られます。

特に子供から大人になる思春期には様々な刺激を受けることが多く、そのことからも癖が多く生み出されています。癖がどのように作られるのかを紹介します。

毎日繰り返すことで癖を身につけてしまう

毎日の日常生活で繰り返される動作が癖になることは最も多く、特に仕事で繰り返し行っている動作を無意識下で行っていることがあります。

外国の会社と取引が多い人では英語での取引が必然です。そうなると英語を無意識下で話してしまう癖がついてしまい、日本語と英語が混ざった会話を仕事以外でも使ってしまいます。

私の友人も同じで「どれにしようか迷っているんだよね」と言いたいところを、「どれにしようかコンフューズしてるんだよね」なんて話して、思わず大爆笑してしまいました。

彼らは社内で当たり前にこのような変な会話をしていたのですから、癖以外の何物でもないですよね。

料理においても同じことが言えます。野菜の下ごしらえは家庭や地域によっても違いがあり、繰り返して行っていることでそれが癖になります。

たまたま別の癖を持った人の料理を見ると、「それは違う!」「変っ」と感じて違和感を持ってしまいます。昔から「身体で覚えろ」と言いますが、癖も毎日の反復で身についていくのです。

他人を真似ることは癖を生み出す要因

子供の頃は他人の真似をするのが大好きです。特に仲の良い友達のやることは、何でも真似したくなるのも仕方がないことです。しかし他人の真似をすることは、その動作が身についてしまい、そのまま癖になることもあります。

同じ癖を持っている親子は珍しくはありません。これは子供が親の真似をすることで生まれるもので、「親のようにやりたい」と望む心が癖を作り出すのです。

また真似が癖になったケースでは、真似をした対象者がそれを止めても、癖になった当事者は止めることができなくなるのも特徴です。

快感を得る行為が癖になってしまう

自分にとって楽しい行為(快感)を行うことでそれが癖になってしまうことがあります。「もう癖になっちゃうよ」とか「やめらんない」など子供が言っているのを聞くことがありますが、多くは遊びで快感を得た時に出る言葉です。

例えばゲームで難しい場面をクリアすると、それが快感となり更にゲームにはまり込む要因を作ります。そうなるとゲームを行うのが癖になってしまい、毎日の日課として行うようになります。

人間は快感を得ると脳内物質に変化があり、それを求める性質があります。これはある意味で「依存」ですが、この求める性質にも癖の原因は隠されていたのです。

ストレスから回避するために癖が生まれる

現代社会には様々なストレスがありますが、中でも「人間関係」「勉強」は思春期の子供にとって大きなストレス要因でしょう。

人間にはストレスから回避する能力が備わっていますが、逃げられないストレスに対しては正面から受け止めないで、少しでも衝撃を少なくするようにします。

ストレスを受けている時に脳の意識を他に向けて、ストレスの衝撃を少なくすることで、例えば「爪を噛む」癖がありますが、これは爪を噛むことで脳の意識を分散させるとともに、心の安定を図っている行為です。

またストレスを受けた時は身体を触ることで心が落ち着くことがあります。そのために「髪を触る」「腕をさする」などの癖がストレス時に生まれるのです。

しかしこのように髪を触る程度であれば、特に問題のない癖ですが、「髪を抜く」となればどうでしょうか?髪を抜く行為は癖で片付けてよいものではありません。このような症状は「抜毛症」の可能性があるのです。

癖には良い癖、悪い癖があります。本人は自覚していないことが多く、指摘しても理解できないことも珍しくないようです。

自分で髪の毛を抜いてしまう!恐怖の抜毛症(ばつもうしょう)

何となく髪の毛を抜いていることは誰にでも経験があることです。暇な時に指で髪の毛をグルグル巻いたり、それを見て枝毛を抜いたりするのは女性にはよくある仕草とも言えます。

