健康生活TOP くも膜下出血 くも膜下出血の前兆を見逃すな!働き盛りに多い突然死の原因と症状

くも膜下出血の前兆を見逃すな!働き盛りに多い突然死の原因と症状

head hurts man

誰しも生を受けたからにはいずれは死を迎えるものですが、元気な時には「今の自分には病気や死なんて関係ない」と思うものです。また、そう思いたいと誰もが願うものです。

しかしそれは誰しも保証されているものではありません。実際に心疾患、脳血管疾患、ぜんそく、てんかんなどの発作により突然死を迎える人はいるわけです。

中でも突然死のおよそ6%にあたる「くも膜下出血」は、元気だと思っていた人が急に亡くなってしまうこともある怖い病気で、働き盛りの男性に発症しやすいので注意が必要です。

くも膜下出血とはどのような病気なのでしょうか。

最悪の場合死に至る、くも膜下出血とは?

くも膜下出血は脳卒中の一種です。脳卒中というのは、脳血管が破れたり詰まったりして脳にダメージを与える疾患の総称で、ほかに脳梗塞、脳内出血などがあります。

type of stroke

脳梗塞
脳の太い動脈が詰まり、脳細胞に血液や酸素が行き渡らなくなり、脳細胞が死んでいくために起こる
脳出血・くも膜下出血
血管の一部が破裂したため脳内に血液がたまり、脳が圧迫される
くも膜下は脳の外側にある層のひとつです。脳は脳を保護する3層の膜に覆われており、その外に頭蓋骨があります。

頭蓋骨、その内側に硬膜(こうまく)、くも膜、軟膜(なんまく)、脳があります。くも膜と軟膜の間(くも膜下)は脳を保護するための脳脊髄液で満たされています。また、くも膜下には脳につながる太い動脈が走っています。

くも膜下出血というのは、くも膜下の太い動脈が破裂するために起こります。動脈からあふれ出た血液が脳脊髄液と混ざり、脳を圧迫することで症状が起こります。硬膜などが固い組織なため、血液は逃げる場所がなく、どんどん脳を圧迫し死に至ります。

mechanism of subarachnoid hemorrhage

脳は生命や体のさまざまな機能をつかさどる重要な場所ですから、ここにダメージを受けると体の機能に障害が起こったり、最悪の場合は死に至ることもあるのです。

くも膜下出血は脳の疾患の中では極めて予後の悪いものの1つと言えます。

突然の激しい頭痛に注意!くも膜下出血を疑うべき症状

太い動脈からあふれ出た血液が一気に脳脊髄液に広がり脳を刺激するために、突然激しい頭痛が起こるのが特徴です。

よく「金属バットやハンマーで殴られたような激痛」「頭が割れるように痛い」と例えられるように耐えがたい頭痛が多いです。頭痛は痛んだり止んだりするのではなく持続性があります。

そのほかの症状には

  • 嘔吐
  • 意識障害

などがあります。突然強い頭痛や嘔吐を起こしたらくも膜下出血を疑ってよいでしょう。

symptoms of subarachnoid hemorrhage

他の脳卒中の場合は強い頭痛を伴うことは少なく、めまい、運動機能の麻痺、しびれといった症状が多いですが、くも膜下出血の場合には症状の特徴が異なっています。

くも膜下出血は、脳を覆っているくも膜下の血管(脳動脈瘤)が切れることで発症します。

そうなれば、当然脳脊髄液に血液が混じることになり、あっという間にくも膜下腔に拡がることで頭蓋内圧が急激に高くなります。

最悪の場合には呼吸停止、循環停止を発生し半数近くの人の生命に直結するような事態に直面します。

また、生命をとりとめても社会復帰が可能な人はおおよそ3人に1人と言われており、仮に助かったとしても後遺症が出る場合があり、日常的なQOLに影響を及ぼす厄介な病気と言っていいでしょう。

出血量が多いとすぐ死に至ることが多いので、症状が起こったらすぐに病院に搬送しなければなりません。

くも膜下出血の前兆を見逃すな!こんな症状が出たら脳神経外科へ

私たちが病院に行く時、風邪の場合でしたら熱や咳が出たり、寒気を感じたり何らかしらの症状、つまり前兆が出ることで病院へ行こうとしますよね。消化器系でしたらお腹が痛いとか吐き気などが前兆になります。

