健康生活TOP 皮膚がん 皮膚の茶色い盛り上がりはただのイボ?それともがんの前駆症状?

皮膚の茶色い盛り上がりはただのイボ?それともがんの前駆症状?

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変な形のほくろや、大きくなってくるほくろが皮膚がんの可能性があると言う話が一般に紹介されるようになってから、最近ではそうした皮膚症状を見ると悪性黒色腫を心配する人が増えてきました。

確かにそれらは重要なチェック項目ですから、不安であれば受診されることは是非お勧めしたいです。

でも、なぜ悪性黒色腫ばかりがクローズアップされるのかはちょっと疑問です。

皮膚がんは比較的生存率の高い悪性腫瘍

皮膚がんの中で、悪性度が高いのは確かに悪性黒色腫で、好発年齢層に幅があるのもこれです。しかし、悪性黒色腫は皮膚がんの中で比較的少数派のがんで、人口10万人当たりの年間発症者数は2人程度です。

皮膚がんで最も罹患者数が多いのは基底細胞がんと呼ばれるもので、人口10万人当たりの年間発症者数は5人を超えています。そしてその次は有棘(ゆうきょく)細胞がんと言うものです。

皮膚がんの場合早期発見は特に重要

そして重要なのは、どの皮膚がんであってもステージI以内であれば、特殊な事例を除いてほぼ全員が完治するという事実です。ですから早期発見が特に重要と言えるでしょう。

ステージIの目安は以下の通りです。

  • 基底細胞がんと有棘細胞がんで「皮膚と皮下組織の中にとどまっていて、大きさが2センチ以下のもの」
  • 悪性黒色腫で「厚みが1mm以下、または表面の潰瘍がなくて厚みが2mm以下のもの」

このレベルですと、どの皮膚がんであってもほとんど全員が完治すると言う治療成績がありますのでありがたいですね。目で見てわかるところにできる悪性腫瘍だけに、発見も治療もやりやすいのでしょう。

しかし、放置してIII期、IV期まで進んでしまうと他への転移が起こりますから、助かる率がうんと下がります。

皮膚がんの治療はほとんどが外科的切除で行われる

がんの治療と言うと、抗がん剤治療とその副作用に苦しむ人のイメージが付きまといますよね。実際、さまざまな副作用があって、私の知人にも大きくQOL(生活の品質)を損なっている人が複数いたりします。

そう言うのを見るにつけ、がんの治療って厳しいんだなと思い知らされますが、皮膚がんについては外科的に切除するだけで終わることも少なくないようです。

病期が進んで、内臓などに転移してしまうとそうも言ってられないでしょうから、やはり早めに治療開始が望ましいと言えるでしょう。

最も気になるのは色が変化した部位ががんなのか否か

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皮膚がんも他のがんと同じく、加齢が大きなリスクファクターになる病気です。つまり、年をとるほど罹り易くなると言うわけですね。

一方、皮膚にできるしみやほくろ、色素異常も加齢とともに加速度的に増えてくることは、特に中年にさしかかった人は皆さん感じておられると思います。

では、どれががんでどれががんでないのか、肉眼で見て100%判別するすべはありませんから、注意した方が良い兆候が現れたらすぐ受診すると言うのがベストです。

皮膚がんに共通する最も大きな注意点は大きさの変化

皮膚がんにはたくさんの種類があります。一応例を挙げておきましょう。

  • 基底細胞がん
  • 有棘細胞がん
  • 悪性黒色腫
  • 乳房外パジェット病
  • 菌状息肉症

などが代表的で、特に上の2つが多く、それだけで皮膚がんの7割を占めるとも言われています。一方、下の2つは比較的レアですし、症状の出方も少し違うので、まずは上の3つについて見てみましょう。

この3つに共通する皮膚の変化は「形が不ぞろいな赤褐色・淡い褐色~黒までのほくろのようなものが、徐々に大きく育ってくる」と言うものです。悪性黒色腫の初期としても良く紹介されますが、皮膚がん全体にある程度共通するのです。

では、受診のタイミングはどう決めればいいのでしょうか。

ポイントは「今までなかった妙な色素変化が皮膚にできた時」と「これまで変化のなかったほくろや色素沈着のようなものが、大きくなり始めたと気付いた時」に皮膚科へ行ってください。

