健康生活TOP 斜視 斜視と斜位の違いは?先天的、後天的斜視の原因と症状、治し方

斜視と斜位の違いは?先天的、後天的斜視の原因と症状、治し方

片目を隠す女性

左右の目の向きが違う斜視は、美容上の悩みになるだけでなく目の疲れや視力低下といった機能的な問題を伴いやすいところも厄介です。

斜視に似た「斜位」という現象はあまり知られていない用語でしたが、スマホやパソコンを使う人の眼精疲労を招くとして注目を浴びるようになってきています。

私達にも斜視や斜位になってしまう可能性があるのでしょうか?斜視と斜位について、それぞれの原因、特徴、治療法の違いをチェックしてみましょう。

※瞳のイラストが記事中にあります。苦手な方はご注意を!

斜視とは?私達が両目でものを見る意味について

これからお話する斜視は、外見上の問題だけでなく「両目でものを見ることができない」という機能的な問題こそが厄介な病気です。

なぜ両目でものを見ることができないと困るのか、まずは目のメカニズムについて簡単に説明しておきたいと思います。

目が2つある理由

私達には目が2つあります。なぜ生物の目は1つではなく2つあるのかというと、2つの目でものを見ることで次のような作用が得られるためです。

  • 左右に視野が広がる
  • 景色の距離感や立体感がわかる

生物にとってものがよく見えるということは、敵や獲物の様子が正確に把握でき命を守ることにつながる重要な機能です。ヒトの社会に言い換えれば「ものの距離感をつかんで事故や怪我を防ぎ、安全に暮らすことができる」ということになります。

両眼視で立体感と距離感がわかる

次に、両目でものを見ると距離感や立体感が分かる理由について説明します。目の機能はよくカメラの仕組みに例えて説明されます。デジタルカメラを例に挙げてパーツを比較してみましょう。

  • レンズ→角膜
  • ピント→水晶体
  • しぼり→虹彩
  • 画像センサー→網膜
  • 画像エンジン→脳

このように目とカメラの基本的なメカニズムはとてもよく似ていますが、大きく違うところがあります。それは、カメラは単眼、生物の目は二眼だという点です。私達は2つの目を同時に使ってものを見ています。これを「両眼視」といいます。

単眼のカメラは平面の画像しかとらえることができませんが、二眼を持つ生物が両眼視をすると、見た景色には奥行きや立体感が感じられます。

これは、目の位置が違うために右と左では見えている景色が少しずれており、この2つの異なる画像が脳に送られると、脳がその微妙なずれを生かして立体感のある1枚の画像を再現するためです。この機能を「融像」といいます。

斜視は両眼視できない

私達の目と脳は「融像」という機能が備わっているおかげで、両眼視をした時に景色が二重に見えることがありません。

しかし、それは正常に両眼視ができている時に限ります。

正常な場合、ものを見る時には両目が同じ方向を向き、両目の視線が同じ対象物で交差しています。両目でひとつの対象物の存在を認識することで、両眼視と融像をすることができます。

しかし、左右どちらかの目の向きが違う方向にずれていると、ものを見る時に両目が別々のほうを見てしまい、対象物で視線が交差しなくなります。すると片方の目しか対象物の存在を認識することできず、両眼視と融像ができなくなってしまいます。この状態が「斜視」です。

斜視の対象物の認識のずれを表したイラスト

斜視が起こると融像ができないために距離感が分からなくなるほか、複視(左右の目で見えた物が二重に見える)が起こったり、目に負担がかかって疲れたりして、日常生活で快適な視界を得ることができなくなってしまいます。

そして、斜視とよく似た症状に「斜位」があります。斜位は斜視のように片方の目の位置が少しずれているため、やはりものを見る時には目に負担がかかります。

斜位はテレビ番組で紹介された影響で「隠れ斜視」とも呼ばれることもあります。しかし実際には、斜視と斜視は別もので原因や特徴が異なるので、違いはきちんと確認しておきましょう。

似ているけど違う?斜視と斜視の原因・特徴について

斜視とは、片方の目の向きがずれたまま固定されており、ものを見ようとしてもその方向に視線を向けることができない状態のことです。

斜視は、目の向いている方向によって

  • 内斜視
  • 外斜視
  • 上斜視
  • 下斜視

に分類されます。

斜視の種類4つ内斜視外斜視上斜視下斜視

見た目でも目の向きの違いが分かることも多く、大人で斜視の人は美容の問題として気にすることも少なくありません。

斜位も、基本的には斜視と同じような目の向きのずれが起こります。しかし斜位は斜視に比べると目のずれは少なく、本人や周囲の人が気付かないことも少なくありません。

また、斜視と斜位は原因や特徴が次のように異なります。

斜視は少ないが斜位は誰にも起こり得る

斜視は子供の約2%、大人の3%にしかみられませんが、斜位はごく軽いものも含めるとほとんどの人にみられます。

両目の向きが完全に真ん中を向いている人は存在しません。誰でも目の向きが少しずれているのが当たり前なのです。「よく見ると、片方の目の向きがずれているのがわかる」という人は比較的多く見られます。

