健康生活TOP 胃・腸に関する病気や症状 【胃潰瘍・十二指腸潰瘍ナビ】症状、原因、治療法を解説

【胃潰瘍・十二指腸潰瘍ナビ】症状、原因、治療法を解説

ストレスが原因になって発生する胃潰瘍・十二指腸潰瘍。私たちにとってなじみの深い病気ですね。これに胃食道逆流症による食道潰瘍や急性の粘膜病変、ちょっと珍しいタイプの出血性潰瘍などをあわせて消化性潰瘍と呼びます。

こうした消化性潰瘍にはストレスだけでなく、ヘリコバクター・ピロリの感染や、お薬の副作用など、実際にはかなり多くの原因があります。それぞれの対策について見て行きましょう。

いわゆる「胃が痛い」と言う物が最もわかりやすい自覚症状

胃潰瘍・十二指腸潰瘍による腹痛で最も多いのがみぞおち付近が傷む「心窩部痛」です。また、右の肋骨の下あたりに痛みを感じる「右上腹部痛」も胃潰瘍・十二指腸潰瘍でよく見られます。

ですので、そうした腹痛が出たら胃潰瘍・十二指腸潰瘍を疑って対応しましょう。もちろん、潰瘍にまで進展していなくても炎症によって痛みが出ることは良くありますので、その段階で手当てできればもっと良いですね。

消化性潰瘍は複数の自覚症状があったら受診して検査を

突然お腹が痛くなったと言う物を「急性腹症」と呼びますが、消化性潰瘍でもこの急性腹症にあたる痛みが出ることは良くあります。急性腹症では痛む場所を9つのパターンに分けて疑われる病気を絞り込みます。その9パターンとは次のような場所です。

急性腹症が起こる場所9つ

上で書いたように、胃潰瘍や十二指腸潰瘍ではこの絵の中の「心窩部」あるいは「右上腹部に痛みが出ることが多いのです。そして、胃潰瘍や十二指腸潰瘍のチェックリストと言う物はありません。

それは「心窩部痛」や「右上腹部痛」に加えて様々な自覚症状が典型的であった場合には、胃カメラで簡単に「眼で見て診断できる」からです。ですので、私たちは自覚症状を見て受診を決めることになります。

消化性潰瘍の自覚症状には次のような物があります。2つのグループに分けて紹介しますね。まずは軽症の方からです。

  • 胸やけ
  • 胃がもたれる
  • 食欲がない
  • 吐き気・嘔吐
  • みぞおちが痛い
  • 右上腹部が痛い
  • 背中が痛い
  • 精神的な倦怠感
  • イライラ

こうしたものは他の病気でも起こりますが、消化性潰瘍にも共通する症状です。複数の症状が重なったら、消化性潰瘍を疑って生活習慣を見直すなり、一度受診してみるなりの対策が勧められます。

一方で、右上腹部や心窩部に痛みが出る病気は消化性潰瘍のほかにもいくつかありますので、胃の痛みだと決めつけないで、気になったら受診して検査を受ける方がいいですね。

この部分の痛みは特に食道・胃・十二指腸の疾患が多いのですが、同時に肝胆道系の病気も良く見られます。

  • 胆嚢炎
  • 胆石症
  • 胆管炎
  • 肝膿瘍
  • 肝炎
  • 肝腫瘤
  • 膵炎

これらの病気と消化性潰瘍を一般人が見分けることは困難です。そこで、先に挙げた軽症例に「発熱」「はげしい腹痛」「腹水や黄疸などの異常」のどれか一つが重なったら、すぐに受診すると言う対応を採るのが良いと思われます。

潰瘍から出血すると重い症状や全身症状が現れる

消化性潰瘍が進むと、もう少し重い症状が出ることもあります。

  • めまい
  • 立ちくらみ
  • 身体を動かすと疲れやすい
  • 便が黒くなる
  • 吐血
  • はげしい腹痛

先に紹介した軽症の消化器症状とともにこれらの症状が出たら、すぐに受診して検査を受けましょう。受診科は消化器内科でOKです。潰瘍が悪化して出血している可能性があります。