病期0とがんの前駆症を見逃すな!表皮内がんは放置すると本物の皮膚がんになる

皮膚がんには病期0(ステージ0)と呼ばれるものや、がんの前駆症と呼ばれるものが存在します。この段階で見つけて治療してしまえば、ほぼ100%完治するのです。

特に表皮内がんと言うものは、がん細胞は生まれているのですが表皮内にとどまっているものです。皮膚がんの病期0と同じものでもあります。

皮膚がんの前駆症:ボーエン病

これは普段衣服に隠れている場所に良くできる、境界のはっきりした褐色のもので、治りにくい湿疹とよく間違われます。表面には白っぽいガサガサの皮膚の断片のようなものが付着していることが多いものです。

主に60歳以上の人に見られる表皮内がんですが、既にがん細胞は存在していますので、放置すると有棘細胞がんに進行します。

ボーエン病のうちに切除してしまえばほとんどが治ります。原因は様々ですが、ヒ素中毒や免疫不全状態、子宮頸がんの原因にもなるヒトパピローマウイルスへの感染などが原因と言われています。

一方、紫外線によって起こることもありますが、この場合は衣服に隠れていない、露出した部分に発生します。

乳房外パジェット病

これは既にがん細胞があるものですが、表皮内にとどまっている間は外科的に切除するだけで治療可能ですので前駆症に近いとも言えます。

乳房パジェット病は乳がんの一種として数えられていて女性に多い病気ですが、同じ原理で乳房以外に発生する乳房外パジェット病は男性が2~3倍多い病気です。

なお、名前が似ていますが、ベーチェット病や骨パジェット病とは全く異なる病気ですので、混同しないように注意して下さいね。

がんではないことも多いだけに受診が遅れがちな日光角化症

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がん細胞が発生する前段階に当たるのが日光角化症と呼ばれる皮膚病です。割合ありふれた病気だけに、かえってがんの前駆症であることが見落とされる恐れが多いものです。

年配の方に多く、長期間紫外線を浴びたことによって皮膚の一部が茶色く固くなり盛り上がる症状です。時としてイボのようになることもあります。

痛くもかゆくもないことが多く、見た目だけの問題なので受診されない方も多いそうですね。しかし、このうち一部は有棘細胞がんに進むことがありますので、念のため皮膚科へ診てもらいに行って下さい。

ほとんどが頭や顔など、良く紫外線を浴びる場所にできます。

皮膚がんが高齢者に多いのは紫外線を浴びた量で発病するから

皮膚がん発症数のワースト1、基底細胞がんは約70%が60歳以上の方がかかっています。第2位の有棘細胞がんは約60%が70歳以上の人の病気です。どちらも通常のがん年齢よりは高めですね。

これは、大きな原因になっているのが、紫外線を浴びたことによるものだからだと考えられています。5年や10年紫外線を浴びても、人間の身体はDNAのトラブルさえ自己修復してしまいます。

しかし、50年、60年となってくると、紫外線によってDNAに異常をきたすことが蓄積されるために、皮膚がんへと繋がっているのではないかと考えられています。

皮膚がん全体のおよそ半分を占める基底細胞がん

人間の皮膚は皮下組織と言う構造の上に乗っかった、厚さ2mmあまりの真皮と、その上にある厚さ0.2mmくらいの表皮でできています。その表皮の一番下、真皮とくっついている部分で一層だけ並んだ細胞を基底層と言います。

厳密には基底層と真皮の間には表皮基底膜と言う組織がありますが、これは電子顕微鏡でないと見えないレベルなので省略しますね。この基底層の中で発生したがんが基底細胞がんです。また、毛包(毛や毛穴の部分)も基底層から発しています。

基底細胞がんの原因は、長期間紫外線にさらされたことが一番大きいと考えられています。このことを裏付けているのは発生する部位と発症者の年齢ですね。

基底細胞がんの80%は頭と顔にできています。また、発症者の70%が60歳以上で、高齢化に伴って発症数も増えてきています。つまり、長期間紫外線を浴びることで起こりやすいがんだと言えるのです。

ですから、若いうちから紫外線対策を行うのは、基底細胞がんの予防に繋がるんじゃないでしょうか。いわゆるUVケアと言うのも効果的でしょう。

しかし、頭や顔に多いと言うのであれば、子供のころからつばのある帽子をかぶる習慣を身に付けるのは悪くないと思います。年配の方なら、なおさらおしゃれに帽子を使うのは良いと思いますよ。

