健康生活TOP 中耳炎 大人の中耳炎は自然治癒するの?中耳炎の種類ごとの症状と治療法

大人の中耳炎は自然治癒するの?中耳炎の種類ごとの症状と治療法

子供の頃、風邪をひくと耳も痛くなり耳鼻科や耳鼻咽喉科にも通ったという思い出のある方も多いのではないでしょうか。

子供はよく風邪をひきますし、風邪をひくと中耳炎にもなりやすくなります。そのため、中耳炎というと子供の病気というイメージがあるかもしれません。

しかしもちろん、大人になってからでも中耳炎になってしまうことはあります。大人の中耳炎の特徴や、子供の中耳炎との違いについてみていきましょう。例えば大人の急性中耳炎では、子供以上に強烈な痛みが出てしまうようなのです。

「中耳炎」には、いろいろな種類があります

「中耳炎」と言っても、その症状によっていろいろな種類の中耳炎にわけることができます。今回は、その中でも代表的な次の中耳炎についてみていきたいと思います。

  • 急性中耳炎(きゅうせいちゅうじえん)
  • 慢性中耳炎(まんせいちゅうじえん)
  • 滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)
  • 真珠腫性中耳炎(しんじゅしゅせいちゅうじえん)
  • 好酸球性中耳炎(こうさんきゅうせいちゅうじえん)

この他にも「癒着性中耳炎」「結核性中耳炎」などもあります。ただこれらの中耳炎は比較的まれなものになります。

「中耳炎」と診断された場合、ほとんどは上記5つの中耳炎に当てはまるでしょう。

耳の構造と子供が中耳炎になりやすい理由

それぞれの中耳炎についてみる前に、まず耳の構造について軽く説明します。耳の構造は「外耳」「中耳」「内耳」の大きく3つに分けることができます。

外耳道外耳中耳内耳の場所と中耳炎が起こる場所

外耳
いわゆる「耳」から「鼓膜」までの音の通り道
中耳
「鼓膜」から「内耳」の手前、音の情報を振動として「内耳」に伝える場所
内耳
耳の一番奥で「中耳」からの振動を電気的信号に変換して脳に伝える場所

この中の「中耳」に起きている炎症が「中耳炎」です。

子供は中耳炎になりやすい

外からの音は耳で集められ、鼓膜を振動させることで中耳に伝わります。中耳には「鼓室」と呼ばれる空洞があり、鼓膜からの振動をより増強して内耳に伝えるため「耳小骨」という3つの小さな骨があります。この骨の先は内耳になります。

鼓室は鼓膜と骨とに囲まれた空間です。鼓膜があるため、外耳とは空気が繋がっていません。そのかわり「耳管」という鼻の奥、喉の上辺りに通じる管があります。この耳管が鼓室の換気や気圧調節という重要な役割をしてくれています。

音を伝えるためには、鼓室内に空気が不可欠です。空気があることで音の振動が上手く正確に伝わります。そのために耳管を通して換気や気圧調節するというのは、非常に大切なことなのです。

しかしその一方、耳管は細菌やウイルスの侵入口にもなってしまっています。風邪をひいたりした時にこの耳管を通って鼓室に細菌やウイルスが侵入し、感染して中耳炎になってしまうのです。

鼓室への感染経路は他にもありますが、最も大きな感染経路は耳管を通じたものになります。そして大人より子供のほうが中耳炎になってしまいやすい理由は、この耳管の構造にあります。

子供の耳管は大人に比べて、太く短くなっています。また鼻と耳とが水平な位置関係にあり、耳管の傾斜は緩くなっています。そのために細菌やウイルスが侵入しやすいのです。

大人と子供の耳管の特徴比較

大人の耳管は細長く、鼻より耳の方が高い位置にあるために傾斜は急です。この構造のおかげで、細菌やウイルスは侵入しづらくなっています。

また子供はうまく鼻がかめないために、鼻水が鼻の奥にたまってしまいやすくなります。ここには耳管の入り口があり、溜まった鼻水が原因で炎症を起こしやすくなるのです。

他にもまだ免疫力が弱いために風邪をひきやすいことや、喉の奥にあるリンパ組織のアデノイドが大きいことも原因となります。

このように子供は大人よりも中耳炎になりやすいのです。しかし大人の場合には、一度中耳炎になると子供よりもひどい症状が出てしまいます。

急性中耳炎/子供以上に強烈な痛みが起こる!

