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歯周病に大きく関係する受動喫煙!他人の煙でもリスクアップする

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タバコがもたらす害には様々なものがあります。その中でも他の人に対して不快感を強く与えるのが煙とにおいですね。また、ヤニが室内にこびりつくことによる不快さも迷惑なものだと思います。

しかし、実際本当に具合が悪いのは健康に対する悪影響です。いわゆる受動喫煙による他人への害もそうですし、タバコによって本人が病気になることで周囲に与える迷惑も大変大きいと言えるでしょう。

動脈硬化や糖尿病をもたらす…歯周病の原因にもなる喫煙

タバコに害があることをご存じない方はおられないでしょう。

  • 肺がん
  • COPD
  • 心筋梗塞
  • 脳卒中

いずれも高い確率で生命を危うくする病気ですが、すべて喫煙によっても引き起こされます。

それに比べれば命に係わることのない歯周病くらい、たかが知れているじゃないかと思われますか?実はそんなことないんですよ。まずは喫煙との関係から見てゆきましょう。

喫煙が歯周病の原因になる理由は2つの物質にあり!

歯周病と言えば、歯の表面に残った歯垢の中で雑菌が繁殖し、それが歯肉を腫れさせたり、骨を溶かしたりして歯が抜けてゆく病気ですね。

ならば歯を清潔にしておけば、喫煙は関係ないんじゃないかと思われるかもしれません。しかし、実際には1日10本以上吸う人の歯周病罹患リスクは、非喫煙者の5.4倍にも上ることがわかっています。

これには主に2つの物質が関与しているのです。1つはタバコの毒性物質として知らない人はいない「ニコチン」です。そしてもう1つは毒ガス「一酸化炭素」ですね。

ニコチンはコラーゲンやヒアルロン酸を作り出してくれることで、傷を治す時などにに役立つ線維芽細胞と言う細胞の働きを邪魔します。

また、血管を収縮させる働きがあるため、口の中の組織に栄養がいきわたらなくなります。そしてさらに、免疫機能も低下させてしまうため、歯垢の中で繁殖した細菌をやっつけにくくなるのです。

こうしてタバコのニコチンは歯周病の原因になるというわけなのです。

一酸化炭素はかつてガス自殺にも使われた毒ガス

多くの都市ガスでは1980年代に天然ガスに切り替えられたことで姿を消した石炭ガスですが、これには一酸化炭素が多く含まれていました。

切り替えが遅れた地域を含めても2009年度には完全に天然ガスに切り替えが終わっています。天然ガスはメタン・エタン・プロパン・ブタンなどの直鎖型炭化水素ガスですので毒性は全くありません。

かつて都市ガスが天然ガスに切り替わってすぐのころには、ガス会社が「天然ガスでは自殺できません」なんていう広告を行っていたのが、なんとなく懐かしくも可笑しい思い出ですね。

そういえば、ガス自殺しようとした人が、天然ガスに切り替わっていたため死ぬことができず、諦めてタバコに火をつけたら大爆発なんて事故も複数報道されていたように記憶しています。

一方、一酸化炭素は猛毒です。0.15%の一酸化炭素が含まれた空気中に1時間いると死に至ります。これは一酸化炭素が血液中のヘモグロビンと非常に強力に結びつく力を持っているからなのです。

その力は酸素の250倍の強さだといわれていますので、一酸化炭素をたくさん吸うと酸素を運ぶことができなくなるということなんですね。

それだけで急性中毒死するほどの濃度でないとは言え、この一酸化炭素はタバコの煙にも多く含まれています。

血流や血液の質が悪くなると歯周病につながる

ニコチンによって血管が収縮し血流が悪くなったり、一酸化炭素によって酸素が充分運べない状況が続くと、当然歯茎に栄養や酸素が必要なだけ行き渡らなくなり傷んできます。

そうなると歯周病菌が非常に繁殖しやすくなるんですね。また、歯周病の治療を行っても、こうした状況下では治療による改善効果が見込めません。

つまり、喫煙は歯周病の原因になると同時に、歯周病の治療を困難にする要因であるということなのです。

歯周病と糖尿病は互いをもたらしあう悪のペア

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糖尿病にかかると歯周病になりやすくなることはよく知られています。これは大規模研究などから、糖尿病を持っている人に歯周病患者が大変多いことが見つけられてわかった関係です。

