健康生活TOP 呼吸器系 喉痛や呼吸のしづらさの原因は大声を出しておこる縦隔気腫かも

喉痛や呼吸のしづらさの原因は大声を出しておこる縦隔気腫かも

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子供や若者にたまに見られる病気で、どこかにぶつかったとか圧迫されたようなこともなく、その当日には激しい運動もしていないのに、突然息苦しさや喉から胸にかけて痛みを訴えることがあります。

もちろん風邪を引いたわけでもなく、微熱はあるものの鼻水やくしゃみなどはありません。心拍数も血圧も正常です。
なのに声を出したり物を飲み込んだりする時や、場合によってはじっとしていても痛みを訴える…。

大したことがないようにも見えますが、息苦しさや痛みが目立つようであれば、急いでお医者様に行きましょう。
場合によっては生命にかかわることもあります。

縦隔気腫と言う病気

これは縦隔気腫(じゅうかくきしゅ)と言う病気かもしれません。
縦隔とは左右の肺の間、前後は胸骨と背骨の間、上下は首から横隔膜の間にある、結合組織に支えられた場所のことです。

ここには心臓や食道、大きな血管や気管がおさめられていて、非常に重要な場所だと言えるでしょう。ここには普通空気はありませんが、何かのはずみで空気が入り込んでしまうと痛みなどの症状を引き起こします。

縦隔気腫は危険か?

縦隔気腫は特に何もせず悪化させないように安静にしておくだけで治るレベルから、緊急手術を行わないと生命にかかわりかねないものまで、多様な病状があります。

ですので、これからお話しするような症状を感じられたら、まずは早いうちに受診されて、確定診断をつけてもらうことをお勧めします。

特発性縦隔気腫

縦隔気腫は、何らかの原因で縦隔に空気が入り込むものですから、極端な話、刃物で刺されたり、銃で撃たれたりしても起こります。

あるいは皮膚が破れてなくても重いものの下敷きになったり、胸を強打したり、強い力で圧迫されて肋骨が折れたような場合にも起こることがあります。

しかしながら、そうした場合は縦隔気腫よりその原因になったもののほうが大変なものですので、あまり縦隔気腫については考えなくてもいいでしょう。

また、喘息の合併症として起こったり、手術中のトラブルで発生することもありますが、これらも原因がはっきりしているので、治療が遅れることはないと思います。

問題は原因がはっきりしない場合です。

一応、スポーツ中だとか、肺に圧力がかかることをしたとかの原因はわかっているものの、原因となる怪我や病気がないものを特発性縦隔気腫と呼んでいます。

これが今回の話題のものなのです。

なぜ空気が入り込んでしまうのか

主な原因は肺胞が破れて漏れ出した空気であることが多いです。同じように肺胞が破れて漏れ出した空気が肺の周りの胸腔にたまると気胸という病気になります。

縦隔気腫の場合は漏れた空気が気管支の周りを伝って縦隔に入り込むことで起こります。しかし、問題はなぜ肺胞が破れて空気が漏れ出すかです。

喉から肺にかけての構造

知っているようで知らないのが空気の取り入れ口である喉から肺にかけての構造です。

口と鼻から入った空気や食べ物は、咽頭と言う部分で飲食物と空気に分けられ、それぞれ食道と気管に振り分けられます。

ここにある咽頭軟骨組織の動きで食べ物が気管に入らないようにしているのですが、加齢などを原因としてその調節がうまく行かなくなると誤嚥と言う現象が起こります。いわゆる「変なところに入った」状態ですね。

気管は左右の肺に空気を振り分けるため2つに分岐します。分岐した二本の部分を主気管支と呼んでいます。

心臓がある分サイズが小さい左肺に比べて、右肺は大きいため主気管支も太くなります。だから主に誤嚥は右側に起こりやすいそうです。

右肺は3つ、左肺は2つの大葉と言うパートに分かれているので、それぞれに向けて気管支も分岐します。これを葉気管支と言いますが、この部分から先は、いわゆる肺の形をした場所の中にあります。

さらに気管支は分岐して区間気管支、亜区間気管支と細くなってゆきます。

ここまで5回の分岐をした気管支ですが、ここからさらに16回目の分岐までを細気管支と呼びます。そして、細気管支が17回目の分岐を迎える頃、気管支の壁に肺胞と言う組織が現れ始めます。ここから先を呼吸気管支と言います。

肺胞とは、厚さ1万分の1ミリの表皮でおおわれた中空の組織で、直径0.1~0.2ミリくらいの球形をしています。これがブドウの房のように呼吸気管支に繋がり、それを毛細血管が覆っています。