しかし明らかにそれらとは違う動作で髪の毛を抜く人がいます。それが「抜毛症(ばつもうしょう)」なのです。

抜毛症は意識、無意識関係なく毛を抜く行為障害

先程まで説明した癖は無意識下で行っていることが多いのですが、抜毛症は意識、無意識によっての違いは見られません。

抜毛症とは「髪の毛、まつ毛、髭などの体毛を自分で抜く行為障害の一種」で、単に髪の毛だけを抜く癖とは違いがあります。

毛を抜く行為が悪いと認識していますが、それを止めることができないことが多く、意識、無意識関係なく抜毛行為を繰返してしまうのです。

思春期の女性に多く見られていた症状ですが、最近では男性にも増加見られ、家族に注意されても毛を抜く衝動が増してしまい止めることができなくのるのです。

意識して「止めなくては」「悪いこと」と解っているのに止められない、そのような抜毛行為が抜毛症なのです。

抜毛症の症状はそのまま”毛が無くなる”こと

抜毛症は毛を抜くのが症状ですが、これはある意味で行為になります。実際の症状は「毛が抜けて無くなる」ことで、多くは髪の毛が無くなってしまうのが症状とされています。

これは髪の毛が一番手に届く範囲で抜きやすいからであり、円形脱毛症の中には少なからず抜毛症が原因であることが含まれているそうです。

また「脱毛斑(だつもうはん)と言って、頭の広い範囲に毛の薄いまだらな部分ができることがあります。一般的には利き腕で抜毛することから、利き腕の方の頭に脱毛斑はできやすく、症状も酷くなりがちです。

抜け毛で悩んでいるお父さん達が多い中、ちょっと贅沢な症状とも感じてしまいますね。

抜毛症を見抜くための特徴を探る

単なる癖と抜毛症を見抜くのは、症状が悪化しないと難しいものがあります。しかし抜毛症の特徴を理解することで早期に発見することが可能になります。

抜毛症の特徴について紹介します。

  • 抜毛行為(毛を抜く行為)によって髪の毛が少なくなっている
  • 自分で止める努力を行っている
  • 抜毛症による日常生活に支障が起きている
  • 皮膚病や副作用など、他の病気に関係していない

これらの特徴に当てはまる場合は、抜毛症と考えてもよいでしょう。特に自分の意思では止められなかったり、それによって日常生活に支障が出ていたりする場合には積極的な治療が必要になります。

久しぶりに会った友人が禿げていたらビックリですよね。周りの人も気が付かない間に進行するのが抜毛症です。

強迫観念、強迫行為?強迫性障害と抜毛症の関係

トイレに行くと自分の手が必要以上に汚れた感覚を受けて、必要以上にゴシゴシと何十回も洗う人がいます。

これは強迫性障害(OCD)と呼ばれる精神疾患の症状ですが、抜毛症との関係が指摘されています。

強迫性障害に起こる2つの症状

強迫性障害は20歳前後に発症することの多い病気で、その症状には2つの種類があります。

強迫観念

不安な考えが頭を支配して、それを払拭しようとしてもなかなか消し去ることができません。「手についた汚れに危ない細菌がいる」「ガスの元栓を閉めていたか」など、不安な感情が心を支配することで、精神的な負担や苦痛を受けます。

強迫行為

強迫観念で感じた不安を行動で対処しようとする行為です。必要以上に何回も繰り返し手を洗うことで細菌を除去しようとしたり、何度も自宅に帰りガス栓を確認したりすることで不安を払拭しようとします。

強迫観念で感じた不安によって強迫行為を行うのですから、それを繰り返す間に癖となってその行為に縛られるようになります。つまり安心感を得るためのルールが作られてしまうのです。

抜毛症は強迫性障害の患者に多く見られる症状

強迫性障害は強迫観念によって強迫行為を行う症状ですが、その行為の中に抜毛症が含まれているケースが見られます。強迫性障害で抜毛行為を行う理由は、やはり不安感が心を支配することによります。

髪の毛を抜くことが快感になる人は、不安を感じた時にそれを解消する行為として髪の毛を抜きます。そうすると不安な気持ちが薄れて反対に、気持ち良い気分が心を支配してしまうのです。

またそのような行動を繰り返すことで、少しの不安を感じただけで髪の毛を抜くようになって症状が悪化してしまうのです。

強迫性障害と抜毛症には明らかな違いもある

強迫性障害を発症している人の中には症状として抜毛症が多く見られることから、その関係は昔から指摘されていました。しかし近年の研究によりこの両者には違いがあり、別の病気として区別することが一般的になっています。

現在でも強迫性障害と抜毛症を同義に扱うこともあるようですが、以下に両者の違いについて説明します。

  • 抜毛症ではその行為をいけないと感じている
  • 抜毛症では抜毛する直前、直後には緊張が見られる
  • 抜毛症では強迫観念ではなく快感で行為を行う
  • 抜毛症は固定された場所以外でも行う
  • 抜毛症は意識しないで行うことがある
  • その他