これと同じことがくも膜下出血の場合でも起こります。この前兆を見誤ると取り返しのつかないことが起き得るので、くも膜下出血の前兆をしっかり判断することが必要です。

  • 「警告頭痛」とも呼ばれる急な頭痛
  • めまい
  • 目のかすみ
  • まぶたの下垂
  • 意識障害
  • 吐き気、おう吐

個人差はあるものの脳動脈瘤が破裂する1週間から3週間ほど前に出ることが多いと言われています。

warning symptoms of subarachnoid hemorrhage

1つ目は激しい頭痛発作です。多くは突然、後頭部をバットで殴打されたような痛みに襲われます。発作が起きると立っていられなくなったり、就寝が出来ないほど消耗したりします。

この頭痛はくも膜下腔に流出した血液が脳脊髄液と混じり合うことで軟膜を圧迫し、その結果、髄膜刺激症状が発症することで起きると考えられています。

目のかすみやものが二重に見えることもあります。

破裂前の脳動脈瘤が大きくなると視神経を圧迫することで、ものが二重に見えたり両目のうちの片目が見えづらくなったりします。視界がぼやけ、物が二重に見えるというのも多いのですが、片方の目だけ見えにくいと感じたり、視界が暗くなったと感じる人もいます。

視界の先が暗くなるようなことが一過性で起きたり、あるいはそのことが何回か続くようになったりすることがあります。

くも膜下出血の前兆としては頭痛の方が先にくるイメージがありますが、実際は視覚の異常が起き、その後激しい頭痛というように出るケースが多いので、視覚の異常を感じたときすぐに病院に行くようにすればリスクは軽減できますね。

つい忙しくしていると疲れていると自分に言い訳をしてしまいますが、視界の異常の後に激しい頭痛が起きたらくも膜下出血の可能性も高くなりますので、すぐに対処しておきたいところです。

比較的よく見られる前兆として意識障害もあります。中には頭痛を伴わないで意識障害が現れる場合や、それ以外にもいびきをかいて寝た状態になること、頭がモヤッとするような違和感を覚えることもあるそうです。

吐き気やおう吐は頭痛に随伴する場合が多く、くも膜下出血の前兆として多く見られることです。

これらの前兆症状の前には必ずといっていいぐらいに血圧に変調をきたします。くも膜下出血を起こす何日か前から血圧が高くなったり低くなったり、不安定になることが知られているだけに血圧の変化には注意が必要です。

もちろん、血圧の変動はくも膜下出血に限ったことではないので、そのことを意識しておくとも大事なポイントですね。

自覚できないものもある!くも膜下出血未破裂脳動脈瘤の症状

脳動脈瘤では、破裂するまで全く症状がないことがあります。しかしながら、未破裂脳動脈瘤を持っている場合、40%の人が事前に次のような症状を見せていることが知られています。

  • 視野の周縁が見づらい
  • 物事を考えづらくなる
  • 言葉が中々でてこない
  • 知覚に異常感が出る
  • 行動に変化が見られる
  • 感覚や運動にも変化が見られる
  • 集中力が続かない
  • 記憶力の減退
  • 疲労感、倦怠感に襲われる

これらの症状は未破裂脳動脈瘤に限ったことではなく、他にも見られるものですので確定するに当たっては慎重な診断が必要とされます。

また自分では気づけない症状として、瞳孔の拡大がみられる場合もあります。多くの場合どちらか片方だけの瞳孔に拡大が見られると言われているので、もしも今までにないような激しい頭痛や視覚異常があったとき、瞳孔もチェックしておくといいかもしれません。

頭痛持ちの人は注意して!

ここで一つ心配なのは普段からよく頭痛を起こす、頭痛持ちの人です。

この場合の頭痛は偏頭痛や緊張からくる頭痛ですが、症状としては吐き気を伴うような、時にはめまいもする頭痛が起こることもあります。普段からこうなってしまうと、薬を飲めば治ると軽視してしまいがちですね。

実際にくも膜下出血の前兆の頭痛でも、それほどひどくないこともありますし、風邪と勘違いするようなケースもあると言います。

ただの偏頭痛であればいいのですが、そもそも頭痛というのは血管に炎症が起きることで起こる症状です。頭痛持ちの人は頻繁に頭痛を起こす、つまり血管に炎症を起こしている状態なので、くも膜下出血のリスクが高まることがわかってきています。

