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鼻毛を抜くと病気に?正しくないケアで起こる危険と正しい鼻毛処理

鼻毛をケアする男性

鼻毛を抜くと、感染症にかかりやすくなると言う話は良く聞きます。そこで、鼻毛を抜くと病気になるリスクがあるのかと言うことについて、大規模研究やシステマティックレビューがないか探してみました。

残念ながら、日本語と英語の検索では、論文は見当たりませんでした。まぁ、仕方ないかもしれませんね。でも、鼻毛に限らず毛を抜くと言うことは、身体に負担のかかる行為ですのであまりお勧めはできないでしょう。

でも、例えばブラジリアンワックスを使った脱毛などを行っている人が、ひどい感染症にかかったと言う話はあまり聞きません。鼻毛だけ特別なのでしょうか。そのあたりから見て行きましょう。

他の脱毛でも感染症の危険は常にあるので注意は必要

人の体毛と言うのは、一部の例外を除いて基本的には髪と同じ構造をしています。ですので毛周期もありますし、その際の生え代わりや抜け毛のメカニズムも同じです。

また、男性ホルモンの影響で毛周期が伸びるタイプの毛ですので、高齢男性ほど鼻毛が太く長くなる傾向が見られます。つまり毛周期に関しては髪と逆で耳毛などの系統に属していると言うことです。

人間の体毛には血が通っていることを忘れてはいけない

体毛の見えている部分には、血管も神経も通っていませんから、いくらカットしても平気です。しかし、体毛の根っこの部分の中心である毛乳頭は、コラーゲンでできていて内部に毛細血管が通っています。

いわゆる抜け毛と言うのは、体毛が寿命を迎え毛乳頭の部分が退縮することで、根っこのない毛になって、新しく生まれた体毛の毛乳頭から成長する新しい毛に押し出され、毛穴から脱落してゆく現象です。

ですので、自然な抜け毛では血管との接続がなくなった毛が抜けているのです。それに対して、元気な毛を引っ張って抜くと、毛乳頭に入り込んでいる毛細血管を引きちぎることになります。

毛髪の毛細血管と毛乳頭の位置

非常に微細な血管ですから、よほどのことがない限り目に見える出血は起きませんが、それでも炎症の原因になったり、感染しやすくなったりと言う可能性は充分考えられます。

毛を抜くと周辺組織にもストレスがかかる

体毛には立毛筋と言う筋肉がくっついています。ただし、毛に直接筋肉がくっついているのではなく、毛を取り囲んでいる鞘にくっついているので、毛を引き抜いたときに筋肉が引きちぎられるかどうかは判りません。

また、毛の周りには神経が密集していますので、引き抜くときに痛みを感じるわけですが、神経線維にダメージがあるかないかも未知数です。

いずれにせよ、毛と言うのは毛穴にはまっているだけの死んだ組織ではなく、日々成長している「生きた組織」であることを忘れてはいけません。

その生きた組織の一部として、もう成長しない固定化された組織である毛幹(体毛の皮膚から出ている部分)があるわけです。ですので、毛幹部分は切っても問題はありません。

これらのことに頭髪も鼻毛も、いわゆるムダ毛も関係ありません。すべて引き抜くことで身体に余計なストレスを掛けていると言うことに差はないのです。ブラジリアンもほどほどにってことになりそうですね。

体毛を抜くと言う行為は、自分の身体の生きている部分を引きちぎっているんですね。そう考えると、痛みが強く感じられそうです。

人間の身体にいる数百に上る常在菌がいるから傷口には注意が必要

皮膚常在菌で良く話題になるのが黄色ブドウ球菌です。これは人間の皮膚や鼻の穴の中にいつも棲んでいる菌で、普段は特に悪さをしませんが、傷口などがあるとそこで増殖して化膿したり、食べ物に移って食中毒の原因になったりします。

また、抗生物質に耐性を持ったものの中には、院内感染の原因菌としてもっとも有名なMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)と言う危険なものもいるのです。

常在菌の種類は数百に上るのでとても書ききれない

人の身体に棲んでいる常在菌は病原性の有無を考えなければ千種類を超えるかもしれません。皮膚や鼻の穴に常在している菌はそれほど種類が多いわけではありませんが、それでも紹介しきれる数ではありません。

