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睡眠時無呼吸症候群は何科が専門?病院でうける検査と治療のお話

睡眠時無呼吸症候群という名前はかなり一般的になったのではないかと思います。一般的にはなりましたが、では自分がそうじゃないかと心配になったとき、どうしたら良いのかということは、意外に判っていない人が多いんじゃないかと思います。

それには、まず診察を受けて検査を受け、睡眠時無呼吸症候群であるかどうかを確定しなければいけません。その上で、治療が必要なら重症度も調べてもらった上で、適切な治療を受けることになります。では、最初はどのお医者さんに行くのでしょう。

通いやすいクリニックを選ぶことが大切

睡眠時無呼吸症候群については、多くの診療科が対応してくれます。内科はもちろん、耳鼻咽喉科・循環器科・呼吸器科から精神科に至るまで、様々な診療科で相談できます。

もちろん大病院の睡眠外来などでも診療が受けられますし、更に専門化した「睡眠時無呼吸症候群外来」を設置している病院もあります。でも、初診はできるだけ通いやすいところにある、耳鼻咽喉科クリニックがおすすめです。

CPAP治療が必要になると毎月通院しなくてはならない

睡眠時無呼吸症候群という診断がつき、最も重症の分類になった場合、持続式陽圧呼吸療法(CPAP)という治療が行われます。これは鼻に対して常に空気圧をかけ続けることで、空気の通り道を確保し無呼吸を起こさせないものです。

これには専用のCPAP装置というものが必要になります。この装置の使用料は、重症という診断がある場合、健康保険が適用されますから3割負担ですみ、月額5,000~6,000円程度の自己負担になります。

ただし、健康保険を適用してもらうには、毎月1日から月末までの間に、必ず1回はお医者さんを受診しなければならないのです。もし行けなかった場合、その月の使用料は全額自己負担になります。

ですから、できるだけ通いやすいクリニックや病院を選んでおくことが重要なのです。また、この装置は患者の睡眠中の呼吸状態をモニターして記録してくれます。そのデータを持って受診することになります。

データの転送は、専用のカードを装置に挿して、転送完了表示が出たら抜くだけの、至って簡単なものです。しかし、それを読み取るためのパソコン用読取機や、アプリをお医者さんが持っていないことがあります。

耳鼻咽喉科の先生であればこれを持っていることが多いので、初診は耳鼻咽喉科がお勧めなのです。でも、かかりつけの先生があるなら、一度相談してみてください。持っておられるとか、導入してもらえるとかなら助かりますよね。

検査は比較的大きな病院で行うことが多い

検査については、最初簡単な装置を借りて、自宅で睡眠時にそれを指につけて2日間行います。寝ている間の血液中の酸素の量をモニターする装置で、赤外線を使って検査しますから、針を刺すことなどはありません。

そのデータが良くなかったら、いよいよ本検査になります。この検査は入院して行うことになりますが、いわゆる9時-5時の仕事をしている人なら、会社を休む必要はありません。

夜の8時ぐらいに入院して、翌朝6時か7時くらいには退院できます。この検査では、体中にセンサーを取り付けられて、無呼吸の状態だけでなく、寝返りやいびき、寝言や歯ぎしりまで細かくチェックされます。

その結果、重症だという検査結果が出た場合、CPAP治療の対象になります。当日のうちにCPAP装置の適性を見ることもありますが、日を改めて行われる場合もあります。

一方、治療を必要としないレベルであったり、必要であってもCPAP装置の保険適用レベル以下であった場合には、その結果が初診のお医者さんに通知されますので、そちらで治療方法を検討することになります。

CPAP装置が必要な場合は、検査した病院で使い方の指導などが行われます。そして、装置そのもののレンタルは病院ごとに異なるでしょう。その日に病院で受け取れるかもしれませんし、後日になるかもしれません。あるいは自宅に直送されてくる可能性もあります。

もし軽症であるという診断で、CPAP装置が対象にならない場合は、生活習慣の改善や、マウスピースを着けて寝るなどの方法が取られることになります。

個室を使うため、検査入院の費用は3万円くらいかかると思われます。あらかじめ確認しておいてくださいね。

あなたは睡眠時無呼吸症候群?自己チェックの方法

この病気は眠っているときにしか症状が現れませんので、なかなか自分でこの病気を疑うことが難しいのが現実です。しかし、昼間の眠気など、特徴的な関連症状もありますから、そうしたことで気づいて受診することが大事です。

