健康生活TOP 末梢動脈疾患 手足のしびれの原因は血管の病、末梢動脈疾患PADかも!?

手足のしびれの原因は血管の病、末梢動脈疾患PADかも!?

男性の手足

最近、テレビの番組編成にある特徴が見受けられます。それは定期的に健康番組の特集を組んだり、レギュラー番組として放送したりとやたら病気に関する番組が増えていることです。

一昔前の健康番組と言えばダイエットが基本で、「痩せる食材」などを主に紹介していました。しかし現在では医師をひな壇に上げて、本格的な病気対策をテーマにしているようです。

しかしどの番組も内容は似たり寄ったりであり、「医師○○人が選ぶ健康法」とか「医師が選ぶガンには△△が効果的」などはそろそろ飽きてきていますよね。

そのような環境の中で度々テーマに上がるのが「血管年齢」なる言葉。血管年齢とは「血管の老化」であり、血管組織に何らかの変異が見られることを示しています。

中でも「動脈硬化」は動脈が「細く」「硬く」なってしまう生活習慣病の一種で、血流を阻害することで心疾患の原因にもなるのです。そして動脈硬化は糖尿病と併発することで、全身の末梢動脈にも拡大することが解明されています。

全身に広がる「末梢動脈疾患(PAD)」とはどのような病気なのでしょうか?

知っているようで知らない?人間の血管の話

人間関係には色々と難しい部分がありますが、ちょっと投げやりな態度を取ると「冷血女!」「血も涙もないのか!」などと避難されてしまいますよね。

人間に血が流れているのは間違いない事実ですが、血の温度によって性格が変わることはありません。でも血は生きて行く上でとても重要です。

そして「血管」は大切な血を身体全身に運ぶための重要な働きをしているのです。

血管には2つの大切な働きがある

人間は膨大な数の細胞によって作られた生き物であり、生命を維持するためには「酸素」「栄養」が必要です。私達の身体には血(血液)が流れており、この中に酸素や栄養が含まれているのです。

全身に流れる血液は身体の全ての細胞にこれらを運び、吸収することでエネルギーを作り出し、活動を維持し続けることになります。

このように血液は細胞の活動を維持させるためのエネルギー源ですが、血管はこの血液を身体全体に届けるネットワークと考えて下さい。血管はその名の通り「管」状の組織であり、中に血液を流すことで循環させています。

一般的に血管の働きを尋ねると多くの人が「栄養を身体全体に届ける」と答えます。この答えは正解なのですが、もう一つ働きがあります。

それが「細胞から出た老廃物を回収する」働きです。つまり血管には2つの働きがあったのです。

  1. 細胞に酸素や栄養を届ける働き:動脈
  2. 細胞から出される老廃物を回収する働き:静脈

血管は一方通行で逆流することは基本的ありません。酸素やエネルギーを運ぶ細胞を折り返し地点として、そこまでが「動脈」、帰り道が「静脈」となっています。

細胞とのやり取りは毛細血管の仕事だった

細胞にフレッシュな血液を運ぶのが動脈ですが、太い動脈のままでは細胞に栄養を届けることはできません。そこで動脈は細くなり「細動脈」となってから、「毛細血管」につながるのです。

毛細血管とは網目状になった細かい血管で、毛細血管が身体を覆うことで血液を各細胞へと運ぶことができるのです。また毛細血管は「細静脈」ともつながることで、細胞から排出された老廃物を静脈に流す働きも行っています。

つまり、血液を運ぶ血管のネットワークは行き帰りの高速道路が「動脈と静脈」、実際に細胞へ宅配するのは「毛細血管」と言うことです。

血管の長さを考えたことってありますか?