頭痛持ちの人全てがくも膜下出血になるということではありませんが、そのリスクがあるとわかっているのなら、いつもと違う痛みを感じたらすぐ病院に行くなど意識しておくと安心ですね。

前兆は体のどこかが病気になっているというサインを送っているので、自分自身がそのサインを見逃さないようにすることも大切なのです。

くも膜下出血の治療の良し悪しは、患者さんが病院へ来るまでの間にあると言っても過言ではありません。

例えば、出血が酷い上に意識状況が悪い場合では、当然のことながら治療の見込みが悪くなる可能性があります。

一方で、意識もしっかりしていて頭痛などの症状もそれほど酷い状況でない場合では、治療も速やかに進むため90%は日常の生活に支障が出ないとされています。

つまり、くも膜下出血の治療については患者さんの病状把握がポイントで、くも膜下出血の前兆をどれだけ早く認識するかにかかっていると言えます。

くも膜下出血の原因は?

くも膜下出血の原因は、次のふたつです。

  • ほとんどがくも膜下の動脈瘤破裂によるもの
  • そのほか外傷による動脈破裂や動脈の奇形による出血

動脈瘤とは動脈の一部がコブのように膨らむ症状です。これは血圧や血管の弱さが原因で加齢により起こりやすくなるものです。脳動脈瘤は数パーセントの人にあるとされており、無症状の場合もありますがいずれ破裂する可能性も持っています。

脳動脈瘤は、運動や興奮、血圧上昇などの刺激によって破裂しやすくなります。太い脳動脈はくも膜下に多くめぐっており、破裂するとくも膜下出血を引き起こします。

くも膜下出血を起こしやすいと言われている「嚢状動脈瘤(のうじょうどうみゃくりゅう)」「解離性動脈瘤」の二つが特に危険でしょう。

嚢状動脈瘤は血管の壁の一部のみがポコッと膨らんでいる状態で、壁が全体的に丸く膨らむ動脈瘤と比べて非常に破裂しやすいです。

くも膜下出血の原因1.脳動脈瘤

くも膜下出血と言った場合、脳動脈瘤という脳の動脈の瘤(コブ)のことをよく耳にします。まさにこの脳の瘤がくも膜下出血の原因になっているのです。

脳動脈の中膜の一部分の弱い部位が長い時間わたって血流にさらされと、その部位が膨らんできます。それが動脈瘤です。その位置は通常は脳底の大きな血管の分岐した部位に血液が流れ込むことで発生します。

もちろん、それ以外の部位にできることもあります。そして発生したコブが破裂しないでコブのままでいる状態を未破裂脳動脈瘤と呼んでいます。

この未破裂脳動脈瘤に圧力が加わると耐えきれなくなり、破裂、くも膜の内側を出血で満たすことになります。これがくも膜下出血ということになります。

くも膜下出血の原因2.脳動静脈奇形

また、動脈瘤の他にも脳動静脈奇形が原因でくも膜下出血を起こすことがあります。この場合はどちらかいというと動脈よりも静脈からの出血が多く、動脈瘤に比較して病状は軽いと言われています。

それでも出血量が多くなれば当然重症になるわけで死亡することも考えられます。

脳動静脈奇形は脳動脈瘤破裂から発症するくも膜下出血の10%で、年齢的にも20代~40代に多く見られ、脳動脈瘤患者に対して年齢層が低いのと、男性に多いのが特徴となっています。