糖尿病も血管にダメージを与える病気ですから、糖尿病が原因で歯周病になったり、歯周病が悪化したりということがあるのでしょう。

歯周病菌は殺菌されても毒素を残す

歯周病菌は口の中で繁殖するだけではなく、腫れた歯茎などから簡単に血液中に入り込んできます。血液中に入り込んだ歯周病菌は全身に行き渡ってしまいますが、免疫の力で多くはやっつけられてしまいます。

しかし、歯周病菌の破壊された細胞壁からエンドトキシンと言う毒素が出てきます。この毒素に刺激されてサイトカインの一種であるTNF-αと言う、がんを攻撃する物質が脂肪細胞から分泌されます。

本来ならがんなどの腫瘍を攻撃する因子なのですが、こうした病気もないのにTNF-αが血液中に増えると血糖値を下げるインスリンが効きにくくなったり、細胞への糖質の取り込みができなくなったりします。

つまり、歯周病菌が血液に入って殺菌されることが糖尿病の引き金になるということなのです。もちろん殺菌されないと敗血症などもっと厄介な病気になることもあります。

糖尿病になるとさまざまな合併症が待っている

糖尿病には様々な合併症があります。腎臓が悪くなったり、脚の壊疽から切断を余儀なくされたり、糖尿病性網膜症から失明につながることもあります。心筋梗塞や脳卒中は、糖尿病による動脈硬化がもたらす合併症ですね。

一方、心筋梗塞や脳卒中は喫煙の直接的な害として発生することも知られています。先にお話ししたニコチンや一酸化炭素による血管などへの障害が原因になるものです。

いわばタバコは、心筋梗塞や脳卒中などの直接攻撃によって喫煙者を撃ち漏らしても、糖尿病と言う二段目の攻撃で喫煙者の生命を狙っていると言っても良いでしょう。怖いですよね。

歯周病菌は直接動脈硬化の原因にもなる

まだ詳しいメカニズムはわかっていませんが、歯周病菌が動脈硬化に直接関与している可能性も指摘されています。詳しいメカニズムと言うと、実は歯周病菌がどのように歯周病を起こしているのかも判っていないことが多いのです。

P. gingivalisは、口腔の二大感染症の一つである歯周病の原因菌として非常に有名な細菌であり、歯周病原性細菌と呼ばれています。

歯周病の病巣局所から本菌が分離されるのはもちろん、動脈硬化症病変などからの分離も報告されており、本菌は歯周病原性細菌であると同時に全身疾患にも関与していると考えられています。

ここに示されているPorphyromonas gingivalisと言う菌種の細菌は、数百種類もいる歯周病菌の中で、糖尿病を引き起こす菌でもあるようですね。

自分で吸うよりも危険!?受動喫煙でもリスクが上昇する歯周病

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喫煙と言うと、タバコを口にくわえて煙を吸い込むわけですから、口の中は煙でいっぱいになります。だから歯周病の原因になるのは感覚的にもつかみやすいですよね。

でも、国立がんセンターの研究によると受動喫煙でも歯周病のリスクが上昇するケースが見られました。受動喫煙と言うと、口の中に煙を吸い込む確率は能動喫煙に比べると格段に低いですよね。

多くの場合は環境にあるタバコの煙を、鼻から吸い込むことが多いと思われる受動喫煙でも歯周病リスクが高まるというのは注目に値する研究結果だと思います。

最も歯周病にかかりやすかったのは受動喫煙の多い男性

この研究では、アンケート調査に答えた40歳から59歳の男女約15000人の内、歯科検診受診も受けた1500人余りを対象に分析したものです。

その人たちを男女別のほか、喫煙経験に応じて以下の6グループに分けました。

  • 自分でも吸わないし受動喫煙もない人
  • 家庭でのみ受動喫煙のある人
  • 職場など家庭以外でのみ受動喫煙のある人
  • 家庭でも家庭以外でも受動喫煙のある人
  • 過去に喫煙していた人
  • 現在も喫煙している人