このように強迫性障害のきっかけである強迫観念が抜毛症にはないことが多く、「~しなくてはいけない」などの感情によって行われるのではありません。

どちらからと言えば快感を得るために行うもので、無意識で髪の毛を抜いていることも多いのです。

確かに強迫性障害の患者には抜毛症が見られるケースがありますが、それは区別して考えた方がよいのかもしれません。

最近まで抜毛症は強迫性障害の一種とされていました。「抜毛癖」と言われていましたが、現在では症状として認知されています。

抜毛症の原因もまたストレス?髪を抜くという行為で得られる感覚とは

抜毛症の原因究明は未だなされておらず、全てが解明されるにはまだ時間がかかりそうです。

しかし抜毛症の発症には精神的なストレスが関係していることは解っており、ストレスが複雑に絡み合って症状を引き起こしていたのです。

抜毛症は内向的な性格の女性に多い病気

抜毛症は思春期の女性に多く見られる病気で、男性の9倍も発症率が高いと言われています。内向的な女性に多く活発な性格の人は稀にしか見られない症状です。

例えば子供の頃に家庭で我慢を強いられた経験があったり、家庭内暴力を受けたりした経験がある子どもは、内向的な性格になりやすく、将来的に何らかの精神疾患を発症するリスクが高まります。

また子供同士のイジメ被害にあったケースでも同様のことが言えます。さらに親の都合による引っ越しが多く、友人関係を上手に作れない環境にいるケースでも内向的性格になりやすいと考えられています。

抜毛症は抜毛することで不安の解消や快感を得ようとする行為であり、内向的な性格の人は自己で全てを解決しなくてはならないことから、そのような手段に陥ってしまうのかもしれません。

抜毛症はストレス解消の方法だった

癖はストレスを回避するために生まれると紹介しましたが、回避できないストレスはどのように受け止めればよいのでしょうか?通常では少々のストレスを受けた程度では、十分耐える精神力を持っています。

ストレスにより脳に負担を感じても脳の機能が低下することもなく、直ぐに正常な状態に戻るのです。しかしストレスに対して脳を誤魔化すことで、その衝撃を和らげることも可能です。

上司に怒られているのに急に笑い出す人がいます。周りで見ている人はビックリしてしまいますが、これは怒られるストレスから逃げ出すために脳は全く別のことを考えていたのです。

「上司に怒られた時は上司の顔を猿だと思え、猿に怒られても悔しいとは思わないよ…」と友人から言われたことがありますが、まさしくこれはストレスから逃げ出すための誤魔化しであり、現実逃避でしかありません。

ストレスから逃げ出す方法には色々ありますが、その中の一つが髪の毛を抜く行為と言う訳です。

抜毛は気持ちの良い行為なのか

皆さんは髪の毛を抜いて気持ちが良くなることはありますか?中年を過ぎた私など髪の毛が愛しくて、抜くなんて考えてもみない行動です。抜くどころか元気に育つように毎日努力を行っているくらいなのですから。

本来髪の毛を抜く行為は気持ちの良い行為ではなく、少しの痛みを感じて違和感を覚えるものです。

しかし「プチッ」と髪の毛が抜ける瞬間に快感を覚える人も中にはいるようで、特に枝毛や白髪を頻繁に処理している人はこのような感覚に陥りやすいのです。

人間は無痛よりも少し痛みを感じる程度の行為に快感を得る動物で、傷口にできた「かさぶた」を剥がしたり、爪を必要以上に切ったりするのもこのためです。後で痛い思いをして反省するのですが、なかなか止めることができません。

つまり髪の毛を抜くことは適度の痛みを伴い、癖になりやすい行為で、日常的に行うことでそれが日常の安心感になってしまうのです。

髪の毛を抜く安心感が抜毛症の原因

髪の毛を抜く行為が日常的な癖になり、それが安心感を得る手段になった時に抜毛症は発症します。人間はストレスを感じると不安が心を支配しようとします。

そこで自然に髪の毛を抜いてその快感で、不安な心を和らげようとするのです。髪の毛を抜くと快感と同時に安心感も生まれますので、一時的に心が鎮まり不安感が軽減します。

しかし一時的な効果なので更に髪の毛を抜く行為を続けることになります。このように「ストレス」「不安」「髪の毛を抜く」「安心」を繰り返すことで、抜毛症は少しずつ進行して行くのです。

駄目だと思う気持ちが更に悪化をもたらす

髪の毛が薄くなったり、まだらになったりするのですから、抜毛症患者がその行為を肯定的に感じていることはありません。多くの人は止めたくても止められない状況に陥っており、それに対する努力も行っているのです。

しかしこの駄目だと思う気持ちが更に症状を悪化させてしまうことがあります。

駄目だと思って髪の毛を抜かないことは、患者にとってストレスになり精神的にイライラする感情をもたらします。例えばタバコを禁煙した人が、妙にイライラしていることがありますが、これと同じ状況にあるのです。

