健康生活TOP 膵臓癌(すい臓がん) 膵臓癌の予防は食事で魚を!魚のω3脂肪酸がリスクを下げた

膵臓癌の予防は食事で魚を!魚のω3脂肪酸がリスクを下げた

meuniere of fish

「すべてのがんの皇帝」(“The Emperor of All Cancer Maladies”)とまで呼ばれる膵臓がんと言うのは、診断や治療が大変困難な病気だとされています。

年間3万人くらいがこの病気で亡くなっていると言うことですが、早期発見すら難しいこの病気だけに治療・予防する方法が日夜研究されています。

そんな中、日本人の生活実態に合わせた食生活と膵臓がんのリスクの関係についての研究結果が発表されました。どうやら欧米の研究とは異なった結果が得られたようです。

膵臓がんは生存率が比較的低い病気

膵臓がんは60歳くらいからリスクが上昇して、年齢とともにリスクの上がる病気です。死亡数は、少し前までは男性の方が女性の1.7倍くらいあったのですが、2013年データを見ると男女差はなくなってきています。

また、罹患数を見るとこれも最新データでは男女差がそれほどなく、しかも罹患数と死亡数の間に大きな差は見られません。

罹患数が死亡数とほぼ同じと言うことは、生存率が低い病気だということを示していることになります。実際に、2013年のデータを見ると日本人のがん死亡の第4位になっているのです。

膵臓がんは発見しにくい病気

膵臓がんには、特に初期のうちには特徴的な症状がないため、早期発見が非常に難しいのです。膵臓がんの発見のきっかけになるのは、他の症状から偶然見つかるということが多いのです。

なんとなく食欲がないとか、胃が重苦しいとかの、他の病気でもよく見られる症状を訴えて受診し、他の原因が見つからないので突き詰めていったら見つかったと言うイメージですね。

発見の難しさは膵臓と言う臓器のある場所とも大きく関係してきます。膵臓はだいたい胃の裏側にあるのですが、膵臓の後には背骨と大動脈・下大静脈が通っています。また、背中側から見た場合、左の腎臓も膵臓の1/3くらいを覆っています。

そのほか、胃腸や肝臓、胆のう、脾臓も膵臓を取り囲んでいますから、身体の最も深い部分にある臓器と言っても過言ではないでしょう。

膵臓がんが見つかった時にはかなり進行している

このように大変見つけにくい膵臓がんですが、病期が進んでくると特徴的な症状が出てきます。それでも、他の病気でも見られる症状だけに判別は必要になります。

まず黄疸が出ることがあります。皮膚や白目が黄色くなる症状で、肝臓や胆のうの病気の症状として有名ですね。

さらに、血糖コントロールが急に悪くなったりします。これは糖尿病の症状なのですが、膵臓がんになると糖尿病が出ることも珍しくないのです。

このように、早期発見が事実上不可能と言っても大げさではないがんだけに、見つかった時には進行してしまっていて、その結果治癒できないという結果がもたらされているのが現状です。

膵臓がんの5年生存率は約7%、すべてのがんの中で最も低い数値になっています。これは比較的生存率の低い男性の肺がんの25%に比べても1/3以下と言う厳しい数字です。

5年生存率とは、がんの治療を開始してから5年後に生存している人の割合です。ですから、早期発見の難しいがんほど低くなるのは仕方ないことですが、1桁台と言うのは厳しい数字です。

膵臓は重要な2種類の仕事をしている臓器

膵臓と言うと、一般的にはランゲルハンス島(膵島)と言う組織にあるβ細胞から、インスリンと言うホルモンを出して血糖値を下げる仕事をしていることが一番有名なんじゃないでしょうか。

これは内分泌機能と言う膵臓の働きの一部です。そして、もう一つは消化液を作る外分泌機能を持った、消化器の一部でもあるのです。

膵液は三大栄養素を消化するオールラウンダー

膵臓から分泌される消化液、膵液には複数の消化酵素が含まれています。

消化酵素 消化対象
アミラーゼ でんぷん→マルトース
リパーゼ 脂肪→脂肪酸+グリセリン
トリプシン たんぱく質→アミノ酸
キモトリプシン たんぱく質→アミノ酸
ヌクレアーゼ 核酸→ヌクレオチド

膵臓の中には膵管と言う管が張り巡らされていて、その膵管がだんだん合流して2本の太い膵管になり十二指腸へ繋がっています。この膵管を通って膵液が消化液として腸に送り込まれます。

