健康生活TOP ノロウイルス 新型ノロウイルス登場!誰も免疫を持っていないので大流行かも?

新型ノロウイルス登場!誰も免疫を持っていないので大流行かも?

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ノロウイルス感染症、冬に多く夏には少ない、胃腸炎をもたらす病気であることはもはや小学生でも知っているレベルで有名になっちゃいました。この病気は、食中毒の形でも発生しますが、基本はウイルス感染症なので免疫も成立します。

ところが、2014/2015年冬(2014年11月くらいから2015年3月くらいまで)に新しいタイプのノロウイルスが世界中で見つかりました。新しいタイプですから、まだほとんどの人が免疫を持っていません。

下手をすると2015/2016年のシーズンに大流行する危険性もあるのです。

感染症であり食中毒であるノロウイルスによる胃腸炎

ノロウイルスはカキなどの貝類や魚などに付着して人の口に入り、それが原因で発症する食中毒としての性格を持つものです。

一方、感染者の触れたものに触って伝染する接触感染や、嘔吐物などが乾燥した粉末を吸い込むなどの飛沫感染、感染者が調理したものを食べてしまった食中毒なども感染ルートに挙げられます。

ノロウイルスについてのおさらい

ノロウイルスによる胃腸炎は非常に有名な病気ですから、ほとんどの皆さんはいろんな知識をお持ちだと思います。ですが、今回は新型が登場したこともあるので、一度整理してお話ししておきましょう。

ノロウイルスは名前の通りウイルスです。ウイルスとは「生物のような物」であって、生物とは言いにくい性質を持つ存在です。言ってみれば生物と無生物の境目にいる「何か」ですね。

ウイルスは遺伝情報の持ち方で7種類の「群」に分類され、さらにその下で生物と同じように「目-科-属-種」と言う風に分類されています。

ノロウイルスと言うのは特定のウイルスではなく、ノロウイルス属と言うグループの名前です。ノロウイルス属の中にはノーウォークウイルス種しかありませんので、現段階ではノロウイルスと言う名前で特定の種を呼んでいます。

ノロウイルス属はカリシウイルス科に分類されているのですが、このカリシウイルス科はどの「目(もく)」に属するかの帰属分類がまだ行われていないのです。さらに上のレベルでは第4群に属しています。

ノロウイルスの種類

ノロウイルスは1種類ではありません。例えばインフルエンザウイルスも毎年いろんなタイプの流行が予測されて、その年ごとに応じたワクチンの予防接種が行われますよね。

インフルエンザウイルスの場合、A型・B型と、あまり名前は出てきませんがC型があります。またエンベロープと言う名の膜を持っていますが、A型の場合はその膜の上にあるHAとNAと言うたんぱく質の違いで種類分けされています。

H5N1型とかH7N6型とかの記号番号でニュースなどに良く出てきますよね、あれは全部A型インフルエンザです。その抗原型と呼ばれる細分化した分類がその記号番号なのです。

同じようにノロウイルスにも細分化した名前があります。ノロウイルスには5つの遺伝子グループがあり、グループ(G)I~Vと呼ばれていますが、人に感染するのはGI・GII・GIVの3つだけです。

また、GIVの遺伝子グループはめったに見られませんので、ほとんどがGIかGII、それもGIIが圧倒的多数を占めています。さらにグループ内でも複数の遺伝子型が知られています。

2000年から2009年までに見つかったものはGI.1、GI.2、GI.4、GI.7、GI.8、GI.11、GI.14、GII.1~GII.8、GII.12~GII.14、GII.19の19種類です。

現在、遺伝子型は全部で31種類にまで増えていますが、この中でも2004/2005年のシーズンからはGII.4型が支配的になってきています。

ワクチンはまだできていない

免疫が成立するなら、ワクチンはできないのかと言う話になりますよね。残念ながら実用化レベルに達したワクチンはまだ開発されていません。

また、もともとノロウイルスに対する免疫は、自然免疫であってもそれほど長持ちしないのです。全く同一のタイプに感染したことがあっても、半年~2年程度しか免疫が持続しないのです。

それでも、ここ10年くらいはGII.4型による胃腸炎が多かったことから、まだ免疫を持っている人も多く、それほどの爆発的流行にはなりませんでした。

2014年日本で見つかった新型ノロウイルス

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2014/2015年冬に、三重県で発生したノロウイルス胃腸炎のうち90%から新型のノロウイルスGII.17が検出されました。このうち2事例は汚染されたカキを食べたことによるもので、GI.2との混合汚染であったと言います。

