健康生活TOP 性感染症 お腹や背中にかゆみのない発疹?身に覚えがあれば性感染症検査を

お腹や背中にかゆみのない発疹?身に覚えがあれば性感染症検査を

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お腹や背中にかゆみのない発疹ができることって、それほど珍しいことじゃありません。食べ物が合わなかったりして、蕁麻疹がいっぱいできていたのに気付かず、お風呂に入る時に鏡を見てびっくりなんてケースは良くあります。

あるいはお薬の副作用で現れる薬疹にもこうしたものはあります。しかし、思い出してみて下さい。2か月から5か月くらい前に、普段とは違うパートナーと密接な関係を持ちませんでしたか?

かつて性病と言えば梅毒と言われるくらいメジャーな病気だった

エイズが登場するまで、性病・性感染症と言えば、梅毒・淋病・軟性下疳・鼠径リンパ肉芽腫の4つの病気でした。この中でも軽症の淋病、重症の梅毒と言う認識が一般的で、後の二つは名前すらあまり知られてなかったですね。

現在ではSTD(Sexually Transmitted Diseases:性感染症)と言えばエイズ・性器クラミジア感染症・性器ヘルペスと、昔ながらの淋病(淋菌感染症)が頭に浮かぶんじゃないでしょうか。

ある程度の年齢以上の人か、医療関係の人でないと、すでに梅毒と言う名前は忘れられかけているんじゃないかと思います。

ここにきて梅毒が復活し始めている

梅毒と言う病気自体は、ペニシリンの発明によって20世紀後半にはかなり減った病気です。それでも減少傾向とはいえ1980年ごろにエイズが報告されて一躍有名になるまでは最も恐れられた性病でした。

それは、やはり病状が進むと死に至ることがあったり、そうでなくても「鼻がもげる」などと言う表現をされるように、見た目が非常に醜くなったりすることからも忌み嫌われたのでしょう。

現在、そこまで症状が進む人は稀です。稀と言うことはゼロではないと言うことで、それはそれで怖いですね。しかし現在では、早期に正しい治療を行えば完治する病気ですので、必要以上に怖がる必要はありません。

21世紀に入って、わが国では年間500人から800人くらいの患者が報告されていました。ところが、2012年から増加を始め、2013年には1200人、2014年には1600人を超え、2015年第三四半期まで(1~9月)で既に1700人だと言うことです。

なぜ増加しているのかの理由は判りません。また、ここで把握されている数よりもはるかに多い数が裏に潜んでいるのではないかと言うことも懸念されています。

途上国では今でも多く患者が生まれている梅毒はどんな病気?

原因菌はトレポネーマ・パリドゥムと言う細菌です。日本では数百人から千数百人レベルですが、世界全体では毎年1000万人以上が新規に感染しています。

感染者は主に発展途上国で発生しています。梅毒は原因菌が細菌なので抗生物質が効きます。ですから、抗生物質が安定的に供給できている先進国では感染が広がりにくいと言うこともあるでしょう。

しかし、まだ少ない患者数とは言え、ここに来て日本でも再び広がりを見せ始めているのは少し気になるところですね。ではこの病気について詳しく見て行きましょう。

感染経路と病気の進み方

感染経路は大半が性的接触によるものですが、キス程度でもうつりますし、皮膚症状が出ているところに手で触れてもうつる可能性はゼロではありません。

このように直接接触による感染力は非常に強い細菌ですが、一旦人の身体から出てしまうとあっという間に死滅してしまうので、人の身体以外の物体を介して伝染することはほとんどありません。

つまり、ドアノブやお風呂のお湯からではうつらないと言うことなんですね。

そして病気の進み方についてですが、病期は

  • 不顕性感染:発症前潜伏期
  • 早期第1期
  • 不顕性感染:早期潜伏期
  • 早期第2期
  • 不顕性感染:長期潜伏期前期
  • 不顕性感染:長期潜伏期後期
  • 晩期第3期
  • 晩期第4期

に分かれます。不顕性感染とは「病気にかかっているが症状が出ていない状態」のことです。分類方法はいくつかありますし名称もさまざまですが、最も細かいものを紹介しました。それぞれについて見てみましょう。

早期潜伏期までの段階では感染に気付かないことも多い

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どんな病気にも潜伏期がありますが、梅毒の場合潜伏期と症状が出る期間が交互に訪れるのが特徴です。その中でも特に、女性や男性同性愛者の場合初期症状が見落とされやすいと言う問題があります。

そして、そのまま症状がひどくなるのではなく、再び潜伏してしまうのがこの病気の性質の悪いところです。

発症前潜伏期は比較的長いのが特徴

だいたい感染してから3週間~6週間くらいの間は症状が出ません。この間には感染していても、血液検査で陽性反応が出ないので、まったく無症状の間に検査を受けるのは意味がないのです。