そして、膵臓がんの90%以上がこの膵管にできるがんなのです。膵臓がんの症状の一つに下痢がありますが、この消化液の分泌が悪くなることで起こっていると考えられます。

なお、消化酵素の内、たんぱく質を分解する2つの酵素は不活性型で分泌され、腸の中にある酵素によって活性化されるようになっています。

これが何らかのトラブルで膵臓の中で活性化されると、膵臓自体を消化してしまいます。これが命にもかかわりかねない急性膵炎なのです。

分泌されるホルモンはインスリンだけではない

もう、膵臓=インスリンと言うイメージで語られるくらい、インスリンと膵臓は切っても切れない関係です。しかし、膵臓が分泌するホルモンはインスリンだけではありません。

膵臓が分泌するホルモンは、すべて膵臓の中に数十万から数百万個も浮かぶ、小さな細胞組織「ランゲルハンス島」(膵島)で作られます。このランゲルハンス島には数種類の細胞があって、それぞれ異なるホルモンを分泌しています。

膵島細胞 ホルモン 働き
α(アルファ)細胞 グルカゴン 血糖値を上昇させる
β(ベータ)細胞 インスリン 血糖値を下降させる
δ(デルタ)細胞 ソマトスタチン 成長ホルモンの分泌抑制など
ε(イプシロン)細胞 グレリン 成長ホルモンの分泌促進など
PP細胞 膵ポリペプチド 消化管の分泌運動などに影響(推定)

このように、身体の働きにかかわるホルモンを分泌している重要な臓器でもあるのです。なお、ギリシャ文字のアルファベット順で言えば、γ(ガンマ)細胞があってしかるべきなのですが飛ばされています。

これはまだ働きがよくわかっていないPP細胞が3番目に発見された膵島細胞だからだとされています。もしかすると将来名前が変わるかもしれません。

このランゲルハンス島にもがんができることがあります。膵内分泌腫瘍と呼ばれることもあるもので、膵臓がん全体の2%程度、全人口では10万人に1人以下と極めてまれな病気です。

乳幼児から高齢者にまで幅広くおこりうる病気ですが、メジャーな膵臓がんに比べると、進行が遅く比較的予後の良好ながんだともいわれています。

知っているようで意外と知られていない膵臓の働き。身体の深いところにあるので、縁の下の力持ちと言うイメージの臓器ですね。

欧米の研究では魚食と膵臓がんの間に関係は認められなかった

欧米での多くの研究では、膵臓がん罹患リスクと、魚や魚の油に含まれるω3脂肪酸摂取の間には関連が見られないという報告が得られています。

しかし、最近減ってきたとはいえ、日本人は大変良く魚を食べる民族です。そこで、日本人を対象にした大規模研究が行われたのです。

魚を食べなくなった日本人でも欧米人の2倍以上食べている

最近の日本人は魚を食べなくなったと言われて久しいですね。確かにピーク時の1980年代後半に比べると3割弱程度減っているようです。それでも、前の東京オリンピックのころよりも多く食べているんですよ。

これは、日本人が裕福になったため、食事全体の質が上がったため魚が相対的に減ったように感じられるのでしょう。当時の食事は野菜が中心で、たんぱく質の摂取量も現在より少なかったのです。大豆が中心だったでしょうか。

1964年ごろと言えば、まだ肉類が食卓に上ることは少なかったと思います。あったとしても中心は鯨肉です。冷蔵もされず、乾物屋の店頭でハエがたかったような状態で売られていました。

そんな状態ですから、動物性たんぱく質の中心は魚だったため、安価に肉類が入手できる現在、魚を食べなくなったと感じるんでしょうね。

当時のデータで、日本人の魚摂取量は1人当たり50kg/年、2010年で53kg/年くらいです。欧米では1964年で15kg/年、2010年で22kg/年程度です。相対的には日本人の量が減ったともいえるでしょう。

一方、当時の日本人に膵臓がんは少ない病気でした。陸上動物性の肉をたくさん食べるようになったのも、膵臓がんの増加に影響しているのではないかと言う意見も数多く見られます。

欧米では白身魚の消費量が圧倒的に多い

欧米のデータを見ると水産物の摂取量に占める白身魚の割合が非常に高くなっています。アメリカで65%、ヨーロッパで77%です。それに比べると日本は約50%が白身魚ですから比率がかなり違います。

さらに、魚の分類にも日本と欧米では結構違いが見られます。サケ・マス塁についての認識が一番大きいかもしれませんね。

日本では青魚と言うと、小型で背の青いイワシ・アジ・サバ・サンマ・ニシンなどを指す場合が多いですね。栄養価的に見る場合、マグロやブリなどの大型の高級魚を含めることもあります。従って、サケ・マス類は白身魚に分類しています。

一方、アメリカではWhite Fish”と”Oily Fish”(油の多い魚)と呼び分けることが多いです。この場合、サケ・マス類はOily Fishの方に分類されるんですよ。

このような差がありますから、日本人の感覚で「魚をあまり食べない」「魚をよく食べる」と言うのは、欧米人のそれとはずいぶん差があるでしょう。そこで、今回紹介するような研究が行われたという訳なんです。