また、睡眠時無呼吸症候群には鼻や喉に問題があって起こるものと、脳や脊髄に問題があって起こるものがありますが、その切り分けはお医者さんに任せましょう。大半は鼻や喉に問題があるタイプですから、そんなに心配しなくても大丈夫です。

睡眠時無呼吸症候群に見られる典型的症状

睡眠時無呼吸症候群の症状は、自分ではなく家族や友人などに指摘されて気づくことが多いです。一方、夜間の睡眠状態が悪いため、昼間に悪影響が出て気づくこともあります。

睡眠時無呼吸症候群でよく見られる症状などを、頻度順に並べてみましょう。上ほどよく見られるものです。

  • 極めて大きないびき
  • 他者から「息をしていない」と指摘される
  • 日中に過度の傾眠(※)が見られる
  • 夜間体動異常が見られる
  • 熟睡感がない
  • 起きているときに全身がだるい
  • 夜間頻尿がある
  • 夜中に息苦しさを感じる
  • 起きたときに頭痛がある
  • 夜中に目を覚ます

(※ 傾眠:外部から刺激を受けると目を覚ますが、すぐに眠り込んでしまう状態。意識障害の一つ。刺激が強くないと目を覚まさない場合は「嗜眠」と言う、もう1段階上の意識障害になる。)

いびきは他者からの指摘だけでなく、自分のいびきの大きさに驚いて目を覚ますことがあるという人もいます。いびきについては93%の人が、夜間覚醒についても35%と1/3以上の人が自覚・他覚症状として持っています。

なお、夜間頻尿については夜中に排尿のために起きることがあれば相当しますが、それで見ると特に40代以降では、かなり多くの人が当てはまってしまいます。ですので、夜中のトイレが2回以上と見ても良いかもしれませんね。

自分でもチェックできる眠気スケール

さて、自分で自覚しにくい症状が多い中で、「日中の過度の傾眠」というのは判りやすい自覚症状ですね。つまり、ちゃんとした睡眠が取れていないから、昼間に眠くなるということです。

この睡眠時無呼吸症候群が一躍有名になったのは、2003年に起こった、新幹線の運転士による居眠り運転でした。新幹線には開業当初から自動列車制御装置が搭載されていて、この事件の時には既にデジタル化もされていたので、装置によって安全に停車しました。

それでも、その居眠りの原因が睡眠時無呼吸症候群という病気であったことは、大きな社会問題として取り上げられ、検査や治療の環境が一気に整ってきたイメージがあります。

昼間の眠気に関しては、主観的な尺度から病的かどうかを見る、エプワースの眠気スケール(ESS)と言うものがあります。これはオーストラリアのメルボルンにある、エプワース睡眠センターのマーレー・W・ジョンズ博士の手になるものです。

京都大学大学院の福原俊一教授などの研究グループは、このスケールを日本語訳し、日本人が自分の眠気を評価しやすいように改変してJESSと言うものを作っています。

▼クリックで大きな画像が見られます

(参照:日本呼吸器学会雑誌第44巻第11号・日本語版 the Epworth Sleepiness Scale(JESS)~これまで使用されていた多くの「日本語版」との主な差異と改訂~|京都大学大学院 福原俊一教授 ほか)

このJESSでチェックして、

  • 11点以上が「異常な眠気」
  • 16点以上が「重症の異常な眠気」

とされています。11点以上であった場合には、その結果を持って耳鼻咽喉科を受信されることをお勧めします。

相談すれば、検査を受けることを考慮してもらえるでしょう。上で紹介した簡易検査のために、パルスオキシメーターという装置を貸してもらい、2~3日睡眠時に装着して寝るだけです。


(出典…パルスオキシメーター検査|社会医療法人社団順江会 江東病院)

病院によっては、鼻腔通気度計による呼吸測定などが行われる場合もありますが、この検査によって異常値が出た場合には、入院してポリソムノグラフィ(睡眠時ポリグラフ)検査が行われます。

ポリソムノグラフィ検査の様子写真
(出典…睡眠時無呼吸症候群の検査の様子 – 東京労災病院)

これは多岐にわたる検査が同時に行えるものです。

  • 呼吸流量
  • 脳波
  • 胸の動き
  • 腹の動き
  • いびきの音量
  • 眼球運動(レム・ノンレム睡眠)
  • オトガイ筋(顎の先端の筋肉)筋電図
  • 心電図
  • 手足の動き
  • 体位と体動
  • 血圧
  • 酸素飽和度