日本人の20歳以上の平均身長は男性で約167cm、女性で約154cmです。これは高齢者も含まれているので、50歳以下でみると男性は171cm、女性でも158cm程度にはなると思います。

男性の平均を170cmと過程した場合、メートルでは「1.7m」、さらにキロメートルで表すと「0.0017Km」になりますよね。

身長をキロメートルで表すことは通常ではしませんが、血管の長さと比較するためには仕方がありません。実は動脈、静脈、毛細血管の長さの合計は「100,000Km」と言われています。

0.0017Kmの身体の中には100,000Kmの血管が詰め込まれていたのですね。10万Kmの長さを実感することは難しいのですが、地球を2周半する距離と表現するとその長さが解るはずです。

日本を出てブラジルに3回着く計算ですね。こんなに長い管が人間の身体には含まれていたのです。

このように膨大な長さの血管ですが、その95%は毛細血管であり肉眼で見ることはできない太さです。そして動脈や静脈など目に見えるサイズの血管は僅か5%しかありません。

血管の構造を知ることで血管の病気が解る

それでは血管とはどのような組織と構造になっているのでしょうか?血管の構造を知ることは血管の病気を理解することもつながるので、是非ともおさえていきたいポイントです。

血管は血液を身体全体に運ぶ重要な組織であり、それが損傷すると細胞に栄養は渡らずに死滅してしまう可能性もあります。

血管は簡単には損傷しない丈夫さが必要であり、そのために3つの層になって強い血管を構成しています。血管の基本的な3層構造は動脈、静脈共に基本的には同じです。

【血管の構造(外側から)】

  1. 外膜
  2. 中膜
  3. 内膜

血管壁の構造

血管は管状の組織ですが周りは3つの層になっており、それぞれ「外膜」「中膜」「内膜」となっています。イメージ的には細いホースの外に中くらいのホースが、そしてその中ホースの外側に更に太いホースが重なっていると思って下さい。

血液と直接触れるのは内膜です。内膜の血液側(内側)は「内皮細胞」で覆われており、内皮細胞の働きにより血液は固まらずに流れることができます。

またこの内皮細胞は血液の凝固を防ぐ作用もありますが、同時に血管を収縮、拡張させることで血圧を一定に保つ働きを行います。

動脈と静脈の構造的な違いとは?

同じ血管だから動脈と静脈は同じ構造でもよさそうなのですが、実は同じでは様々な不都合が出てしまいます。

人間の血液を送るポンプは言わずと知れた「心臓」ですよね。心臓は血液を筋肉の力で押し出したり、引き寄せたりしますが、血管に与える圧力は押し出す方が強くなります。

つまり静脈よりも動脈の方が心臓による圧力が強くかかり、血管の負担も増してしまうのです。そこで動脈は中膜に「平滑筋(へいかつきん)」と呼ばれる筋肉を多く含むことで、伸縮性を高めて血液の圧力に耐えられるようになっています。

この平滑筋の伸縮性は圧力に耐えるだけでなく、血圧をコントロールするためにも重要な働きを行っています。

一方静脈には中膜はありますが動脈のように平滑筋が多い訳ではなく、伸縮性も乏しくある意味薄い血管と思ってもよいでしょう。しかし静脈にはある特徴があります。

それが「静脈弁」であり、血液が逆流しないように弁で防いでいたのです。考えてみると人間は立って生活しています。つまり多くの臓器や組織が心臓よりも下に位置しており、動脈は重力に逆らわないで血液を運びます。

しかし静脈ではどうでしょうか?動脈で運ばれた血液は心臓よりも下の部分に多く、静脈は重力に逆らって血液を心臓に戻す必要があります。なおかつ長い血管なので静脈に流れ込む時点では圧力も下がり、血液の勢いも弱くなっているのです。

そこで静脈を流れる血液が逆流しないようにするのが静脈弁です。静脈弁は血液の流れに合わせて、開いたり閉じたりして血液の逆流を防いでくれます。静脈弁がないと血液は途中で滞ってしまい、老廃物の排出にも悪影響を与えてしまうのです。

このように動脈と静脈には働きによって血管の構造にも違いがあることが解りました。それではこの血管を老化させてしまう病気を紹介しましょう。

普段は血管の構造なんて考えてもみません。しかし、血管年齢を理解するには構造を知ることも大切なのです。

血管が老人に変わってしまう血管老化

見た目はエネルギッシュで健康そうな人がある日突然倒れてしまう…このようなことは珍しい出来事ではありません。元気に営業に回っている途中で倒れたり、スポーツ中に倒れたりすることもあります。

このような人の中には持病もなく、病院に通っていた経歴も見当たらないことがあります。これは「突然死」と呼ばれるものですが、もしかしたら血管が老化していたのかもしれません。