そしてこのイライラする感情が更にストレスとなり、更に抜毛症を悪化させてしまうのです。抜毛症と強迫性障害の違いで説明しましたが、抜毛症では抜毛する直前、直後には緊張が見られます。

これは「罪悪感」と同じでありそれを行ってはいけないと、心が葛藤している状態にあります。つまりその心の葛藤が新たなストレスとなって、髪の毛を抜く行為がエスカレートしてしまうのです。

抜毛症が進行すると体外的なストレスだけではなく、罪悪感から来る自らが作り出す「内向的なストレス」も大きなストレス要因になると言うことです。

ストレスは様々な病気を作り出す原因です。普段からのストレス解消が健康にとって最も重要なのです。

怖すぎ!抜毛症がもたらすリスクと影響

抜毛症の始まりはただ単に髪の毛を抜いているだけですが、進行するとそれが様々な影響となって患者を襲うことになります。抜毛症のリスクと影響について考えてみましょう。

日常生活における精神的な圧迫

抜毛症を正確に理解している人は少なく、多くの家族や友人は「何やっているの?」「止めなさい!」と一方的な言葉を投げかけてきます。

また髪の毛が薄くなり、まだら模様になると「気持ち悪い」「大丈夫なの?」など好奇の目で見られることもあるでしょう。

そうなると一般的な日常生活を送ることは難しく、自宅に引きこもることになり、社会とのつながりが減少してしまいます。

また患者本人も髪の毛を抜く行為を「悪い行為」と認識しているため、それを止められない自分に対して「羞恥心」を持つのです。そしてその羞恥心からも自宅に引きこもり、孤独な生活に入り込んでしまいます。

抜毛症の患者は孤独になりやすいとの指摘があり、その原因が「社会からの好奇の目」と「自らの羞恥心」であることは間違いないと思います。日常生活における影響をまとめてみましょう。

  • 学校の不登校
  • 会社を退職
  • 自宅に引きこもり
  • 病院へ行かなくなる
  • 人との会話がなくなる
  • その他

このように学校や会社に行かなくなるだけではなく、通っていた病院へも行かなくなることで、治療のチャンスがなくなり症状も悪化するケースがあります。

【症状の悪化:1】うつ病への進行

抜毛症とその他の精神疾患には関係性が見られ、先に紹介した「強迫性障害」もその一つです。また、日常的な精神的圧迫は患者をさらに追い詰めることになり、「うつ病」を発症させることもあります。

他人から好奇の目で見られていると感じることは、精神的に患者を追い詰めます。その状況が大きなストレスとなって、脳機能を低下させてしまうのです。

うつ病患者には脳内神経伝達物質である「セロトニン」の分泌が少ないことが解明されており、抜毛症患者の中にも同様の症状が見られる人が少なからずいます。

うつ病が先か、抜毛症が先かはケースによると思いますが、両者には大きな関係性があることを理解したいですね。単なる癖がうつ病にまで進展することがあると言うことです。

【症状の悪化:2】食毛症への進行

抜毛症患者が自宅に引きこもって治療を受けていない状態では、抜けた毛を食べる「食毛症」を併発させる可能性があります。

食毛症とはその名の通り、「毛(髪の毛)を食べる症状」であり、抜いた髪の毛をその場で食べてしまいます。子供から思春期までに発症することが多く、多くは抜毛症と併発しています。

髪の毛は食べても消化されることはなく、そのまま腸に入り込むことから、腸が詰まってしまう「腸閉塞」の原因になり、悪化すると手術で取り除かなくては行けない状況になります。

また髪の毛を食べることが常習化すると、髪の毛以外の紙、布、スポンジなど何でも食べるようになります。それにより救急搬送、手術を繰り返す患者もいるのです。

外見に影響のある抜毛症は精神的な圧迫も大きくなります。他人との接触を止めることが更に症状を悪化させるのです。

病院で受ける抜毛症治療と自分でできる抜毛症の治し方

症状が悪化すると社会的な影響だけでなく、病気としても大きな影響を与える抜毛症ですが、どのような治療が行われているのでしょうか?

