健康生活TOP 中耳炎 耳の痛みは中耳炎だけじゃない!似た症状が現れる病気と見分け方

耳の痛みは中耳炎だけじゃない!似た症状が現れる病気と見分け方

耳の検診を受ける少女

中耳炎と言うと子供に多い病気です。これは耳と鼻を繋ぐ耳管と言う管が、子供時代には大人に比べて相対的に太く短いため、のどや鼻から中耳への感染が起きやすいからだとされています。

また、大人では耳管は耳の方が上になるのに対して、子供のものは水平に近いため、さらに感染が起きやすくなっています。とは言え、大人がかからないと言うわけではありませんから、子供の病気とは言い切れないのです。

中耳炎は耳が痛む病気として有名なので、耳が痛い=中耳炎と思ってしまう人も多いようです。しかし、中耳炎でよく見られる症状は他の病気でも見られますので、耳が痛いからと言って中耳炎と決めつけるのは早計に過ぎると言えるでしょう。

実は耳とは全く関係ない病気でも中耳炎と間違われるものがあるんですよ。もちろん耳が痛ければ耳鼻科でOKなんですが、本当に耳が痛いのかどうかをしっかり確認して、そして必ず受診するようにしましょう。

中耳炎で圧倒的に多い急性中耳炎の症状や特徴、原因は?

中耳炎には慢性化した物や特殊な形態で手術が前提になるものなど、いくつかの種類がありますが、何と言ってもメジャーなのは鼓膜の奥に膿がたまってひどく傷む急性中耳炎です。

これは主に風邪などの気道感染症で咽頭炎が起こり、そこから病原体が耳管を通って中耳に達し、そこに感染して炎症が起こることで中耳炎になるのです。

急性中耳炎の症状は強い耳の痛み

急性中耳炎と言えば、強い耳の痛みが特徴です。場合によっては高い発熱が見られることもあります。ですので、「耳が痛い」と言う症状が出ると「中耳炎かも」と結び付けられやすいんですね。

しかし、急性中耳炎は風邪のような気道感染症が耳に波及したものですから、必ず先行症状があります。多くの場合、のどの痛みや鼻水・鼻づまり、咳などの症状に続いて、何となく耳が詰まったような感じの症状が出ます。

それに続いて強い耳の痛みや発熱があった場合、急性中耳炎を疑っても良いでしょう。さらに症状がひどくなって、耳から膿のような耳だれが出て痛みが軽くなったら、まず間違いなく急性中耳炎です。

強い耳の痛みの段階で耳鼻科を受診して治療してもらいましょう。

急性中耳炎の多くは細菌感染症から

急性中耳炎は風邪などの感染症の後に起こることが多いのですが、風邪がウイルス性であるのに対して急性中耳炎は細菌性であることが多くなっています。

これはウイルスによって風邪をひいた後、二次感染で細菌にやられてしまったことが原因と考えても良いでしょう。急性中耳炎をもたらす細菌には次のようなものがあります。

  • 肺炎球菌
  • インフルエンザ菌
  • 黄色ブドウ球菌
  • ブランハメラ・カタラーリス
  • 化膿レンサ球菌
  • 緑膿菌
  • 表皮ブドウ球菌
  • その他のブドウ球菌
  • その他のレンサ球菌

これらの中でも、上の4つだけで全体の80%を超えるレベルになっています。肺炎球菌は65歳以上の人に予防接種を呼びかけるポスターを、病院などで良く見かけるようになりましたから有名だと思います。

この肺炎球菌は乳幼児の鼻から喉にかけての部分に常在している細菌です。それが風邪を引いたときに病原性を発揮して肺炎を誘発し、耳管を通って耳に入ると中耳炎を引き起こします。

インフルエンザ菌はインフルエンザウイルスとは異なる細菌です。19世紀のインフルエンザ流行の際に発見されたため、インフルエンザの原因だと誤解されて命名されたのが、現代まで名前だけが残っているのです。

