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脈が早いのはなぜ?心配ない頻脈と病気が原因で起こる頻脈の症状

胸が痛くておさえる女性

ふとした瞬間に「あれっ、いつもより脈拍が速い。」「やけに心臓がドキドキしている…どうしたんだろう?」と脈の変化が気になったことはありませんか?

心臓は命に関わる重要な臓器というころもあり、脈拍がいつもと違うとなんだか不安になってしまいますよね。

脈拍が標準より速い状態を「頻脈」といい、心配ないケースと疾患が原因で起こるケースがあります。頻脈にはどのような種類があるのか、原因と対処法をチェックしてみましょう。

頻脈・不整脈・動悸とはどんな状態?心臓の拍動が起こるメカニズムとは

私達の生命を維持している主な臓器は心臓と肺です。

心臓は酸素が豊富な血液を動脈へ送り出し、不要な二酸化炭素を回収した血液を静脈から肺に送り返し、肺で酸素を受け取ってリフレッシュした血液が心臓に届けられる…この血液循環によって全身の組織が健康に保たれています。

人体における血液循環の流れをあらわしたイラスト

血液は、心拍(心臓の拍動)によって全身に送り出されます。心拍は規則正しいペースで行われ、心拍数(1分間あたりの心拍の回数)は年齢によっても異なります。

▼心拍数の標準値(回/1分間)

高齢者 60~70
成人 60~80
学童 80~100
乳児 120~140

心拍は何らかの原因によって早くなったり遅くなったりと常に変動しています。心拍数が60回/分以下になると「徐脈」と呼ばれ、成人の場合で100回/分以上の速い脈になると「頻脈」と呼ばれるようになります。

心臓の拍動が起こるメカニズム

このように規則正しく心臓が動くメカニズムについても説明しておきたいと思います。

心臓は、左右にある心房と心室の計4つの部屋から構成されています。心房は血液が肺って来る部屋、心室は血液を送り出す部屋です。心拍によって心臓がポンプのような動きをして血液が全身へ送り出されます。

心拍のドクン、ドクンという一定のリズムを作り出しているのは、右心房の近くにある「洞結節(洞房結節)」です。

洞結節で発生した電気刺激が「刺激系伝導」という電気の経路を通って右心房下にある「房室結節」へ伝わることで、心房と心室が収縮を繰り返して血液が送り出されます。

心臓の鼓動が起こるメカニズムをあらわしたイラスト

洞結節は天然のペースメーカーとも呼ばれ、平常時には成人で1分間に60~80回の規則正しい電気刺激を送ります。

手首の動脈を指で触れると、規則正しい脈が感じられます。1分間の脈の回数を「脈拍数」といい、健康な場合は、洞結節が1分間に送る電気刺激の回数、心拍数、脈拍数が全て同じ回数になります。これらの回数がバラバラになるのは異常で「不整脈」と呼ばれます。

ちなみに赤ちゃんや子どもの心拍数が大人より多いのは、心臓が小さく一度に送り出す血液の量が少なく何度も血液を送り出す必要があるためです。

心配ない頻脈の原因、疾患が原因で起こる頻脈の原因

徐脈は危険な場合が多く、某結節が機能していない時、薬物の副作用が起こった時などにみられます。脈がゆっくりになることで脳に送られる血流が不足し、めまいや失神を起こす恐れがあるので速やかに適切な対処をとる必要となります。

一方、頻脈には心配ない場合と何らかの疾患が原因で起こる場合があります。

心配ない頻脈 疾患が原因で起こる頻脈
  • 緊張した時・驚いた時
  • アルコールの摂取
  • カフェインの摂取
  • ニコチンの摂取
  • 薬の副作用
  • 入浴時
  • 発熱
  • 脱水
  • 心筋炎
  • 甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
  • 貧血
  • 更年期障害・自律神経失調症