急性中耳炎は風邪や副鼻腔炎をきっかけに、耳管を通って中耳に細菌やウイルスが侵入して悪さをする病気です。

先ほども言ったように子供の耳管の構造は細菌やウイルスが侵入しやすく、また免疫力が弱くて風邪をひきやすいため急性中耳炎にもなりやすくなっています。欧米での報告では、3歳までに8割以上の子供が急性中耳炎になっているそうです。

保育園や幼稚園などで集団保育を受けていると子供同士で移しあってしまいそれが原因で急性中耳炎になりやすい、治ってもまたかかりやすいということがあります。また抗生剤の効かない耐性菌が増えてきているといった問題もあります。

それでもだんだん成長して10歳を過ぎるころになると、しだいにかかりにくくなります。急性中耳炎で耳鼻科や耳鼻咽喉科を受診する人のほとんどは10歳以下の子供たちなのです。

急性中耳炎の症状

  • 耳の痛み
  • 耳が塞がれたような感じ
  • 耳の聞こえが悪い
  • 発熱
  • 耳だれ など

炎症が起きると中耳では膿が溜まり始め、耳の痛みがどんどんひどくなります。そして溜まった膿が鼓膜を破って耳だれが出てくると、痛みは少し改善されます。ただ耳だれは誰でも出るわけでなく、出ない人もいます。

残った膿は耳管を通って鼻の奥に抜けて行きます。それまでは聞こえにくさなどの症状が残ってしまいます。膿がなくなり完全に治るまでには1~3ヶ月くらいです。

耳の痛みは外耳炎の際にも起きやすい症状です。ただ急性中耳炎による痛みの場合には、耳を引っ張っても特に痛みの強さは変わりません。外耳炎による痛みの場合には耳を引っ張るとさらに痛みが強く出てしまいます。

大人の急性中耳炎は非常に痛い!

子供の場合にも、急性中耳炎になると耳の痛みが出ます。ただ大人の場合には、子供以上にその痛みが出てしまうようなのです。

急性中耳炎で起きる耳の痛みの原因は、中耳腔(中耳の空洞)に溜まった貯留液が鼓膜を押す圧力にあります。

炎症があると、その近くの血管の中の水分は血管の壁を通り抜けやすくなる性質があります。通り抜けてきた水分は、中耳腔にどんどん溜まっていくことになります。

また細菌などの異物が侵入すると、体を守る免疫機構がすぐ働きます。白血球が飛んできて細菌に襲いかかるのです。そして白血球と細菌が闘った後には、たくさんの膿が残ります。

こうして中耳腔には血管からしみ出た水分や、白血球と細菌との闘いの後に残された膿などがどんどん溜まっていってしまいます。これらの貯留液が増え鼓膜を押すまでになると、痛みが出てしまうのです。

そして貯留液が増え過ぎて鼓膜がその圧力に耐えられなくなると、鼓膜が破れて耳だれとなります。耳だれが出ると中耳腔の圧力は下がるために、痛みは少し楽になります。

つまり貯留液が鼓膜を強く押す圧力のせいで痛みが出て、鼓膜が破れて貯留液が外にあふれ鼓膜を押す圧力が下がると痛みは楽になるのです。

大人の鼓膜は子供の鼓膜よりも丈夫にできています。子供よりも厚いために同じ程度の圧力がかかっても、そんなに簡単には破れないのです。そのため残念なことに、貯留液は子供のときよりもっともっと強い力で鼓膜を押すことになります。

その分、子供のときよりもひどい痛みを感じるようになってしまうのです。

また中耳の貯留液がたまる空間も、大人のほうが広くなっています。そのため貯留液の量も大人のほうが多くなり、鼓膜が破れて出てくる耳だれの量も大人もほうが多くなります。

大人が急性中耳炎にかかった場合の症状の特徴

大人の急性中耳炎の場合も、その経過自体は子供と同じです。ただひとつひとつの症状が子供よりもひどくなってしまいます。

まず先ほども言ったように、大人の急性中耳炎での痛みはかなりひどくなります。私自身は経験したことがないのですが、「仕事をしていられないくらいの痛み」が出てしまうようなのです。この激痛は数日ほどで治まってきます。

耳だれは(子供も同じですが)出る場合と出ない場合があります。耳だれが出た場合、その量は子供よりも多くなります。ドクドクと溢れ出てくるため、びっくりしてしまうかもしれません。でも耳だれが出ることで、痛みは少し和らいでくるでしょう。