くも膜下出血を引き起こしやすい人の特徴

くも膜下出血を引き起こしやすい人は、

  • 高血圧
  • 喫煙、飲酒の習慣がある人
  • くも膜下出血の家系の人

とされています。また働き盛りの人や若い人たちである40~50代に多く、他の脳卒中に比べると比較的女性にも起こりやすい病気です。

ただしこの膜下出血は年齢によって罹患率の男女差がかわってきます。男性よりも女性に多く見られ、死亡率で見ると男性1に対して女性は1.26となっています。

例えば、40代、50代では男性の方が多く、60代になると今度は女性の方が多くなる傾向にあるとされています。

先天性の脳動静脈奇形はくも膜下出血を起こしやすい

正常の血管の場合、動脈は複数に枝分かれし毛細血管につながっています。そこから様々な細胞に酸素や栄養を行き渡らせた後、静脈へ続いています。

しかし、胎児の脳血管を生成する過程で毛細血管の一部に異常が起こり、動脈と静脈が直接つながってしまう病気があります。それが脳動静脈奇形です。

動脈と静脈が複雑につながり合った塊部分を「ナイダス」と呼び、この異常な血管部分がくも膜下出血を起こしやすいのです。

CTスキャンやMRI検査で発見できますので、疑わしい場合は一度検査を受けてみましょう。

脳動静脈奇形の治療に薬剤による対処療法などは無く、開頭外科手術、放射線ガンマナイフによる治療、カテーテルによる塞栓手術が用いられます。

動脈瘤以外のリスク因子

くも膜下出血のリスク因子の一番は脳動脈瘤でしたが、それ以外にもリスク因子があります。この因子はくも膜下出血に直接関与するのではなく、脳動脈瘤の形成に関係するものでいくつか挙げることができます。

その前提は、すべての疾患に関係がある生活習慣が関与しています。

例えば、

  • 高血圧
  • 喫煙
  • 飲酒
  • ストレス
  • 脳卒中の家族歴
  • 痩せ型体型

などがありますが、これらは単独で存在することもありますが、一方で複合的に絡み合っていることもあります。つまり、高血圧と喫煙、飲酒が複合すればリスク因子が相乗的に働くことで、より一層危険度が高まることになります。

例えば高血圧の場合、くも膜下出血の死亡リスクはそうでない人に比較して男性で2.97倍、女性で2.70倍となっています。

血圧が乱高下する不安定さが影響していると考えらます。これには食生活が関係するのですが、特に塩分の摂取量が問題になっているようです。

喫煙習慣もくも膜下出血に関係していることが明らかになっています。喫煙者のくも膜下出血の死亡リスクは非喫煙者に対して、2.2~3.6倍となっています。

ですが10本以上を超えると、本数に関係なくリスク度には変わりがないとされ、このことは喫煙そのもがくも膜下出血にとっては、危険であることを示しています。

タバコを止めるとくも膜下出血の危険度が下がることが分かっています。禁煙は予防に直接関与することから積極的に取り組むことが大切になります。

これまでも飲酒とくも膜下出血の関係については多くの報告なされています。特に、過度の飲酒の影響は大きく、日本酒にして1日平均2合以上飲酒する人のくも膜下出血の死亡リスクは、男性で非飲酒者の2.08倍となっているそうです。
ストレスが心身症の原因になることはよく知られています。くも膜下出血も例外ではなく、ストレスが血管損傷を促進することで危険度が上がります。

さらに、女性の場合には60歳以降になると、女性ホルモンの分泌量が少なくなることから動脈硬化が進み、危険度が増すと考えられています。

くも膜下出血の発症には脳卒中の家族歴が関係していることが疫学的な調査で分かっています。つまり、遺伝的要因も関していることになります。実際に、ある人とない人を比べてみると、男性で2.0倍、女性で2.08倍と死亡リスクの差が出ています。
ダイエットをしている人や、メタボの人が気にしている指標にBMI(体重÷身長×身長)数値がありますが、これは、18.5より低い場合は痩せ型、18.5~25.0が標準、25.0以上は肥満としています。

このBMIとくも膜下出血のリスクを調べたところ、男性の痩せ型の人は標準に比べて2.72倍の差があることが分かりました。その因果関係は、まだはっきりしていないそうですが、多くの研究からも同じような結果が出ているそうです

こうして見てきますと、くも膜下出血の前兆に気を付けるのは当然ですが、高血圧、とくに血圧の乱高下には注意を払う必要があります。そして過度の飲酒です。塩分も血圧に影響を及ぼすので、日頃から食生活、食事内容に配慮が必要です。

タバコを止めるとくも膜下出血の危険度が下がることが分かっています。禁煙は予防に直接関与しますので、積極的に取り組むことが大切になります。

くも膜下出血が起こった場合、出来るだけ早く病院へ行き出血を起こした部位の止血を行う必要があります。一瞬の躊躇いで処置が遅れて場合、再出血のリスクだけでなく、生命をとりとめた際には後遺症と向き合う可能性も出てきます。

