健康生活TOP 肥満 白色でも褐色でもない新しい脂肪細胞ブライトで肥満を予防!

白色でも褐色でもない新しい脂肪細胞ブライトで肥満を予防!

men and women of obesity

ダイエットに興味がある方なら、白色脂肪細胞・褐色脂肪細胞と言う言葉をお聞きになったことがあるでしょう。白色脂肪細胞はいわゆる「脂肪の貯蔵庫」です。

一方、褐色脂肪細胞は「体内のストーブ」のような存在です。燃料になる脂肪をたっぷり持っていると同時に、その脂肪を燃焼させて熱を作り出すことができる細胞なんですね。

褐色脂肪細胞は不安定で弱い状態にある動物を守る防衛機構

冬眠をする恒温動物は、その期間中非常に弱い状態にあります。もちろん天敵に見つかるという危険もあるのですが、最も大きなものは体温低下によって生命を失う危険なのです。

小型のリスなどは心臓の細胞の働きを変化させることで、低温状態でも死なないようにコントロールしていますが、熊のように冬眠中でも30度台の体温を維持する動物は、熱を作る必要があります。

その際に、身体を震わせたり動かしたりすることなく熱を作り出すのが褐色脂肪細胞なのです。

赤ちゃんが最初に遭遇する危機的状況とは胎内と外界の温度差

赤ちゃんは生まれ落ちた瞬間、それまでお母さんのおなかの中で38度くらいの環境にあったものが、いきなり10度以上低温の環境にさらされます。

生まれた直後数分間にあってこの温度差は大変重要で、これが刺激になって赤ちゃんは泣き、呼吸が早くなることで体温を上昇させるというメカニズムが起動されるようになっているのです。

しかし、一定時間が経過すると、まだ体を震わせて体温を上げるという機能が備わっていない赤ちゃんは、どんどん体温が低下してしまいます。起きているときは泣いて体温が上げられますが、眠っているときはそうはいきません。

褐色脂肪細胞が震えて体温を上げられない赤ちゃんを保温する

そこで活躍するのは褐色脂肪細胞です。褐色脂肪細胞は内部に持っている中性脂肪を燃料として、脂肪細胞自体がどんどん熱を産生します。この機能のおかげで、身体が完成していない赤ちゃんも凍死しないで済んでいるのです。

この記事とは直接関係ありませんので詳細は省きますが、赤ちゃんが生まれてすぐに母親以外の人がずっと付き添わず、赤ちゃんの体温の管理ができていなかったり、一律にミルクや糖水の投与を禁止したりすると危険だと言われています。

これは体温が下がることで、中性脂肪を合成するインスリンがたくさん分泌されて血糖値が下がるのに、栄養が入ってこないため低血糖症を起こして赤ちゃんが死んだり、消えない障害が残ったりするという危険性を指摘したものです。

詳しいことは別の記事に譲りましょう。

大人にも褐色脂肪細胞があったら太らなくて済むのに…

横着な考え方かもしれませんが、体重が増えやすい私のような者にとっては、まずそれが頭に浮かんでしまうのです。喰っちゃ寝してても太らなければいいな、なんてついつい考えてしまいます。

でも残念ながら大人になるにしたがって褐色脂肪細胞はどんどん減ってゆきます。なくなってしまう訳じゃなくて、赤ちゃんの時100gのくらいあったものが40gくらいに減ってしまうのが一般的だそうです。

でも、仮に3000gの赤ちゃんで100gだと3.333%ですが、60kgの大人で40gだと0.067%です。体重比にして約50分の1に減っちゃうわけですから、あまり減量効果は期待できそうにありませんよね。

褐色脂肪細胞は筋肉と同じ分化経路をたどって形作られる細胞

褐色脂肪細胞は、白色脂肪細胞とは異なった起源を持つ細胞です。白色脂肪細胞は、脂肪前駆細胞と言うものから脂肪細胞に育ってゆく細胞です。

一方、褐色脂肪細胞の原型は筋芽細胞と言う、筋繊維の細胞と同じスタート地点から始まる細胞なのです。とは言え、筋肉にならずに脂肪細胞になるというのも、何か損をしているような気がしないでもないですね。

