健康生活TOP 骨粗しょう症 食品でも過剰症に!ビタミンAの過剰摂取を避けるために注意すべき事

食品でも過剰症に!ビタミンAの過剰摂取を避けるために注意すべき事

ビタミンAは、一般には欠乏症になると鳥眼(夜盲症)になるといった程度の認識で、それほど意識されることの少ないビタミンです。栄養状態の良くなかった時代には、特に子供の夜盲症が問題視されたこともありました。

そうした時代には、サメなどの軟骨魚類から採った油をサプリメントにした肝油と言うものが、小学校給食の補助として配られていたと言うこともありました。ビタミンAとDが豊富なので、夜盲症とくる病の予防のためだったのです。

現在の肝油ドロップは、魚油を使わず、ビタミン剤の処方で作られているようです。このビタミンAですが、実は様々な栄養素の中でも、食べ物から摂る量だけで過剰症が起こる可能性のある珍しい栄養素なのです。

多くの種類のビタミンAの中で基準になっているのはアルコール型

ビタミンと言う名前は働き方の名前で、特定の物質固有の名前ではありません。もちろんビタミンCのように、L-アスコルビン酸と言う物質名と1対1で関係しているものもありますが、ビタミンEのように8種類の物質の働きの総称であることも珍しくありません。

ビタミンAもビタミンA1と呼ばれることもある基本の物質のアルコール型・アルデヒド型・カルボン酸型の3つと、それらから一部の水素原子が取り除かれたビタミンA2を合わせた6種類の他、関連物質を含めるとたくさんの種類があります。

狭義のビタミンAはレチノールと言う物質

ビタミンAの基本になるのはレチノールと言う物質です。名前の最後が-olで終わっているので、アルコール型であることがわかります。アルコール型が存在すると言うことは、それが脱水素(酸化)されたアルデヒド型もあるはずです。

アルデヒドですから、名前の最後が-alになります。つまりレチナールと言う物質もビタミンAです。お酒のアルコールであるエタノールが一段階代謝されると、アセトアルデヒドになって、顔が赤くなるなどするのは有名ですね。

アセトアルデヒドは別名エタナールとも言います。そして頭痛の原因にもなるアセトアルデヒドは代謝されて酢酸になりましたね。酢酸の別名はエタン酸です。ですので、ビタミンAにもレチノイン酸と言うものがあるのです。

レチノール類は、構造の片端に6員環と言う、亀甲型の構造を持っています。その中の3番目の結合から水素が失われて、炭素同士の結合が単結合から2重結合になる3-デヒドロ型になったものもあります。

それぞれ3-デヒドロレチノール・3-デヒドロレチナール・3-デヒドロレチノイン酸と言います。これらの物質には、ビタミンAとして働くときの強さである「ビタミンA活性」と言うものがあります。そして、それぞれに活性が違いますので、計算がとても面倒です。

私たちが普段、食品の栄養成分表示などで見ているビタミンAの含有量には、μgREと言う単位がついています。μgはマイクログラム、つまり100万分の1gです。

そしてREはレチノール当量(Retinol Equivalent)つまり、それぞれの活性をレチノールに換算した時、どれだけの量に相当するかを換算して、それを合計したものなのです。

現在はレチノール活性当量(RAE:Retinol Activity Equivalent)と呼ぶことが多くなっているようです。

ビタミンAは脂肪に溶けて水には溶けない

ビタミンAは一般に脂溶性ビタミンと呼ばれるものです。水に溶けませんから、摂り過ぎてもすぐに尿から排泄されるということがなく、身体の中に蓄積されます。つまり過剰症が起こりやすいビタミンの1つであるということです。

そして、脂肪分を落とす調理でない限り失われにくいですし、レバーなどに多く含まれることから脂肪が抜けることも少ないでしょう。基本的にビタミンAは動物性食品にしか含まれません。

また、ビタミンAも熱で分解するし、酸や空気によっても変質しやすいといわれますが、調理しておいしく食べられる程度であれば、調理による損失は限定的だと思われます。

さらに、次でお話しするビタミンA前駆体は緑黄色野菜に豊富なので、現在において普通に食事をしている限り、欠乏症が出るほど不足することはありません。

カロテノイドは植物性食品に多いプロビタミンA

ビタミンAと言えばニンジンやカボチャなど、緑黄色野菜を連想される人も多いでしょう。緑黄色野菜の定義は、可食部100gあたりβカロテンを600μg以上含むものが原則です。

しかし、例えばトマトやピーマンも緑黄色野菜に含まれています。これは「1回当たりに食べられる量」を勘案したことと、数値的な定義ができる前から緑黄色野菜と数えられていたからです。