それだけに、発症をいかに抑えるようにすればいいのか、常日頃からリスクを下げるための心構えが大事になりますよ。

40歳をこえたら受けたい画像診断

40才を迎えたらMRI・MRA検査等の画像診断を受けて脳内の動脈の状態を確認しておくことが重要です。異常なければ、5年間隔にまた実施しましょう。

会社の健康診断や住民健診では脳の検査を行っていませんので、自主的に実施しなければなりません。しかもこれらの検査は健康保険が適用にならず全額自費になります。

このあたりがなかなか受診できない壁になると思います。しかし、いずれもっと簡単な方法が開発されるかもしれませんが、現段階では予防の方法となるとこの方法しかないのです。

特に糖尿病や高血圧の特定疾患の方は、是非受診することをお勧めします。

最近のMRI等の医療機器は細かい所見まで発見されてしまうようになりました。

以前は、画像が鮮明ではなく発見できなかった異常が発見されてしまうことが多く、治療対象になる動脈瘤は5mm以上なのに、画像診断では2mm以下でも発見されてしまうといった問題がありました。

この状態では医師もいつ破裂するかわからない上、動脈瘤の治療薬も存在しないため、この段階では大きくならないよう様子を見ていくしかありません。

ご本人は心配してしまいますが、動脈瘤が発見されても1年以内でそれが原因で死亡した方は1%未満と非常に少ないのが現状です。

逆に、他の臓器が原因で死亡した確率の方がはるかに高いので、心配するあまりうつ病になってしまう方もいますが、前向きに治療に取り組むことが大切なのです。

くも膜下出血脳動脈瘤が起きそう…!そんなときにはどうすればいいのか

症候性、無症候性の脳動脈瘤が発見され、医師からくも膜下出血の恐ろしさなどをインプットされた場合、患者さんが心配することの第一は動脈瘤の破裂についてです。なぜなら、最悪の事態が予想されることもあるかです。

どの程度の確率で動脈瘤が破裂するのか、本人だけでなく家族を含めて誰でも不安になります。しかしながら、動脈瘤の破裂については患者さん個々の動脈瘤の成り立ちが異なっているので、一概にいうことは出来ません。

そこで参考になるのが日本脳神経学会の未破裂脳動脈瘤6,646例の全例調査です。それによると、未破裂脳動脈瘤の罹患者のくも膜下出血の発症率は1年間に0.64%、つまり、10,000人のうちで64人ということになります。

瘤の大きさが5mm以上の場合では1年に1.1%と指摘されています。

当然、医師との細かい点についてはいろいろ相談することになるのですが、場合によってはセカンドオピニオンを受けるのもいいでしょう。

治療を受けなくてもいいと言われた場合でも、例えば、3~6カ月に1回、動脈瘤の形態、大きさなどの経過をチェックする必要があります。

動脈瘤が見つかった時の治療は?くも膜下出血未破裂脳動脈瘤の治療

画像診断で大きな動脈瘤が見つかったらどのように治療するのでしょうか?治療すべき動脈瘤の大きさは医師により意見が分かれるところです。

日本脳ドッグ学会では未破裂脳動脈の治療について、次のようなガイドラインを発表しています。

条件を満足する場合、手術対応が選択肢と判断されます。

  • 年齢的が70歳以下
  • 脳動脈瘤の大きさも最大直径が5mmより大きい
  • その他の手術の条件に合致している

動脈瘤が10mmを超える大きさになった場合、動脈瘤の径が大きくなるにつれて破裂する確率が上がってきますので、治療が積極的に進められるようになっています。

また、動脈瘤が3~4mmの症例や70歳以上の高齢者でも、瘤の大きさ、形状、部位などの条件が折り合えば個別に対応するようになっています。

よって動脈瘤のできた部位の条件が破裂しやすいのかどうか、医師と相談する必要があります。

動脈瘤が7mmを超えた場合の破裂率は0.5%以上、25mmを超えた場合では8%以上と動脈瘤の大きさに比例して破裂率は上がってきます。こうして見てくると、5mm以上の破裂率は年間で1%以上と考えるのが一般的のようです。

症候性、無症候性の未破裂脳動脈瘤の治療法ですが、クリッピング術とコイル塞栓術の二通りが挙げられます。これらの治療方法で大事なことは、動脈瘤のある血管の血流を維持することが狙いであることです。

一般的には未破裂脳動脈瘤の治療で優先されるのはクリッピング術です。一方で、頭蓋骨を開頭しての外科治療が難しい際にはコイル塞栓術が施術されます。

ただし、これら2種類単独での治療法でも治療できない場合があり、それに代わる方法としてトラッピング術という未破裂脳動脈瘤の血管を閉塞させる術式が適用されることがあります。