血管老化につながる細胞老化とは

近年話題の医療に「アンチエイジング医療」があります。アンチエイジングとは「老化防止医療」とも呼ばれているもので、要は実年齢よりも「細胞を若くする」ことを目的とした医療です。

究極のアンチエイジングは「不老不死」であり、老化を止めて細胞を維持することです。しかし、どんなに頑張っても現代の医学ではこれは不可能であり、誰もが老化を回避することはできません。

細胞的な老化の中には「加齢(限界)による細胞分裂の分裂停止」と「何らかの細胞損傷による分裂の停止」があります。

つまり細胞が老化する原因は、「細胞が本来持つ分裂の限界を超えたために自然に細胞分裂を停止」することと、「外的要因によって細胞が傷つけられて細胞分裂を停止」してしまうことがあるのです。

前者は加齢による自然な現象ですが、後者はそうではありません。病気による要素が隠れています。

血管における老化現象とはどのようなものか?

多くの細胞と同様に血管でも老化現象はあります。冒頭で紹介した血管年齢がそれで、実年齢と血管年齢の差によりその人の健康状態を知るのです。

人間は歳を重ねることで細胞は老化してしまいます。これは仕方がないことで自然の法則としか言いようがありません。

しかし実年齢に対して血管年齢が大幅に老けていたらどうですか?きっとこの人は見た目が若くても、身体の中は老人なのかもしれないのです。

そしてこのような人が突然倒れてしまう突然死リスクを持っています。

血管年齢の算出方法は2種類ある

血管の年齢と言われてもピンとこない人も多いと思いますが、実際の検査では血管の柔軟性や血液の流れを測定することで算出しています。血管は大量の血液を流す必要があることから、伸縮できるように柔軟でしなやかでなくてはいけません。

健康な人の血管はしなやかで柔軟性も申し分ありません。血圧も一定で無理なく血液を循環させていると言えるでしょう。

しかし血管の老化が進行すると血管は硬く、伸縮性も失われてしまいます。伸縮性を失うことは血管を狭めてしまい、血流を阻害して高血圧の原因となります。

また血管自体がもろくなるために、最悪のケースでは血管が破裂して「動脈瘤の破裂」などの命の危険もある病気へ進行してしまうのです。

このような状態を知るために血管年齢を調べるのですが、現在では「CAVI(キャビー)検査」が普及しています。

自分の血管年齢を知るCAVI検査とは

CAVI(キャビー)検査では血管の以下の部分を測定することで、血管の老化具合を知ることができます。

  • 血管の詰まりの状態
  • 血管の硬さの状態

CAVI検査はベッドに仰向けに寝て、両手と両足首の血圧と脈を測定します。手と足の血圧と脈を測定することは、血の流れを確認することが可能で、血管の状態を知ることができます。

通常足の血圧は腕のものよりも高いか同程度にならなくてはいけません。しかし足の血圧が腕のものよりも低いケースでは、血管に問題があり血流が阻害されていることを意味しています。

つまりこのケースにおいて血管は細くなっており、閉塞が見られることが解るのです。

動脈の硬さの検査では血圧の変化を測定します。血圧の変化は血管の弾力性やしなやかさを確認する上で重要であり、弾力性が少ないと老化が進んでいることにもつながります。

CAVI検査ではこれらを測定し、最終的に年齢別の平均値と比較することで血管年齢を算出しています。たとえ実年齢が30歳であっても、CAVI検査の数値が40歳平均と同じであれば、血管年齢は40歳となるのです。

血管年齢を知ることは健康管理で重要です。健康診断などで定期的に受けるようにしましょう。

血管が老化する原因は動脈硬化にあった

血管の老化は加齢によって起こる現象ですが、健康状態によって引き起こされることもあります。そしてその大部分の原因が「動脈硬化」です。

血管を「硬く」「狭く」させるのが動脈硬化なの?

