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前立腺がんを予防するセレンに毒性が!サプリを避けるべき理由

サプリを飲む男性

普段あまり耳にしませんが、セレンと言う半金属元素があります。これは必須ミネラルで、必ず食物から摂らなければいけないものです。身体の中では過酸化水素を分解する酵素を作っていますね。

また、ビタミンEなどと共に、抗酸化システムの中で重要な役割を担っています。さらに、抗酸化物質として働いた後のビタミンCの再生や甲状腺ホルモンの活性化と代謝に関する酵素の構成成分にもなっています。

前立腺がんや他のがんに効果があると言われているけれど…?

セレンは前立腺がんの発症予防と、前立腺がんによる死亡の低減について効果があったと言うデータが認められています。

ただ現在のところまだその詳しいメカニズムはわかっていません。統計的には効果が見られたという数字が集まっているという段階です。

他のがんについては集まったデータにばらつきがあるため確定的なことは判っていません。それでもある程度の傾向はあるのでご紹介しておきましょう。

皮膚がんに対しては、効果がないと言うデータが圧倒的に多くなっているようです。逆にがんが増えたというデータも、ごく少数ながらあります。乳がんや膀胱がんについても効果は見られないようですね。

肺がんについては効果が見られたと言うデータと、セレンが不足気味の人に限って効果が見られたと言うデータがあります。

大腸がんについては、比較的効果があるのではないかと言うデータがある一方で、効果がなかったと言うデータもありますから、今後の研究が待たれます。

食道・胃・大腸の内視鏡ポリープ切除術を受けたグループでは、セレンの投与で再発率の低下がみられたと言うイタリアからの情報があります。

効果があった、というデータはあっても、詳しいメカニズムは解明されていないのです。

他のがんについてもその効果は「う~ん」といった感じですねぇ…

過剰摂取は危険!毒性が強いセレンの一日推奨量と耐用上限量

セレンは必須ミネラルであると同時に、非常に毒性の強い元素でもありますので、過剰摂取には充分な注意が必要です。

日本人ではセレン不足が目立つことはなかったため、これまでは一日推奨量などの設定は行われてきませんでしたが、外国のサプリなどの輸入などもあって推奨量と耐用上限量が設定されました。

推奨量とは、その性別・年齢に属する人々のほとんどの人々(97~98%)が1日の必要量を満たすと推定される1日当たりの摂取量です。

耐用上限量とは、その性別・年齢に属するほとんどの人々が、過剰摂取による健康障害を起こさない栄養素摂取量の最大限の量のことを言います。

セレンは一日あたりの推奨量と、中毒を起こす危険性が出てくる耐用上限量の間が狭いことが特徴です。ですから、サプリで摂ることは量を過ごしてしまう可能性を否定できないので、あまりお勧めできません。

乳児の場合は母乳に含まれるため目安量として15μg/日と言う数字が設定されていますが、1歳以降は年齢性別によってきめ細かに分けられています。

と言うことで、数値をまとめてみましょう。まずは女性から、単位はμg/日です。(μg:マイクログラム=100万分の1グラム・mcgと表現することもあります。)

女性のセレン一日推奨量と耐用上限量(μg/日)

年齢 推奨量 耐用上限量
1~2歳 10 50
3~5歳 15 70
6~7歳 15 100
8~9歳 20 120
10~11歳 20 150
12~14歳 25 200
15~29歳 25 220
30~69歳 25 230
70歳以上 25 210
妊婦 年齢に応じて 推奨量に+5
授乳婦 年齢に応じて 推奨量に+20

一方男性の方は、多めの設定になっています。10歳の段階で男女差が出てくると言うのも特徴的ですね。性差に影響のある栄養素でよくみられる傾向だと言えるでしょう。

男性のセレン一日推奨量と耐用上限量(μg/日)

年齢 推奨量 耐用上限量
1~2歳 10 50
3~5歳 15 70
6~7歳 15 100
8~9歳 20 120
10~11歳 25 160
12~14歳 30 210
15~17歳 35 260
18~29歳 30 280
30~49歳 30 300
50~69歳 30 280
70歳以上 30 260