基底細胞がんは、転移がなければ手術で取ってしまうだけで治る病気です。むしろ再発の方が問題になりますね。頭や顔にできたものを取るので、顔の形が変わったりします。

それを恐れすぎて、取る範囲を狭くするとさらに再発しやすくなります。再発すると手術範囲が大きくなります。もちろん再建術は可能ですから、初発の時の手術で広く取って再発を防ぐのがベターです。

なお、XPと言う略号で呼ばれることもある、難病で遺伝病の色素性乾皮症の患者さんは、20代のうちから皮膚がんの発症がありますので注意が必要です。

血縁者の中にこの病気を持っている人がいて、5分くらい日光に当たっただけでも日焼けの反応が強烈な人や、それほど激しくなくてもティーンエージャーなのに日焼けによるシミが多く出る人は検査を受けた方が良いです。

紫外線以外にもさまざまな原因がある有棘細胞がん

有棘細胞と言うのは、基底細胞の上で数層に重なっている細胞です。これが悪性化したのが有棘細胞がんです。やはり紫外線、特にUVBの波長のものの影響を受けて発生すると考えられています。

ですので、予防には基底細胞がんと同じように紫外線対策は欠かせません。しかし、それだけではないのが有棘細胞がんの厄介なところです。

有棘細胞がんの最初は先に紹介したボーエン病や日光角化症があります。また、それが進むと大きくて不揃いな形の肉の盛り上がりになります。表面がただれて出血したり、つまむとしこりがあるものは要注意ですね。

有棘細胞がんになるとその部分の皮膚が弱くなるので、細菌に感染して膿を出したり、悪臭を放ったりすることもあります。

紫外線以外の原因としては、ボーエン病のところでお話ししたヒトパピローマウイルスやヒ素中毒と言うものがあります。さらに、やけとやけがの瘢痕組織(きずあと)、お尻にできる治りにくいおできも危険因子です。

さらに、膝から下にできる治りにくい皮膚潰瘍、長期間の床ずれ、慢性放射線皮膚炎も要注意ですね。また、良く発がん物質だと言われるタール類や機械油も発生に関与します。

筋肉組織以下にまで到達していない限り、手術で取ってしまうだけで85%~100%の治癒率ですが、病期が進むと治療成績はかなり下がります。転移のあるIV期になると30%くらいですね。

発生頻度は第3位ながら悪性度はトップの悪性黒色腫

第3位は、もう説明する必要がないくらい有名になった悪性黒色腫、メラノーマです。いわゆるほくろががんになったと言われるものですね。ほくろを作っているメラニン細胞(メラノサイト)ががん化することで起こります。

日本人では、足の裏にできることが一番多いため、目で見て発見できるがんでありながら、一番見落とされやすいとも言えるでしょう。

もともと紫外線による刺激が原因と考えられていましたが、これは白人の場合の統計です。比較的紫外線に強い黄色人種の場合、機械的な刺激で起こる方が多いから、足の裏に多発するのではないかと考えられています。

予防としては「ほくろを刺激しないこと」に尽きます。ほくろを取ろうとして削ったり刺したりすることがきっかけでがん化の恐れもあると言われています。大きさや色の変化があれば皮膚科を受診して下さい。

悪性度が高いとは言え、転移がなく薄くて潰瘍も起こっていなければ手術後の5年生存率は95%~100%とされています。ただ、転移がなくても2mm以上厚みがあったり、潰瘍があったりすると70%~80%に下がります。

ですので、皮膚がんの中では悪性度が高いと言われているんですね。

共通要素は皮膚のトラブルが長引くこと!あやしければすぐに受診を

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次のような皮膚の変化が起こったら、皮膚科の専門医を受診して下さい。疑いがあれば、大学病院などの専門施設への紹介で検査をしてもらえるでしょう。

  • ほくろの形が変わってきた
  • ほくろの色が変わってきた
  • 直径7mm以上のほくろが現れた
  • 黒い色のできものやシミが現れた
  • できものや湿疹、水虫などに薬を塗って、2週間快方に向かわなかった

特に外陰部にできる湿疹やたむしなど、あるいはほくろに見える皮膚がんは性質の悪いものが多いので、早期受診・早期確定・早期治療がベストです。

思い当るふしが少しでもあるならば、”もしかして”という気持ちで一度受診していただくのが一番良いでしょう。

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