特に注意しておきたいものを紹介しておいても良いのですが、私たちは自分の皮膚の上を眺めて、この菌は悪いヤツでこの菌は大丈夫なヤツだと見分けることもできませんから、有名どころだけ紹介しておきます。

上でも名前を出した黄色ブドウ球菌は毒性も強く、鼻にも皮膚にも常在しています。傷口があるとそこで感染しますので、目に見えない小さな傷に注意すべきでしょう。

つまり、鼻毛を抜いたりムダ毛を抜いたりと言う行為で感染する可能性は充分にあります。ムダ毛処理の場合、レーザー脱毛のように毛乳頭を熱で破壊し、血管を傷つけずに脱毛する方法もあります。

しかし、レーザー脱毛は医療行為ですので、お医者さん以外が行うと医師法違反になります。実際それで検挙された脱毛サロンも少なくありませんし、やけどなどの健康被害も多発しています。

最近では鼻毛脱毛と言う物もあるようですが、誰が行おうと毛を引っこ抜くと言う行為は、毛乳頭の血管を引きちぎることに変わりはありません。必ず感染症が起こるわけではありませんが、お勧めできないですね。

お話ししたように常在菌は他にもたくさんありますが、この黄色ブドウ球菌は「毛穴に棲んでいる」と言うことから鼻毛などの体毛とは密接なかかわりがあります。また鼻腔内の常在菌ですから、ここでもかかわりが深いですね。

さらに、黄色ブドウ球菌は表皮感染症の原因であると同時に、もっと重い病気の原因菌でもあるので、毛穴に感染して膿が出たりしたらすぐに対処した方が良いのです。

鼻毛の脱毛と聞いたときは冗談かと思いました。でも、自分でやるものやサロンでやってもらう物など、存在しているんですね。びっくりしました。

鼻毛を抜いた後に感染すると強い炎症が起こる

毛包炎や鼻せつ(鼻のおでき)と呼ばれる皮膚感染症は、鼻毛を抜いた後に黄色ブドウ球菌が感染することで起こる場合があります。

軽い物であれば、自分の免疫力で治癒してしまうこともありますが、痛みが強い場合などは受診して抗生物質の内服や外用を行って治療することになります。

頻度は不明だが感染皮膚炎は起こりうる病気なので注意

世の中に鼻毛を引っこ抜く人は少なくありません。特に中年男性に多いように思うのは偏見でしょうか。もちろん鼻毛を抜いたからと言って、必ず感染症を起こすわけではありません。

むしろ鼻毛を抜く人の数に比べれば、そうした感染症を起こす人の割合は、それほど高くないのではないかとも思われます。しかし、感染症を起こしてしまうと不快感はありますし、場合によっては発熱を伴うこともあります。

そうした場合は皮膚科や耳鼻科ののお医者さんに出かけて、抗生物質の投与を受けなくてはならなくなります。そうした面倒さを回避するためにも、鼻毛を抜くのは止めましょう。

また、世の中には「鼻は脳に近いから、鼻毛を抜いて感染すると命にかかわる恐れがある」と言う話がまことしやかにささやかれています。ちょっと調べてみましたが、その話の出所は見つかりませんでした。

きちんとした研究ではなくても、21世紀に入ってからの症例報告ぐらい見つかるかなと期待していたのですが、残念ながらそれも見当たりませんでした。

考えてみれば、眼や鼻やのどなど、脳に近い器官はたくさんあって、それぞれに多様な感染症がありますから、鼻毛だけが特別病気をもらいやすいと言うことはないでしょう。

確定的なことは言えませんが、鼻毛を抜くことは好ましくないので、警告の意味で発せられた言葉が都市伝説化したのかもしれません。

常在菌を消毒するのは無意味

皮膚や鼻腔の常在菌が、毛を抜いた後に感染するのなら、あらかじめ消毒したうえで鼻毛を抜き、あとからも消毒しておけばいいんじゃないかと言う考え方もできますね。

ところが、常在菌と言うのはそんなに簡単に殺菌できるものではありません。例えば、消毒用アルコールで皮膚表面の細菌を全部殺したとしても、常在菌はすぐに毛穴や汗腺などから出てきて広がってしまうのです。