鼓膜が破れず耳だれが自然に出なかった場合には、子供と同じように鼓膜を切開することもあります。ただし切開を行うかどうかは、中耳炎の重症度にもよります。

重症の中耳炎の場合には、中耳の中に細菌がたくさんいる状態です。これだと抗生剤を使って菌をなくそうとしてもなかなか効果で出にくくなります。またさらに悪化して難聴になったり、炎症が脳にまで及んで命の危険さえ出てしまうことがあるのです。

そのため中耳炎の症状を見ながら、切開したほうがよいという判断になれば切開することになります。破れたり切開された鼓膜は、その後自然に治ってきますので心配はいりません。

痛みが和らいだ後も、耳の聞こえの悪さはしばらく続いてしまいます。中耳の中にはまだ膿などが残っている状態のため、正常なときのようには聞こえないのです。残った膿などは耳管を通って鼻のほうへ抜けて行きます。

この聞こえにくさは数週間ほど続いてしまいます。痛みがひいたあとも聞こえの悪さが残っていると不安になってしまうかもしれませんが、ほとんどの場合、少しずつ元の状態に戻り治っていくので心配しないでください。。

ただしきちんと治療をしないままではしっかり治りきらないこともあるため、医師が大丈夫だと言ってくれるまでは受診を続けるようにしましょう。

急性中耳炎にかかったときの対処法、気をつけること

急性中耳炎で痛みがひどいときには、病院を受診するまでの間に鎮痛剤を飲んでしまっても大丈夫でしょう。(ただし他に飲んでいる薬がある場合には、飲み合わせなどを確認してください。)

耳の後ろを冷やすようにすると少し痛みが楽になります。

また横になるより、立った姿勢や座った姿勢のほうが痛みは楽です。辛いかもしれませんが、頭の位置に気をつけてみてください。

耳だれは多少拭いたほうがよいですが、このとき耳の中まできれいに拭こうとする必要はありません。耳の外に出てきた分をティッシュなどで拭き、耳の中は傷つけたりしないようにしましょう。

急性中耳炎の大きな原因は、大人も子供の同じで風邪をひいたことです。そのため急性中耳炎の予防のためには風邪予防が第一です。うがい、手洗い、マスクなどを心がけましょう。

またストレスで免疫力が低下してしまっていると感染しやすくなります。普段からストレスは溜め過ぎないようにしておきましょう。

鼻水には細菌がたくさんいます。鼻水をそのままにしておくと、細菌は耳管を通って中耳に侵入してきて中耳炎を起こしてしまいます。それを防ぐためにも鼻水は溜めずにまめにかむようしましょう。

ただし鼻を強くかみすぎることもよくありません。強くかみすぎると、中耳に圧力が伝わって痛めてしまうことがあるのです。またそのときに細菌が中耳に侵入してしまうこともあります。

このようなことから鼻水は溜めずにしっかりかんだほうがよいですが、強くかみすぎず優しくかむようにしておきましょう。

なお、飲酒や喫煙は炎症に悪影響です。中耳炎が完治するまでは我慢するようにしておきましょう。

自然治癒を待つ?急性中耳炎に抗生剤は必須ではなくなってきている

医学の進歩とともに、病気の治療方法は少しずつ変化してきます。一昔前、急性中耳炎になった際には抗生剤を使うことが必要不可欠だと思われていました。これは急性中耳炎は細菌感染症と考えられていたためです。

しかし最近になって、初期の場合にはウイルス感染症が多いことがわかってきました。ウイルスに対しては、抗生剤は何の効果もありません。また細菌が原因の場合でも、抗生剤なしで自然治癒していくことがわかってきたのです。

また近年、日本では抗生剤を使いすぎることで耐性菌が増えてきているという問題もあります。

このようなことから、軽症の急性中耳炎では抗生剤を使わずに自然経過を観察していくという治療方法に変わってきました。ただ受診回数を増やして、きちんと経過観察をしていくことが大切です。

そしてもしも抗生剤が処方された場合には、指示通りに全て飲みきることも重要です。自分の判断で止めてしまったりすると、そのせいで症状が長引いたり悪化してしまったり、また耐性菌の問題も出てきます。

医師の指示にきちんと従い、処方された薬は最後まで飲む、もう完治したと言われるまでは受診を続けるなどを気をつけておきましょう。

中耳炎で受ける治療、鼓膜切開ってどんな治療?