割合珍しいものですが、デュラフォイ潰瘍と言って胃や十二指腸の動脈の真上に小さな潰瘍ができて、そこからたくさん出血することがあります。

この場合には痛みよりも下血やタール便、全身の倦怠感などが症状として目立ちます。内視鏡検査でも大きな潰瘍がないのに、出血が確認された場合デュラフォイ潰瘍と診断されることが多いようです。

内視鏡的な治療で止血は可能ですが、再発もありえます。動脈硬化も危険因子なので、動脈硬化を指摘されている中高年の方は、念のため注意しておいて下さい。

胃が痛いくらいで医者に行くのもなんだかな、と思っている人は意外に多いようです。でも、早いうちの方が治療に時間がかからなくて楽ですよ。気軽に受診して下さいね。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因は?飲酒喫煙、ピロリ菌や遺伝について

胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、胃酸とそれに対する防御機構のバランスが崩れて、消化器粘膜に潰瘍ができることが原因と考えられています。しかし、なぜそのバランスが崩れるのかと言うことはこれまであまり判っていませんでした。

しかし近年、ヘリコバクター・ピロリと言う細菌の感染症が原因の一つと判ったり、十二指腸潰瘍の責任遺伝子が発見されたりして、ずいぶん研究が進んできました。

胃潰瘍の原因は飲酒・喫煙・ピロリ菌

胃潰瘍と言うとストレス性の物が注目されていますが、実際には喫煙とピロリ菌感染が重要なリスクファクターであることが判っています。ピロリ菌については胃潰瘍の60~70%に関係しているとも言われています。

一方、喫煙に関してはニコチンによって、胃粘膜の血管が収縮することで防御因子が減少すると同時に、攻撃因子である胃酸の分泌が促進されるため、二重に胃を悪くさせることが判っています。

ストレスが胃に悪いことは有名ですが、たばこによってストレスを軽減しようとする傾向がある喫煙者では、何重にも胃を悪くする要因を抱えていると言うことになりますね。できるだけ早くたばこは止めましょう。

お酒も胃には良くないものです。お酒のアルコールによって防御因子が弱まって胃潰瘍が引き起こされるので、節度ある飲酒量を守ることを心がけて下さい。

痛み止めが胃を痛くする?

NSAIDs(非ステロイド抗炎症薬)と呼ばれる痛み止めのお薬があります。昔からあるアスピリンやそれを主成分とするバファリンもそうですし、最近ではロキソニンやイブプロフェンなどの第2世代の製品も一般市販薬として販売されるようになりました。

しかし、こうしたNSAIDsの内服薬はCOX-1と言う酵素を抑制し、胃を守っているプロスタグランジンの産生を抑え込んでしまいます。このためNSAIDsを連用していると胃潰瘍になりやすくなります。

たまの頭痛で飲むくらいなら全く問題はありませんが、長期にわたる腰痛などで鎮痛剤として常用したり、血液をサラサラにするお薬と言う名目で処方される抗凝固剤としてのバイアスピリンやバファリンを常用すると副作用として現れてきます。

そのため、長期にわたる服用が必要な場合には、胃潰瘍を予防するお薬と共に飲むことが必須となります。良く使われるのがメチルメチオニンスルホニウムクロライド(商品名:キャベジンUコーワ・ジェネリックなし)です。

なお、商品名からお分かりのように、この成分は市販のキャベジンコーワαの主成分でもありますし、実は市販品の方にも処方箋薬と同等以上に含まれていますから、市販のロキソニンSやイブなどを飲む時に併用すると良いでしょう。

また、MMSCと言う名前で市販薬としてのジェネリックも売られていますから、薬剤師さんに相談して利用されるのもお勧めです。

処方箋薬のNSAIDsが処方される時には、キャベジンUではなく、プロトンポンプインヒビターと言う種類の胃薬が使われることもあります。

オメプラゾール(商品名:オメプラゾンなど・ジェネリックあり)やランソプラゾール(商品名:タケプロン・ジェネリックあり)などがあります。

これらのお薬は効き目が非常に強いのと同時に副作用もあるため、効き目が緩やかで副作用がほとんどないキャベジンUと、どちらにするかはお医者さんが判断されるでしょう。

O型の人は十二指腸潰瘍になりやすい!

