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妊娠に悪影響!怪我や手術後に使われる強い鎮痛剤の副作用

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オピオイドと呼ばれる強力な鎮痛剤のグループがあります。日本ではよほどひどい痛みで、他の鎮痛剤が効かない場合にのみ処方されるものですが、アメリカでは比較的気軽に処方されます。

そのためでしょうか、生まれてくる赤ちゃんがこのお薬の離脱症状を伴って生まれてきてしまうと言う悲劇的なケースが増加していると言う報告があります。

知っておくべき鎮痛剤についてやその副作用についてをお話します。

オピオイドとは「ケシのような物」と言う意味の名前

“oid”と言う接尾辞は「~のようなもの」と言う意味です。健康に関心のある皆さんにはカロテノイドやフラボノイドと言う言葉が良く知られているでしょう。

例えば、リコペンやルテイン、ゼアキサンチンなどがカロテンと共通する基本骨格を持っているので「カロテンのような物」と言う意味の「カロテノイド」と言うグループにまとめられていると言うことです。

もちろんフラボノイドがあるのですから、フラボンと言う物質もあるんですよ。一方、このオピオイドの元になった名前はオピウムです。オピウムとはケシのことです。つまり「ケシのような物」と言う鎮痛剤なのです。

がんの痛みやひどい傷の痛みなどに使われるオピオイド

普段、そんなひどい痛みを経験しない私たちにも有名なオピオイド系鎮痛剤があります。それはモルヒネです。モルヒネはけしの実から取れる阿片を精製したものです。ですので、非常に強力な麻薬であると同時に鎮痛剤としても非常に優秀なものです。

このようにお話しすると、「オピオイド=麻薬」だから「使ったら最後」と言うイメージや、「どうせ死ぬのだから、麻薬中毒のことは気にしないのだ」などと言う発想が生まれます。

しかし、それは誤解です。まず、オピオイドは阿片などと似た成分ですが、必ずしも「オピオイド=麻薬」ではありません。阿片の有効成分が取り込まれる受容体に結びつくことのできる薬物がオピオイドとされています。

classification of narcotic and analgesic

このように、麻薬だけれどオピオイドではない、オピオイドだけれど麻薬ではないと言う物を含めて、様々な鎮痛剤・麻酔薬が医療用として使われています。

また、例えばモルヒネはオピオイドで麻薬ですから依存症になりますが、がんの痛みなどの猛烈な疼痛を取ったりする目的で使うと、なぜか依存性がほとんど表れないと言うことも判っていますので、医療用として良く用いられます。

こうしたことを含めて、それらは厳格なコントロールの下で使われますので、リスク(危険性の度合い)がベネフィット(有効性の度合い)を上回ることはありません。

日本はまだ処方量の少ない国だが注意するに越したことはない

アメリカでは違法薬物の常習者が多いことから、これに対する治療の一環としてオピオイドが処方されることもあります。モルヒネをさらに精製したヘロインの中毒患者にはメサドンと言うオピオイドが使われますが、これもまた習慣性のある薬なのです。

また、欧米では鎮痛剤が比較的簡単に処方されるため、患者のリクエストに応じて処方され、それが誤った目的で使われることも少なくありません。こうした薬物に対する警戒心の薄さが様々な弊害を生んでいます。

日本に比べると、人口当たりのオピオイド系鎮痛剤の処方量は、例えばイギリスで日本の5倍、アメリカでは実に22倍にもなっているのです。

しかし、日本でもこうした薬物に対する警戒心の薄い世代が増えてきていますので、対岸の火事とばかりはいっていられないかもしれません。

危険ドラッグの例を見るまでもなく、安易にこうした薬を使う人が増えているのは困ったものです。薬は飽くまで正しく処方され正しく使われてこその薬であって、誤った使い方をすればすぐに毒になると言ってもいいのです。

新生児薬物離脱症候群と言う悲しい病気が注目されている

新生児薬物離脱症候群と言う病気があります。日本でも平成22年に厚生労働省が対応マニュアルを策定した、薬の副作用に分類される病気です。

主に、妊娠中にお母さんが飲んだ抗不安薬や鎮痙薬、一部の嗜好品などが原因で、生まれてきた赤ちゃんが離脱症状に見舞われると言うものです。生れ落ちてすぐに離脱症状とは、悲しい状態ですよね。

アメリカで注目されたのはオピオイド系のお薬によるものだった

先に紹介したアメリカの例ですが、これについて、アメリカ国立薬物乱用研究所(NIDA)の著名なディレクターであるノラ・D・フォルコー博士は2016年1月12日に世界5大医学雑誌の一つであるBMJのオンライン版に、警告を込めたコメントを出しています。

(抜粋翻訳)

注目すべきは、最近の新生児薬物離脱症候群患児の急激な増加です。アメリカにおいて、2000年には1000人中1.2人であった症例が、2009年には3.39人にまで激増しています。

これは米国における妊婦に対するオピオイド薬の処方が14-22%と言う数字に上っていることと関係していると推測されます。

妊娠後期にオピオイド薬などに暴露された胎児は、出生と同時にそうした薬物の供給が絶たれますから、代謝の早い薬物であった場合、すぐに離脱症状が始まります。

こうした離脱症状はオピオイド系の鎮痛剤などはもちろん、違法薬物やアルコールによっても引き起こされますし、喫煙は内因性オピオイドにも深く関連します。

ここで示されている内因性オピオイドとはエンドルフィンのような、いわゆる「脳内麻薬」に代表される物質のことです。自分の中だけならまだしも、異常に分泌されると胎児に悪影響があるのかもしれません。

