健康生活TOP 動悸 動悸や不整脈は女性にとって危険!死亡リスクの高まる症状は

動悸や不整脈は女性にとって危険!死亡リスクの高まる症状は

胸をおさえて苦しむ女性

動悸や不整脈は経験したことがある、という方が多い症状でしょう。すぐに治まって問題にはならない物の、心臓に異常を感じるだけに不安なものです。

こうした症状は男性の方が女性よりずっと多いのですが、症状として現れると、生命にも関わりかねない重症になりやすいのは女性の方なのです。

神経質になり過ぎるのもよくありませんが、少しは気にしておく方が良いかもしれません。「心房細動」について詳しくお話します。

動悸・不整脈は加齢のシンボル?でも若い人でも起る

動悸や不整脈と言うと、何となく加齢が原因のようなイメージをお持ちの人が多いでしょう。確かに加齢も誘因の一つには間違いありませんが、だからと言って若い人に少ない症状かと言うとそうでもありません。

例えば不整脈の一種である心房細動の場合、40代くらいに初発して年齢とともに増えるものもありますが、年齢性別に関わりなく発生するものもあります。

今回は、その心房細動について見て行きましょう。

動悸とは自覚症状であって病名ではない

「動悸・息切れ」などのような説明で市販薬の効能としてよく謳われる関係で、動悸が病名であるように勘違いされることもありますが、動悸とは「心臓がどきどきするように『感じられる』自覚症状」のことです。

ですので、動悸がある場合、医院・病院を受診してその原因が何かを調べておいた方が良いですね。意外と動悸を引き起こす病気は数も種類も多いので、原因を見つけて治療することは重要です。

一方、動悸と言う症状そのものについてはどういうメカニズムで起こっているのかは、完全には解明されていません。単に安静にするだけで軽快する場合もあれば、うしろに大きな病気が隠れている場合もあります。

【受診の目安】

 動いた時に動悸や息切れを感じ休息をとったが、症状がなくならない。あるいは、安静にしていても動悸・息切れを感じることがあり、その回数が増えてきたなどという時には、早めに受診をしたほうが良いでしょう。

このようなアナウンスもされていますので、これを参考に不安があれば、近くのお医者様にまず診てもらいましょう。

不整脈は他覚症状がみられるもので自覚症状がない場合もある

他覚症状とは、心電図などに脈の乱れが記録されるものです。ですので、健康診断などで心電図をとり、それに波形の乱れが記録された場合でも、本人が全く気付いていないと言う場合もあるんですよ。

この不整脈にはたくさんの種類があって、その中に今回の話題の中心である心房細動も含まれています。

心房細動と言うと、「あのAEDと言う装置で助ける病気ね」と思われるかもしれませんが、あれは心室細動と言って、心臓の下半分で起こる不整脈です。

心室細動も不整脈に含まれますが、より危険で、不整脈と言うよりむしろ「心停止状態」ですから一刻を争うものと言えるでしょう。

それに比べると、今回話題の心房細動は注意が必要なものの、一刻を争うような病気ではありませんし、割合多くの人が抱えている病気でもあるのです。

AEDもずいぶん普及しましたので、社会がより安全になりました。今回話題の心房細動に使うことはありませんが、使い方を覚えておくと、万が一「心室細動・心停止」の人に出会った時、救命活動に役立つでしょう。

【AEDを使った救命の仕方-日本心臓財団】

心停止は心静止の一歩手前で、救命措置を施せば助かる可能性はあるんですよ。

心臓は自前の電気信号のリズムで動いている

心臓はどうやって動いているのかと言えば、心筋細胞に大量に存在しているミトコンドリアが作り出すATP(アデノシン三リン酸) をエネルギー源として動いています。

そして、拍動と言うリズミカルな動きは、心臓自身が持っている小さな発電機の出す電気信号が、カルシウムイオンを利用して心臓全体に伝わることで作られるのです。この時にナトリウムイオンとカリウムイオンも大きな働きを担っています。

心臓は自律神経で動いているのではない

よく、寝ていても心臓が動くのは自律神経の働きだと言いますが、これは必ずしも正解ではありません。そのことは、脳死状態でも心臓が動き続けることからある程度は想像がつきますよね。

心臓は脳が死んでから後も、自分自身が持っているペースメーカー細胞が出す信号に従って拍動を続けます。もちろん、脳が死んでしまうと他のメカニズムが止まるため、心臓もそれほど時間をおかずに停止することになるんです。