もちろん常在菌以外の菌やウイルスが皮膚に付着している場合は、それらは消毒できますので、注射の際にアルコール綿で消毒することには意味があります。

同時に、体毛を抜く前や抜いた後を消毒するのも、常在菌以外には有効ですので、しないよりはした方が良いでしょう。それでも、病原性の高い黄色ブドウ球菌は皮膚や鼻腔に常在していますから、そこでは消毒は役に立ちません。

これは仮定の話ですが、体毛を抜いた後をアルコールで消毒すれば、アルコールによる収斂作用で毛穴が締まりますから、場合によっては常在菌を毛穴の中に隠して保護してしまうかもしれません。

帯状疱疹ウイルスが脳を覆っている髄膜に炎症を起こすことがまれにあります。この際、「鼻毛様体神経」を通って広がることから誤解を招いたのかもしれませんね。これは鼻・毛様体・神経であって鼻毛・様・体神経ではないのです。

ついつい鼻毛を抜くのは精神的症状かも知れない?

鏡を見て、ふと鼻毛が気になったので一本抜いたら、それが病み付きになってついつい鼻毛を抜いてしまう。それ以来、癖になってやめられなくなったと言うのは、ストレスなどで精神的に疲れている時の精神症状だと言う意見も見聞きします。

たしかに抜いた鼻毛を見て、立派な太い物であったりしたらある種のカタルシスを感じるのは理解できなくもありません。ですので、軽いストレス解消と言うのはあり得るでしょうが、精神的症状と言うのは言い過ぎじゃないかと思います。

抜毛症とは基本的に頭髪を抜く精神症状のことである

抜毛症と言うのは、比較的子供に多い、衝動が制御できなくなる精神障害の一種です。この病気では、ほとんどが髪の毛を抜きますし、髪以外の場合では眉を抜くこともありますが、鼻毛で抜毛症と言うのは見当たりませんでした。

病気として診断されるのは、抜毛行為によって明らかな脱毛斑(部分的なはげ)が現れた時ですので、同じように毛を抜く癖があるからと言っても、鼻毛を抜く癖は抜毛症には当たらないでしょう。

なんとなくイメージが似ていることから、鼻毛を抜く癖も精神疾患に入れたいと考える人もいるようですが、鼻血が出てもやめられないなど、よほど病的でない限りそれはないと考えられます。

鼻毛と言えば夏目漱石

ほとんどの人が読んだ経験があるであろう「吾輩は猫である」。あの作品の人間側の主人公、珍野苦沙弥先生は、鼻毛を抜いては一本ずつ丁寧に原稿用紙の上に植え付けて並べ、それを鑑賞すると言う悪癖を持つ人物として描かれています。

ごぞんじの通り、「吾輩は猫である」は、人物を猫の目から見てコミカルに描いていると言う側面がありますので、この件に関しても「ちょっと不潔感のある変な癖」と言う笑いの対象です。病的なイメージは受けませんね。

実は、この珍野苦沙弥先生は漱石本人がモデルだと言われています。実際にこの鼻毛を原稿用紙に並べる癖は漱石自身のもので、その鼻毛が植わった原稿用紙は、戦災で焼失するまで弟子の内田百間氏が保存していたそうです。

珍野苦沙弥先生は神経質な人として描かれていますので、いくばくかはそうした性向が鼻毛抜きに繋がったのかもしれませんが、精神病とは遠いですね。

夏目漱石も鼻毛を良く抜く癖があったとは言え、感染症にかかったと言う話は聞きませんから、鼻毛を抜くことが感染症を招くと言っても、それほど高頻度ではないのでしょう。

鼻毛は切って処理するのがベスト!お勧めの方法と注意点

さて、鼻毛を抜くことは良くないとなれば、鼻毛のお手入れはカットと言うことになりますね。鼻毛を切る場合には、できればそれ専用のハサミを購入しましょう。普通のハサミでは大きすぎたり鋭すぎたりして粘膜を傷つける恐れがあります。

あるいは様々な形の鼻毛カッターも良いでしょう。

お勧めは手動式回転カッター

これは私の個人的な意見ですが、鼻毛のお手入れには金属製で手動式の鼻毛カッターがお勧めです。鼻毛カッターはほとんどが回転式で、外胴の中で内胴が回転して、外胴に開けられたスリットから中に入ってきた鼻毛をカットするようになっています。