動脈硬化はその名のとおり、「動脈を硬化させる」病気です。生活習慣病としてはあまりにも有名な病気なので、知っている人も大勢いると思います。

動脈が固くなると血液の流れに支障が出て「血液の循環量が減る」ことで「臓器や組織の機能不全」や「心臓に大きな負荷をかける」ことになります。

また動脈硬化が起きている血管には瘤ができやすく、そこで溜まった血栓が剥がれて心臓の血管を詰まらせてしまうことがあります。これが「心筋梗塞」の発症であり、突然死の原因の一つになります。

動脈硬化は血流障害や血管を硬くさせるだけではなく、様々な病気を引き起こす原因だったのです。

動脈硬化で多い病変が粥状動脈硬化だった

動脈硬化は「動脈硬化症」と呼ばれて病名と扱われることが多いのですが、専門家の説明ではあくまで病変を指す言葉であって病名ではないそうです。

つまり動脈硬化とは「動脈の血管壁が厚くなったり、血管自体が硬くなったりすることで血管としての機能が低下する病変」を総称した言葉だったのです。

動脈硬化には大きく分けて3種類あります。

  • 粥状動脈硬化(アテローム動脈硬化)
  • 細動脈硬化
  • 中膜石灰化硬化(メンケベルグ硬化)

「粥状動脈硬化」はコレステロールが血管壁に入り込むことで発症する動脈硬化で、発症数も多く一般的な動脈硬化は粥状動脈硬化のことを指しています。

慢性的な高血圧が原因の「細動脈硬化」は、腎臓や脳の細かい血管に障害が出ます。また「中膜石灰化硬化」は血管内にカルシウムが蓄積することで石灰化してしまう病変で、喫煙や加齢、代謝異常が原因とされています。

動脈硬化の原因はコレステロールで血管が粥になる

「粥状」とは聞き慣れない言葉だと思いますが、「粥(かゆ)」はお米を煮て作るあの「お粥」のことと思って下さい。つまり粥状とはお粥のようにドロドロした液体を指す言葉で、動脈内がドロドロになっている状態が粥状動脈硬化なのです。

身体の中を循環している血液はサラサラしていることが基本ですが、ある条件の中ではこれが崩れてしまいます。それが「高脂血症」と呼ばれる状態で、血液中に含まれる脂肪分(コレステロール)が増加した状態です。

高脂血症は食生活や運動不足が引き金で発症することが多く、特に肥満と大きな関係性を持っているのです。

高脂血症状態は血液にコレステロールが多く含まれていますので、ドロドロの状態となり流れも悪くなります。ストローでジュースを簡単に吸うことができますが、サラダオイルを吸うことは難しいですよね。これと同じことです。

しかし人間は血液を循環させなくては死んでしまいます。結果として血管に圧力をかけて血液を流そうとして、血圧が上昇してしまうのです。

高脂血症の状態で血圧が上がることは、血管に対して大きな負荷になります。血管は圧力に耐えるために太くなり、多くの血液を流そうとしますが、やはり限界はあるでしょう。

内皮細胞は傷つき「マクロファージ」と呼ばれる状態に変化して、コレステロールを取り込み始めるのです。そして蓄積されたコレステロールは、内膜を厚くすることで血管を細くして血流を阻害させてしまいます。

先に説明しました血管の構造を思い出して下さい。動脈は外側から「外膜」「中膜」「内膜」「内皮細胞」の4層で構成されていましたよね。

動脈硬化とは「内皮細胞が傷つくことで、入り込んだコレステロールが内膜との隙間に蓄積されることで粥状に膨らむ」病変なのです。この蓄積されたコレステロールの集まりを「粥腫」と呼びますが、中にはコレステロール主体でなく繊維質のものもあるようです。

血栓の原因は粥腫が崩壊すること

粥腫ができることで血管は細くなり、また硬くしなやかさも失われるために血流は悪くなり、血圧もますます上昇してしまうでしょう。そうなると内皮細胞でしか覆われていない、粥腫にも傷がついてしまいます。

傷ついた内皮細胞には血小板が集まり血栓が作られます。それを繰り返すことで血栓が大きくなり、最終的には「血の塊」となって血管を完全に塞いでしまうことにもあるのです。

また大きくなった血栓が剥がれて心臓の冠動脈を閉塞したり、脳の血管を閉塞したりすることで大きな病気へと進行させてしまいます。

粥腫は柔らかい物質で崩壊しやすい性質を持っています。「粥腫の崩壊が血小板を集めて、それが大きな血栓となって血管を詰まらせる…」これが動脈硬化の正体なのです。

血管の老化とは血管が細く硬くなっている状態を意味していますが、その正体は動脈硬化による病変だと理解して下さい。

血管が固くなる理由はコレステロールで血管が太くなるのが理由です。お辞儀をするだけで折れてしまわないか心配ですね。

糖尿病で動脈硬化が全身に広がるって本当?