などを検査しますが、病院によって検査項目はまちまちです。必ずチェックされる最重要項目は「無呼吸・低呼吸の発生」です。全身に測定装置を巻きつけられたり、くっつけられたりして大変ですが、苦痛は全くありません。

ちょっと不自然な姿ではありますが、そのスタイルで朝まで寝るだけです。もちろん途中でトイレに起きても大丈夫なように工夫されています。

なんだか大変なように思えるかもしれませんが、実際のところ病院に行って一晩寝て帰ってくるだけですから、緊張せず気軽に検査を受けてくださいね。

重症度に応じて治療方針が変わる

この検査で出た結果によって、その後の治療方針が変わります。まず重要なのは閉塞性であるか中枢性であるか、あるいはその混合型であるかという区別です。

それによって治療の方向性が変わってきます。特に中枢性の場合、原因疾患の発見も重要な課題になってきます。

中枢性はそれほど多く見られるものではない

睡眠時無呼吸症候群の95%以上が閉塞性で、中枢性は決して多くありません。閉塞性というのは肥満や顎の形などが原因で、眠っているときに空気の通り道が塞がれてしまうために起こります。

そのため、空気の通り道が開いた瞬間に大きないびきが発生するのです。一方中枢性は、こうしたことは起こらず、空気の通り道は開いているのに、呼吸中枢から呼吸をしなさいという信号が、正しく出ていないために呼吸が止まるものです。

言い換えれば、閉塞性は息をしようとしているのに気道が塞がって息ができない状態、中枢性はそもそも息をしようとしていない状態です。

ですので、体位を変えれば気道が開く閉塞性より、気道が開いているのに呼吸が止まる中枢性のほうが危険と言えるでしょう。

中枢性は、脳卒中を契機として発生することが知られています。また、心不全のような循環器病でも、中枢性の睡眠時無呼吸症候群が起こることが比較的多く見られます。

ですので、中枢性と診断されて、それまでにそうした病気にかかったことがなかったら、まずそうした病気がないかどうかのチェックが重要になるのです。

閉塞性は無呼吸と低呼吸をカウントする

無呼吸というのは文字通り呼吸が止まった状態で、それが10秒以上続く状態を1回とカウントします。また低呼吸というのは少し複雑で、まず呼吸の量が半分未満に減った状態で、血液の酸素飽和度が4%以上低下した状態を言います。

この無呼吸と低呼吸の1時間あたりの回数を無呼吸・低呼吸指数(AHI)と呼んで、睡眠時無呼吸症候群の診断基準にしています。

AHIが5未満が正常です。つまり、10秒以上呼吸が止まることがあっても、それが1時間に4回までなら病気ではないということです。そして、5回以上15回未満が軽症、15回以上30回未満が中等症、30回以上が重症ということになります。

日中に眠気がある人で、睡眠時ポリグラフ検査によってこのAHIが20以上と診断された場合は、CPAPを使った治療が保険適用になり、それ以下の場合は減量やマウスピースなどで対応することになります。

共通して重要なポイントは肥満者の減量

睡眠時無呼吸症候群の人には肥満の人が多く見られます。こうした場合は、肥満によって気道が狭くなっていて、横になった時にそれが垂れ下がって、気道を閉じてしまうことが少なくありません。

ですので、減量が大きな対策になります。少なくともBMIが25.0kg/m2以上ある人は25.0kg/m2未満に抑え、できれば標準体重であるBMI=22.0kg/m2を目標にして下さい。

目標の計算方法は、身長(m)×身長(m)×22です。例えば身長160cmの人の場合、1.6×1.6×22=56.32(kg)が標準体重です。体重がそれ以下の人の場合、減量しないで下さい。むしろ体脂肪率のチェックですね。

厚生労働省は、成人女性で体脂肪率が30%、成人男性で25%を超えると「体脂肪量増加」と呼ばれる状態になることを示していますので、それを超えないようにすることも重要です。

BMIが正常値なのに体脂肪率が高めなのは「隠れ肥満」と言われる状態である可能性もありますので、しっかり運動して、体重だけでなく体脂肪率も整えるようにして下さい。

肥満じゃないのに睡眠時無呼吸症候群が多い日本人

日本人は世界的に見ても肥満者が際立って少ない国民です。特に世界保健機関の基準を含め、海外では普通体重(18.5kg/m2≦BMI<25.0kg/m2)と肥満(obesity:30.0kg/m2<BMI)との間に過体重(overweight)という、いわば緩衝帯があります。