このインフルエンザ菌も人の鼻から喉にかけて常在しています。大人にも常在していることがあるようですね。

ブランハメラ・カタラーリスは肺炎球菌、インフルエンザ菌と並んで3大呼吸器感染症起炎菌と呼ばれる細菌です。この菌も数%の健康な人に定着していると考えられています。

中耳炎を引き起こす細菌は耐性菌が多い!薬の服用は必ず指示に従って

トップ4に入っているもう一つ、黄色ブドウ球菌も鼻やのど、皮膚などに常在することの多い細菌で、食中毒の原因になることが知られています。

皮膚や呼吸器に常在する黄色ブドウ球菌が食べ物に移って増殖し、毒素を作り出すことで食中毒を引き起こすのですが、黄色ブドウ球菌そのものによる感染症は皮膚病から腹膜炎、敗血症まで多岐にわたります。

特に抗生物質に耐性を持ってしまったメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は、長期間にわたって耳だれを伴う中耳炎の起炎菌であることが多いようです。

耐性菌の問題は黄色ブドウ球菌だけではなく、中耳炎から検出された肺炎球菌やインフルエンザ菌も半数が抗生物質に対する耐性を持っていたと報告されています。また、ブランハメラ・カタラーリスも薬剤耐性を持っていることが少なくありません。

お医者さんはこうしたことを踏まえて、効きそうな抗生物質を処方して下さいます。この時、かならず処方通りに全部飲みきって下さい。中途半端にお薬を飲んだりやめたりすると、薬の効果が出ないだけでなく、細菌が薬剤耐性を身に付けてしまいます。

そうなったら、症状が悪化した時にお薬を増やしても、もう効かなくなっていると言うことになる可能性が高いのです。

中耳炎の多くは細菌感染ですので、いかに抗生物質や抗菌剤を上手に使うかが勝負になってきます。自己判断で服薬ルールを変更しないで下さいね。

中耳炎とよく似た症状の病気があるので要注意!その特徴とは

最初に少し触れたように、中耳炎の特徴である「耳が痛い」と言う症状を持つ病気は他にもいくつかあります。もちろん、その病気も耳鼻科領域であることも少なくないので、耳が痛ければ取りあえず耳鼻科で問題はないです。

但し、病気によっては耳鼻科で紹介状をもらって別の診療科で診察を受ける必要が出ることもありますので、それは認識しておいて下さいね。

外耳炎は中耳炎と症状が似たところがある

外耳炎と言うのは外耳道炎とも言われ、耳の入り口から鼓膜までの間で皮膚に炎症が起こる病気です。多くの場合、耳かきなどで皮膚表面に傷をつけたり、水泳や洗髪の後耳の中が濡れたままになった時に細菌感染して起こります。

中耳炎と同じように、耳の強い痛みが特徴です。比べてみましょう。

症状 外耳炎 急性中耳炎
耳を引っ張ると 痛みが強くなる 痛みが変化するケースは少ない
聞こえ方 重症化すると聞こえにくくなる 聞こえが悪くなることがある
発熱 重症化すると発熱する 発熱することが多い

このように、微妙な違いはあるものの、決定的な症状の差は見られません。と言うのも、中耳炎と外耳炎は、鼓膜を挟んで内側と外側の違いだけで、鼓膜近辺で起こっている炎症だからなんですね。

外耳炎は軽症であると言うイメージを持たれがちですが、時として重症化しますから、耳に強い痛みがあったらまずは耳鼻科を受診しましょう。

咽頭炎で耳が痛い場合は中耳炎に進展しないよう注意

咽頭炎と言うのは文字通りのどに炎症がおこるものです。原因はウイルスや細菌の感染によるものですが、風邪の症状として出てくることがほとんどだと思われます。

この咽頭炎の症状の一つに耳の痛みがあります。ただ、それが咽頭炎の痛みが耳に放散しているのか、咽頭炎の起炎菌が耳管を通って中耳に達し、中耳炎を引き起こしているのかは判断できません。

と言うのも、咽頭と中耳は同じ第9脳神経の舌咽神経によって感覚を支配されているので、咽頭の痛みが中耳の痛みとして感じられることがあるからです。

のどの痛みがあるから咽頭炎だろうと言うことは想像がつきますが、その菌によって中耳炎が起こっていたら、のどと耳の両方が痛くなることもあるのです。

ですので、風邪をひいてのどの痛みがあったら、耳の痛みが出る前に内科で治療を受けるのがお勧めです。耳に痛みが出てからは耳鼻咽喉科で治療を受ければ、耳の痛みも同時に診察してもらいやすいでしょう。