十二指腸潰瘍のリスクについては、胃潰瘍よりもさらに複雑ではないかと考えられていましたが、近年責任遺伝子が日本の研究チームによって2種類特定されました。

その内の1つは胃がんのリスク遺伝子として知られていたものです。そして、もう1つは驚くべきことに血液型を決定する遺伝子だったのです。しかも私たちに最もなじみが深い、ABO式血液型の決定遺伝子なのです。

それによると、O型の人はA型の人に比べると1.43倍、十二指腸潰瘍になりやすいことが判りました。B型やAB型の人では、A型と比べて有意差は見られませんでした。

ですので、O型の人は普段から胃腸に負担を掛けるような生活習慣を排除するように、特に気を付けた方が良いですね。飲酒喫煙や強い刺激物などはできるだけ避けるようにして下さい。

そしてもう一つの胃がんのリスク遺伝子です。この遺伝子は細胞の分裂増殖を促進するため胃がんができやすくなります。一方で、粘膜の傷の修復も早くなるため、十二指腸潰瘍にはなりにくいのです。

この遺伝子が十二指腸潰瘍になりやすいタイプだと、十二指腸潰瘍のリスクが1.84倍にも高まる一方、胃がんのリスクは0.59倍に下がっています。

とは言え、遺伝的な要因は変えようがありませんから、普段から胃腸に負担をかけすぎないように注意するしかありません。それに十二指腸潰瘍になったからと言って胃がんにならないと言うわけでもありません。

飽くまでリスク比の問題だけです。また、血液型遺伝子と胃がん遺伝子との間に関係はありませんので、O型の人が胃がんになりにくいと言うわけでもありませんから注意して下さいね。

胃がんと十二指腸潰瘍なら、十二指腸潰瘍の方がましかなと思いますが、遺伝子のタイプばかりは自分で選べませんから、運を天に任せるしか仕方ないですね。

胃潰瘍は加齢によって起こりやすくなる

胃潰瘍と十二指腸潰瘍を比べた場合、若い人では十二指腸潰瘍が多く、歳をとるほど胃潰瘍が多くなってきます。また、胃潰瘍のできる位置も、年齢を重ねるほど上の方になります。

これは胃酸が分泌される場所が、年齢とともに変化するからだと考えられています。また、それだけではなく、胃壁の構造や厚みも年齢を重ねると変化してくるのです。

胃壁の強さも胃液の濃さも年齢で変化する

胃液の分泌量は年齢と共に減ってきます。つまりそれだけ胃や十二指腸の粘膜が傷められる可能性は減るのです。しかし、同時に胃壁そのものの厚みも加齢で薄くなり、防御機構も弱くなってきます。

ですので、結果として十二指腸潰瘍は胃液が多く分泌される若年層に多く、胃や十二指腸が薄くなる中高年齢層では胃潰瘍になりやすいと言う傾向が見られます。

また、胃の大きさや形、胃壁の厚さなども30代くらいからどんどん変化し、60代になるころには胃壁の厚さや胃全体の形も違うものになっています。

消化器の加齢を抑えるコラーゲン

こうした変化は70代くらいまで続きますが、胃腸の健康を保つために重要なファクターになるのが、胃腸の壁を構成しているコラーゲンの含有量です。

とは言え、お肌の質を良くするのにコラーゲンを食べるだけでは充分な効果がないのと同じように、胃壁を丈夫に保つ場合でも、コラーゲンだけを食べていればいいと言う物ではありません。

それでも、食物由来のコラーゲンを含むたんぱく質全体の摂取量を減らさないように注意することで、胃の健康に寄与できるであろうことは充分に考えられます。

アミノ酸スコアの高い動物性のたんぱく質を摂りつつ、胃の運動に悪影響を出す可能性が高い脂質を抑えた食事を意識しましょう。

胃腸も年齢を取ると言うのは、悲しいですが結構実感しますよね。とは言え、いつまでも若いころのように食べていたのでは、今度はメタボリック・シンドロームが怖くなってきます。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍を抑えてくれる天然成分・キャベジン