急性中耳炎やこの記事のもうちょっと後で紹介する滲出性中耳炎では、中耳に貯留液が残ってしまい耳の聞こえが悪くなってしまいます。

そこで鼓膜に小さい穴をあけ、貯留液などの炎症をおこしているものを抜き取る治療が鼓膜切開です。

耳の中に麻酔液を流し込み、まずは鼓膜に麻酔をかけます。だいたい10分くらい横になっていれば麻酔がかかってきます。鼓膜に3~5mmの切り込みを入れ、吸引器で吸い取ります。

切開した鼓膜は3~7日でふさがり元の状態に戻りますが、治療を受けた当日は耳に水が入ってしまわないように注意が必要です。こういった注意事項はしっかり医師に確認し、従ってくださいね。

鼓膜切開は一度受けてしまうとくせになると言われることもありますが、これは間違いです。

繰り返し治療を受けて鼓膜が少し厚くなったり硬くなったりとする場合もありますが、日常生活に支障はなく本人が気づかないほど若干の聞こえの低下がみられるのみです。

大人の急性中耳炎はすご~く痛いんです。怖いですけど必ず治りますから医師の指示にちゃんと従いましょう。

慢性中耳炎/鼓膜に穴が開いているのに痛みがない中耳炎

中耳炎というと、耳が痛くなる病気というイメージがあるでしょう。しかし急性中耳炎以外の中耳炎では耳の痛みはあまり出ません。慢性中耳炎も耳の痛みは出ません。

慢性中耳炎では耳の痛みはないものの、鼓膜に穴が開いてしまっている状態です。子供のころから急性中耳炎を繰り返してしまったために、急性の炎症が治まった後にも鼓膜に穴が残ってしまったのです。

中には子供の頃には自分が中耳炎になっていることに気付かないままで、大人になってから慢性中耳炎を発症するいうこともあります。

子供もなってしまうことはありますが、どちらかというと大人に多いタイプの中耳炎です。ただし昔に比べると、急性中耳炎に対してきちんと治療が行われるようになったおかげで慢性中耳炎患者は減少し、また軽症患者が多くなっています。

大人になって慢性中耳炎を発症する原因として、糖尿病や甲状腺の病気、がんやエイズなどになり免疫力が低下したことなども関係していると考えられています。

慢性中耳炎の症状

  • 耳の聞こえが悪い
  • 耳が塞がれたような感じ
  • 耳鳴り
  • 耳だれ など

慢性中耳炎では鼓膜に穴が開いているため、細菌が中耳に入ってしまいやすくなっています。そのため細菌感染を起こしやすく、膿が出て耳だれになりやすくなっています。

しかし鼓膜に穴が開いているため、膿が鼓膜を押して痛みが出ることはありません。そのため慢性中耳炎では耳の痛みはないのです。(症状によっては耳の痛みが出ることもあります。)

耳だれがあるために、耳が塞がれたような感じはあります。耳鳴りがひどく出ることもあります。

鼓膜の穴のため、聞こえは非常に悪くなります。外界からの音は鼓膜を振動させ、それによって人は音を聞き取っているのですが、その鼓膜に穴があるとしっかり振動できず音をうまく聞き取れなくなってしまうのです。

慢性中耳炎の症状が悪化するについて、聞こえにくさはますますひどくなります。始めは低温域が聞こえにくいといった感じなのですが、悪化するにつれて高音域も聞き取りにくくなってきます。

聞こえにくさはあるものの痛みはない病気のために、治療を途中で勝手に止めてしまう人もいます。しかしそのままにしてしまうと聞こえにくさはどんどんひどくなっていくため、きちんと治療を続けることが大切です。

鼓膜の穴を塞ぐ手術をすることで聞こえかたが良くなることもあります。聞こえが悪くて諦めていた人も、症状によっては改善できる場合があるため、一度医師に相談してみるとよいでしょう。