頻脈が起こるメカニズム

頻脈が起こると、胸の切迫感を感じて不安を覚えることもあるのですが、頻脈が必ずしも良くない現象というわけではありません。

心拍は、エネルギーがたくさん必要になる時、自律神経のひとつ「交感神経」のはたらきが優位になっている時に回数が増えます。

エネルギーがたくさん必要になると心拍数が増えるのは、エネルギーを作る時に酸素が必要になり、その酸素を細胞に送り届ける血液を心臓から大量に送り出そうとするためです。

例えば運動した時に心拍数が増え息がハアハアとはずむのも、運動によって大量のエネルギーを消耗し、速やかにエネルギーを作り出すために酸素が必要になっているからなのです。

また、運動以外でもなんらかの刺激を受けて交感神経が優位にはたらくと、副交感神経とのバランスが元に戻るまでの間、心拍数が一時的に増えます。しばらくして自然におさまり、その後に体に異常がなければ一時的な頻脈は問題ありません。

心拍数が増えて胸がドキドキと強く打つ感じがする症状を「動悸」といいます。動悸は不安や息苦しさを伴いやすいため、人によっては「大丈夫だろうか?」と過剰に心配になってしまうことがあります。

頻脈や動悸が起きた時にパニックになると、余計に苦しくなってしまう場合があります。冷静に対処するためにも、頻脈のメカニズムを知り、心配ない頻脈と疾患が原因で起こる頻脈の違いや対処法をチェックしておきましょう。

誰もが日常で経験する「緊張した時・驚いた時」の頻脈は必要なら検査を受けよう

緊張した時、恥ずかしい時には、勝手に心臓がドキドキして脈拍数が増えますよね。また驚いた瞬間には胸が強くドキッ!とすることがあります。これらは、交感神経が危険を察知した時に起こる生理的な反応です。

自律神経は動物の生命を維持するために備わっている神経で、交感神経にはなんらかの危険に遭遇した瞬間に「逃げなさい」または「闘いなさい」と体に指令を出す役割があります。

動物にとっての危険は外敵に遭遇した時、私達ヒトにとっては「緊張する」「恥ずかしい」といったネガティブな感情が、生きていく上での「ストレス=心身の危機」となります。

緊張や強いストレスが去ると交感神経の興奮もおさまって脈拍数は自然と元に戻るので、頻脈が一時的ならば特に問題ありません。

ただし強い緊張や不安が長く続くと、動悸もずっと続いて疲れやすくなってしまう場合があります。

また、緊張時の動悸がトラウマになってあがり症に移行したり、交感神経の興奮から睡眠障害に陥って、緊張による頻脈が日常生活の支障に発展してしまう人もいます。

このように緊張や不安で起こる頻脈や動悸で困っている人は、緊張や不安の原因を解消することが必要なのですが、どうしても辛い場合は心療内科や循環器科を受診して検査を受け、不安をやわらげる薬を処方してもらうのもひとつの対処法といえます。

心配ない頻脈「アルコール・カフェイン・ニコチンを摂取した時」

飲酒や喫煙、カフェインを摂取した時に頻脈や動悸が起こることは皆さんも経験からよくご存じのことと思います。

これは、アルコール・カフェイン・タバコに含まれるニコチンに心拍数を増やす作用があるために起こる現象です。

アルコールが頻脈を起こす理由
飲酒した時に心拍数が増えて動悸が起こるのは、アルコールが分解されて発生する「アセトアルデヒド」という物質に心拍数を増やす作用があるためです。

アセトアルデヒドは、頭痛や吐き気など悪酔いや二日酔いをもたらす有害な物質ですが症状は一過性で、無害な酢酸に分解されると酔いが醒め、動悸や頭痛もおさまります。

カフェインが頻脈を起こす理由
カフェインには交感神経を興奮させる作用があります。そのためカフェインに感受性が強い人はコーヒーや緑茶などカフェインが多く含まれるものを摂取すると、動悸、イライラ、頭痛、不眠などが起こります。これらはカフェインの中毒症状とも呼ばれます。