この名前は先にも紹介した興和株式会社の有名な胃腸薬の名前として知られていますが、実はS-メチルメチオニン・メチルメチオニンスルホニウムクロライドの通称で、キャベジンと言う商品名はそこから付けられました。

名前の通り、もともとはキャベツから単離された抗潰瘍成分で、今ではメチルメチオニンスルホニウムクロライドの略称のMMSCの名前で、市販薬のキャベジンのジェネリックも薬局で買い求めることができます。

キャベツだけでなくアブラナ科に多い成分

このMMSCは名前の通りキャベツに多く含まれていますが、キャベツだけでなくブロッコリーや青梗菜、からし菜などのアブラナ科の植物にもたくさん存在しています。

MMSCは水溶性の物質で、139℃で分解してしまいますから、長時間茹でたり高温調理を行ったりすると失われやすい栄養素です。

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とは言え、中心温度で139度を超える調理は少ないでしょうから、加熱によってすべて失われることはありません。茹でる場合でも、キャベツはともかく、ブロッコリーの場合は流失分は少なくなるでしょう。

生野菜は栄養が失われないと言うメリットはありますが、量を食べるのが難しいと言う欠点もあります。ですので、温野菜でもいいので、アブラナ科の野菜を上手く摂るようにしてMMSCのメリットを利用して下さい。

アブラナ科以外ではほうれんそうやアスパラガスにも多く含まれますが、高温調理が多くなりがちなアスパラガスや、シュウ酸の問題でしっかり下茹で・水晒しが必要なほうれんそうでは、MMSCが失われやすいかも知れませんね。

胃潰瘍の予防にはいいけれど症状が出たら生は控えた方が良い

生のキャベツ、例えばトンカツの付け合せやコールスローサラダにはMMSCがたくさん含まれていることが期待できます。しかし、生野菜は胃が傷んでいる時に食べると、あたりが強くて胃の痛みが増強してしまうことがあります。

ですので、胃が痛いと言う症状がある時には、MMSCはお薬で摂るようにして下さい。そして、野菜類は柔らかめに茹でるなどして食べた方が、胃の回復には良いでしょう。

また、同じ加熱調理でも油炒めは脂質が多くて消化に時間がかかりますので、あまりお勧めできません。

脂質は量が多いと胃を通過して十二指腸に入った時に、ホルモンの働きで胃の動きを遅くし、十二指腸での消化に時間をかけるようになります。つまり、胃の中に食べ物が滞留する時間が長くなるのです。

これは胃の調子が悪い時にはつらい働きですので、そうした時には脂質の量を減らす方向でメニューを組み立てて下さい。

昔の名残でMMSCをビタミンUと呼ぶこともありますが、MMSCは人間に必須の成分ではないことが判ったので、今ではビタミンではなくなっています。でも、判りやすい表現だから今でも使われているんでしょうね。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍は気になった時すぐに受診すれば早く治る

このように、胃潰瘍・十二指腸潰瘍は典型的な症状が現れた時にすぐに受診して検査を受け、確定診断がついていると治療も早くできますし重症化しません。何となく先延ばしはお勧めできません。

また、痛み止めのお薬を使う時は、副作用防止の胃薬を一緒に使うことを忘れないようにしましょう。

一方、普段からたんぱく質をしっかり摂り、アブラナ科の野菜を中心に肉と野菜のバランスを取った食生活をしていると予防できると言う部分が大いに存在しています。

もちろんお酒やたばこは止めておいて下さい。さらに、炎症を誘発・悪化させる恐れがある刺激物もほどほどにしておいた方が無難です。

人によっては年齢とともに刺激物が苦手になってきたと言う方もいるでしょう。それはやはり消化管の加齢による変化がもたらしているのだと思われます。そうした嗜好の変化には素直に従っておいた方が良いですね。

昔は、暴飲暴食を諌めるために使われた「腹も身の内」と言う言葉ですが、現代では「お腹もストレスで痛む」と言う意味になりそうですね。養生しましょう。

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