セレンの不足や摂りすぎで起こる症状は?欠乏症と過剰症

さて、このように推奨量と耐用上限量が決められているセレンと言うミネラルですが、不足したり摂りすぎたりするとどうなるのでしょうか。

実際の症例がありますのでそれから見てみましょう。

克山病と言う欠乏症状は致命的

克山病は、満州国の時代に初めて風土病として特定され、それから戦後、中華人民共和国の時代に至るまで原因が不明であった病気です。実はこれがセレン欠乏症だったと判りました。

克山病は、当初原因不明の心筋症として認識されました。その後40年余りにわたって原因がつかめなかったのですが、1980年ごろになってセレン欠乏症であることが付きとめられたそうです。

この病気は中国の最東北部にある黒竜江省第二の都市であるチチハル市の克山県(中国では市の下に県があるのです)で最初に見つかったためこの名前が付けられました。

心筋症ですから死亡率も高く解明が急がれていましたが、セレンの投与で発病率・死亡率の低下が確認されたため、現在ではかなり状況はよくなっているようです。

しかしさらにその後、コクサッキーウイルスがセレン欠乏状態の人間の体の中で毒性の強いものに変異している可能性が指摘され、研究が重ねられているそうです。

現在でも中国では各地で克山病が見られますが、セレンサプリの投与で改善されつつあるということです。

そのほか、シベリアや中国北部、チベット、朝鮮半島で見られる思春期の子供のカシン・ベック病(地方病性変形性骨軟骨関節症)にもセレン不足が関与している可能性が指摘されていますが、まだ完全には解明されていません。

ただ克山病と発生地域が一部で重なっていることから、欠乏症の可能性が高いようですね。

参考までに、克山病は日本語では「こくざんびょう」、英語では「ケシャン・ディズィーズ」、中国語では「カーシャンビン」です。しかし往々にして混じった読み方「ケシャンびょう」なども見かけられますね。

過剰摂取も場合によっては致命的

極端な例ではありますが、前立腺がんの検査で使われるPSAのレベルが異常高値であった75歳の男性が、インターネットでセレンが効くという情報を入手、自分で亜セレン酸ナトリウムを入手して飲んだそうです。

ただ、その量がセレン単体に換算して約.4,380,000μgというとんでもない量だったため、3時間半後に腹痛や嘔吐、低血圧を発症、6時間後に亡くなっています。

ほとんど即死状態とは言え、日本人の耐用上限量の約1万7千倍ですから、無理ないでしょうね…。

一方、慢性中毒の症状はヒ素中毒とよく似ています。

  • 脱毛
  • 爪の変形
  • 疲労感
  • 焦燥感
  • 刺激に反応しやすくなる
  • 吐き気や嘔吐
  • 呼気からニンニク臭がする など

そのほかの症状として、慢性急性問わず、

  • 髪の変化
  • 抹消神経障害
  • 悪心
  • 腹痛
  • 下痢
  • う蝕(虫歯)
  • 皮膚炎
  • 体重減少

などが挙げられています。

インチキ表示のサプリに注意!

内容量の偽装というと、普通は少なすぎることが多いのですが、アメリカのサプリによく見られるのは「多い分には文句ないだろう」という姿勢です。

実際、表示内容成分量の200倍以上も入っていたという例が複数報告されていて、それによる健康被害も報告されています。

もちろん真面目なメーカーのほうが多いので、一部の不心得者によってそうした真面目なメーカーも被害をこうむっているといえるのでしょう。

こればっかりは大は小をかねるとは言えませんね。

日本人にセレンサプリは不要!食べ物で十分足りてます

和食ご飯味噌汁菜

普通に口からものが食べられる状態であれば、日本人でセレン欠乏症は発生しません。これまで厚生労働省が摂取基準を設けてこなかったのも、欠乏症が起きてなかったからなんですね。