カフェインが尿と一緒に排出されると症状は消えます。

ニコチンが頻脈を起こす理由
煙草に含まれるニコチンは、心筋の収縮に作用して心拍数を増やすことが分かっています。ニコチンには、血圧を上昇させ末端の血管の血行を妨げる作用があります。

喫煙するとニコチン依存症になる可能性が高いといわれ、ニコチンの弊害でさまざまな健康障害が起こりやすくなってしまうので、禁煙が推奨されています。

アルコール・カフェイン・ニコチンによる頻脈も一時的な現象なので、頻脈自体はあまり心配ないのですが、お酒、カフェイン、タバコは常用することで生活習慣病などの弊害をもたらすことが示唆されている嗜好品です。摂取する場合はたしなむ程度にとどめたいですね。

「頻脈の副作用が想定されている薬」は正しい方法で服用を

血管を拡張させる薬、副交感神経のはたらきを抑える薬を服用すると動悸の起こる場合があります。軽い副作用が起こることが想定されていますが、副作用が一時的ならばそれほど心配する必要はありません。

心拍数を亢進させる副作用が想定されている薬には、胃酸の分泌を抑えるH2ブロッカー胃腸薬、喘息に処方される気管支拡張薬、亢進症の薬、抗うつ剤などが知られます。

副作用をなるべく防ぐには、医師や薬剤師の指示に従って処方された薬を正しく服用することが大切です。

一過性の副作用が起こることの想定されている薬は、服用後にしばらく安静にして過ごすとより安心です。

熱いお風呂による心臓の負担には注意したい「入浴時の頻脈」

熱いお風呂につかっていると交感神経が刺激を受け心拍数が増えます。

これは熱いお湯に入ると交感神経が刺激を受けること、さらにしばらくお湯につかっていることで血管が水圧で押され、肺や心臓に戻る血流が強くなって心臓に負担を与えてしまうことが原因となっています。

熱いお風呂に入ると、部屋や浴室の室温とお湯に大きな温度差が生じます。すると、お風呂の出入りによって自律神経が血圧を急激に上げたり下げたりして血管と心臓に大きな負担を与えてしまいます。特に42℃を超える熱いお風呂に入るのは健康上好ましくありません。

一方、39℃以下のお湯は交感神経をあまり刺激しないので心拍数が急激に上昇することはありません。ぬるめのお風呂に入ると副交感神経が優位になって血管が拡張し、温浴効果とリラックス効果が高まるとされています。

入浴中に心臓がドキドキし始めたらお湯の温度を少しぬるくしたり、一度湯船から出て少し休憩することをおすすめします。

40℃以下の発熱時は体温に比例して心拍数が増える

40℃くらいまでの発熱時には頻脈を伴います。

発熱時に頻脈が起こる理由

発熱時の頻脈は、体温の上昇に伴って心筋のはたらきが亢進して心拍数が増えるために起こります。また、発熱時には体力を消耗するため、エネルギーを作る酸素が大量に必要となるために心拍数が増えることも関係しています。

体温の高さと心拍数は比例しており、体温が1度上がるごとに心拍数が8~10回/分ずつ増えます。

発熱による頻脈の対処法

発熱時は心臓がドキドキして辛くなりますが、発熱そのものはウイルスや細菌を殺すための生体防御反応なので、37~38℃台の発熱時にはむやみに解熱剤を使って熱を下げようとするのは良くありません。