慢性中耳炎は大人に多い、鼓膜に穴の開いた痛みのない中耳炎です。痛みはなくても放置するとどんどん聞こえなくなっていくので、ちゃんと治療を続けることが大切ですね。

滲出性中耳炎/大人の場合はがんが原因になることも

滲出性中耳炎は急性中耳炎の炎症がきちんと治りきらないまま、中耳に貯留液が残ってしまった状態です。中耳カタルや耳管カタルとも呼ばれます。

急性中耳炎とは違い、痛みはありません。聴こえにくさなどは残るのですがひどくはないため、特に子供の場合には本人も親も気付かないままだったりということもあります。

原因として考えられるのは、急性中耳炎の治療を最後まで行わなかったために中耳や耳管の炎症が続き、中耳内の貯留液が残ったままになってしまったことなどがあります。

正常な内耳と滲出性中耳炎の様子の比較

鼻炎や副鼻腔炎などがあると、さらになりやすくなります。鼻をよくすすっている子供もなりやすいとされます。

滲出性中耳炎の症状

  • 耳の聞こえがやや悪い
  • 耳が塞がれたような感じがする
  • 耳鳴り
  • 自分の声が耳の中で響く
  • 耳の中で水が動いている感じがする

慢性中耳炎と同じように滲出性中耳炎も痛みの出ないタイプの中耳炎です。耳の聞こえにくさは慢性中耳炎よりはひどくありません。

ただ痛みがなくても、きちんと治療を続けていくことが大切です。治療を放っておいてしまうと完治しづらくなり、難聴はもっとひどくなります。聴力が戻らなくなってしまうこともあります。

そしてもっとも怖いのは、大人の滲出性中耳炎の原因として上咽頭がんなどが影響しているかもしれないということです。

もちろん副鼻腔炎や風邪などに原因があることもあります。また高齢者になると筋肉が老化するために耳管の働きが悪くなって起きてしまうこともあります。

しかし中には上咽頭にがんや悪性リンパ腫などのために耳管が狭くなり、その影響によって滲出性中耳炎になってしまうこともあるのです。とてもまれなことですから、可能性は高くありません。

ただもしも大人が、特に片側だけの滲出性中耳炎と診断された場合には、がんなどではないかどうかをしっかり検査しておく必要があるでしょう。

滲出性中耳炎と診断されたときには、病気になってしまった原因もしっかり見極めなくてはいけませんね。

真珠腫性中耳炎/命の危険も!骨が溶かされていく中耳炎

鼓膜が耳の中に入り込み、そこに垢のようなもの(デブリ)がたまってくる病気です。このデブリがどんどんたまると真珠のように見えることから「真珠腫」と呼ばれます。腫瘍とは関係ありません。

真珠腫ができてしまう理由にはいろいろな説がありますが、まだはっきりとはしていません。原因をして考えられているのは、鼓室が陰圧になってしまうことです。

先ほども言ったように鼓室の空気は耳管を通して外界と繋がっていて、鼓室と外界とでは同じ気圧になっています。そのおかげで鼓膜はピンと張って、音の振動が正確に中耳に伝わるようになっているのです。

鼓室の空気は徐々に消費されています。減った分の空気は耳管を通して外界から空気が入ってきて、気圧調整がされています。しかし鼻炎などになって耳管の通りが悪くなってしまうと空気が入って来なくなり、鼓室は陰圧になってしまうのです。

そうなると、鼓膜の特に弱い部分が内側に引っ込んできてしまいます。鼓室が陰圧の状態が長く続くと、鼓膜はさらに引っ込んで中耳の内側に袋状に大きくなっていってしまうのです。ここにデブリがたまって真珠腫となってしまいます。

真珠腫には周囲の骨を溶かして壊してしまうような性質があります。さらにデブリは細菌にとっては好都合な繁殖場所であり、細菌感染し炎症を起こすと骨を壊していくスピードはもっと速くなります。そして様々な症状を起こしてしまうのです。

真珠腫性中耳炎の症状

  • 耳だれが出る
  • 耳の聞こえが悪い
  • 耳の痛み
  • 耳が塞がれたような感じ
  • めまい など

まず進行するにつれて血や膿の混じったような耳だれが出るようになります。耳だれやデブリがうまく耳の外に排出されなくなり増えてしまうと、耳の痛みが出てしまうこともあります。耳が塞がれたような感じにもなります。

難聴の程度は病気の進行度合いによっても違ってきます。中耳には「耳小骨」という、外からの音を振動に変えるために重要な役割をしている骨があります。この振動が内耳に伝わると電気信号に変換され、脳へと伝えられる仕組みになっています。

真珠腫による骨の破壊が進むと、次第に中耳にある耳小骨が破壊されていきます。耳小骨は音を振動に変える働きをしていたため、ここが破壊されると音を振動に変えて伝えることができなくなってしまいます。これを「伝音性難聴」と言います。

そして骨の破壊が内耳にまで及ぶと、今度は音の振動を電気信号に変えて脳に伝えることができなくなってしまいます。これを「感音性難聴」と言います。病気が進行するにつれて伝音性難聴に感音性難聴を伴った「混合性難聴」になってしまうのです。

