健康生活TOP 栄養 カルシウムだけはダメ?骨質改善に摂取したい乳製品と他食品

カルシウムだけはダメ?骨質改善に摂取したい乳製品と他食品

乳製品写真

世間では牛乳と骨の関係についてはさまざまな議論が交わされています。牛乳が良いとか、ヨーロッパを見るとカルシウムパラドックスがあるから牛乳は良くないとか…。

実際のところ乳製品はどの程度骨の健康に影響があるのでしょうか。それを考える上で、骨は何からできていて、なぜ弱くなることがあるのかについて知ることが重要なポイントになるのです。

骨はミネラルとたんぱく質でできている!骨の構造と再生

骨と言うのは、建物で言うなら鉄筋コンクリートのような造りになっていて、軽量で頑丈、しかもある程度のしなやかさを持った優れた構造物です。

鉄筋に当たるのはコラーゲン繊維です。つまり、たんぱく質であるコラーゲン分子が集まってできている繊維なんですね。

コンクリートに当たるのはヒドロキシアパタイトなどの、ミネラルであるカルシウムを含む物質です。微小虫歯を修復する歯磨きに使われているので、割合有名な物質でしょう。

骨の構造

これは燐灰石と言う鉱物とよく似た成分の、カルシウムとリン酸とヒドロキシル基が結びついた物です。アパタイトとは英語で燐灰石のことを指し、このヒドロキシアパタイトとは水酸燐灰石と言う鉱石のことでもあります。

海辺の鉄筋コンクリートビルは傷みが激しい

海辺にある鉄筋コンクリートの建物は、そうでない場所のものに比べて傷みが激しいと言います。これはコンクリートのひび割れなどについて、定期的に補修を行ったとしても、鉄筋そのものが錆びて弱くなってしまうからです。

骨についても似たような現象が見られています。コンクリートに当たるヒドロキシアパタイト、つまりカルシウム分が足りなくなると、骨の強度が保てなくなってしまいます。

建物でも、例えば経年劣化や災害などでコンクリートがはがれ落ちて、鉄筋がむき出しになった状態では危険で建物として使えません。

一方、コンクリートに当たるカルシウム分が常に補充され不足しないようにしていても、鉄筋に当たるコラーゲン繊維が傷んでしまったのでは、コンクリートを支える強度やしなやかさが失われて崩壊してしまいます。

ボロボロの骨と健康な骨

こういったメカニズムで身体を構成している骨が弱っていってしまうのです。ですので、カルシウム分の補充は大変重要です。しかし、それだけでは骨粗しょう症を予防することはできないということでもあるのです。

骨は再生を続けるけど…知っておきたい骨修復のメカニズム

人が生きている以上、常に骨は修復し続けられます。これをリモデリングと言いますが、2種類の細胞が骨で働いて骨の健全さを保つようにしているのです。

この働きは建築補修工事ととてもよく似ています。まず古くなったり傷んだりした部分を取り除き、そのあとから新しい材料で使われ方に応じた新しい骨で補完してゆくのです。

まず、破骨細胞と言う大きな細胞が古くなった骨を溶かします。酵素によってコラーゲンを溶かし、ヒドロキシアパタイトなどのカルシウム塩も分解してしまいます。

一方、骨芽細胞と言う細胞が溶かされて窪んだ骨に集まってきて、そこにコラーゲン繊維で構造物を作り、細胞の周りに沈澱するヒドロキシアパタイトなどのカルシウム分を繊維の間に埋め込んでゆくのです。

こうして、動物は生まれてから死ぬまでずっと骨の再生を行い続けて行くことで体の構造を保っています。ここで重要なことは、修復前と同じ内容の骨が作られることではないということですね。

お話ししたように、骨の再生は「リペア」(修理)や「リメイク」(再製作)ではなく「リモデル」(改造)なんです。つまり必要に応じて作るものが変わるんですね。

そもそも、全く同じものを作っていたのでは、例えば子供が大人になることができません。

一方、あまり頑丈でなくても間に合うような生活を送っていると、それに見合った弱い骨で間に合わせてしまおうという働きもあるのです。

骨の健康に運動が重要なことはもはや常識

運動することで骨や筋肉が強くなり、運動しないと骨や筋肉が衰えることは、誰でも知っている事実でしょう。

しかしどんな運動がいいのかとか、運動強度はどれくらいが適しているのかと言った研究はまだまだ充分に進んでいるとは言い切れません。

多くの研究は脚の骨で行われている

お年寄りが寝たきりになる原因では、やはり脚の骨、特に大腿骨の骨折が大きな原因になるからでしょう。また一本の骨としても大きな骨なので、動物実験がやりやすいということもあると思います。

