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卵子の老化だけが妊娠力低下の原因じゃない!αリノレン酸に注意

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初婚年齢や初産年齢が上がってくるに従って、妊娠しにくくなっていると言う日本人女性の悩みが良く話題になります。

実際のところ、どうしても年齢を重ねるにつれて妊娠しにくくなるのは仕方がないようです。これは先進各国でも似たような悩みがあり、その対策として夫婦の間で体外受精と言う方法を取るケースも珍しくありません。

しかし、その体外受精において、せっかく体外で作った受精卵が、女性が摂っている栄養に着床を邪魔されて妊娠しにくくなっている可能性が研究から浮かび上がってきました。

血液中のαリノレン酸が多いと卵子に悪影響が出る

必須脂肪酸の中でも、最近特に注目を集めているのがω(オメガ)3不飽和脂肪酸であるα(アルファ)リノレン酸です。これに期待されているのは、心筋梗塞などの心血管・冠状動脈疾患や脳梗塞・脳出血に対する予防効果です。

ところが、人工授精による不妊治療を受けた女性に対して経過観察を行って得られたデータによると、どうもこのαリノレン酸が妊娠を阻害している可能性が見えてきのです。

厚生労働省の報告に見るαリノレン酸の功罪

厚生労働省が5年に一度発表している「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によると、効果についても、悪影響についてもデータは充分ではないようです。

αリノレン酸摂取量増加による心血管疾患罹患の減少は、αリノレン酸自体と代謝産物であるEPAやDHAによると考えられている。日本人でも、αリノレン酸による冠動脈疾患予防効果は期待できる。

しかし、日本人を対象とした十分な研究がないため、目標量は設定しなかった。

(中略)

リスクを示す報告もあり、血中αリノレン酸濃度と卵子機能に負の関連が認められ、αリノレン酸が多いと妊娠可能性が低下する可能性もある。

以上のように、リスクに対する根拠が不十分なため、目標量(上の値)も算定しなかったが、αリノレン酸多量摂取の長期間の影響はよく調べられていないので、過剰摂取には注意が必要である。

このように、いわゆる動脈硬化に絡む病気を予防する効果や、卵子の機能低下と言う悪影響を影響の範囲に含めているようですが、まだまだ今後の研究も待たれているようですね。

自然妊娠と人工授精との間に関連性があるのかないのか

このリスクについては、体外受精によって生まれた受精卵が、胎内に戻された時に着床しにくくなっていることと、血中αリノレン酸の濃度との間に関係が見られたと言うことから見つかりました。

ならば、そもそも自然妊娠については関係があるのかと言う疑問も生まれます。しかし、自然妊娠において、受精はしたけれど着床しなかったと言うことを統計的に観察するのは困難です。

ですから、受精が確認できる体外受精のデータを参考にせざるを得ないんですよね。

卵子の老化による妊孕力低下と言う現象は実際に存在するのか

妊孕力(にんようりょく)と言う言葉が出てきました。これは世間で言う、妊娠力と同じ意味だと思って差し支えありません。お医者様など、プロの人たちが使われる表現なので紹介してみました。

さて、卵子の老化と言うのは実際にあるのでしょうか。これは間違いなくあるのです。厳密には卵子の前段階である卵母細胞の老化と言うのが正しいかもしれません。

と言うのも、将来卵子になる卵母細胞は、女の子がお母さんのお腹の中にいる妊娠16~19週ぐらいの頃にはもうできていて、その数はおよそ700万個だと言われています。

それが出生時には200万個に減ってしまうのです。その200万個は出生前後のタイミングで第一減数分裂と言う特別な細胞分裂をスタートするのですが、その途中で休眠過程に入ります。

その後、卵母細胞は補充されることなく、身体と同じように年齢を重ねて行きますので、老化と言う現象も当然起こり得るのですね。

そして、初潮を迎えるころにはその数は30万個にまで減ってしまいますが、途中でストップしていた第一減数分裂を完了させ、卵娘細胞になります。そして卵娘細胞は第二減数分裂に入って、再び途中でストップします。

その卵娘細胞はだいたい1個ずつ排卵され、精子と出会って受精することで減数分裂を完成させ、卵子になると同時に受精卵になるのです。

そのペースですから、実際に受精可能な卵娘細胞として成熟・排卵されるのは500個前後、つまり残りは使われないまま消滅するんですね。この残りの卵娘細胞が1000個ぐらいにまで減ったら閉経するとも言われています。