耳帯状疱疹は後遺症が残りやすいので少しでも早く治療する

ハント症候群と言う別名で呼ばれることも多い耳帯状疱疹は、ヘルペスウイルスによる病気です。身体の他の部位に起こる帯状疱疹と同じで、子供の頃にかかった水ぼうそうのウイルスが神経に棲みついていて、大人になってから症状を引き起こすものです。

この病気では激しい耳の痛みを伴うことが多いので中耳炎を疑う人もおられますが、他の症状からこの病気を予想することは可能です。

症状 耳帯状疱疹 中耳炎
皮膚症状 耳たぶ・口の中の上側に
ブツブツができることがある
特に見られない
聞こえ方 難聴を伴う 聞こえが悪くなることがある
耳鳴り 耳鳴りを伴う 耳鳴りを伴うことがある
めまい めまいを伴う 内耳に障害が及ぶと
めまいが起こる
顔面神経麻痺 多くの場合麻痺が見られる 麻痺症状はない

このように、概ね耳帯状疱疹の方が症状が重くなっています。耳帯状疱疹の場合は、後遺症が残りやすいので、耳の痛みと同時に上の表にあるような症状が一つでも見られたらすぐに受診して下さい。受診科は耳鼻科でOKです。

この他耳鼻科領域では、外耳道に傷がついてしまったと言う外傷性の耳の痛みがありますが、これは本人が原因に思い至るでしょうから、特に心配はありません。お薬を塗ってもらいに耳鼻科へ行って下さい。

耳以外の原因で耳に痛みが感じられる場合もある

顔と言うのは様々な感覚器官があるだけではなく、数多くの構造物が存在していますので、その中でトラブルが起こると耳に痛みが響いてしまうことがあるのです。

こうした痛みは放散痛と言って、同じ系統の神経に繋がっている場所同士で起きやすいのですが、耳の痛みは顔の痛みや頭の痛みと混同されやすいため、必ずしもその定義に当てはまらないこともあるのです。

虫歯の痛みが耳に響くことがある

大抵の場合、歯が痛くて耳まで痛いと言う状況になるのですが、なかには耳の痛みの方が強く感じられることもあるようです。

この場合でも、治療を放置していた虫歯があるなど、多くの場合本人に身に覚えがあると思います。金属製の小さめのスプーンなどで、歯を一本一本叩いてみれば、痛みが強くなる場所があることで虫歯が原因かどうかが判るでしょう。

歯を叩いて痛みが増す場所があれば、耳鼻科より先に歯科医院へ出かけて治療を行った方が良いと思われます。

それ以前に、虫歯の治療は途中で放り出したままにしないようにしましょう。詰め物がとれた時なども、すぐに復旧しておいた方が良いですよ。

顎関節症の痛みが耳の痛みに感じられる場合も

歯の知覚もそうですが、顎関節の知覚も第5脳神経である三叉神経が担当しています。ですので、耳の痛みを担当する舌咽神経とは異なるのですが、担当領域がかなり近いので感覚に混乱が起きるのかもしれません。

顎関節症と言うのは、女性に多い関節のトラブルで、あごが痛いと言う症状があります。しかし、この顎関節は、耳の穴のすぐ前にあるんですね。

騒音を防ぐ時のような感じで耳に指を突っ込んで、口を開け閉めしてみてください。顎関節の動きが指に伝わるのが感じられるでしょう。

このような位置関係にあるので、顎関節症で痛みがある時、それを耳の痛みとして感じてしまうことがあるのです。

ですので、顎関節症の疑いがないかどうかを知っておくことが大切になります。

あなたの顎(がく)関節の自己チェック法
(合計点数が8.6以上では顎関節症の危険あり,杉崎正志、他:2007)

口を大きく開いたとき,人差し指から薬指を並べた3本指を縦にして入りますか?
(1.すっと入る 2.ほぼ問題ない 3.どちらともいえない 4.やや困難 5.全く入らない)

口を大きく開け閉めした時,あごの痛みがありますか?
(1.全くない 2.たまにある 3.どちらともいえない 4.しばしばある 5.いつもある)

口を大きく開いたとき,まっすぐに開きますか?
(1.いつもまっすぐ 2.たまに曲がる 3.どちらともいえない 4.しばしば曲がる 5.いつも曲がる)