ここで吸い込んだ空気に含まれる酸素が血液中の赤血球に渡されるのです。肺胞を全部広げると、10メートル四方の正方形になるくらい広いんですよ。

このように肺胞は非常に薄い組織ですので、無理な力が加わると破れてしまう事もあります。しかしながら肺胞は数億個も存在しているので、多少破れたぐらいでは問題ありません。

一定数以上破れて空気が漏れだすと、この縦隔気腫や自然気胸を引き起こすので問題なのですが、通常の生活の中で発生する空気の漏れはまだ原因が特定されていません。

ただ、今回話題の縦隔気腫は、やはり中高生から20代前半の男性に好発しているところから、肺に強すぎる力がかかったことが原因になるようです。

タバコとは関係なさそうです

比較的若年層、それこそちょっと悪い子でもない限りタバコを吸わない年齢層での発病が多いこともありますし、大人であっても特に喫煙歴との関係は認められていないそうです。

また、男性に多く発症し、痩せ型の人に多い傾向も見られるそうです。もちろんあくまで傾向であって、年配の太った女性だと発病しないわけじゃありません。

スポーツとの関連

割合よく見られる症例は、クラブ活動を終えて帰宅した夜に発生しているようです。イメージとしては空気を大きく吸い込んでというイメージがありますが、姿勢の変化からも起こるようですね。

たとえば、高校で野球部に所属している子が、クラブ活動で投げ込みを行った夜に胸が痛み出した。筋肉痛か体をひねったかだろうと放置していたら、翌日には呼吸困難が出て病院に行き、縦隔気腫と診断された例もあります。

運動部でなくても、吹奏楽部所属の子が、練習のない日に胸の痛みと呼吸困難を覚えて受診、診断された例もあるようですね。吹奏楽と言えば肺に負担がかかりそうですから、なんとなく理解はできます。

仕事との関連

重いものを持ったあとから発症する例もあるようです。これは息をこらえていきむことから肺に負担がかかってしまったのだと考えられます。

いきむことが原因であれば、女性の出産の際はどうなのかという話にもなります。実は女性で発症する人は出産時に多いそうです。

しかしながら、基本的に筋肉の瞬発力、肺胞を破ってしまうほどの力を持っている人は男性のほうに多いのです。

意外な原因

面白い症例としては、アニメのキャラクターの物まねで大声を出していた中学生男子がこの病気にかかったというのもあるそうです。

大声も原因になりうるんですね。ですので、武道の気合や応援団の掛け声が原因になっていることもあるということです。

何もできない?

そんなことを言っていたら、スポーツもせずに部屋の中で静かに過ごしていなければならなくなります。でもそれじゃ体力も衰えるし、なんだか本末転倒ですよね。

特発性縦隔気腫は、それほど発症頻度の高い病気ではないとされていますし、多くの場合症状は軽く、重症でも治療の流れは確定していますから、気にせずスポーツや仕事に打ち込んでくださいね。

変だと思ったらすぐ病院

まだはっきりしたことは判っていないようですが、この病気、意外に発生頻度が高いのに放置される例が多いのではないかとも言われているそうです。

つまり、病気と認識されずに放置しておいたら治った、という軽症の例がかなり多いのではないかということです。だから皆さんが異常に気付いて受診するようになったら、意外と罹患率は跳ね上がるかもしれません。

いずれにせよ、おかしいと思ったらとりあえず受診してみることが大切です。長くても数日の入院と点滴だけで治まることが多いですよ。

ちょっと経験談

ずいぶん昔の話ですが、私自身中学生の時にこの病気を経験したことがあります。

クラブ活動で長距離の走り込みをやらされた翌日の夜、夕食の最中に急に胸が痛くなって食べられなくなったんです。

親にそれを言って、当時すぐ近所にあった内科の開業医さんに出向きました。先生はざっと見て「運動のがんばりすぎだね。」とだけ。後は点滴を打ってもらっている間に親が呼ばれ、それから三日間家で寝てました。

この先生の息子とは同級生で、その時も点滴中様子を見に来てくれました。現在彼はお父さんの後を継いで医者をやってますが、別の機会に、彼から「あの時のお前、多分縦隔気腫だったんだと思うよ。」と教えてもらました、