ですから、海外で肥満というとBMIが30.0kg/m2以上になった場合を指しますが、日本では海外で過体重とされる25.0kg/m2をもって、情け容赦なく肥満度1と認定されてしまいます。

そんな厳しい基準の中でも肥満者が少ないのに、睡眠時無呼吸症候群の人の割合は欧米と変わりありません。これは顎の骨格に原因があるのではないかと考えられています。

顎が小さいとか、顎が奥の方に下がっているとかの要因があると、体重に関係なく睡眠時無呼吸症候群が発生することがあります。

こうした場合には、スリープスプリントというマウスピースで対応できます。下顎を前の方に持ってきて固定することで気道を確保する道具です。個人の顔の形にあわせたオーダーメイドですから、使用感も悪くありません。

ただし、睡眠時無呼吸症候群と診断されていないと健康保険が効きませんので、まずは検査を受けて診断を確定し、その上で歯科・口腔外科のお医者さん向けに紹介状をもらうことになります。

健康保険が効けば、数回の受診と1~2万円程度の費用で作成できるでしょう。

入院検査費用を考えると、自費でスリープスプリントを作ったほうが安いという意見もありますが、やはり病態を確定しておくことは重要だと思いますね。

重症例ではCPAP治療が基本になる

睡眠時ポリグラフ検査でAHIが20以上で、昼間の眠気などがあると診断された場合にはCPAP治療が健康保険適用になります。入院検査を受けずに、簡易検査だけだとAHIが40と、条件が厳しくなります。

また、中枢性の睡眠時無呼吸症候群でもCPAP装置が有効である場合があります。使っているときの見た目と、使い始めの慣れに関しては少々厄介ですが、その効果は驚くほどよく効くものです。

CPAP装着時の見た目の重症感はすごい

CPAPと言うのは、鼻に装着したマスクを通じて機械から空気を送り込むことで、寝ている間に気道が閉じないようにする装置です。実際に使用すると、ほとんど無呼吸が消えますから、朝の目覚めが驚くほど爽やかになります。

しかし、鼻を覆うマスクを着け、そこから伸びたホースを枕元の機械に接続して寝ている様は、外から見ると瀕死の重症患者に見えます。その見た目の大仰さはこの装置の一番の欠点ですね。

また、使い始めは、鼻から空気を押し込まれる感覚や、マスクの装着感になれるのに時間がかかる人もいます。でも、たいてい数日で気にならなくなるでしょう。

それと、ホースやマスクを分解して洗う手間もちょっと面倒ですね。工具が必要なものではありませんが、夜に使うことを考えると、朝起きた時に水洗いしないと乾きません。

睡眠時無呼吸症候群は重病の誘因になる

睡眠時無呼吸症候群の場合、それを誘因として脳卒中や心臓病、糖尿病などを発症するリスクが2倍から4倍にも高まります。しかし、CPAP治療を行うことで、そのリスクを健常者並みに引き下げることができるのです。

ですから、面倒かもしれませんが、CPAP治療に取り組んでみることを強くお勧めしたいと思います。CPAP治療は無呼吸が続く間継続しなければいけません。

一方、例えば肥満していた人が標準体重まで減量した場合などに、簡易の再検査を受けて数値が正常化していたらCPAP治療を終了させることもできるのです。簡易検査は、呼吸の状態をチェックできる携帯用装置を借りて自宅で行います。

費用は6~7,000円くらいでしょう。入院の必要もありませんし、「もう大丈夫かな」と思ったら、毎月受診する医療機関で、お医者さんに相談してみて下さい。

また、CPAP装置が記録した睡眠時の呼吸状態のデータを見て、お医者さんからCPAP離脱の可能性を指摘してくれる場合もあります。

CPAP装置をつけて、口を開くと空気がそっちに逃げますからすごいことになります。今のCPAP装置は呼吸状態に合わせて、送る空気の強さを自動調整してくれるため、口を開くと最強の風を送り込んでしまうのです。

手術という治療法も存在している

減量も、スリープスプリントも、CPAP治療も有効でなかった場合には、上気道に呼吸を止めてしまう構造的な問題がある場合があります。そうした場合には、空気の通りを悪くしている部分を、切除する手術が行われる場合があります。

いずれにせよ、まず気になったらお近くの耳鼻咽喉科クリニックを受診して下さい。それが昼間の耐え難い眠気や、ひどいいびきの解消につながるでしょう。

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