干し肉,するめ,タコなど硬いものを食べるとあごや顔が痛みますか?
(1.痛まない 2.たまに痛む 3.どちらともいえない 4.しばしば痛む 5.いつも痛む)

この自己チェックで顎関節症の疑いがある場合は、まず歯科を受診した方が良いですね。その際に耳の痛みがあることも伝えておきましょう。

顎関節症の耳の痛みと中耳炎によるものは次のような違いがあります。

症状 顎関節症 急性中耳炎
痛むタイミング あごや口を動かした時 常に痛む
かかりやすい人 10代から20代の女性に多い 性別関係なく子供に多い
発熱 発熱は起らない 発熱することが多い

虫歯と顎関節症については、初診は歯科医院でOKです。顎関節症については、歯医者さんから適切な診療科を紹介してもらえるでしょう。

歯科・整形外科領域で耳の痛みにリンクしていると言うのは不思議な感じがしますね。でも、顔と言うのは知覚神経が大量にある場所ですからこうしたケースもあるのです。

耳の痛みを伴う感染症は他にもあるが見分けはつきやすい

感染症にかかると、様々なところに痛みが出ることがあります。例えばインフルエンザにかかると全身の関節や筋肉に痛みが出ることがありますね。

しかし、インフルエンザにかかったことは他の症状から明らかですので、関節炎や筋肉の病気を疑う人はいないでしょう。それと同じように耳の痛みを伴う感染症はありますが、他の症状から原因は特定できると言えます。

扁桃炎は喉を見れば一目瞭然の病気

扁桃炎では耳の痛みを感じる人も少なくありません。しかし、もともと風邪と連動しやすい病気の上、比較的高い発熱やのどの痛み、身体のだるさ、頭痛などがあります。

そして、何より口を開けて喉を見れば、ひどく腫れた扁桃が見えますから、耳の痛みがここから来ているであろうことは一目でわかるでしょう。化膿して扁桃に白いものが付くこともしばしばです。

▼扁桃腺の症例写真
扁桃炎の症例写真

起炎菌は溶血性レンサ球菌や肺炎球菌、黄色ブドウ球菌、インフルエンザ菌など、中耳炎と共通するものが多いです。ですので、抗菌薬や抗生物質なども同じような薬が使われるでしょう。

一方、ウイルス性の扁桃炎もありますので、まずは受診して原因病原体を特定してもらって、しっかり治療しましょう。

耳下腺炎はおたふく風邪だけではない

ムンプスウイルスによる流行性耳下腺炎をおたふく風邪と呼んでいますが、耳下腺と言う唾液腺が腫れるため、耳の痛みが出ることもあります。しかし、病名の通り耳下腺が腫れますから一目でおたふく風邪と判るでしょう。

また、ムンプスウイルス以外に、溶血性レンサ球菌や肺炎球菌、黄色ブドウ球菌などが耳下腺に感染する化膿性耳下腺炎と言う病気も強い痛みを伴います。

おたふく風邪と異なる点は、おたふく風邪は両側が腫れるのに対して、片側だけが腫れることが一般的であると言うことです。いずれにせよ、耳下腺が腫れるので判りやすい病気だと言えます。

ご覧になって判る通り、この起炎菌も中耳炎と共通のものですね。ですのでお薬も共通することが多いでしょう。

耳の痛みは取り敢えず耳鼻科と言う対応で問題ない

耳鼻科は、多くの場合耳鼻咽喉科と言うことで喉の病気も見てもらえることが大半ですから、耳の痛みを感じたらまず耳鼻科を受診する方向でOKです。

今回紹介した中では歯の痛みと顎関節症が耳鼻科と関係のない領域ですが、この2つは急を要する病気ではありませんので、耳鼻科で診断が付いたら、紹介状をもらって歯科や整形外科、あるいは専門の顎関節科を受診して下さい。

逆に急を要するものは顔面麻痺を伴うものです。気付いたらすぐに病院へ行って下さい。休日の場合は救急対応してもらえるところを探してでも受診されることをお勧めします。

なにはともあれ、一番大事なのは痛みを放置しないと言うことです。

耳の痛みは意外な病気を知らせてくれることもあります。身体からの信号を見落とさないように注意したいものですね。
キャラクター紹介
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