ただし、39℃以上の高熱が続いて体力の消耗が激しい時は解熱剤で熱を下げる必要があります。

頻脈は脱水状態のサインでもある!速やかに水分補給を

日常生活で誰でも意外と陥りやすいのが脱水ですが、頻脈は脱水状態に陥った時のサインになる場合があります。

脱水で頻脈が起こる理由

大量発汗や下痢・嘔吐によって大量の水分を失ったまま水分補給ができていないと、体が脱水状態に陥ります。

脱水状態になると血液中の水分量も減り、少なくなった血液を全身に循環させようして心臓のはたらきが亢進するため、平常時よりも脈拍数が増えます。

脱水状態に陥った時の症状

一般に脱水状態は本人の自覚が乏しいことが多いのですが、次のような症状で気づくことができます。

  • 倦怠感・眠気
  • 心拍数の増加
  • 皮膚の乾燥(手の甲の皮膚をつまんだ後、つまんだ皮膚が元に戻らない)
  • 爪を押すと白いままピンク色に戻らない
  • 手がヒンヤリしている
  • 排尿回数・尿量の減少

また脱水が著しくなると、頻脈、血圧の急低下、昏睡など重篤な症状が起こり非常に危険です。

脱水時の対処法

脈拍数の増加の原因が脱水だと気付いたら、速やかに水分、塩分と糖分を補給しなければなりません。

塩分は発汗・下痢や嘔吐によって失われたナトリウムの補給、糖分は体力を回復させるエネルギーの材料です。

水分補給に適しているのは、ナトリウムと糖分が体に吸収されやすい形で配合されているスポーツドリンクまたは市販の経口補水液です。なければ、水1リットルに塩小さじ1/2杯と砂糖大さじ4杯半を溶かした手作りの経口補水液で代用できます。

脱水を起こしている人が水分補給できない場合、意識がもうろうとしている場合は、速やかに病院へ搬送してください。

梅雨時~初秋の高温多湿時には、室内にいても軽い熱中症にかかって脱水が起こる場合があります。また下痢や嘔吐、出血があった後は特に脱水に注意してください。

風邪やインフルエンザの後に起こりやすい「心筋炎」の頻脈

何らかの原因で心筋にウイルスが感染する「心筋炎」を発症すると、頻脈の起こる場合があります。

心筋は心臓を覆う筋肉で、心臓を収縮させてポンプのように動かす役割があるため、心筋に炎症が起こると心臓のポンプ機能が低下し、心不全を起こして命に関わるおそれが出てきます。

心筋炎には、急性心筋炎、慢性心筋炎、劇症型心筋炎などの種類があり、急性心筋炎が最も多くなっています。

心筋炎の原因

急性心筋炎のほとんどは風邪やインフルエンザのウイルス感染で起こり、特に風邪や髄膜炎を起こしやすい「コクサッキーB群ウイルス」が原因になりやすいといわれています。

年齢に関係なく、それまで心臓が健康だった人も急に発症する病気です。

心筋炎の症状

風邪やインフルエンザの症状が出た後、心臓に次のような症状が起こります。

  • 発熱
  • 倦怠感
  • 頻脈
  • 胸痛
  • 息切れ
  • むくみ

急性心筋炎の症状のあらわれ方は人それぞれで、風邪のような軽い症状だけで済むこともあれば、心臓の機能が低下して頻脈や胸痛を引き起こすこともあります。

また急性心膜炎から劇症型心筋炎に進行すると、心不全(心臓の機能が著しく低下してしまうこと)に陥ったり短期間で突然死を引き起こしたりする場合があります。

心筋炎の治療法

心筋炎は、風邪やインフルエンザがこじれたと勘違いして見過ごしやすい病気です。

しかし、容体が急変して短時間でショックや呼吸困難に陥ることもあるので、風邪やインフルエンザを発症した後、頻脈や胸痛といった心臓に関連する症状が少しでもみられたらすぐ病院で循環器科を受診することがのぞましいです。

病院では血液検査、心電図、レントゲンなど検査を行い、心筋が壊れた時に血液中に出てきている心筋トロポニンTという物質の有無を調べることで心筋炎かどうか判断することができます。