一方、小児科医療機関から分析依頼のあったものでは18例の遺伝子解析ができたようですが、既知のタイプが大半でGII.17は2例だけであったと言うことです。

飲食物を介した感染の可能性と今後

三重県の例では、飲食店の従業員からもGII.17が検出されたことから、成人の間では飲食物を介して流行していた可能性が論じられています。しかし、それだけでは子供に少ない充分な推論にはなりません。

飲食物を介した流行の可能性はもちろんあるのですが、子供の場合既知の遺伝子型に対しても免疫がなく、相対的に新型の比率が下がったのではないかと言う仮説も成り立ちます。

いずれにせよ、今後大人の間で新型ノロウイルスが流行することになれば、それはそのまま子供たちへも広がる可能性が高いので充分な警戒が必要です。

ウイルス検査キットに反応しない可能性

医療機関が専門の検査機関に依頼することなく、その場ですぐにノロウイルスの検査を行える迅速診断キットと言うものが、医療機関向けに市販されています。

もちろん同時に検便を行い、検体を検査機関に送ってしっかり検査するでしょうが、患者が医療機関にいる15分ほどの間に診断できるので、陽性であった場合の隔離などに効果を発揮するものです。

しかし、国立感染症研究所によると、新型ノロウイルスには必ずしも有効でないようですので、検査機関による精密診断が必須になるでしょう。

ノロウイルス簡易検査キットでGII.17が検出可能であるかを調べるため、市販の簡易検査キット2社製品(A・B)について検討した。

(中略)

一方、GII.17の検体は、遺伝子コピー数が108コピー以上の検体でも検出できない場合があり、GII.4_2012と比較し検出されにくい傾向が認められた。

このことから、簡易検査キットではGII.17のノロウイルスは十分なウイルス量があるにもかかわらず陰性となりやすく、その使用には注意が必要であると考えられた。

疑わしい時は周囲への配慮を忘れずに

このようなことがあるので、迅速診断では陰性であっても、お医者様からノロウイルスの可能性を指摘されることがあるかもしれません。

そうした場合、精密診断の結果が出るまで新型ノロウイルスの可能性を心に置いて、他の人にうつしたりしないよう充分な配慮をするように心がけて下さい。

基本は家でおとなしくして、外出を控えることが重要です。もちろん風邪のような症状や飛沫感染もある病気ですから、マスクも忘れずにお願いします。

2015年以降世界的な新型ノロウイルスの流行の恐れがある

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GII.17型ノロウイルスは、少し前から知られていたタイプですが、大きな流行はありませんでした。しかし、2014/2015年のシーズンに中国や台湾でも流行していた事が判っています。

そして、2015年3月に日本の川崎市で見つかったGII.17型ノロウイルスは、非常に詳細な分析の結果、まったくの新型であることが判りました。

そのため、Hu/GII/JP/2014/GII.P17-GII.17(GII.17 Kawasaki 2014)と命名されたのです。長いので、GII.P17-GII.17型ノロウイルスと呼ばれているようですね。

グループは一緒でも中身は全く異なるウイルス

このGII.P17-GII.17型は、GII.17に分類されているものの、2005年以前に見つかっていたGII.17型とは異なる進化の系統に属している事が判りました。

一方で、近年中国や台湾で流行していたものも、同じGII.P17-GII.17型であったことも判ったのです。つまり、アジアではすでに新型ノロウイルスの流行が始まっていたと言うことですね。

さらに、アメリカで検出された新型ノロウイルスも「2014年中国型と同じ」と言う表現ながら、GII.P17-GII.17型であることを示唆されています。

ヨーロッパに目を向けると、具体的な感染事例の報告はないものの、「GII.17 Kawasaki 2014はすでにアジアでGII.4型の座を奪ったようだ。ノロウイルスの伝播力から考えて充分な警戒が必要。」としています。

古い情報との混乱を避けるための情報

ちょっと専門的な話なのですが、ノロウイルスの遺伝子型を表記する方法が2015年から日本国内では変わりました。これまではGII/17のようにスラッシュ区切りだったものをGII.17と、ドット区切りに変更されたのです。

7割がたは古い表記のスラッシュをそのままドットに置き換えればいいのですが、残り3割ほどは番号が変わっています。このGII.17も変わった方のグループに属しています。

以前はGII/11と呼ばれていたものがGII.17に相当します。ですので、他のサイトや文献で情報を集められた方はGII/17と書いてあったとしたら、それは新表記ではGIVにグループ分けされています。

一方、GII/11とあったら、それが今回話題のGII.17に相当しますので、そのように読み替えて下さいね。

予防薬も治療薬もない!なら予防に徹するしかない

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ノロウイルスにはワクチンがないのと同時に、抗ウイルス薬もありません。対症療法的な治療と、脱水症状を起こさないよう注意して自分の回復力で治すしかない訳です。