わずかな斜位があっても、ものを見る機能に支障がないならば特に放置して問題ありません。ただし斜位が大きくなると目に負担がかかりやすくなるので、治療が必要となります。

斜視と斜位は原因が異なる

斜視と斜位は、それぞれ異なる原因で起こっています。

主な原因
斜視
  • 目を動かす神経や筋肉の異常
  • 目や脳の病気
  • 遠視・極度の近視
  • 体の病気
  • 外傷
斜位
  • 目を動かす筋肉の弱い異常
斜視はこのように先天的な原因(目を動かす筋肉や神経の異常・遠視)や後天的な原因(病気や怪我)で起こりますが、生まれつき目を支える神経に麻痺があるために両眼視をする機能が発達せず、斜視になってしまうケースが多くなっています。

一方、斜位に斜視のような強い麻痺はありません。先天的または後天的なちょっとしたきっかけで、目を動かす6本の筋肉が少しでもアンバランスになると、どうしても斜位が起こりやすくなってしまいます。

目の酷使によって目を動かす筋肉が極度にこり固まることは、斜視や斜位の直接の原因にはなりませんが、目の酷使が近視や老眼を悪化させると、近視や老眼によって斜位も悪化してしまう可能性があります。

遠視や極度の近視では内斜視、怪我や病気では外斜視が起こりやすくなります。

斜位は両眼視ができる

斜視は両眼視が苦手ですが、斜位は両眼視をすることができます。

斜視には、常に目の向きがずれている「恒常性斜視」と、時々斜視が出る「間欠性外斜視」がありますが、基本的に目のずれは固定されているので両眼視をするのが難しくなります。

一方、斜位は目を使っていない時には目の向きがずれていますが、ものを見る時には筋肉を使って両目の視線を対象物にしっかりと合わせることができます。

しかし斜位は、目の向きがずれている状態のほうが自然で楽なため、気がゆるむと目の位置はすぐにずれた位置に戻ってしまいます。周りの人から「ものを見る時は視線がまっすぐだけど、ボーッとしている時の目線がどこを向いているか分からない」と言われることもあります。

斜位と斜位を見分ける時には、片目を隠すと分かりやすいです。斜視は目を隠しても目の位置が変わりませんが、斜位は目を隠していない時の視線は正常でも、目を隠すと目の位置が自然とずれている位置に戻ってしまいます。

斜位を確認できる方目隠しチェック方法

斜位の辛いところは、ものを見る時にはその都度、視線を正しい位置まで動かさなければならず、目に負担がかかってしまう点です。

斜位の目のずれがごく小さい場合は自覚症状もありませんが、 目のずれが大きい場合はものを見る度に目の筋肉を大きく動かさなければならないため、目が疲れやすくなってしまいます。

斜視、斜位のそれぞれの問題点

斜視と斜位はどちらも眼精疲労の原因になります。 さらに斜視は、弱視に進みやすいことにも注意が必要です。

斜視は向きがずれているほうの目の視線が対象物に向かないため、ものを見る時は無意識にもう片方の目だけに頼りっぱなしになってしまいます。しかし、このように片方の目だけでものを見る習慣をつけると、向きがずれているほうの目が退化して弱視に進んでしまいます。

弱視になると視力矯正をしても0.1以下しか見えなくなってしまい、とても不便です。将来のある子どもの斜視を長く放置しておくことは特に良くありません。

一方、斜位はものを見れば見るほど目を動かす負担が大きくなり、頑固な眼精疲労が起こりやすくなります。また斜位をそのまま放置して目を酷使すると将来は斜視に移行するおそれもあります。

誰でも多少の斜位があります。軽い斜位は問題ありません。斜位は斜視と違って両眼視できますが、そのまま酷使すると目に大きな負担をかけ眼精疲労や斜視を引き起こす可能性が出てきます。

つまり、パソコンやスマホを長時間見続けている人は誰でも後天的な斜視になる可能性がある、ということです。

早期の発見と受診がポイント!子供の斜視と斜位の対処法

斜視と斜位は、ものを見る時に不便な思いをするだけでなく、眼精疲労が自律神経のバランスを乱して全身の不快な症状を引き起こすため、早めに適切な対処をすることがのぞましいです。

子供の斜視は、先天的な原因によるものがほとんどです。

日本人の子供に最も多いのが先天的な「間歇性外斜視」で、そのほか遠視によって起こる「調節性内斜視」もみられます。

間歇性外斜視

「間歇」とは時々という意味です。普段は正常ですが何かのきっかけで外斜視が時々出て来るのが特徴です。

いわば斜位の状態で両眼視はできるため、視力に問題がないならば特に治療は行いません。1歳頃に発覚して4歳くらいで自然に治ることもあります。ただし、目のずれが大きい場合、視力の低下が見られる場合は早めに手術をしたほうが良いです。

調節性内斜視

子供の内斜視のほとんどは、生まれつきの遠視が原因で起こります。遠視は近くが見えにくいため、近くにピントを合わせようとしていわば「寄り目」の状態が増え、内斜視を引き起こしてしまうのです。