動脈硬化は心臓や脳に近い冠動脈に起こりやすい病気ですが、糖尿病患者にはこれが全身に広がることがあるようです。「全身の動脈硬化」と言える末梢動脈疾患(PAD)が近年増加傾向にあるようです。

手足が冷たかったり痺れたりしませんか?

「最近足が冷えるんだよ!」「手先が痺れて上手く物が掴めない」などと、感じている人は少なくないはずです。多くの人がこれらの原因を一過性のものと考えて、特に問題視することはありません。

しかしその判断が最終的に恐ろしい結果を招くことになるのかもしれません。

末梢動脈疾患(PAD)はこのように気が付かないまま、ゆっくりしたペースで身体に異変をもたらします。初期の段階では身体の不調とは思わないくらいの症状で、「疲労」「ストレス」「加齢」などが理由と信じ込みます。

そして症状の悪化により病院で検査を受ける時点では、症状は悪化しており最悪のケースでは切断を決断せざるを得ないのです。

末梢動脈に動脈硬化が起こるのがPAD

末梢動脈とは動脈の中でも、手足に血液を送る動脈でここに異常が生じると手足に不調を起こします。PADの原因は手足にある末梢動脈の動脈硬化であり、血流が阻害されることで細胞に十分な栄養を届けることができなくなります。

手足の動脈硬化の症状は「だるさ」から始まり少しずつステージが進行して行きます。

【PADステージ:1】

  1. 手足の痺れ
  2. 手足が冷たい
  3. 手足がだるい
  4. 手足の皮膚色が悪い(青白い)
  5. その他
【PADステージ:2】

  1. 歩くと足が痛む
  2. 手で物をつかむと痺れが出る
  3. 疲れや痺れは休むと改善する(間歇性跛行)
  4. だるさがなかなか取れない
  5. その他
【PADステージ:3】

  1. 何もしなくても手足に痛みがある(下肢虚血性疼痛)
  2. その他
【PADステージ:4】

  1. 手足の皮膚がただれる
  2. 手足の皮膚が壊死する
  3. その他

このようにPADが発症すると手足の末梢動脈が閉塞することで、細胞に酸素や栄養が届かなくなります。また老廃物の排出もできなくなるために、細胞は弱まり最終的には死滅してしまうこともあります。

PADのステージは少しずつ進行します。病変に気がついた時にはステージ3~4になっていることもあり、特に細胞壊死が見られるステージ4では手足の切断が必要になるケースもあります。

動脈硬化は「静かな殺し屋」と言われています。症状に気がつかない間に着実に悪化させているのです。

糖尿病とPADの発症には密接な関係がある

PADを引き起こす動脈硬化は主に血液中のコレステロールが原因と説明してきました。それは事実なのですが、それ以外にも動脈硬化を推進する原因があります。それが血液中の「血糖」です。

重度の糖尿病患者には足の切断が多い

生活習慣病で国民病でもある「糖尿病」は、血液中の糖(血糖)が増加して様々な合併症をもたらす病気です。糖尿病の原因は膵臓から分泌される「インスリン」の分泌異常であり、体質を除いた原因は日常生活での「大食い」「運動不足」などです。

糖尿病は身近な病気でもあることから、健康診断で指摘されても治療せず放置することも多く、それが原因で悪化させる人は珍しくはありません。

糖尿病が発症しても当初は痛みもなく、普通に生活することも可能で、重症化するなどと考えることもありません。しかし、治療を行わないことで「網膜症」「腎症」「神経障害」など、様々な合併症を発症させてしまいます。

「失明」「腎不全による透析生活」は糖尿病の合併症では有名で、これにより生活が一変してしまうのです。

しかし糖尿病で最も恐ろしい合併症は「皮膚の壊疽(えそ)」で、足の膝下部分に多く見られる症状です。壊疽とは皮膚組織が腐ってしまう病気で、壊疽周辺部分を切除するしか治療法はなく、実際には膝下の切断が必要で足を失うことになります。