クリッピング法
開頭手術により、動脈瘤の根元にクリップを止めて動脈瘤に血液が流れ込まないように遮断してしまう方法です。コブの部分に入る血流をシャットアウトできるので、破裂の心配がなくなります。

このままクリップを放置して手術は終了します。

クリップはチタン製で体への影響はほとんどありません。ただし、脳の深い場所へは別の神経を傷つけてしまう可能性がありますので向いていません。

メリットは多くの施設で実施されていることと、歴史的に見て治療実績が分かっていることが挙げられます。

コイル治療
この手術は開頭手術せず、太ももの動脈からカテーテルという細い管を脳の患部まで入れていき、動脈瘤のコブの中にクルクルとコイルの様な細い線(やわらかいプラチナ製)をいっぱいに入れます。

血液が侵入しないようにする手術方法です。クリッピング手術が困難な場合でも手術可能で、患者さんの負担が少ない新しい手術法です。

しかし、経験豊富な医師がまだまだ少ない状態なので、日本全国どの地域でも実施できるとは限りません。

トラッピング術
この手術はクリッピング、コイル治療では対応が困難の場合に選択される方法で、直径が2.5cm以上の瘤の場合に適用します。動脈瘤の両端をクリップする方法で、瘤がある血管の血流を途絶えるものです。

この手術は動脈瘤がある血管を塞いでも機能するかどうかをチェックしてから行います。仮に支障が出た場合は血管が機能していることになりますので、バイパス手術を行います。

栄養や酸素を送っている瘤の先に別ルートで血液が送れるように頭皮の血管などを使ってバイパスを作った上で、瘤の両端を閉塞します。これによって瘤のある血管を回避して血流を確保できるというわけです。

くも膜下出血は動脈瘤が出血しない限り発症しないわけですから、事前にその対策を施すことが大切になります。

つまり予防ということになるわけですが、この場合には、例えば手術の選択視があります。そのためには、破裂する可能性のある動脈瘤を見出さなければなりません。

中には、近年の脳ドックなどの画像診断で、全く症状がない無症候性脳動脈瘤が発見されることがあるのですが、そのほとんどは前兆がない場合が多いということです。

一方で、実際に前兆で既述したような症状(症候性動脈瘤)が出てから、脳動脈の存在を知る場合があります。

無症候性動脈瘤、症候性動脈瘤のどちらにしても、脳の疾患であるだけに医師の診断をしっかり受けることが大切になります。一瞬の躊躇がくも膜下出血を発症させるかも知れません。

どれくらい危険?発症から死までの時間が短い、くも膜下出血

発症しても必ずしも突然死に至るわけではありません。くも膜下出血は以下のような割合でその症状や容態が異なります。

  • 1/3は無症状または軽症
  • 1/3は死亡
  • 1/3は幸い命は取り留めても後遺症が残る

ただし、他の脳卒中と比べると発症してから死に至るまでの時間が短いので油断できない病気です。また、一度発症すると再発しやすく死に至る可能性が高まるので予後は警戒が必要です。

若くして亡くなることもあるくも膜下出血。この病気は年齢に関係なく突然起きます。

慢性病のように長い間患っていたわけではないので、突然そのような環境に置かれた家族は、何が起こったのかと疑心暗鬼になる一方で、深い悲しみに陥ってしまいます。

実際に、10,000人当たり1.5~2人の人たちが脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血が見られ、多くが亡くなっています。助かった場合でも、脳障害からくる心身の不調を訴える場合が出てきます。

そうならないようにするのには、原因が80~90%と言われている脳動脈瘤の発見です。

それと、あった場合には脳動脈瘤が破裂しないようにコントロールすることと、破裂する確率が高い場合にはクリッピング術やコイル栓塞術などの治療を積極的に受けることで、大元を抑え込むことが大切になります。

血圧が乱高下する場合とか頭痛などがあった際には、躊躇うことなく脳神経外科を受診することが重要なのです。

自分は大丈夫、ただの頭痛…と油断せず、症状に敏感になり積極的に受診をすることが最悪の事態を免れる方法です。それから、生活習慣を見直すことも忘れないでくださいね。

キャラクター紹介
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