治療は、入院して安静にし、心臓のポンプ機能を強化するための強心剤や心臓の負担を抑えるための利尿剤などを投与します。心不全など重症の場合は、心肺補助装置によって心臓のポンプ機能を補助する場合もあります。

急性心筋炎の回復後は体調管理を行い、心筋炎再発の原因になりやすい風邪やインフルエンザ、喘息、肺炎などに注意して過ごす必要があります。

女性に多い「バセドウ病(甲状腺機能亢進症)」でも頻脈が起こりやすい

20~40代の女性に起こりやすい病気に「バセドウ病(甲状腺機能亢進症)」があります。頻脈は、バセドウ病の代表的な症状の一つでもあります。

バセドウ病とは、「甲状腺ホルモン」の分泌量が過剰になるため全身にさまざまな症状が起こる甲状腺の病気です。1000人に1人くらいの割合で発症するといわれ、男性より女性のほうが10倍発症しやすくなっています。

バセドウ病の原因

バセドウ病は、自分の体を攻撃してしまう「自己免疫疾患」の一種です。甲状腺を攻撃する抗体が作られ、攻撃を受けた甲状腺の機能が異常に亢進して発症します。

抗体が作られる理由ははっきり分かっていません。ただ、同じ家系にバセドウ病の人が多いことから発症には遺伝も関係するのではないかと考えられています。

バセドウ病の症状

首にある甲状腺が腫れるので、前から首を見るとのどぼとけの周辺が膨らんでいるように見えます。

また、甲状腺ホルモンには新陳代謝を促進させる役割があるため、甲状腺ホルモンの分泌が過剰になると、新陳代謝が活発になり過ぎてしまいます。そのため、あら

  • 疲れやすくなる
  • 体重の減少
  • 動悸・息切れ
  • 震え
  • 発汗
  • 暑がりになる
  • 食欲が旺盛になる
  • 精神が不安定になる

ちなみに、バセドウ病は目が飛び出て見える症状(眼球突出)が有名ですが、眼球突出が起こるのは一部の患者さんだけです。

バセドウ病の治療法

特に何もしていなくても動悸がしたり疲れやすくなったりし、首を触って太くなったように感じられる場合は、バセドウ病の可能性があると考え、内分泌科、甲状腺科などで検査を受けてください。

バセドウ病は、血液検査で甲状腺ホルモンの血中濃度と甲状腺を攻撃する抗体の多さを調べることで判別することができます。また血液検査で分かりにくい場合はアイソトープ検査(放射性ヨウ素を服用し、甲状腺にヨウ素が集まるかどうか調べる検査)を行う場合があります。

治療は、症状にあわせて薬による内科的な療法と甲状腺を切除する外科的な療法が選択されます。

甲状腺ホルモンの分泌を抑制する薬を服用する方法が一般的ですが、効果が得られにくい場合はアイソトープを服用したり、甲状腺の一部またはほぼすべてを摘出する手術が用いられます。

治療によって甲状腺ホルモンの血中濃度が正常範囲に戻れば、頻脈などの症状もおさまり、通常の生活を送ることができるようになります。ただ再発しやすいので定期的に通院して検査を受ける必要があります。

頻脈など心臓に負担のかかる症状が出ている人は、日常生活で無理をせず心臓に負担がかからないようにすることも大切です。

女性は鉄欠乏性貧血によるや動悸や息切れに注意

少し動いただけで起こる動悸や息切れは、貧血が原因になっているかもしれません。

貧血のほとんどは、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンの材料となる鉄が欠乏して起こる「鉄欠乏性貧血」です。

ヘモグロビンは酸素と結合する性質があり、血液の循環によって細胞のすみずみまで酸素を送り届ける役割を担っています。

そのため、体内の鉄が欠乏するとヘモグロビンが十分につくられず、血液が運搬する酸素の量が少なくなってしまいます。しかし細胞には酸素が必要なので、心臓は少しでも多くの酸素を送り届けようとして心拍数を増やすため、頻脈や動悸が起こるのです。