また、その対極にある出生の時ですが、お母さんのおなかの中で、赤ちゃんの心臓は自律神経より先に完成して拍動を始めます。そしてその後、自律神経系も完成して心臓めがけて神経が延びてくるのです。

自律神経系は、必要に応じてアドレナリンなどのホルモンの分泌を促し、そうしたホルモンが心臓に届くことによって拍動のリズムが速くなるようになっているのです。

つまり、心臓は自分で動いているけれど、動き方は自律神経の制御下にあると言うのが一番近いかと思います。

ペースメーカーとは心臓が本来持っている機能

心臓ペースメーカーと言うと、心臓が弱っている人が体内に埋め込んで心臓に電気刺激を与えるものと言うイメージがあるかと思います。これは、実は心臓が持っている機能を真似て作られた装置なのです。

心臓の右心房の上には洞結節と言う小さな発電器官があります。この洞結節が一生の間、一定のリズムで電気信号を出し続けると言うわけなのです。その回数は、一生のうちに30億回から40億回とも言われていますね。

心臓の働きとその流れの略式図

この洞結節と言う器官で作られた電気信号(上図1)は、最初左右の心房に伝えられます。心房は心臓に戻ってきた血液を受け入れる場所です。右心房は全身から戻ってきた静脈血を受け入れます。

また、左心房は肺で二酸化炭素を捨て酸素をたっぷり貰って戻ってきた血液を受け入れているのです。電気信号によって収縮した後、拡張することで血液を心臓に受け入れます。(上図2)

心室は、心房から送り込まれた血液を心臓から送り出す場所です。右心室は全身から戻ってきた血液を右心房から受け取って、肺に向かって送り出します。一方、左心室は肺から戻ってきた血液を左心房から受け取って全身に送り出す働きをしているわけです。

この電気信号は房室結節(上図3)と言う部分を通りますが、この部分は他の部分より信号が伝わりにくくなっていますので、心房に対して心室ではわずかに遅れて伝わります。(上図4)

そうすると、心房が収縮して心室に血液が送り込まれたわずか後から心室が収縮することになりますね。その結果、先に心房が心室に血液を送り、少し遅れて心室が身体に血液を送り出すので、血液の流れがスムーズに行われると言うわけです。

この洞結節の働きが悪くなった場合などに、洞結節の代わりに電気信号を作って心臓に与えているのが埋め込み型心臓ペースメーカであると言うわけなのです。

心電図はこの電気信号を皮膚表面で捉えてグラフにしたもの

健康診断などで皆さんが検査されている心電図は、この心臓を動かしている電気信号が伝わって行く様子(興奮伝達)を捉えてグラフにしたものです。良く目にするグラフは、次のような波形が連続したものですね。

心電図の正常な波形

この形が一定の間隔で並んでいる物が正常な波形です。波の途中に数字が打ってありますが、これは前の図に振ってある番号の所を電気信号が通った時におおまか相当します。この中で最も高くなっているのが心臓が収縮した時の電流です。

この絵の形がいくつも「等間隔に」つながったのが正常な心電図の波形ですが、今回話題の心房細動があると、まずグラフの間隔が均一でなくなります。目安にするのはこの最も背の高い部分が均等な間隔で並んでいるかどうかです。

そしてもう一つは、この絵の形がつながっている部分は、正常だと平坦な線になるのですが、心房細動があると波打つような小刻みな震えが記録されるので、そこに注目します。

心臓とは実にうまく作られているだけでなく、その信号を体外から、身体に傷をつけることなく観測できるのは素晴らしいことですね。

心房細動が原因で死ぬことはないが別の危険な病気を引き起こす

心房細動では「脈が速くバラバラに打つ」と言う感じの、特徴的な自覚症状があります。これは最初の絵で2に相当する部分の信号の伝わり方がおかしくなって、いわば信号電流が空回りしたような状態になっているのです。

心房細動はリズムの不整(心臓の心拍数やリズムが一定でない状態)や頻脈(心拍数が高い状態)自体が命に関わることはほとんどありません。

しかし、心拍数が高い状態が長く続くと、心臓の収縮機能が低下し心不全を引きおこすことがあります。

また、心房細動中は心房の収縮が速く不規則なため、心房の中の血液の流れるスピードが低下しうっ滞(血液が上手に流れなくとどまってしまう状態)しています。

このように、長い間この状態が続くと心臓が弱ってしまうので、異常を感じたら早めの受診と治療を行うようにして下さい。ただ、心臓の異常は精神的に大きなストレスになるので、さらに不整脈を呼ぶことがあります。