こと梅毒に関しては、感染してから6週間後以降、余裕を見て3か月目くらいに検査を受けるべきです。ですので、早くても次の早期第1期の症状が出てからと言うことになるでしょう。

早期第1期の症状は短期間で消えてしまうので見落とさないように

感染して3週間目から遅くても3か月目くらいの間、平均で1か月目くらいの時期に、梅毒の原因菌が侵入した場所にイボのようなものができます。大きさは小豆大と言われますが、個人差はあるようですね。

また多くの解説書などでは、このイボは1つだけできるとか、痛みを伴わないとか書かれていることが多いです。しかし、最近の研究では痛みを伴ったり複数のイボができるとも報告されています。

概ね半数のケースでこのイボに痛みがあり、約3分の1のケースで2個以上のイボができていました。このイボは膿が出たり潰瘍になったりすることもあります。

ですから、1個じゃないかからとか、痛みがあるからとかの理由で梅毒の可能性を無視するのではなく、身に覚えがあれば検査を受ける準備をしておきましょう。

このイボは、全く何の治療を行わなくてもイボができてから数週間で消えてしまいます。でも、それは梅毒が治ったのではなく、病期が進んだことに他なりません。

なお、この時期に鼠蹊部など、梅毒の病原菌が侵入した場所の近くのリンパ節が腫れることもよくあるようですね。

早期潜伏期は病気が治ったのではなく一時的に隠れているだけ

第1期のイボやリンパ腺の腫れは、発生してから3週間から1か月くらいで消えてしまいます。この時期くらいになると梅毒の血液検査が可能になります。

梅毒検査は、一部の病気や妊娠で偽陽性が出ることがあるので、そうした場合はもう一つの検査方法を併せて、2種類の検査で正確を期すようになっています。

早期第2期には様々な症状が出るので検査を受けるチャンス

梅毒にはかなり多彩な症状があります。第1期症状が一旦消えて、4週間~10週間と言いますから、だいたい1か月から2か月半くらいで第2期症状が現れます。

皮膚症状から発熱などの内科的症状、レアケースですがこの段階で神経症状が出る場合もあります。

バラ疹と呼ばれる皮膚症状は他の病気と間違われることがある

梅毒の第2期で、一番早く表れることが多いのがバラ疹と呼ばれる皮膚症状です。薄紅色から赤色までの、いわゆるバラ色で大きさはさまざまな発疹です。

お腹や背中にたくさんできますが、全身に拡がることが特徴です。手のひらや足の裏にまでできます。しかし、痛みやかゆみはありません。

この症状は、例えばジベルバラ色粃糠疹のように心配のない病気のものとよく似ていますから、間違われることも珍しくありません。診察を受ける時は、STD感染の可能性についてお医者様に話すようにしましょう。

丘疹と言う盛り上がった発疹が後に続くこともある

バラ疹は放って置いてもしばらくすると消えます。しかし、病気は着実に進行しています。場合によっては丘疹と言う盛り上がった発疹が現れることもあります。

丘疹も全身に現れることがあり、これは見た目のインパクトも強いため、たいていの人は皮膚科へ駆け込むことになるでしょう。

その他、粘膜にも発疹ができることもあります。さらに脱毛もありますね。最初はまばらに頭髪が抜ける症状が出ます。そして、悪い場合全部抜けます。

内科的症状にバラ疹が伴ったらためらわず検査を

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第2期になると、バラ疹が発生するころから熱が出たり、全身がだるくて仕方がないと言う症状が出たりすることも珍しくありません。さらには頭痛や関節痛が伴うこともあります。

この第2期は3か月から3年くらい続きます。そして再び潜伏期に入ります。ですので、この期間に梅毒であると言う確定診断をつけてもらって治療に取り組まなければいけません。

この時期に治療を開始すると、長くても2か月程度のお薬の投与を受けるだけで完治可能なのです。一方、この期間を逃すと取り返しがつかなくなるかも知れません。

レアケースだがこの時期に神経症状が出ることもある

梅毒で脳神経症状が現れるのは第3期以降ですが、稀に早期神経梅毒と言う症状が現れることがあります。これは髄膜炎や目の症状を伴うものです。

ですので、第2期であっても、できるだけ早く治療を開始することが重要となります。

梅毒と言うネーミングはバラ疹から付けられた物

バラ疹が全身に現れた時、その色と皮膚の状態がヤマモモの実を連想させたことからこの病気の名前が付けられました。

ヤマモモの漢名は楊梅ですので、楊梅の毒から梅毒となったようですね。

長期潜伏期に入っても第2期の再発が見られることもある

第2期は3か月から3年程度で終わり、三たび梅毒は潜伏期に入ります。この潜伏期は数年程度ですが、場合によっては数十年に及ぶ場合もあります。

また、この潜伏期を超えて第3期に進むかどうかは判りません。そのまま症状が出ずに経過してしまう事もあります。

第2期症状の再発は長期潜伏期前期に起こる

第2期の症状が消えてから2年くらいまで、多くは1年以内に第2期の症状がぶり返すことがあります。これは症状が消えたからと言って梅毒が消えたわけではないことをよく表していますね。