貧血の原因

鉄欠乏性貧血は、鉄の摂取量が不足していること、出血によって鉄が損失されることが原因で起こります。

成人男性で約7mg/日、成人女性(非妊娠時)で約9mg/日の鉄を毎日の食事から摂取することが推奨されていますが、多くの人は鉄の摂取量が不足しています。

鉄が不足しやすいのは、食品からは十分に摂取しにくい成分であること、さらに摂取しても鉄が体内に吸収されにくいことが原因となっています。

月経のある女性は毎月の月経で約20〜30mgもの鉄を損失しているといわれ、鉄をしっかり摂取しなければ容易に鉄不足に陥ってしまいます。一方、男性はめったに鉄欠乏性貧血になることはありません。

貧血の症状

貧血になると細胞に酸素が行き渡りにくくなるため次のような症状が起こりやすくなります。

  • 動悸・息切れ
  • 顔色が悪くなる
  • 疲れやすくなる
  • めまい・たちくらみがおこりやすくなる
  • 冷え性になる
  • 爪まで栄養が行き渡らず、もろくなる

男性で貧血の症状が起こっている場合は、消化器からの出血が原因になっている可能性があります。下血(赤い血液も混じった便・タール状のベタッとした黒い便)や腹痛などがないかチェックしてみてください。

貧血の治療法

鉄欠乏性貧血は、食品から十分に鉄を摂取することで改善する病気です。鉄の多い食品を積極的に食べるようにしましょう。

鉄は次に挙げる食品に豊富に含まれています。

  • レバー
  • しじみ・あさり
  • ひじき
  • 小松菜
  • 牛肉
  • 大豆製品

鉄を効率良く摂取するには、体に吸収されやすい動物性食品の鉄(ヘム鉄)を選ぶのがおすすめです。また鉄の吸収率を高めるビタミンCを一緒に摂取するとより効果的です。ビタミンCはかんきつ類、ピーマン、ブロッコリー、キウイ、イチゴなどに多く含まれています。

貧血の症状が辛い人は受診しましょう。ヘモグロビン濃度が基準値を下回り貧血と診断された場合は、処方された鉄剤を服用します。

頻脈は「自律神経失調症」「更年期障害」の不定愁訴の一症状

検査をしても心臓には異常が見つからないのに動悸が起こる場合は、自律神経のバランスが乱れて頻脈が起こりやすくなっていることが考えられます。

自律神経のバランスが乱れるために不調が起こる病気には「自律神経失調症」や「更年期障害」があります。

自律神経失調症・更年期障害の原因

自律神経失調の原因はストレスです。

ストレスの多くは緊張や不安といった精神的なものですが、それだけではありません。心身が受けるあらゆる刺激がストレスにつながります。

  • 生活リズムの乱れ(睡眠不足、夜更かし、働き過ぎ)
  • 物理的なストレス(気候の変化、騒音、悪臭など)
  • 肉体的なストレス(ホルモンバランスの変動、病気や怪我の痛みなど)

ストレスを受けると不調が起こるのは、交感神経がストレスを受けた瞬間に反応し、体をストレスに適応させるため体の各器官にさまざまな指令を出すためです。例えば、交感神経が体に指令を出すと、心拍数の増加、発汗、血圧上昇などの現象が起こります。

些細なストレスは誰でも日常的に受けているもので、体がストレスに適応できているならば問題はありません。

しかしストレスを受け続けてしまうと、交感神経ばかりが常にはたらいている状態となり、交感神経の指令によって起こるさまざまな症状が次々とあらわれるようになります。

また、交感神経と副交感神経のバランスが乱れるため、自律神経のはたらきに関与する免疫や内分泌系のはたらきも低下し、病気にかかりやすくなったりホルモンバランスが乱れやすくなったりしてしまいます。