動物実験などで蓄えられたデータを見ると、全力疾走の60~80%ぐらいの衝撃とリズムを掛けると、骨の密度や強度が上がることは判っています。

ここで、全力疾走と言う言葉に惑わされて陸上競技のようなイメージを持っちゃいますが、その人にとっての全力疾走ですから、時速4kmで歩くのが精いっぱいの人にとってはそれが全力疾走です。

運動前には時速4kmにしか耐えられなかった弱った骨も、その60%~80%程度の運動を続けていれば、時速4km以上の速さで歩ける骨が作られてゆくと言うことなんです。

一方で、もっとゆっくりした運動でも、1日1時間くらいで骨密度の維持は可能であるという推定もされています。ポイントになるのは力を掛けっぱなしにするより、リズムを持って刺激を与えるのがいいと言うことです。

ですので、激しい運動はせずとも、毎日の散歩程度は続けたいところですね。

歩くということは、地面についている側の足には負荷がかかり、前に出そうとしている脚からは負荷が抜けています。そうしたリズミカルな刺激が良い影響を出します。

骨のリモデリングにはホルモンが大きな役割を果たしている

女性に骨粗しょう症が多いのは、女性ホルモンのエストロゲンが骨芽細胞の働きを促進し、破骨細胞の働きを抑制するからだと言われています。

更年期を境にエストロゲンの分泌が大きく減ることで、このバランスが崩れて骨が弱くなってしまうということなんです。

現在では自己注射薬や飲み薬も含めて、さまざまな良い治療薬も存在していますので、骨の健診も受けて適切な治療を受けることが骨折などを防ぐ一つの方法です。

しかし、運動による刺激や好ましい食生活を習慣づけておくだけで、骨粗しょう症やそれに起因する骨折、さらには寝たきり状態なども予防できます。

自分の身体は自分で守るという意識も大事ですね。

コラーゲンが老化すると骨密度が高くても骨粗しょう症になる

コラーゲンの老化と言われてもピンと来ないかもしれません。しかし、実はここにも糖化ストレスが大きくかかわってきているとなると、ほかの生活習慣病との関係についても見えてきますね。

老化において、悪の親玉としてすっかり定着したAGEs(Advanced Glycation End-products:糖化最終産物)がここでも、骨を弱くする物質としてかかわってきているのです。

コラーゲン繊維は分子が正しく束ねられてこそ強度が保てる

骨を形作っているコラーゲン繊維は、たくさんのコラーゲン分子が架橋と言う方法で束ねられることで作り出されています。この架橋は、リシルオキシターゼと言う酵素の働きでピリジノリンと言うアミノ酸によって行われています。

コラーゲンと架橋

一方、例えば糖尿病などによる糖化ストレスや、活性酸素による酸化からカルボニルストレスと言う現象で、AGEsがたくさんできてしまうと、これがピリジノリンの代わりにコラーゲン分子を架橋してしまうのです。

しかもこの架橋は乱雑で、いわば鉄筋に発生した錆のようなものですから、どんどんコラーゲン繊維をもろくしてしまうことに繋がります。

コラーゲンと架橋2

こうなってしまうと、いくらカルシウムをたっぷり摂って高い骨密度があっても、土台になる構造物が脆いので骨粗しょう症と言うことになるのです。

大切なのは生活習慣病につながる体内環境を改善すること

AGEsは糖化最終産物と言うくらいですから、一番の原因は高い血糖値、つまり糖尿病ですね。血糖値が高い状態を放置すると、いくらカルシウムを摂って骨密度が高くても骨粗しょう症一直線です。

また、活性酸素はたんぱく質からAGEsを、脂質からALEs(脂質過酸化最終産物)を作り出すカルボニルストレスと言う現象を起こします。ですので、抗酸化作用のある食べ物は積極的に摂りましょう。

現在のところ、ALEsが骨粗しょう症に関わっているという情報は見当たりませんが、AGEsだけでも充分に具合の悪いものですね。

抗酸化作用のある食べ物として

  • バナナ
  • にんじん
  • カボチャ
  • アボカド
  • にんにく
  • ショウガ
  • アーモンドなどのナッツ類

などがあげられます。

乳製品は骨粗しょう症予防改善に効果があるのか

結論から言うと、以前から言われていたより大きな点でメリットがあると言えるでしょう。

これまでにはカルシウム源としての乳製品ばかりがクローズアップされてきましたが、このコラーゲンに関した面でも牛乳には大きなメリットがあるのです。

牛乳が上質のカルシウム源であることに変わりはない

牛乳が骨の健康を考える上で、非常に重要で優秀なカルシウム源であることは間違いありません。牛乳や乳製品には、「摂りすぎるとカロリーが高いため太る」ということ以外に特段の害はありません。