日本でもオピオイド系のお薬が使われない訳ではありません。しかし、がん性疼痛に対しては、患者さんやその家族に配慮して、本来使うべき量まで処方されていないことがあるぐらいだと言います。

オピオイド系のお薬は、疼痛の原因を治療できれば止めることもできますし、使い続けたからと言って効き目がなくなったり弱まったりすることもありません。

適切に処方される限りは非常に有効なお薬ですので、誤解を解いて上手く使われると良いですね。

日本ではリン酸コデインに注意する程度でおおむね大丈夫

日本では麻薬患者が欧米より少なく、またオピオイドが医療行為として処方されるのは、いわゆる妊娠好適年齢と離れたがん年齢の人が多いこともあって、あまり新生児薬物離脱症候群が問題になることはありませんでした。

昨今ではがん以外の疼痛性の症状に対して処方されることも増えてきていますが、お医者様の方で妊娠の可能性についてしっかりチェックして下さっているので比較的安全ではないかと思います。

強いて言うなら、咳止めに用いられるリン酸コデインもオピオイド系のお薬なので、長期連用しないように注意した方が良いと言うことぐらいでしょうか。

逆に言えば、妊娠の可能性がある場合や授乳中は、その旨をお医者様に伝えて、咳止めとしてリン酸コデイン(コデインリン酸塩)を処方されないよう注意しておきましょう。

一般市販薬の咳止めにもコデインが含まれているものが意外に多くあります。妊娠・授乳中には使わないように、買う前には必ず薬剤師さんに相談して下さい。

日本でも起こりうる新生児薬物離脱症候群の原因薬物に注意する

先にお話しした通り、厚生労働省は新生児薬物離脱症候群について対応マニュアルを作っています。つまり、それほど頻度が高くないからお医者様が見落としてしまわないようにと言う、転ばぬ先の杖です。

しかし、マニュアルが必要な程度には患者が発生していると言うことでもあります。私たちはどう言ったことに注意して行けばいいのかを見てみましょう。

非合法薬物の使用は論外だが治療の方法はある

処方外の向精神薬・大麻・覚せい剤・危険ドラッグ・麻薬などを使っている人は妊娠してもさせてもいけません。子供に影響が出るのは確実です。

こうした人は妊娠に際し、自分で使用をやめたり、やめた状態を継続したりするのは非常に困難です。それは強い肉体的・精神的依存性があるからなんですね。

このような精神と肉体を崩壊させる薬物を自力でやめて、二度と使わない意志力があるなら最初から使わないでしょう。

ですので万が一、そうしたものを使っている人が読者の中におられたら、直ちに精神病院に入院し治療を受けて下さい。病院は明らかな中毒患者であると判断しない限り警察には通報しないことが多いですが、できれば通報してもらって下さい。

そうすることで、厳しい監視の目の下に置かれますので、薬を身体から抜いてしまうのには一番楽な方法だと言えるでしょう。先に警察に行っちゃうと、健康のことが後回しになりかねません。まずは精神科の病院で相談するのがベストです。

さらに、そうしたものの常用者であって、産婦人科で妊娠を告げられたら、その場で薬物について打ち明け、相談しましょう。そうすれば精神科との連携の上で赤ちゃんの健康に配慮してもらえます。

健全な社会生活の中でも危険なものは意外に多い

私たちは健全な社会生活を営んでいても、ちょっとした不調からお薬を飲んだり、多少身体に悪いかもしれない嗜好品と言う物を摂ったりすることなどは日常的に行っています。

しかし、これがいざ妊娠と言うことになると新生児薬物離脱症候群を引き起こすことに繋がることも珍しくないのです。厚生労働省のマニュアル作成委員会は、麻薬系鎮痛剤のお薬以外にも数多くの薬品などを挙げています。

  • 睡眠導入剤
  • 鎮静薬
  • 抗てんかん薬
  • 抗不安薬
  • 抗精神病薬
  • 抗うつ薬
  • 非麻薬系オピオイド鎮痛剤
  • 気管支拡張薬
  • 嗜好品

ジャンルとしてはこう言った物になりますが、その具体的な内容は非常に多くなるので省略させてもらいました。妊娠中または妊娠を予定されている人で、こういったお薬などを使っておられる方は必ずお医者様に相談して下さい。

同じジャンルのお薬でも、悪影響のあるものとないものがありますが、そうした区別は一般人である私たちにできるものではありません。ですので、全部が悪い可能性を踏まえてお医者様に相談し、安全であることが確認できればOKと言うことですね。

なお、嗜好品ですがアルコールとカフェインが挙げられています。また、気管支拡張薬はテオフィリンと言う茶葉の成分ですが、お茶を飲んでいる程度なら問題はないでしょう。

新生児の様子には万全の注意を払おう

illustrations of baby to receive a diagnosis

こうしたことを言うまでもなく、赤ちゃんが生まれて間もないころは、お母さんやお父さんは赤ちゃんを注意深く見守っておられると思います。むしろ神経質すぎるくらいかもしれませんが、それはそれでいいのです。

そうした中でも、次のような症状が一つでも見られたら、赤ちゃんを連れて直ちに受診して下さい。

  • ぐったりしている
  • 手足をぶるぶる震わせる
  • 痙攣する
  • 息を止めている(止まっている)

特に下の2つの場合は重症ですので、すぐに救急車を呼んで下さい。

先に紹介したようなお薬や嗜好品、あるいは非合法薬物などを使っていた場合、出産前に産科のお医者様に全部をお話ししておきましょう。

そうすることで、お医者様は新生児薬物離脱症候群の兆候がないかをずっと監視して下さいます。正直に全部お話ししておくことが赤ちゃんの生命を守ることになるのです。

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