トマトには100gあたり540μgのβカロテンが含まれています。数値的な定義の0.9倍しか含まれていませんね。でも、トマトはたくさん食べられます。

例えば、かいわれだいこんはトマトの約3.5倍のβカロテンが含まれています。しかし、かいわれだいこん1パックを食べるより、小さなトマト1個を食べる方が楽ですよね。この2つはβカロテンの量ではほぼ同じになります。

そう言った事情から、トマトやピーマンは緑黄色野菜に数えられているのです。

こうしたβカロテンに代表されるカロテノイドはプロビタミンA(不活性型ビタミンA前駆体)と呼ばれ、体内では肝臓や脂肪組織などに蓄えられ、必要に応じてビタミンAとして活性化されるという特徴を持っています。

βカロテンの構造式

単純化した解説ですが、上のような構造のβカロテンを、真ん中の切り取り線で2つに分けると、活性型のビタミンAであるレチノールが2つできるのです。

ビタミンAの構造式

私たち日本人は、ビタミンAの摂取量の半分以上、7割近くをこうした植物性のカロテノイドからプロビタミンAの形で摂っているのです。絶対量はともかく、良い形での摂取だといえますね。

ビタミンAは摂り過ぎると過剰症が現れる

ビタミンやミネラルなど、いわゆる「微量成分」と呼ばれるものについては不足すると欠乏症が現れるだけでなく、摂り過ぎると過剰症と呼ばれる症状が現れる場合があります。

ほとんどのものはサプリや医薬品など、精製されたり化学合成されたりした高い濃度のものを摂ることでしか過剰症は現れません。よく「健康のために食品から摂りましょう」と呼びかけられるのはこのためです。

しかし、ビタミンAに限っては、一般食品を食べるだけでも過剰症が起こりますし、物によってはビタミンAの含有率が高すぎて「毒性があるため食べてはいけない物」に指定されているものすらあるのです。

プロビタミンAはたくさん摂っても大丈夫

βカロテンに代表されるプロビタミンAは、体内に充分な量のレチノールなど活性型のビタミンAがある限り、ビタミンAに活性化されることなく蓄積されるか排泄されるため、まったく毒性を持ちません。

毒性が問題になるのはレチノールなどの活性型ビタミンAです。レチノールなどは、動物にしか含まれません。ですので、植物性食品をいくら食べてもビタミンA過剰症は起こらないのです。

一方動物性食品では、脂肪酸のバランスなどから摂取を推奨される魚類でも、大量のビタミンAを持ったものがありますから、特に内臓には注意して下さい。

大型魚の肝臓に注意が必要

食品衛生法で食用禁止措置が取られているのは、イシナギと言う大型魚の肝臓です。この魚の肝臓をほんの5g~10g食べただけで、急性ビタミンA中毒が起こります。

イシナギの写真
(東京都市場衛生検査所提供)
イシナギ

症状としては、激しい頭痛や嘔吐、発熱が見られ、顔がむくんだり、下痢や腹痛が見られることもあります。そして、2日目以降顔の皮膚がボロボロとむけ始め、重症になると1か月くらいかかって全身の皮膚がむけます。

刺身でも煮付けやフライでもOKな美味しい魚ですし、鮮魚店やスーパーに出回るものでは、肝臓は取り除かれ、切り身として売られますから心配はありません。

一方、晩春の大物釣りのターゲットになる人気魚ですから、釣った魚を家庭でさばいた時に、肝を食べてしまう事故があるようですね。2015年までの10年間に3件26名の患者発生が報告されています。幸いなことに死者は出ていないようです。

上の写真では45センチくらいですが、大きなものになると2メートルくらいになるそうです。その大きく育ったものは、身の脂ででもあたると言われていますので、大きすぎるものは食べない方が安全ですね。

念のため大型魚の肝臓には注意しておく

食品衛生法に基づく食用禁止措置はイシナギだけですが、マグロやカツオなど大型魚類の肝臓も、個体によって大量のビタミンAを含んでいることがあります。

ですので、もし食べる機会があったとしても1切れだけにしておきましょう。万が一急性ビタミンA過剰症が出ても、食べた絶対量が少なければ軽症で済むことが多くなります。

一方、肝を食べる魚と言えばアンコウですね。アンキモはとても美味しいです。また、メスの方は1.5mくらいになりますので、大型魚と言ってもいいでしょう。

このアンキモにもビタミンAは豊富ですので、1週間から10日に1回以下の頻度で、1回1人前(加熱調理済みで60g)くらいにとどめておきましょう。

この程度の量のアンキモに含まれるビタミンAは、およそ5000μgREと1日の耐用上限量の2倍弱くらいです。耐用上限量は最小中毒量の5分の1に設定されていますから、2人前半~3人前食べた場合過剰症が現れるでしょう。