セロトニンの量を増加させる薬物療法

抜毛症の中には脳機能の低下が原因で、不安を感じていることがあります。これはセロトニンと呼ばれる精神を安定させる脳内の神経伝達物質が少ないのが原因で、これを増加させることで不安を抑えて抜毛症を改善させます。

そのために使用される薬剤が「セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)」であり、脳内のセロトニンを増加させる働きがあります。

この薬は抜毛症以外にも「うつ病」「パニック症候群」など不安を感じる精神疾患に使用される薬で、セロトニンを増加させることで不安を取り除き症状を抑えます。

しかし、薬物療法は脳内の神経伝達物質が明らかに少ない場合にのみ効果があり、抜毛症の初期段階では効果が見られないこともあります。

抜毛行為を理解させる認知行動療法

認知行動訓練は抜毛行為を脳で理解して、その行動に逆らえるように訓練する方法です。抜毛症の中には無意識でつい髪の毛を抜いてしまうことがありますが、これを意識づけさせる訓練が「認知」です。

  • 自分はどのような状態で髪の毛を抜くのか
  • 抜く時の感覚は?
  • 抜いた後の感覚は?

このような記録を付けて脳に抜毛行為をしっかり認知させる訓練を行い、それが悪い行為であることをしっかり理解させるのです。

抜毛症の認知行動訓練簡略図

認知することができたら、抜毛行為を止める「行動」を訓練します。例えば髪の毛を抜きたい衝動を認知した場合、深呼吸することでその衝動を中和させるなど、自分に合った対処法を見つけます。

ストレッチをしたり、手を強く握ったりする方法などもありますね。

認知行動療法は治療と言うよりも抜毛しないための訓練であり、簡単にできるものではありません。しかし、特に抜毛症の初期段階では、癖を治す意味でも重要な治療と言えます。

マインドフルネスでの瞑想も効果が期待できる

日本では古くから「瞑想(めいそう)」が心に良い影響を与えると考えられていました。現在でも瞑想を行う人は多く、最近では「瞑想スタジオ」なるものまであるそうです。

瞑想とはお寺の「禅(ぜん)」やヨガをイメージしてしまいますが、抜毛症に効果があるのは「マインドフルネス」と呼ばれる新しい瞑想です。

マインドフルネスはお寺の禅と違い場所を選びません。自宅でも昼休みの学校や会社においても行うことが可能です。

マインドフルネスで大切なのは「姿勢」と「呼吸法」で、頭を真っ直ぐ上に伸ばし胸をひらいた姿勢で座ります。呼吸は自然に腹式呼吸を行い、ゆっくりと深い呼吸を行うのです。

しかし無理に呼吸を意識していけません。あくまで心地よい自然な呼吸を行えば良いのです。開始直後は頭の中には様々な考えや記憶が浮かんできますが、それらを否定してはいけません。

過去の出来事に対して「あ~失敗だったなぁ」とか「こうしたらよかった」などと思うかもしれませんが、そうではなく全てを受け入れるようにしましょう。

マインドフルネスの効果は近年注目されており、その意味では禅の効果が科学的に証明されつつあると言えますね。マインドフルネスの効果には以下のものがあります。

  • 精神的なストレスを軽減して心の負担を解消させる
  • 自分に対して自信が持てるようになる
  • 不安が解消され心が穏やかになる
  • 記憶力や学習能力がアップする
  • 客観的に自分を見られるようになる
  • 睡眠障害が改善される
  • 脳のストレス軽減による機能回復
  • その他

マインドフルネスは正しい方法で行うことが重要で、そのためにはマインドフルネスを熟知した医療機関で指導を受けるようにしましょう。本やガイドも多く売られていますが、抜毛症解消には専門家の指導が理想的です。

抜毛症だけでなく精神疾患は全て治療に時間がかかります。気長に取り組む心もまた大切な治療の一つです。

精神疾患は病院選びが一番重要かもしれない

抜毛症は一般的な内科ではなく、

  • 精神科
  • 心療内科
  • メンタルクリニック

での診療になります。しかし専門家でも得意、不得意は存在しており、特に抜毛症においても一般的なうつ病と同様の治療が行われることがあります。

実は抜毛症を含む精神疾患ではカウンセリングが最も重要で、その意味から医師との相性はとても大切です。

人間的にキライな医師から、どんなにカウンセリングを受けても、素直な自分を曝け出すことなどできるはずがありません。また苦手な医師が新たなストレスになることも十分考えられます。

次々に病院を転々とする「ドクターショッピング」は、褒められるものではありませんが、精神疾患においては相性の良い医師を探すのも大切な作業です。

癖は自分ではなかなか気が付かないものです。しかしそれを放置するととんでもない状況へ進行するのかもしれません。

「プチッ、プチッ」
「そこの貴方…まさか髪の毛を抜くことが気持ち良いと思っていませんよね!?」

キャラクター紹介
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