むしろ、近年設定されたのは過剰症に対して警鐘を鳴らすためだったと考えられます。

もともと日本では特殊な状況を除いて欠乏症が存在しなかったため、実際の摂取状況についての統計は取られていません。

それでも、厚生労働省が基準値を設定するにあたって、日本人の平均としておよそ100μg/日程度は摂れているだろうと言う推計値を発表しています。

推奨量の3~4倍くらいは摂れていると言うことですね。ですから、むしろサプリなどで追加してしまうと、過剰摂取の危険性の方が現れてくる可能性が高いのです。

なぜそれほどたくさん摂れているのか、それは食べ物に原因がありました。

例えば100年前くらいであっても、3食分として、ご飯4合(玄米でも白米でも差はありません)と味噌汁3杯、しらす干し30g、漬物180gを食べていれば70μg/日前後のセレンは摂取できています。

現在なら、卵1個と食パン5枚切り1枚だけでセレンは40μg程度摂取することができます。特に鶏卵は1個でおよそ28~34μgものセレンを含んでいますから、それだけでも推奨量を満足するんですよ。

かつお節だと100gで約320μgのセレンが含まれています。

やっぱり不足に関しては心配しなくて大丈夫ですね。

セレンは母なる大地の恵み!日本の土地は大丈夫?

中国の東北部、黒竜江省ではお米も作っています。量は少ないですが養鶏も行われています。なのに、なぜセレン欠乏症が問題になったのでしょうか。

それは土地自体がセレンの含有量と言う視点で見た場合、極端に痩せていたからだったのです。

セレンは半金属の無機物で地面から植物に吸い上げられて蓄えられます。そしてそれを餌として食べた動物の身体の中でも、必須ミネラルとして一定量が蓄えられ濃縮されるのです。

私たちはその両方を食事から頂いているわけです。そうなってくると、ちょっと不安を感じる方もおられるかもしれませんね。

先にお話ししたように、セレン欠乏症の克山病は日本からそう遠くない中国東北部、旧満州地域の黒竜江省で最初に発見されました。

また、もう一つの欠乏症であるカシン・ベック病は、中国北部だけでなくシベリアやチベット、そして日本に最も近い外国である朝鮮半島でも見つかっています。日本の土地は大丈夫なのでしょうか。

日本はセレンの最大産出国!日本で食事をしていれば不足は心配ない

ところで、セレンと言う半金属、工業的にはどのように使われているのでしょうか。実は、シリコン半導体が普及する前の半導体素材だったのです。

年配の電気関係者なら「セレン整流器」と言う半導体素子の名前は、懐かしく感じられることでしょう。現在では半導体としての用途がずいぶん少なくなったため、工業的な使用量は減っています。

しかし、技術的にリサイクルの難しい原料ですので、毎年一定量は鉱物として産出され使用されています。そして、セレンの最大の産出国は日本なのです。日本の大地にはセレンが豊富に含まれています。

そのため、日本で採れた作物や、それを餌として育った畜産品はセレンを豊富に含んでおり、日本で食事をしている限り、セレンの摂取量は必要量の何倍にもなるのです。

40歳を過ぎたら良いものを長く食べよう

もともと脂肪食の少なかった日本人は、セレンの豊富な食べ物を食べていたことも影響したのでしょうか、前立腺がんの発症率は欧米よりはるかに低いものになっています。

最近では日本人でも前立腺がんが急増していると言われますが、もともと前立腺がんは年齢依存度の高い病気です。ですから高齢化が一番の原因なのでしょう。

でも40歳を過ぎたころからは、国産野菜とちょっと良い卵を食べるようにしたいですね。でも残念なことに、鶏卵はほとんどが輸入飼料に頼っている状況なのです。

現在のところアメリカのとうもろこしが多いのでセレンは安定しているようですが、中国東北部でもトウモロコシはたくさん作られています。国際的な価格高騰で飼料の輸入の流れが変わるとこうしたミネラルの含有量に大きな影響が出るかもしれません。

農水省は、現在90%に上る鶏卵用飼料の国産化を推進しています。国内休耕田を利用して、鶏に玄米を与えると言うやり方ですね。これだと栄養価も好ましいものになるでしょう。

まだ、生産量や価格に問題はあるようですが、食卓を安全に保つために、私たちも食べて応援できるといいですね。

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