よくそんな昔のことを覚えてくれていたもんだと感激したんですが、たまたま最近同じ症状の子供を診察する機会があって、その時私のことを思い出したそうです。

その時に感じた痛みですが、ちょっと他にはない説明しにくい痛みなんですよね。胸の中、鎖骨の間くらいが体内から熱くなって火傷をしそうと言う感じが始まりでした。

大きめの食べ物を丸呑みした時に、のどを通らず目を白黒させるような時に感じる痛みがあります。あれから圧力を抜いたとでもいえば良いのでしょうか。

何かが詰まっている感じはないのに、身体の中が拡がって細かく裂け目が入って行くような、何とも言えない嫌な痛みです。

応急処置はできません

急激に症状が進んで、一刻を争うと言うような状況に陥ることは滅多にないようです。ですので応急処置は必要ありません。

また、万が一そんな状態になっても、一般人に手当てができる内容はありませんので、一刻も早く救急車を呼ぶことが大事でしょう。

特徴的な症状

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特に子供さんの発症の場合、症状をきちんと説明できないことから「風邪だろう」で済まされることも少なくないでしょう。もちろん風邪でもお医者様に行った方が良いのですが、典型的な症状を少しお話します。

  • はじめ首・喉の痛みや飲み込む時の痛みがあり、後で胸が痛くなってきた
  • 首を後ろに反らす時に首の痛みが強くなる
  • 深く息が吸えない、吸うと胸が痛くなる

このような症状が一つでもあれば、微熱程度の風邪だと思っても病院へ行くことをお勧めします。

治療の方法

胸部X線撮影やCT検査ですぐに診断がつけられます。縦隔から首の皮下に空気が広がって皮下気腫(ひかきしゅ)も起こしていると、聴診・触診だけでも診断されることがあるようですね。

私の子供時代の経験はそれだったのかもしれません。その診断状況に応じて治療が選択されると思います。

保存的治療

要するに、自然治癒を待つ方向です。点滴などで抗炎症剤を投与して、患部に炎症が起こらないように対策しながら安静にしておくと言うものです。

現在は症状の経過観察を行うために、数日の入院と言うことになるでしょうが、あくまで悪くならないようにと言う、予防的な要素が強い入院ですから心配は要りません。

肺胞の破れも、溜まった空気の再吸収も数日で治りますから、「入院して様子を見ましょう。」は、炎症さえ起こさなければ日にち薬と言うことになります。

外科手術

最初から症状が重く、漏れた空気の量が多い時や、炎症が発生して破れた肺胞から継続的に空気が漏れるような場合は手術と言うことになります。

特に皮下気腫を併発していて、首の血流や肺の膨らみを妨害するようなことになっていると、最悪生命にかかわりかねませんので、手術はすぐに行われるでしょう。

目的は、変な所に溜まった空気を抜くことが中心になりますので、その場所や量などに応じて内容が決められると思います。空気さえ抜ければ生命の心配はありません。

再発の可能性

15%程度に再発が見られるそうですので、原因になった行動について良くチェックし、クラブ活動が原因だった場合などは顧問の先生ともよく相談してください。

場合によっては本人の体質と言うより練習方法に問題があって、他の子供たちにも起こりうる可能性もありますしね。

かと言って、あまりに神経質になりすぎ、親御さんの方がいわゆるモンスターペアレント化しないようにも配慮して下さい。

似た病気、自然気胸

肺胞に破れが生じて空気が漏れ、息がしにくくなると言う共通の要素を持った病気に自然気胸(しぜんききょう)があります。むしろ縦隔気腫よりこちらの方が有名かもしれませんね。

これは空気が縦隔ではなく肺を納めている胸腔の中に空気がたまってしまい、物理的に肺が膨らまなくなる病気です。大抵は片側の肺で起こるため、やはり多くが安静と経過観察が中心の治療になります。

若者と年配者

自然気胸も、やせ型の若者で男性に多く発症する病気です。また、縦隔気腫と同じく、何かの病気に続いて発生するものではないので、特発性自然気胸と呼ばれることも多いようです。

と言うのも、自然気胸にはあと二つのパターンがあり、一つは年配者に多い続発性自然気胸と言うものがあります。

これは肺気腫や肺がんなど、原因になる疾患があって、それに続く気胸です。ですので、病気治療に連動して見つかることが多いようです。

なお、自然気胸は縦隔気腫とは異なり、喫煙が大きな原因になる病気ですので、タバコはやめましょう。タバコを吸って肺に穴が開いたなんてのは実に恥ずかしい病気ですよね。

子宮内膜症と気胸

女性には少ない縦隔気腫や気胸ですが、まれに子宮内膜症に連動して発生する、月経随伴性気胸と言う病気もあります。

ですので、頻度は低いものの女性特有の気胸もあると言うことを覚えておいてください。頻度が低いと言うか、珍しいと言うレベルのようですから極端に恐れる必要はありません、

基本的には若いやせ型の男性に多い病気とは言え、他の要素が加わると性別年齢関係なしに、なんらかの空気漏れが起こる可能性はあります。

のどや胸の痛み・息苦しさ・微熱が揃ったらすぐに病院へ向かいましょう。

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