卵子が老化するとどうなるのか

最も良く見られる現象は、減数分裂の失敗です。人間の細胞核には遺伝情報が記録されたDNAと、それを格納するためのタンパク質からできている染色体と言うものが23対46本納められています。

卵母細胞は2回の減数分裂を経て46本の染色体が23本に分かれます。2本が対になっていたものがペアを解消するわけですね。この内1本が性染色体と言うもので、赤ちゃんの性別を決める役目を担っています。

とは言え、卵母細胞は女性の細胞ですからX染色体しかありませんので、男性側の精原細胞が減数分裂してできる精子に、X・Yどちらの染色体が入っているかで赤ちゃんの性別が決まります。

この卵母細胞の減数分裂が失敗して、本来23本であるべき染色体が24本になってしまったと言うのが、加齢による卵子の劣化の最も多いものです。

その結果、その卵子が受精してできた受精卵には染色体が47本あることになってしまい、このことは多くの場合赤ちゃんにとって致命的になりますから、受精しても流産・死産への流れになってしまう事が多いのです。

もちろん、47本の染色体の場合でも、何らかの異常を持った状態ながら生まれて来ることのできる赤ちゃんもいます。

有名なのは21番染色体が3本になったダウン症候群ですね。染色体異常の中では最も致命的になりにくい異常です。その他、18番染色体異常のエドワーズ症候群や13番染色体異常のパトウ症候群もあります。

しかし、この2つの場合、生まれてこられたとしても1歳の誕生日を迎えられるのは1割程度だと言う悲しいデータもあります。

加齢による妊娠トラブルは女性だけの責任なのか

これは議論のあるところですが、男性の精子は思春期を迎えてから活動を開始するため老化が遅いこともありますし、そもそも1回で数億もの精子に競走させるわけですから、最も優秀な者しか受精に繋がらないためトラブルは少ないのでしょう。

それでも、最近では精子の老化と言う問題も取りざたされるようになってきましたから、そのうち研究が進むかもしれませんね。

では卵子の老化を避けて妊娠するにはどうしたら良いのでしょう

残念ながら、現在の技術や医学では加齢を避けることはできません。

健康な子どもを自然に授かるということだけに目を向けて、純粋に生物学的にみると、妊娠・分娩に最適な年齢は20歳代、おそくとも35歳までと考えられます。

30歳を超えると女性が自然に妊娠する可能性は少しずつ低下し、35歳くらいから急激に低下します。自然妊娠を強く望むのであれば、できるだけ30歳前に妊娠・分娩する事をおすすめします。

45歳を過ぎると体外受精や顕微授精を行っても妊娠することはほとんどありません。また、35歳以上では流産や、ダウン症などの胎児異常がおおくなることから、35才までには妊娠・分娩をおこなうことが望ましいと考えられます。

妊娠出産の機会が遅くなるなら障害になる要素は排除しよう

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卵子の老化に伴う遺伝子異常などのトラブルからは逃げようがありませんから、できるだけ35歳以上での妊娠出産は避けるとしても、せっかく受精した卵子の着床失敗はもったいないですよね。

20代前半の妊娠力旺盛な時期からそれほど気にしなくても良いかもしれません。でも、30歳になって妊娠力が弱まってきたら、機会は逃さずにおきたいものです。

一般にαリノレン酸は妊活に有効と言われているが

最近では計画的に赤ちゃんを授かるための妊活なるムーブメントがあるようですが、これは母子ともに健康につながることですから良い事だと思います。

その中で、ω3不飽和脂肪酸が子宮内膜症の予防軽減に良いと言うことで、おすすめアイテムに入っているようですね。今回の研究結果とはちょっと矛盾するようですが、さて、どうなんでしょう。

では今回の研究について少し見てみましょう。この研究はアメリカのワシントン大学が、不妊治療の一環として人工授精を受けた女性について調査したものです。

まず、体外受精のため成熟した卵娘細胞を取り出すわけですが、その際に血液検査を行い、血液中の遊離脂肪酸の量を脂肪酸ごとに分析しました。

遊離脂肪酸と言うのは、中性脂肪の形になっているのではなく、脂肪酸として分離した状態のものを指します。脂肪酸は以下のものが測定されました。【炭素数:不飽和数-脂肪酸名】で表現しています。不飽和数が0のものは飽和脂肪酸です。

  • 14:0 – ミリスチン酸
  • 16:0 – パルミチン酸
  • 16:1 – パルミトレイン酸
  • 18:0 – ステアリン酸
  • 18:1 – オレイン酸
  • 18:2 – リノール酸
  • 18:3 – αリノレン酸