いわば悪循環ですね。でも、こうした精神的ストレスによるものは、病院での検査で器質的な心臓の病気とは見分けて下さいますので、安心して受診して下さい。

心房細動や不整脈は心筋梗塞などの心血管疾患が原因ではない

不整脈などがあると、心筋梗塞などの心血管疾患が原因ではないかと心配になることもあります。しかし、心血管疾患とは全く別の系統で発生するのが心房細動などの不整脈です。

心筋梗塞などの心血管疾患は、その名の通り心臓に栄養と酸素を送っている血管にトラブルが起こる病気ですね。それに対して不整脈は、心臓を動かす信号伝達系にトラブルが起こっているのです。

不整脈は電気系統の故障ですから、血液の流れが障害されたことによる心筋梗塞などとは、直接関係しない物だと言って差し支えありません。

心房細動の合併症の中で問題なのは血栓

心房細動があると、血液が流れにくくなり、心臓の中で血栓ができやすくなります。この血栓は何かのはずみで心臓から出て行き、脳の血管で詰まることがあるのです。

これが「心原性脳塞栓症(脳梗塞)」です。心原性脳塞栓症は脳梗塞の中でも最も危険なもので、2割程度の人が亡くなり、死亡を含めて半数が再発や重篤な後遺症に悩まされる状態になっています。

これは他の脳梗塞に比べて、心臓から流れてくる血栓が大きく太い血管が詰まることで、脳の広い部分にダメージが与えられるからだとされています。

ですので、慢性的な心房細動が検査で見つかった場合、血栓ができないよう抗凝固薬を継続して服用する治療が行われることになるでしょう。

自覚症状がない場合は、治療を継続するのが嫌になるかもしれませんが、心原性脳塞栓症は多くが全く無症状から突然発症して帰らぬ人になることも少なくない病気なので、心房細動が見つかったら幸運だったと考えて治療を受けて下さい。

心房細動の人のリスク要因と投薬治療

心房細動が見つかった場合、次の症状の有無で点数をつけ、合計点数が2点以上になったら抗凝固薬の投与が行われます。逆に言えば、これを見て自分で2点以上だなと感じた方は、心電図検査を受けておくことを強くお勧めしたいですね。

  • 脳梗塞になったことがある(2点)
  • 心不全である(1点)
  • 高血圧である(1点)
  • 糖尿病である(1点)
  • 75歳以上である(1点)

いかがですか?心電図上で心房細動が見られて、高血圧と糖尿があれば適応範囲に入ります。意外に気づかずにおられる方も少なくないのではないでしょうか。

直接生命の危険はなくとも、意外に心房細動はリスクがあるのです。健康診断はきちんと受けておきましょうね。

40歳になったら人間ドックもお勧めです。

心房細動は女性に対して大きなリスクがあることが判った

このように、心原性脳塞栓症と言う、直接生命に関わるリスクがあるわけですから、心房細動は生命に関わると言える部分があるようですね。

そうしたことから、イギリスの研究グループは30のコホート研究を対象に複合解析を行い、リスクに関して性差があるのかどうかを調査し、その結果を2016年1月に発表しました。

男女を問わず心房細動は総死亡を上げていた

その結果を見ると、トータルでの総死亡は非心房細動患者に対して心房細動患者は男女ともに高くなっていたと報告されています。一方、その割合について見てみると、女性で1.69倍、男性で1.47倍でした。

各コホート研究ごとに見比べてみると、その総死亡の上昇率にはばらつきが多く見られましたが、いずれの研究においても女性が男性よりリスクが高く、その比率を見てみるとどの研究でもだいたい同じ数値です。

割合にすると、女性の方が男性の1.12倍のリスクを持っていたと言うことになっていました。

その他の死亡リスクや疾病リスクも女性が高い

心房細動が起こす他の病気のリスクの男女比

その他の心臓や脳に関わる病気も、心房細動を持つ人の中で男女を見比べた場合、このように女性のリスクが高くなっていることが判りました。

冒頭で紹介した通り、いわゆる不整脈患者は男性の方がずっと多いのですが、それが危険な状態に繋がりやすいのは女性の方に多いのです。

男性に比べると、家庭に入っている人の割合が高い女性では、心電図を受ける機会も男性より少ないかもしれませんね。できれば年に一回は健診を受けるように心がけて下さい。

たかが動悸や不整脈と軽視していると危険であることもあるのです。一度は受診して、危険性がないかどうかは確認しておきましょうね。
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