また、ビタミンAは体内に蓄積されますから、1人前であっても3~4日続けて食べると、ビタミンA過剰症が発生してしまう可能性は充分にあり得ます。

魚ではありませんが、アザラシやシロクマの肝臓でもビタミンA過剰症が起こります。私たち日本人には縁のない食べ物ですが、現地のイヌイットの人々も、決して食べないということです。

動物の肝臓でもビタミンA過剰症に注意が必要

さて、大型の魚の肝臓は注意が必要であることが判りましたが、陸上動物の場合どうなのでしょう。実は、非常に身近ないくつかの動物の肝臓には注意が必要なのです。

実は、 日本食品標準成分表2015年版(七訂)に掲載されている食品のうち、ビタミンA(レチノール)含有量のベスト10に入っている食品を見比べると、半分は陸上動物由来のものなのです。

豚レバーと鶏レバーを使った製品に注意

厚生労働省による日本人の食事摂取基準でビタミンAの成人の耐用上限量は1日当たり2700μgREとなっています。これは過剰症が発現する最小摂取量の13500μgRE/日に不確実性因子を5として計算した値です。

ですので、2700μgRE/日を超えて摂取すると、何らかの原因で過剰症が発現する可能性が否定できないということですね。また、13500μgRE/を超えて摂取すると過剰症発現の範囲に入ってくると言うことです。

そこで、豚レバーと鶏レバーに含まれるビタミンAの量を見てみると、豚で13000μgRE、鶏で14000μgREとなっています。つまり、生の状態の時に100g分の鶏や豚のレバーを食べると、ビタミンA過剰症の恐れが出てくると言うことです。

このくらいなら充分食べられますよね。調理の際に加熱して脂肪分が落ちてくれると、その分ビタミンAは減りますが、煮汁に出ていてそれを飲んでしまうと、全部摂取することになります。

加工品としては、豚のスモークレバーは水分が抜けている分17000μgRE含まれています。レバーペーストやレバーソーセージはそこまで極端に多くはないですが、それでも100g食べると耐用上限量は軽く超えてきますので注意して下さい。

慢性過剰症を避けるためレバー製品は週に1回程度にする

上では話題に出なかった牛レバーですが、豚や鶏に比べると1/10以下の100gあたり1100μgREしか含まれていません。しかしそれでも日本人の成人の摂取推奨量650μgRE~900μgREと言う線は楽に超えてきます。

一方でビタミンAは脂溶性ビタミンですので、過剰になってもなかなか体外へ排泄されません。だいたい、体内にあるビタミンAの2%程度が一日に排泄される量です。

そうなってくると、毎日多め多めにビタミンAを摂ってしまうと、それが体内に蓄積されて、慢性の過剰症を引き起こす危険性が現れています。

慢性のビタミンA過剰症では、急性の後半と同じように皮膚がはがれてきたリ、骨粗しょう症が起こったり、脱毛が起こったりします。場合によっては頭蓋内圧が高まって頭痛が起こることもあります。

こうしたことを防ぐため、特に一定以上の年齢の人や妊娠の可能性のある人々に対して、イギリスの国民保健サービスが国民に対して呼びかけを行っています。

【保健省によるアドバイス】

<妊娠しているか妊娠を考えている人へ>

・総合診療医の指示がない限り、肝油などのビタミンAサプリメントを摂ってはいけません。

・レバーパテなどの製品やレバー自体はビタミンAが非常に多いので食べてはいけません。

<閉経後の女性や骨粗しょう症の危険がある高齢男性へ>

・レバーやレバー製品を食べるのは週に1回以内にするか、小さな切り身にして下さい。

・レバー類を食べていない場合でも、肝油などのサプリでビタミンAを摂るのは1日1500μgRE以下にして下さい。

・レバーやレバー製品を食べている場合は同じ週にビタミンAサプリを摂ってはいけません。

(要旨のみ抜粋翻訳)

レバーペーストやパテなど、日本よりたくさんレバー製品を食べる習慣がある国ですのでこうしたアドバイスがあるようですね。でも、焼肉屋さんでレバーを頼む人が少なくない日本でも、とても参考になります。ぜひ食生活に活かしてみて下さい。