現在では肥満対策として筋芽細胞からこの褐色脂肪細胞を分化させて増やす研究も行われていますし、遺伝子レベルを操作した動物実験ではある程度成功しているようです。また、人間でもES/iPS細胞で褐色脂肪細胞への分化実験は成功しています。

脂肪細胞なのになぜ褐色脂肪細胞は熱を作り出せるのか

実は、少し前までは、思春期くらいを境に大人になると褐色脂肪細胞は失われると考えられていました。現在ではPETなどの検査器具によって残存が確認されていますが、いまだによくわからないメカニズムも多いのです。

そうした中でも、なぜ褐色脂肪細胞が脂肪細胞なのに熱エネルギーを作り出せるのかと言うことは判ってきています。褐色脂肪細胞は、通常エネルギーを作り出すATPと言う物質を使った経路とは違う別の方法を使っていたのです。

通常の場合、脂肪のエネルギーはATPと言うエネルギー物質を作り出すために使われます。これがADPに代謝される際に身体の様々な機能を動かすエネルギーになるのです。その際の副産物として熱も得られます。

一方、褐色脂肪細胞の中にだけあるUCP1と言うたんぱく質は、脂肪からATPを作り出す代わりに、直接熱を作り出す働きを持っています。このため、身体を動かさなくても熱を作り出せて赤ちゃんや冬眠中の動物を守れるのです。

white fat cells and brown fat cells

こうした働きは細胞の中にあるミトコンドリアと言う小器官が担っています。

そして筋肉と同じところからスタートした褐色脂肪細胞は、単なる栄養の貯蔵庫である白色脂肪細胞よりミトコンドリアの割合がずっと多いのです。

褐色脂肪細胞を増やしたり活性化したりすることはできないのか?

そうなってくると、筋芽細胞から褐色脂肪細胞を再び作って増やしたり、残っている褐色脂肪細胞を活性化させて熱エネルギーとして脂肪を消化させることはできないのかと考えるのが自然です。

現在、様々な方法が検討されており、ある程度は方向性が見えてきているようなのですが、まだこれと言った決定的な方法は見つかっていません。

日本人に多い節約遺伝子とのかかわり

節約遺伝子と言う言葉をお聞きになったことがあるかもしれません。これはアドレナリンを受け取る受容体のうちβ3と呼ばれるものに変異が起こっていることを指します。

この変異が起こると、褐色脂肪細胞の中にもあるβ3受容体の働きが抑えられ、熱を作り出すことが少なくなってエネルギーを節約できるのです。このため、この変異したものを節約遺伝子と呼んでいます。

しかし、それが節約されると脂肪の燃焼が少なくなるため「黙っていても減量する」ことができなくなっちゃうんですね。そして、この節約遺伝子は日本人を含む黄色人種に多く見られるのです。

では、日本人にダイエットは難しいのでしょうか。そうではないという研究結果があります。糖尿病予防教室に通った人で健康な人の遺伝子を解析し、ダイエットの前後で効果を見た結果です。

β-3アドレナリン受容体遺伝子変異の有無と介入前後の各因子の変化との関連を評価した結果、

体重、内臓脂肪面積、空腹時血糖値、糖負荷後2時間血糖値、 ヘモグロビンA1c値、アディポネクチン値、8-イソプロスタン値のいずれの変化量も、遺伝子多型とは関連していませんでした。

例えば、介入前後の体重の 変化は、変異あり群で平均-2.5 kg (95%信頼区間;-3.6, -1.3)、変異なし群で平均-1.9 kg (95%信頼区間;-2.7, -1.1)で、統計学的に有意な差はみられませんでした。

体重の減少は、むしろβ-3アドレナリン受容体遺伝子変異があるグループの方で大きくなっていました

このように、正しくダイエットすれば節約遺伝子の有無とは関係なく減量できるどころか、むしろ節約遺伝子のある人の方がダイエットの効果は大きかったのです。

ブライト細胞は白色脂肪細胞なのに褐色脂肪細胞のような働きをする

この褐色脂肪細胞が研究されてゆくうちに、これまでの2つとは異なる「第3の脂肪細胞」が見つかりました。それは白色脂肪細胞の中に褐色脂肪細胞のような熱を作り出す働きを持った部分が存在するものです。