一方、その期間を過ぎると後期に入るわけですが、完全に無症状になります。しかし、検査をすると梅毒の血清反応が陽性となって現れますので、感染が続いていることはよく判ります。

晩期に入ると悲惨な状態が待っている

晩期と呼ばれるのは感染してから数年~数十年ののちに症状が現れたものです。第3期には、ゴム腫と呼ばれる腫瘍が皮膚や筋肉などにできます。

第4期になると脳や神経が侵されます。この状態を脳梅毒と言いますが、麻痺性の痴呆などを起こして死につながります。

幸いなことに抗生物質が発達した現在では、少なくとも日本では晩期に至ることはめったにありません。

古典落語などでの症状の表現は笑いのためにデフォルメされている

古典落語の中には江戸時代の遊郭を舞台に描かれたものも少なくありません。

「遊女と一夜を過ごした後、布団の中で足に触るものがあるので見てみると『鼻』。はてなと思って遊女の顔を見ると鼻がない、さては付け鼻だったか。」

などと言う表現で、男性客が当たりの悪さを嘆くと言ったシーンがあったりします。付け鼻的なものが江戸時代に存在したかどうかはともかく、鼻を失うような第3期の末期症状の人に遊女が務まろうはずがありません。

鼻だけが単純になくなるのではなく、さまざまな筋肉・皮膚症状があらわれているので、「鼻さえあれば見目麗しい」などと言うことはあり得ないからです。

先にもお話ししたように、現代の日本で、ここまで症状が進むことはほとんどないでしょう。しかし、昔にあった病気で、悪くなってもこの程度なんだと思わないようにして下さいね。

実際には、決して笑えるようなものでないことは確かです。価値観の違う時代に生まれた笑いのための表現が、時を超えて残っただけなんです。

胎内で母親から感染する先天性梅毒は死産に繋がる

また、母親が感染していた場合、第1期であっても胎児に伝染して先天性梅毒を引き起こす可能性はありますし、無症状で生まれた子供が、数年後に重い症状を出すと言うこともあり得ます。

しかし、妊娠出産に伴う様々な検査で拾い上げられることが大半ですから、現在の日本では死産に繋がったりすることは少ないでしょう。

梅毒の予防には節操のある行動以外に方法がない

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先にもお話しした通り、梅毒はキス程度でもうつることがあります。あるいは双方が粘膜でなくても、感染している人の粘膜に皮膚で触れても感染することがあります。

もちろん、バラ疹などのように症状の出ているところに皮膚で触れても感染の危険性があるのです。ですから、比較的感染力の弱いHIVのような病気のように、コンドームの使用で完全に防げると言うものではありません。

それでも、最も感染機会として有力なケースを防止するのにコンドームは有効です。また、最近の動向として梅毒とHIVの重複感染や、いずれかの病気が先行していたがためにもう一つに罹り易くなると言うこともあります。

ですから、親密な関係にはコンドームが必須と言えるでしょう。21世紀に入ってすぐのころは、HIVと同じように男性同性愛者の間に梅毒感染者が多かったと言う傾向がありました。

しかし、現在ではやはりHIVと同じようにその傾向は薄れ、通常の異性愛者の間で梅毒の蔓延が徐々に進んできています。若年層のキスやその先の行為に対する抵抗感が減ったことも原因に数えられるでしょう。

若い年代層はHIVの危険性についての知識はあると思いますが、梅毒については名前すら知らないかもしれません。ですのでキスでもうつるSTDについての教育、特に家庭教育は重要だと思います。

HIVは直接的な行為以外では伝染しません。一方梅毒には強い感染力がありますね。ですから、HIVの年間1500件程度の新規感染・AIDS発病者と言う数字から考えて、梅毒の千数百人程度の新規感染者と言うのはあり得ないでしょう。

おそらく、現在見えている数字は氷山の一角と言っていいのだと思います。ですので、パートナーが感染者ではないと確信できる関係を築いた相手以外とは、皮膚を触れ合わないことこそが最も有効な予防法なのです。

異性同士が手をつなぐことすら躊躇われた、ふた昔前のような男女関係は、STDから身を守るには最適な人間関係の築き方だったのかもしれませんね。

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