重度の糖尿病では少しの傷でも治りが悪くなります。例えば足を怪我してもなかなか回復せずに、いつまでもジュクジュクして化膿しています。

これは糖尿病による免疫力の低下が原因で、免疫による除菌ができずに細菌性の感染症を起こしやすくなっているのです。これが壊疽の正体であり、小さな傷が治らずに細菌感染を起こし、皮膚細胞が細菌により腐ってしまうのです。

現在では糖尿病の壊疽の原因はPADによる血流不足も一因であり、細胞に酸素や栄養が届かないことが壊疽を拡大していると考えられています。

糖尿病とPADの関係は糖による動脈硬化の推進

糖尿病により血液中に含まれる糖が多くなると、糖が内皮細胞を刺激して傷つけてしまうことがあります。傷ついた内皮細胞は炎症を起こし慢性化することで、マクロファージと変異します。

マクロファージは血液中のコレステロールを入り込ませて、蓄積されることで動脈硬化を発症させます。

糖尿病から動脈硬化までの推移

また、糖尿病患者は同時にコレステロール値も高いことが多く、「高血糖」「高脂血症」が重なって動脈硬化を進行させるケースも珍しくはありません。

PADを改善させるための治療法とは

現在PADの治療には「薬物療法」「理学療法」「外科療法」の3種類を医師が選択して行っています。

薬物療法は血小板の働きを弱めて血栓を作りにくくする「抗血小板薬」、血管を広げて血流を改善する「血管拡張薬」、血液を固まりにくくする「抗凝固薬」を組み合わせることで治療します。

ステージが低い場合は単独使用、症状が悪化することで複数処方することが一般的となっています。

理学療法は運動により、血流を改善させる治療法で、ウォーキングやランニングなどで筋肉に刺激を与えます。刺激を受けた筋肉は閉塞した血管ではなく、別の血管を迂回させることで血流を回復しようとするのです。

この治療は医師の監督下で行うことが重要で、正しい知識がないと症状を悪化させてしまう危険性もあります。

発症した時点で重症化している場合や、薬物、理学療法を実施しても効果が薄い場合には手術療法が選択されます。血管外科で行われる手術には以下の2つがあります。

  • カテーテルインターベンション(経皮的血管拡張術)
  • 血管バイパス手術
近年ではカテーテルによる血管拡張手術(カテーテル治療)が第一選択となっており、カテーテルを血管内にいれて狭くなった部分をバルーンで拡張するのです。痛みも少なく入院も短期間ですむ特徴があります。

血管の狭い部分にステントと呼ばれるチューブを入れることで、再発を防ぐ方法もあります。

血管が完全に閉塞して癒着しているケースではカテーテルを使用しても効果が少ないことが予想できます。このような重症例では「外科的血管バイパス術」が選択されます。

この手術は自分の血管や人工血管を迂回路(バイパス)としてつなぐことで、血流を回復させます。

このように治療法はありますが、糖尿病や高脂血症を改善させない限り効果は一定であり、再発は免れないことになります。どんなに治療を行っても大元がそのままであれば、効果は期限付きと言っても過言ではないのです。

糖尿病は様々な病気を引き起こす恐ろしい病気です。軽く考えないで軽症であっても正しく治療を行うようにしましょう。

糖尿病によるPADを発症させないためにできること

PADを発症させないための予防は動脈硬化予防と糖尿病予防の2つの側面が必要です。しかしこの2つは生活習慣病として向いている方向は全く同じと言えるかもしれません。

つまり、以下に紹介する内容を理解して実行することが重要です。

  • 高脂質、高糖質とならないバランスのよい食生活
  • 適度な運動
  • 十分な睡眠
  • 疲労の改善
  • 規則正しい生活
  • 禁煙
  • 適量なアルコール摂取
  • 精神的ストレスの発散
  • その他

このような生活は「理想的な生活」であり、やろうと思ってもなかなか実践できないことかもしれません。内容も当たり前すぎて「参考にならない!」と言われてしまうでしょう。

しかし、そうではなく理想を知らなくては、改善することもできないのです。食事に問題があっても運動することはできます。運動できなくても十分な睡眠をとることもできます。

全てが無理でも一つでも多くやることが大切ではないでしょうか?

もしかしたら「血管の老化」とは、私達の「日常生活の悪化」に繋がっているのかもしれないのですから…

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