ですので、ノロウイルスに対抗するには予防が一番と言うことになります。

新型とは言っても予防法は従来型と同じ

特に重要なのは

  • 手洗い
  • 食品の加熱
  • うがい

と言うお約束のセットです。

特にノロウイルスは頑丈なウイルスなのでしっかり行うことが大切です。

まず、忘れてはならないこと、ノロウイルスには消毒用アルコールや逆性石けんは無効だと思って下さい。

先にウイルスのお話をした時に、インフルエンザウイルスのように遺伝情報を納めた部分を包むエンベロープと言う膜を持っているものがいると言いました。この膜は脂質でできているので、アルコールに溶けます。

膜が溶けちゃうとウイルスが壊れるので、アルコール消毒が有効なんですね。ウイルスではなく細菌を殺す時も細胞膜の破壊が重要なファクターになっています。

しかし、ノロウイルスはもともとエンベロープを持たないウイルスですので、アルコールで溶かせるものがないんです。もちろん、アルコールによって遺伝情報を持ったRNAが変成して壊れることはありますが、効果は少ないです。

手洗いは石鹸と流水で、うがいは水だけでも良い

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ですので、手洗いは石けんと流水で、爪の先から手首まで、しっかり隅々まで洗い流してください。ネイルはあまり感心しませんね。重要なのは流水でしっかり流すことです。

東京都による試験では、流水によるすすぎ洗いだけで、手洗いの物理的な効果によってウイルス量は1%程度に減った(99%取り除けた)とあります。こまめに水で洗うだけで予防には十分有効です。

さらに、洗浄剤として有効だったのは界面活性剤(石けん分)を含んだ物だったと言うことです。つまり、石けんを使って手をきれいに洗いましょうと言うことですね。

ウイルスの量は減らなかったものの、ウイルスの感染力を弱めた洗浄剤はポピドンヨード入りの物だったそうです。うがい薬にも使われている成分ですね。

ですので、ポピドンヨードのうがい薬は有効かもしれませんが、うがい薬がないからうがいをしないのではなく、水だけで良いのでこまめにうがいしましょう。

中途半端な加熱じゃダメ

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ノロウイルスは比較的熱にも強いウイルスです。60℃では失活(毒性がなくなること)しません。食品については中心部まで85℃1分以上の加熱でウイルスを失活させられます。

加熱するのはもちろんですが、それ以前に手や調理器具がウイルスに汚染されないように注意することも重要ですね。

布巾や調理器具を熱湯消毒する際も、お湯をかけるのではなく85℃1分以上の加熱が必要です。

消毒は塩素で行うのが原則

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不幸にして家族に感染者が出てしまった場合、汚れ物や環境は塩素消毒が原則になります。先にもお話ししたようにアルコールに効果はありません。必ず次亜塩素酸ナトリウムを使った塩素消毒を行います。

次亜塩素酸ナトリウムは家庭用のハイターの主成分ですから、安価で効果が高いので買い置きしておいても良いでしょう。原液をそのまま使うのは好ましくありません。適切な濃度に薄めて使います。

バケツに消毒液を作っておいて、食器は水洗いしてから消毒液に浸しておきましょう。他の食器と一緒に食洗機に放り込むことはお勧めできません。

清掃に使ったぞうきんなども消毒液に浸します。熱湯消毒できない調理器具もこの方法で消毒できますよ。

消毒液は200ppm濃度に調整します。一般のハイターで、「ふきん・おしぼりの消毒」用として5Lの水に30mLと書いてあるレベルのものは、製造時に6%濃度で作られています。

ですので、200ppmにするためには水3Lに対して10mL入れて薄めればOKです。普通の布巾やおしぼりの消毒より薄めでいいと言うことです。

また、この消毒液でぞうきんを絞って掃除するのも良いですね。ただし、必ず後から水拭きをしてください。また、漂白されて困るものには使わないようにして下さいね。

一方、感染者が嘔吐するなどの後の汚物の掃除は、使い捨てのエプロンやマスク、手袋を装着して行って下さい。ペーパータオルとビニール袋を準備して、汚物を集め、消毒液で拭き掃除を行います。

全部終わったら、エプロンやマスクなども同じ袋に入れ、中に1000ppm濃度の消毒液を入れて染み込ませ、ゴミに出します。1000ppm消毒液の作り方は3Lの水に50mLのハイターです。

予防策・対応策はノロウイルス全般に共通なので覚えておこう

新型のノロウイルスは心配ですが、従来型のウイルスとの混合感染もこれまでの例から見て充分考えられます。

幸いなことに、ノロウイルスに対する方法は遺伝子型に左右されません。正しく手洗い・うがい・加熱と消毒を行って、健康な冬を過ごしてくださいね。

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