遠視を矯正すると斜視も良くなっていきます。病院で手術をすることが根本的な治療になりますが、乳幼児期のうちに遠視矯正用の眼鏡をかけることで手術をせずに遠視が矯正されて斜視が治るケースもあります。

仮性内斜視(偽の斜視)

また、日本人の赤ちゃんは寄り目に見える「仮性内斜視」が多いのですが、これは病気ではありません。成長すると自然と解消される現象です。

もしも赤ちゃんが寄り目に見える場合は、鼻の上の皮膚を引っ張ってみてください。目の位置が正常に見えるなら斜視ではないので安心してください。

子供の頃に斜視や斜位があっても気付かずに成長し、そのまま大人になって眼精疲労に悩むケースがあります。なるべく子供のうちに斜視や斜位を見つけて治療しましょう。

親御さんが普段からよく観察し、少しでも気になることがあれば眼科に相談することがのぞましいです。

単なる目の疲れ…で片付けないで!大人の斜視と斜位の対処法

大人の斜視には、子供の頃から続く斜視に気付かず検診などで指摘されて発覚するケース、大人になってから後天的な原因で発症するケースがあります。

大人の斜視・斜位には次のような特徴があります。

  • 眼精疲労による頭痛やひどい肩こりを伴う
  • 眠くなった時、疲れてきた時に複視が起こる

さらに斜位は、種類によって症状も少しずつ異なります。

斜位の種類 症状
外斜位
  • 近くのものが見えにくくなる
  • 近くを見る時に眼精疲労が起こりやすい
  • たまに複視が起こる
内斜位
  • 近くまたは遠くを見る時に眼精疲労が起こりやすい
上・下斜位
  • 眼精疲労が激しい
  • 複視が起こりやすい

症状が気になる人は、テレビ番組でも紹介されたことのある斜視のチェック法も試してみてください。

    斜視・斜位のチェック法

  1. 5m先に、新聞紙を持った人に立ってもらう
  2. 両目を開けて5秒間新聞紙を見る
  3. 次に片目ずつ目を隠しながら5秒間新聞紙を見る
  4. 両目、右、左で新聞紙がずれて見えるならば斜位の可能性がある

このチェック法で新聞紙大きくずれて見える人は両眼視ができていない可能性も考えられるので、さらに眼科で詳しい検査を受けてください。

目の調子がおかしいと感じたら「単なる目の疲れ」「年のせい」と放置せず、早めに眼科を受診することがのぞましいです。また、ほかの眼病も予防する意味で、定期検診を受けることをおすすめします。

大人の斜視・斜位の治療法

子供の斜視・斜位と異なり、大人になってしまってからの斜視・斜位は治りにくいと言われることもあります。しかし眼科で受けるトレーニング・眼鏡による矯正、手術などで症状を改善することも十分に可能です。

目を支える筋肉のバランスは人それぞれ違うので、トレーニングで改善したい場合は眼科を受診し、専門家の指導のもとで専用のトレーニングを受けることをおすすめします。

また「プリズンレンズ」という斜視専用の特殊なレンズを使った眼鏡をかけることで、斜視のピントを合わせやすくし、複眼視や眼精疲労を防ぐこともできます。専門家の指導のもと度数の合った眼鏡を使ってください。

目のストレッチや休養といったセルフケアは斜視・斜位の直接の改善にはつながりませんが、目の周りの筋肉をほぐすことは近視や老眼の進行を防ぐことにつながるため、少なくとも斜位や斜視の悪化防止に何かしらの良い作用をもたらすことが考えられます。

  • 目を使う作業をしたら30分に1回は目を休める
  • 近くと遠くを交互に見る
  • 目を左右上下に動かす
  • 肩や首を動かして血行を促進させる

といった簡単なセルフケアを習慣にしましょう。

後天的な斜視の原因に注意

急にものが二重に見えるようになった時は要注意!目の神経や筋肉を麻痺させるような病気を発症したために後天的な斜視・斜位が始まった可能性も考えられます。

目の神経や筋肉に麻痺を起こす可能性がある病気

  • 脳梗塞
  • クモ膜下出血
  • 外傷(頭部、顔、目)
  • 糖尿病

目の周辺に外傷をした人、糖尿病の持病がある人は、視力に異常を感じたらすぐ担当医に相談してください。

また中高年以上に多い脳血管の病気は命にもかかわる大病です。大人が急な斜視や視界のゆがみに気付いた時は、脳血管の病気を引き起こしている可能性も頭に置いて眼科または脳神経内(外)科を受診し、早く原因を見つけましょう。

異変に気付いたら早めの対処を!斜視・弱視を進行させないこと

斜視・斜位はセルフケアだけでは治せない病気なので、異変に気付いたら早めに眼科を受診して適切な治療を受けてください。

軽い斜位のうちなら、治療やセルフケアで症状を改善させ快適な視界を保つことができます。怖いのは、斜視が進行したり弱視を引き起こしたりして、生活の質が大きく低下してしまうことです。

両眼視という大切な機能を失わないよう、目はくれぐれも大切にしてくださいね。

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