手動式の多くは、洗濯バサミのようなつまみをつまんだり離したりすることで内胴が回転します。構造がシンプルで、全部が金属製なので使ったらその手で丸洗いできます。

鼻の中と言うのは粘液もありますし、常在菌も多いため、鼻毛カッターは使ってすぐに洗浄消毒しないと、雑菌の棲家になってしまいます。そのお手入れが一番行いやすいのが全部金属でできた手動式鼻毛カッターなのです。

もちろん鼻毛切りハサミでも洗浄は簡単ですが、鼻毛のお手入れの簡単さは鼻毛カッターの方が上です。鏡を見ながらハサミでお手入れするのは、特に自宅以外では人目に付くことが起こりやすいです。

その点手動式のカッターなら、気になったらすぐに鼻の穴に入れて、2~3回つまんでは離すと言う動作だけでお手入れ完了です。カッター自体も手のひらに握りこめる程度の大きさですので目立ちませんし、バッグの中に入れておいても邪魔になりません。

さらに、鼻毛カッターの構造は一緒で、動作部をモーターで動かす電動鼻毛カッターもあります。これも、ちゃんとした製品は水洗い可能ですので悪くありません。ただ、手動のものほど手軽に洗浄と言うわけにはいかないです。

そして、鼻毛切りの道具は、使う前にもアルコールティッシュで拭くなどして、表面についた汚れや菌をぬぐってから使う方が良いですね。道具から雑菌を吸い込むことが避けられます。

カッターや専用ハサミが届く範囲であれば切っても問題ない

鼻毛は吸い込む空気のフィルターになっています。かと言って、細菌やウイルスを食い止める力はありません。細菌やウイルスが付着した、ある程度以上大きなほこりを食い止めているだけです。

ですので、きれいさっぱり全部カットしてしまうのは、ほこりを吸い込みやすくなるのであまりお勧めできません。けれど、鼻毛カッターを普通に入れてカットできる程度であれば問題はないでしょう。

また、鼻毛カッターにせよハサミにせよ、カットした鼻毛が鼻の中に落ちて残っていることがありますので、カットした後は、まず鼻をかんでから、必ずティッシュなどで中をふき取って下さい。

時々誤解されている方もおられるようですので、少し捕捉しておくと、鼻の中で細菌やウイルスなどを肺の方に入れないために活躍しているのは、鼻毛よりも奥にある粘膜に生えている繊毛です。

繊毛は毛と言っても0.01mm~0.1mm以下の非常に短く、太さも0.001mmより細いミクロの毛です。これが粘膜にびっしり生えていて、粘液に覆われています。

この粘液層に細菌など、外部から入ってきた異物がくっつくわけですが、それを繊毛が固有の運動によってのどの方へ送り出し、胃へと流し込んでしまうのです。胃の中は強力な胃酸による殺菌機能を持っていますので、病気にならずに済むのです。

時として、胃に送り込まれずに、痰として排出される場合もあります。ですから、鼻毛を切っても、ほこりが通らない程度であれば菌がどうのこうのと言うことはありませんので、そこは心配無用です。

鼻毛のお手入れのコツは、その前に懐中電灯で鼻の穴を照らして、鼻毛の状態を確認してから始めることです。時々、なかなか切れずに残ってしまう毛がいるんですよね。困ったものです。

鼻毛のお手入れに性差はなく清潔に行うことだけが条件

このように、鼻毛のお手入れでは「抜く」と言うやり方はNGです。気になったら専用のカッターかハサミで切って下さい。

そして、お手入れに使う道具は、使う前にはアルコールで拭き、使い終わったら丸洗いして、常に清潔であるように気を配って下さい。

短く切り過ぎてはいけません。鼻毛カッターや、先が丸く膨らんだ鼻毛切り専用のハサミで、無理なくカットできる程度までにしておきましょう。

「鼻毛を切ったら風邪を引いた」と言う人は、鼻毛を短くしたからではなくて、お手入れの道具が不潔であった可能性が否定できません。鼻はデリケートな部分ですので、丁寧にお手入れして下さい。

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