特に女性は男性に比べホルモンバランスの変動が大きいので、自律神経のバランスが乱れて不調が起こりやすくなります。

40代半ば~50代前半の更年期と呼ばれる時期に差し掛かると、女性ホルモン「エストロゲン」の分泌量が急激に減ってしまうので、自律神経のバランスが乱れて「更年期障害」に悩まされるようになります。

自律神経失調症・更年期障害の症状

自律神経は全身のあらゆる器官のはたらきに関与しているため、そのバランスが乱れると多彩な症状が次々とあらわれるようになります。

自律神経失調症・更年期障害は検査をしても内臓等には異常は見つかりません。はっきりした原因のない不調があちこちに出ては消える「不定愁訴」が特徴です。

  • 頻脈・動悸
  • めまい
  • 吐き気
  • 肩こり
  • 冷え・のぼせ
  • 便秘・下痢
  • 倦怠感
  • 不眠
  • 情緒不安定
  • 生理不順
  • など

頻脈や動悸は、運動や精神的なストレスに関係なく急に起こることがあり、気にするほど起こりやすくなるのも特徴です。

自律神経失調症・更年期障害の対処法

頻脈や動悸がしばしば起こる場合は、心臓の異常や貧血などの疾患がないことを確認するため、まずは内科や循環器科などを受診して検査を受けることをおすすめします。

心臓などに異常がないのに頻脈や動悸が起こる場合は、自律神経のバランスの乱れから来ていると考えられるようになります。

自律神経失調症に「これぞ」という有効な治療法はありません。自律神経は自分の意志に関係なく常に変動しているシステムで、完全にコントロールすることが難しいためです。

症状が軽い場合は、日常生活で自律神経のバランスが安定するよう規則正しい生活やストレスの解消を心がけると、症状が改善されやすくなります。

自律神経失調症の症状が辛い場合は医師に相談しましょう。不定愁訴の相談には、内科、心療内科を選ぶのがおすすめです。40代以上の女性は、更年期障害の可能性を考えて婦人科を選んでも良いでしょう。

問診、血液検査などを行って自律神経失調症と診断されたら、薬物療法で症状を抑えたりカウンセリングで病気をコントロールする方法を身に付けたりしていきます。

更年期障害は、閉経後にホルモンバランスが安定すると自然におさまる病気です。自律神経失調症と同じく体調を整えることが症状の改善につながりますが、辛い場合は婦人科で女性ホルモンの補充する治療を受けるのもひとつの手です。

適度な運動は、自律神経のバランスを整える効果、血行や心臓のポンプ機能を促進する効果があるので、自律神経失調症による頻脈や動悸の改善にも是非おすすめです。

特に自律神経のバランスが乱れやすいのは、ストレスを感じやすい性格の人、ホルモンバランスが不安定な人です。季節の変わり目や環境の変化で不調が起こりやすいので注意してください。

いざという時のために自分の心拍数をチェックしておきましょう

元気な時はあまり自分の心拍数を意識することはありませんが、普段から自分の心拍数の特徴を把握しておくと、頻脈や不整脈が起きた時の判断に役立ちます。

時々脈をとって平常時の心拍数を把握しておき、脈が飛んだり早過ぎたりしていないか確認すると良いでしょう。

もしも気になる頻脈があって受診する際は、医師に症状を正確に伝えることが診断の参考になります。頻脈があった場合は次のようなメモをとって医師に見せることをおすすめします。

  • どんな時に心拍数が増えるのか(安静時か活動している時か)
  • 急に始まったのか、じわじわと始まっていったのか
  • 心拍数と頻脈の続いた時間
  • 速くなったり遅くなったりしていないか
  • 脈が飛ぶことはなかったか
  • 他に気になる症状はないか

など

脈の状態がいつもと違うと「心臓に異常があるのではないか?」と不安になってしまうものですが、自律神経の影響で心拍数は常に変動しやすいことを頭に入れ、冷静に対処するようにしてくださいね。

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