さらに内耳には平衡感覚を司る前庭や三半規管もあります。骨の破壊がもっと進んでここまで及ぶと、激しいめまいも起こすようになってしまいます。

この近くには顔面神経も通っていて、ここが侵されてしまうと顔面神経麻痺になってしまうこともあります。さらに進行してしまうと、まれですが髄膜炎や脳腫瘍を起こしてしまうことまであり、生命に関わる状態になることもあるのです。

初期に発見できた場合には、抗生剤で炎症を和らげて真珠腫のデブリをていねいに除去することになります。ただこれは一時的なもので、そのままで放置してしまうと真珠腫は再発しさらに悪化してしまいます。

症状がある程度以上進行してしまっている場合には、外科的な手術で真珠腫を取り除くことになります。完全に治療するためには手術が必要で、また手術で真珠腫を取り除いても再発しやすい病気のため、きちんと受診を続けることが大切になります。

真珠腫性中耳炎は進行性で再発もしやすいのが特徴です。

放置してしまうと脳腫瘍になって、生命の危機にもさらされてしまうことがあるから注意が必要ですね。

好酸球性中耳炎/気管支喘息のある大人は要注意

好酸球中耳炎は1995年に日本で提唱された新しいタイプの中耳炎ですが、広く知られるにつれて決して珍しい病気ではないことがわかってきています。

「好酸球」とは血液の白血球の一種です。アレルギー反応に関わりを持っていて、気管支喘息やじんましんなどのアレルギーの病気になると好酸球が増えてきます。

好酸球性中耳炎はこの好酸球が浸潤し、にかわ状の非常にネバネバした貯留液が中耳にたまってくる病気です。この貯留液は吸引ができないほどネバネバしていて、そのために難聴になったり耳が塞がれたような不快感が出てしまったりします。

好酸球性中耳炎の症状

  • 難聴
  • 耳が塞がれたような感じ
  • 耳鳴り
  • 耳だれ など

好酸球性中耳炎にはいくつか特徴があります。

  • 40~60歳で発症する人が多い(子供の発症はほとんどない)
  • 女性のほうがやや多い
  • 両側の耳で起きることが多い
  • ほとんどの患者が気管支喘息をもっている
  • 好酸球性副鼻腔炎のある患者も多い
  • 中には耳が聞こえなくなってしまうこともある

まず気管支喘息を発症し、その数年後に好酸球性副鼻腔炎を発症、それからまた数年後に好酸球中耳炎を発症するという流れをたどる患者が多くなっています。

さらに気管支喘息の治療を吸入ステロイド薬に切り替えた後に好酸球性副鼻腔炎を発症しやすく、好酸球性副鼻腔炎の外科手術をした後に好酸球性中耳炎が悪化しやすいという報告もあります。

治療にはステロイド剤の服用や、鼓膜を切開してそこに直接ステロイド剤を投与したりといったことが行われます。気管支喘息を合併していることも多いため、呼吸器科の医師とも連携して治療を進めていくことになります。

手術によって逆に症状が悪化してしまうこともあるため、全体的な症状をみながら手術すべきか否かを判断していくことになります。

気管支喘息のある人は、好酸球性中耳炎を発症してしまう可能性があります。聞こえが悪いといったことがあれば、すぐ耳鼻科、耳鼻咽喉科へも行きましょう。

以上のように、「中耳炎」といってもその症状によっていろいろなタイプのものがあります。耳が痛くなるという症状以外にも、様々な症状が現れます。

ひどい耳の痛みや耳だれがあったりすれば、慌てて耳鼻科や耳鼻咽喉科を受診されるかもしれません。ただ何となく聞こえが悪いくらいだと病院へ行かなかったり、また治療を受けていても途中で受診を止めてしまうかもしれません。

しかし放置してしまうと症状はさらに悪化し、ますます治りが悪くなってしまいます。もっと怖いのは、中耳炎が原因でまれに顔面神経麻痺や脳腫瘍にまでなってしまうことがあるということです。

また耳の痛みや難聴は、中耳炎以外の病気でも起きてしまいます。そして治療開始までに時間がかかるほど、治るまでにも時間がかかるようになるのです。

耳の痛み、耳だれ、聞こえの悪さ、耳鳴りといったような症状が現れた場合には、なるべく早く病院を受診するようにしておきましょう。

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