妊娠の可能性がある場合は、ビタミンAの過剰は胎児の奇形を呼びますので、特に注意して下さい。

鶏肝のビタミンAの多さは驚異的ですね。一方、砂肝とも呼ばれる部位にビタミンAはほとんど含まれませんので、食べ過ぎを気にせずどんどん食べられますね。カロリーも肝より1割ほど少なめです。

それでもビタミンAはもう少し摂った方が良い

ここまではビタミンAの過剰症に注目してお話を進めてきました。これは安易にサプリに頼ることによって、過剰症が引き起こされるのを警戒してもらうためです。食べ物だけでも過剰症の可能性があるのに、サプリを使うと簡単に過剰になります。

ビタミンA製剤を使うのは、何らかの事情でお医者さんに指示されたときだけにして下さい。でも、普段の食事からはもう少し多めにビタミンAを摂った方がいいのもまた事実なのです。

欠乏症が出るほどではないが少し摂り足りない

日本人の摂取状況を見ると、厚生労働省が示した推奨摂取量に対して、男性で65%くらい、女性で70%くらいしかビタミンAが摂れていません。かと言ってその不足分をレバーなどで補おうとすると一気に過剰になってしまいます。

そこで便利なのが乳製品やたまご、緑黄色野菜なのです。ちょっとレシピとビタミンA含有量(レチノール活性当量)を紹介しましょう。

もうおなじみになったイタリアのサラダ、インサラータ・カプレーゼです。イタリア国旗の色のサラダとして有名ですね。

食材 ビタミンA(μgRE)
モツァレラチーズ 100g 280
トマト 150g(小1個) 68
バジル葉 8枚 17
オリーブオイル 小さじ2 1

チーズとトマトを食べやすい大きさに切って並べ、バジルの葉を乗せてオリーブオイルをかけるだけです。好みで塩やハーブを足してください。

このボリュームだと2人前になるかもしれませんね。それでも1人前当たり183μgREのビタミンAが摂れます。チーズにはレチノールの形で含まれますが、あとの3つはβカロテンをレチノールに換算した量です。

女性ならこれを2人前として、男性ならこれを1人前として、普段の食事に追加して食べれば、平均的な日本人のビタミンA摂取量として満足のゆく値になるでしょう。カロリーは、これ全部で約388kcalです。

ビタミンAは足りなくても皮膚のトラブルを引き起こす

ビタミンAの過剰症では落屑と言って、皮膚がボロボロとはがれる症状が起こります。一方、ビタミンAが不足すると夜盲症など目のトラブルの他、皮膚が乾燥したり角質化したり、さらには色素沈着が起こったりします。

つまり、ビタミンAは多すぎても少なすぎても皮膚にトラブルを起こすビタミンだということです。

さらに、ビタミンAの欠乏症としては免疫力が低下して、感染症にかかりやすくなるということもありますし、子供の場合成長に遅れが出ることもあります。

インサラータ・カプレーゼはお手軽なイタリアンレストランでも必ず置いている定番メニューです。香りのよいエクストラバージンオリーブオイルさえあれば、あとの材料は普通にスーパーで売っているもので、とてもおいしいものができますよ。

ビタミンAの基本はβカロテンとして摂ること

ビタミンAの難しいところは、不足しないようにレバーなどで摂ろうとすると、勢い余って摂り過ぎになりやすいことです。食品からでも過剰症の危険がある栄養素と言うのは珍しいです。

そこで、たくさん摂り過ぎても過剰症が見られたことのない、βカロテンなどのプロビタミンAを積極的に摂って、過不足のない食生活を送りたいものです。

いわゆる緑黄色野菜を中心にした食生活を心掛けるだけで、βカロテンによる抗酸化作用も期待できて、さらにはビタミンAを必要なだけ自動補給してくれる体制が整うわけですからとても良いですね。

そして、同じカロテノイドで、βカロテンに比べると半分しかビタミンA活性が期待できないβクリプトキサンチンですが、摂り方によって非常に効率的にビタミンAを摂る方法があるのです。

それは「みかん」です。普通のみかんにはβカロテンはそれほど含まれていません。みかん1個でオリーブオイル小さじ2杯ほどのβカロテンしかないのです。もちろん植物ですからレチノールはゼロです。

しかし、レチノール活性当量で見た場合、みかん1個で約85μgREのビタミンAが摂れます。

つまり、他から一切ビタミンAを摂らなくても、女性なら8個余り、男性なら10個余りのみかんを食べるだけで1日分のビタミンAが摂れて、しかも過剰症の可能性はゼロなのです。

このように、食べ物の情報を集めて、カロテノイドを多く含む果物や緑黄色野菜を摂るように心掛けることで、ビタミンAの過不足は解消できるでしょう。

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