これが褐色脂肪細胞と異なるものであることは、先にお話しした褐色脂肪細胞が筋芽細胞から分化したことを示すmyf5と言う転写因子が、この第3の脂肪細胞では見られなかったことから判りました。

ブライト細胞は肥満対策の新しい方向性を決めるかもしれない

ブライト細胞は、見た目からベージュ細胞とも呼ばれます。ブライトと言っても明るいわけではありません、綴りが違います。これは “BRown In whiTE” (白の中の褐色)から大文字の部分を拾って “BRITE” と名付けられたのです。

最近の研究結果から褐色脂肪細胞のほとんどがこのブライト細胞の特徴を持っていたということがわかっています。このことから、もしかすると大人になってから「褐色脂肪細胞が増えた」と報告されているのは、このブライト細胞のことかもしれません。

研究には失敗と困難がつきもの

数々の研究の中で、イリシンと言うホルモンが、このブライト細胞を活性化させるのではないかと言うことが指摘されてきました。気の早いダイエットサイトなどは痩せるホルモンとして掲載していた所も少なくありません。

しかし、残念なことにこれらの研究で使われていた、イリシンと言うホルモンを検出する抗体が不良品だったらしく、これに関する研究は幻になってしまいました。

でも、皮肉なことに、様々な研究ではこのイリシン、運動によって筋肉から分泌されるという結果が多く得られていたのです。つまり学問的には誤りだったのですが、痩せるには運動がいいという正しい結果を導いていたんですね。

寒冷刺激と運動によるブライト細胞の増加と活性化は期待できる

もともと褐色脂肪細胞の活性化と言う観点から、鎖骨や肩甲骨周りの運動がいいということが言われてきましたが、これには十分な根拠がありません。しかし、運動自体が好ましい影響を与えるでしょう。

そして、本来低温に対する保護のために存在する褐色脂肪細胞ですから、寒さにさらされると増加または活性化するのではないかと考えられています。

実際に、対照群に比べて水泳をしたグループでは褐色脂肪細胞による物質の分泌がはっきり増えていました。研究では、このことから褐色脂肪細胞が増えたという風に結論付けています。

先に紹介した別の研究による「褐色脂肪細胞のほとんどがこのブライト細胞の特徴を持っていた」と言う結果に照らすと、これがブライト細胞であった可能性もありますね。

と言うことで、水泳はブライト細胞や褐色脂肪細胞を作り出して活性化させる可能性を秘めているということが言えるでしょう。ただし「寒冷暴露」が重要な因子ですから、温水プールでは効果が少ないかもしれません。

でも無茶をして、寒中水泳など身体に大きな負担のかかる運動に取り組むのは、健康のためにはあまりお勧めできません。基本的に、プールや遊泳池の水温はどれだけ低くても22℃以上として下さい。

海外の画像投稿サイトでは、カナダやロシアの若者が豪雪の中、氷点下10度以下の温度表示の前で水着姿の写真を撮って投稿するのが毎年の冬の恒例行事になっています。

もしかすると寒い地方に住んでいる彼らには、ブライト細胞がたっぷりで寒さに強いのかもしれませんね。

ブライト細胞を活性化する食べ物はピーマンとオリーブオイル

こうした話になると「食べて痩せる」物を探すのはお約束ですね。一応期待されているものは二つあります。

一つはカプシエイトです。これはカプサイシンに近い物質ですが、辛みはほとんどなくカプサイシンより安全な成分ですね。すでにダイエット食品などに取り入れられていますが、ピーマンに多く含まれます。

もう一つはオレウロペインです。オリーブの葉に多く含まれ、やはりサプリにもなっていますが、緑の濃いオリーブの実にも含まれますので、緑色の濃い刺激的な味のエクストラバージン・オリーブオイルがおすすめです。

ピーマンとオリーブオイルを摂って、水泳で楽しく運動!

脂肪細胞の働き以前に、それだけで健康になれそうですね。

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