成人における牛乳・乳製品の摂取の骨粗鬆症予防の効果について複数の文献を検討した報告により以下の3点が勧告されています。

1.若年成人女性には、来るべき閉経後の骨量減少を小さくするために、できるだけ牛乳・乳製品を摂ることを奨励し、その摂取習慣を閉経後まで継続させる。

2.閉経期から閉経後の女性には、骨量減少をできるだけ小さくするために、少なくとも毎日コップ1杯の牛乳・乳製品をとることを奨励する。

3.高齢期の骨折を減らすため、牛乳・乳製品摂取習慣のないあるいは極端な低摂取の中高年男女には、毎日コップ1杯以上の牛乳・乳製品を摂取することを推奨する。

乳糖不耐でもチーズやヨーグルトという手がある

牛乳を飲むとおなかがゴロゴロしたりするので飲めないという人も少なくないようです。これは、ゴロゴロの原因である乳糖を分解する、ラクターゼと言う酵素が減ってしまっている人で起こります。

乳糖は母乳や育児用ミルクにもたっぷり含まれていますから、普通に母乳や育児用ミルクで大きくなれた人は、大人になるに従ってラクターゼが減っただけですので、病気じゃありません。

ごくまれに、牛乳が原因で目に病気が出たりする人がいますが、そうした人は母乳や育児用ミルクでも出ますので、赤ちゃんの時に検査で発見され治療を受けておられますから心配はありませんし、後天的には起こりません。

と言うことで、乳糖不耐でおなかがゴロゴロする人はヨーグルトやチーズを食べましょう。ヨーグルトの酸っぱさは乳酸の味なのですが、乳酸菌はラクターゼを持っていて乳糖を分解し、さらにそこから乳酸を作り出すことで牛乳をヨーグルトにしています。

つまり、乳酸菌が食べてしまっているので、ヨーグルトにはあまり乳糖が残っていないのです。チーズは、作る段階で乳清を取り除いています。乳糖はこの乳清にたくさん含まれているため、チーズにはほとんど乳糖が残っていません。

チーズにもヨーグルトにも、骨の健康に必要なカルシウムやたんぱく質はしっかり含まれていますから、牛乳がどうしてもダメな人はそれも方法の一つですよ。

小さなパックのヨーグルト2個、スライスチーズ2枚や6Pチーズのような個包装チーズ2個は牛乳200mLに相当します。

カルシウム量

思い込みで牛乳が飲めない人もいる

確かにおなかのゴロゴロは不快なものですから、一度牛乳をたくさん飲んで下痢をした経験があれば避けたくなる気持ちは理解できます。

しかし、ちょっと考えてみましょう。最近はやりのオリゴ糖。腸内環境を改善してくれて、ビフィズス菌のえさになって、おなかにやさしい糖分だというイメージがありますよね。

オリゴ糖は小腸で消化できないため、そのまま大腸に届いて、腸の中の水分量を増やし快便をもたらします。また、ビフィズス菌に代表される乳酸菌はこれを餌にして乳酸などの短鎖脂肪酸を出します。

実はこのメカニズム、ラクターゼの不足した人の場合、乳糖でも全く同じ現象が起こっているんですよ。全く同じなのに、片方は「おなかゴロゴロ」で片方は「腸内環境の改善」。ちょっと不公平な気もしますね。

ですので、どうしても気になる方は、少しずつ牛乳を飲んでみるのも方法です。身体が慣れると体内のラクターゼが増えて消化できるようになる人もいるようですしね。

牛乳には抗酸化作用・抗糖化作用も期待されている

チーズの場合捨てられちゃってますが、牛乳の乳清(ホエー)部分には抗酸化作用が見られるという報告があります。特にヨーグルトのように乳酸発酵した後の乳清は効果が高いようです。

乳清は、いわゆる「ヨーグルトの表面に浮く水」です。水切りヨーグルトを作った時、その水も捨てずに別の料理にして美味しく頂きましょう。そのまま一気飲みしてもOKです。

さらに、牛乳のアミノ酸・たんぱく質成分がインスリンの分泌を促し、血糖値を抑えるという研究成果も得られています。この2つは重要ですね。

先にお話ししたように、抗酸化作用があるということは酸化ストレスによるコラーゲンの劣化を防げます。血糖値を抑えればAGEsの生成が減り、やはりコラーゲンの品質を保てます。

第一、牛乳に多く含まれるたんぱく質は、コラーゲンの原料にもなりますからさらに好ましいと言えるでしょう。

このようにカルシウムとコラーゲンと言う、骨の2大要素の両方にとって非常に重要な働きをする物質に貢献できる乳製品。

太らない程度でいいのでたっぷり摂るようにしましょうね。

大人は、一日当たり牛乳200mL~300mL相当でOKです。

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