その結果、男性では喫煙状況によって歯周病リスクが大きく変動することがわかりました。

以下、自分でも吸わないし受動喫煙もない人の歯周病リスクを1.00とした場合の比率です。

もちろん予想通り、現在も喫煙している男性の歯周病リスクは3.31と3倍以上も高くなっています。やはり喫煙は歯周病の大きな要因になることが見て取れますね。

それと同時に「家庭でのみ受動喫煙のある男性」でも3.14と、かなり高いリスクが見られたのです。一方、職場などでのみ受動喫煙のある男性のリスクは1.31と、統計的には意味のある差にはなりませんでした。

やはり家庭での受動喫煙は、ある程度広い空間が確保される職場などでの受動喫煙に比べると濃厚な受動喫煙になるのでしょうね。

さらに、非常に興味深いデータがあります。家庭と職場など家庭以外の場所の両方で受動喫煙のある非喫煙者男性のリスクは、自分でタバコを吸う男性より高く、3.61にまで上昇したのです。

自分でタバコを吸う人は、当然同時に受動喫煙機会も多いはずですから、このデータの差は統計的な誤差なのかもしれません。

しかし、最近の空気を導入することでニコチン量を減らしているタバコの場合、主流煙より副流煙の方に有害物質が多いのかもしれませんね。

また、受動喫煙によるリスク上昇がこれほど高くなるということは、口の中に吸い込んだ煙ではなくて、鼻から吸い込んだものまで含めて身体に吸収された煙の成分が悪さをしていると言えそうです。

一方、過去に喫煙経験を持っている人のリスクは1.81となっていますが、これは過去に喫煙経験のある人を、現在の受動喫煙の有無で分類しなかったことによる偏差ではないかとも思えます。

いずれにせよ、統計的にはデータのばらつきが多かったのでしょう、過去に喫煙経験のある人の歯周病リスクは高まっていないという扱いになっていますね。

ですので、今吸っている人も、タバコをやめるに越したことはないですよ。

女性はタバコに強いのか影響が出ませんでした

大変意外な結果なのですが、女性の場合、現在の喫煙者でもリスクは2倍程度、それ以外の女性では、過去に喫煙経験があったり現在受動喫煙があったりしてもリスクの上昇は見られませんでした。

これについては、研究グループが二つの推論を出しています。

1つは、女性はニコチンやニコチンが代謝された後の物質であるコチニンの排泄が男性に比べて早いため、受動喫煙の影響を受けなかったのではないかと言うものです。生理的に女性はタバコの害に強いのかもしれませんね。

もう1つは、アンケート調査などからわかった事実として、女性の方がタバコががんの原因になるという意識が高いからではないかという考え方です。

つまり、受動喫煙の環境から身を守る意識が男性より高いため、受動喫煙環境にいても実際にはそれほど吸っていなかったのではないかと言うことです。

これが正解だったとしたら、タバコを吸うご亭主を、換気扇の下やベランダに追いやった奥方の行動は非常に正しかったということになりますね。

世の旦那さん方、ホタルになるより禁煙の方へ舵を切った方がよさそうですよ。女性も含めて、さまざまな病気のみならず、歯を失うリスクを冒してまでタバコを吸う必要はないでしょう。

あなた自身が社会のリスクと言われないために

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この研究を行った研究グループは、喫煙は歯周病だけじゃなく、常に言われている通り循環器系や呼吸器系の疾患の原因になることを指摘しています。

そして、受動喫煙と言うのは社会全体が取り組むことによって減らせるリスクだということも訴えています。言い換えれば、喫煙する人は社会全体のリスクファクターになっているということですね。

あまりにも不名誉な扱いですが、21世紀の現代においては、それが社会の共通認識になりつつあるのは事実でしょう。不名誉を捨てて健康を手に入れるようにちょっと頑張ってみませんか。

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