そして受精卵を体内に戻した後に妊娠できたか否かと、予め検査しておいた遊離脂肪酸濃度との関係を見比べたと言うわけです。

その結果、αリノレン酸だけが、血中濃度が上がると妊娠しにくくなると言う関係性が見いだされたのです。他の脂肪酸濃度と妊娠の成功には関連は見られませんでした。

この研究の結論としては、αリノレン酸は胚の着床率低下との間に弱い相関がみられたので、多胎妊娠に繋がらないよう留意しつつ、今後さらにリスク回避の方法の研究を突き詰める必要があると締めくくっています。

また、αリノレン酸はDHAやEPAに代謝されることで胚や胎盤の発達に好ましい影響を与え、子宮内膜症の予防にも貢献するとしています。そのため、αリノレン酸を効率よくDHAやEPAに代謝する方法の研究も必要としています。

ω3不飽和脂肪酸は植物油より魚から摂ろう

αリノレン酸には好ましい影響も数多くあるわけですが、これまでに書いてきたことをご覧いただいてもお分かりの通り、その良さは多くの場合、より長鎖で高度不飽和のEPAやDHAに代謝されてから発揮される部分が多いようです。

人間はリノール酸からαリノレン酸を作るためのω3不飽和化酵素を持っていないため、αリノレン酸は必須脂肪酸です。そしてαリノレン酸からDHAやEPAを作り出す酵素は人間の体内にあるので、これらは必須脂肪酸ではありません。

しかし、DHAやEPAへの代謝は非常に効率が悪いため、1~2割程度しか生合成できないんですね。ですので、EPAやDHAを直接食べ物から摂った方がずっと効率よく摂れますし、良い効果も得られやすいでしょう。

EPAやDHAは基本的には魚の油に含まれます。植物にはほとんど存在しません。逆にαリノレン酸は魚の油にも含まれています。

もちろんエゴマ油やアマニ油などのように大量に含まれるわけではありませんが、そもそもEPAやDHAを同時に摂っているわけですから、それほど多い量は必要ないのです。

このように脂肪酸組成を考えた妊活と言うのは、リスクとベネフィットの両方から効果的だと言えるんじゃないでしょうか。

社会的制約はありますが産めるなら早く産むのがベスト

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大学や社会でキャリアを積むことが当然の世の中においては、女性にとって最も身体が適応している時期に妊娠出産を迎えるのが難しいと言う事実は存在するようです。

しかしながら、どれだけ世の中が変わっても人間の身体と言うのはそれほど変化するわけじゃありません。それまで30歳以上を高齢初産としていたのを、1993年から35歳以上に改めたと言うのが精いっぱいと言うところでしょう。

生命を大切にすると言う考え方こそが基本です

周産期死亡率と言うデータが国によって取られています。妊娠22週から生後7日目までの間に死亡した胎児・赤ちゃんの比率のことです。

それによると、母親の年齢が20歳~24歳の場合、1000人当たり3.9人程度の死亡率です。25歳から29歳の場合は最も安全で、3.5人程度ですね。また、30歳~34歳でも4.0人を微妙に下回るかなと言う程度です。

しかし、これが35歳~39歳になると1000人当たり4.8人の胎児や赤ちゃんが死亡しています。さらに40歳~44歳では7.8人、45歳以上になると9.4人と加速度的に増えます。

やはり、どうしても卵子の老化によるトラブルが多くなってくるのでしょう。赤ちゃんの生命のことを考えても出産適齢期と言うのは存在するようですね。

一方、20歳未満の母親の場合周産期死亡率は6.1人と30代後半~40代前半の中間ぐらいです。こちらは卵子の問題ではなく母体の未熟さなどが原因かもしれませんね。

また、妊産婦死亡率と言う数字もあります。大まかな比率ですが、24歳以下の妊産婦の死亡率を1とした場合、

  • 25~29歳で約1.4
  • 30~34歳で約1.9
  • 35~39歳で約4.5
  • 40~44歳で約6.1

と、これも加速度的にリスクが増えます。

近年では珍しくなってしまいましたが、実は赤ちゃんを何度も生んだ人ほど出産の折に妊産婦が亡くなる確率は下がるのです。5人目を生むときのリスクは初産の時のリスクの実に40分の1以下なのです。

そういう意味からも、初産は若いうちの方が母親の生命を危険に陥れる心配が少なくていいですね。女性が安心して20代前半で最初の赤ちゃんを産めるような世の中になって欲しいものです。

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