やっぱり日本人は魚をよく食べているんです。それでも減少傾向はあまりいいことではありませんので、できるだけ食卓にお魚を並べるようにしましょう。

日本人対象の研究では魚を食べることが膵臓がんのリスクを下げた

この研究では1995年と1998年のアンケートに回答し、がんにかかったことのない人約82,000人を対象に行われました。そののち、2010年まで追跡して、膵臓がんの発生と食べ物との関係を調べたものです。

この12年~15年の間に膵臓がんにかかった人は449人でした。そのうち追跡開始後3年以内に膵臓がんと診断された人は、他の要因の影響が大きい可能性があるので、対象者から除外して検討されています。

ω3不飽和脂肪酸が良いのか魚の脂肪酸が良いのかの研究結果

この研究では、まず魚介類をどのくらい食べたのか、ω3不飽和脂肪酸の摂取量はどの程度だったのか、そのうち魚介類由来のω3がどの程度だったのかと言う摂取量に応じて、全体を4つのグループに分けました。

ここで注目すべきはω3不飽和脂肪酸に、魚介類由来かどうかと言う分け方をしている部分ですね。これは魚介類ではないものにも、意外とω3不飽和脂肪酸が含まれているからなんです。

例えばノルウェーから輸入されているサバは、国産の真サバの3倍以上とが大変多くω3不飽和脂肪酸を含んでいる魚ですが、それよりくるみや菜種油のほうがより多く含んでいます。

ちょっと変わったところでは海の哺乳類、鯨の皮には非常にたくさん含まれているのです。もちろん一番はエゴマです。ω3のうち、αリノレン酸の健康効果でとても有名になりましたね。

アマニについては、2010年版の日本食品標準成分表には掲載がありませんでしたが、2015年12月25日に公開されたばかりの2015年版には追加されていました。

それによると、エゴマとほぼ同等ですね。植物性のこの2つは、ω3全部がαリノレン酸だというところも注目すべきでしょう。

さて、結果を見てみましょう。

risk of pancreatic cancer (fish)

このように、魚介類を食べても、ω3不飽和脂肪酸を摂っても、膵臓がんのリスクはそれほど変化していません。これは欧米で見られた結果と同じですね。

強いて言えば魚介類を最も多く食べたグループで、統計的には有意でないものの、少し下がる傾向はあるのかもしれません。

一方、魚介類由来のω3を一番たくさん撮ったグループは、統計的に有意の数値として最も少なかったグループより26%もリスクが下がっています。

これは魚介類には白身魚やエビ・カニ・貝類なども含まれていて、必ずしもω3が多いとは言い難いという要素があったのかもしれません。

それに比べて、魚介類由来のω3に絞ったことで、ω3の少ないものを排除できたから傾向がはっきりしてきたのかもしれません。しかし、魚介類由来に限定するかどうかで傾向が変わったのはなぜでしょう。

脂肪酸ごとの膵臓がんに対する影響はまちまちだった

そこで今度は、具体的な脂肪酸ごとに影響が調べられました。分析はメジャーな4つのω3不飽和脂肪酸について行われています。

  • αリノレン酸
  • エイコサペンタエン酸
  • ドコサペンタエン酸
  • ドコサヘキサエン酸

結果を見てみましょう。
risk of pancreatic cancer (type of fatty acids)

このように、脂肪酸の種類ごとに大きな差が出ました。統計的に有意ではないとは言え、αリノレン酸は期待とは逆に、多く摂るほどリスクが上がっているのは驚きです。

一方、DHAについては最も多く摂った人のリスクが3割以上少なくなり、これは統計的にも有意の数字と言うことにも注目ですね。DHAは、意味のある量が摂れるのは魚からだけです。

DHAが多い魚介類と言うとどんなものがあるでしょうか。生の状態で見てみました。

  • マグロ・脂身
  • 大西洋サバ
  • すじこ・イクラ
  • ブリ
  • ハマチ
  • サンマ
  • タチウオ
  • マイワシ
  • ウナギ
  • カツオ

ほぼ世間のイメージ通りですね。DHAを有効に摂るには、背の青い魚がベストでしょう。

食生活を見直して膵臓がんを予防しよう

膵臓がんは診断も治療も難しいのであれば、予防が一番です。今回紹介したデータから見ても、青魚を中心とした食事はかなり有効そうですね。

特に、肉と置き換える場合、油の多い青魚の方が満足度も高いでしょう。

また、たくさん食べると言っても限界がありますが、昔の日本で膵臓がんが少なかったという事実に照らせば、魚を食べることで相対的に肉が減れば好ましい影響が期待できるかもしれません。

ハマチのお刺身、サバの塩焼き、小アジの南蛮漬け、タチウオのムニエル、カツオのたたき、ウナギのかば焼き、イクラ丼…

う~んおなかが減ってきました。皆さんもいかがですか。

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