健康生活TOP 吐き気 吐いたら血が出た!酒の飲みすぎで吐血するマロリーワイス症候群とは

吐いたら血が出た!酒の飲みすぎで吐血するマロリーワイス症候群とは

食事を美味しくするお酒ですが、だれしも飲みすぎてしまうことは多いのではないでしょうか?飲みすぎてしまえば気分が悪くなって吐き戻してしまいますよね?

もちろん摂取しすぎたアルコールを体外に排出するために嘔吐は必要なことではありますが、あまりに嘔吐を繰り返しすぎると食道や胃を傷つけてしまい出血し、最後には吐血することがあるんです!

繰り返す嘔吐から吐血する病気には、そのまま出血やショックから死に至る病気もありとても危険です。

さて今回は大量の飲酒と何度も何度も嘔吐し、吐血に至る2つの病気、「マロリー・ワイス症候群」と「特発性食道破裂」についてお伝えいたします。

吐血してしまう!マロリー・ワイス症候群はどういう病気?

マロリー・ワイス症候群は、繰り返す激しい嘔吐などを契機として食道と胃のつなぎ目あたりに大きな切り傷が生じてしまい、そこが出血の原因となって吐血する病気です。

飲酒など気持ち悪くなることが原因?

多くの症例でアルコールの過度の摂取が原因とされていますがマロリー・ワイス症候群の根本の原因となるのは

  • アルコールの多量摂取
  • 妊娠におけるつわり
  • 乗り物酔い
  • 抗がん剤投与
  • 内視鏡検査時の不快感

などです。どれも気分が悪くなることは想像できますよね。これらが原因となって激しい悪心・嘔吐を引き起こしてしまいます。

さらに嘔吐を繰り返してしまうと消化管の中の圧力を何度も高めることになってしまい、無理やり引き伸ばされた胃や食道付近の粘膜に大きな切り傷をつくってしまうのです。

この切り傷から出血を続けるうちに吐血に至るというわけです。特に吐血した血液は鮮やかな色であることが多くなっています。

マロリー・ワイス症候群になるとどうなるの?

胃・食道を含め消化管はその内側から

  • 粘膜
  • 粘膜筋板
  • 粘膜下層
  • 固有筋層
  • 漿膜下層
  • 漿膜(外膜)

の6層構造になっていて、このうち3層目の粘膜下層までに裂創ができるのです。つまり胃・食道の壁が浅く破けることで出血します。

胃の膜の構造

さらに胃・食道にためておけなくなった血を口から吐く、「吐血」が主な症状になります。

鮮やかな色の血を吐くですから見た目は派手でパニックになるかもしれませんが、これとは対照的にひどい痛みや息苦しさは感じない人がほとんどのようです。したがって落ち着いて様子を見たり病院を受診するなどしましょう。

またこの病気ではそもそも傷口自体の深さがそれほどではありません。出血量が少ないので血圧が下がり、体温が著しく低下し青ざめているといったような出血性のショック症状がみられることも多くはありません。

ただし絶対にショックにならないというわけではなく出血しやすい体質や病気を抱えている人、あるいは血を固まりにくくする抗血小板薬や抗凝固薬を内服している人では出血量が多くなってしまうので特に注意が必要です。

一方で大量の飲酒で発症することが多い病気ですから繰り返す嘔吐に伴う吐血を呈しても本人の意識が朦朧としているなどで痛みを訴えられない場合や寝込んでしまった場合などは周囲の人達は救急車を呼ぶことも選択肢に入れておくべきでしょう。

まとめると

  • 吐血
  • 痛み → あり
  • 呼吸困難 → ほとんどない
  • ショック → ほとんどないが人によっては生じる

ということになります。

しんどくない!?上部内視鏡での検査方法

病院を受診し医師がマロリー・ワイス症候群を疑った場合、腹部レントゲン撮影では正常に見えてしまい判断ができませんから、上部消化管内視鏡検査を行います。

俗に胃カメラというものですね。どこから出血しているのかやその出血量、潰瘍の有無などを直接出血部分を見て、縦に走る裂創を確認することでこの病気であることを診断できます。

また上に出血があればそのまま治療に移ることも出来ます。

一方でお話したように内視鏡検査自体が激しい嘔吐を引き起こす原因となり出血を助長しうるので、この上部消化管内視鏡検査については医師の判断で状態が落ち着くまで休ませてから行うこともあります。

マロリー・ワイス症候群の治療方法は?

上部内視鏡検査によって出血部位を特定した後はすでに出血が止まっているか、まだ出血しているかで治療が変わります。

出血が止まっている場合は

  • 食道・胃の保護のために絶食
  • 出血による体液減少に対しては点滴で補充
  • 再び出血しないように止血薬を投与
  • 胃酸による粘膜の障害を抑えるためH2ブロッカーなど酸分泌抑制薬投与
  • 胃の粘膜から粘液を出しダメージを受けないようにする粘膜保護薬投与

などの保存療法を行います。

出血が止まっていない場合は検査に使用している胃カメラで簡単な手術をおこなってしまいます。

電気焼灼療法 露出している出血部位を電気で焼け焦げさせて止血する方法
クリッピング 医療用のクリップで出血部位をつまんで止血する方法
高張Na・エピネフリン注射療法 出血部位周辺の血管を収縮させるアドレナリン(エピネフリン)と、その作用を増幅し止血するための血栓形成を促進する高張Na溶液を合わせて投与する方法

各病院毎の術式の得意・不得意によりますが、電気焼灼は焼き固められた部分が剥離しやすく再出血しやすいことから多くの病院ではクリッピング実施されているようです。さらにクリッピングでは術後すぐに食事ができるようになることも特徴です。

術後も前に述べた絶食、補液、止血薬投与、酸分泌抑制薬投与、粘膜保護薬投与の投与など保存療法も行います。

ただし出血が止まっているかいないかに関わらず出血量が多く全身の状態が良好でない人には、輸血を行う場合もあります。

マロリーワイス症候群になりやすい人はどういう人?

男女比では11~8:1で男性が多く、発症する人の平均年齢は40~50歳です。

アルコール摂取が原因として最も多いことを考えるとマロリー・ワイス症候群になりやすい人は飲酒習慣の多い中年男性と言えるでしょう。

命の危険もある!?特発性食道破裂という病気も嘔吐から吐血する

特発性食道破裂は別名ブールハーフェ症候群ともよばれる病気で、こちらの病気もマロリー・ワイス症候群と同じように何度も繰り返す嘔吐から吐血を行う点で似ているともいえます。

こちらの病気は「粘膜」から「外膜」までの層がすべて破けてしまい、体の中と外界がつながってしまっている状態で、破裂の名の通り、食道が完全に破れてしまい強い痛みを感じますから並々ならぬ病気です。

そして診断・治療が遅れると、気胸や皮下・縦隔気腫、重篤な感染症など様々な症状を連鎖的に引き起こし、命が危険にさらされてしまいます!

特発性食道破裂の原因は?

特発性食道破裂は、嘔吐を引き起こす要因と、食道内の圧力を上げてしまうような要因のどちらもが引き起される原因となります。

嘔吐を引き起こすような要因 食道内の圧力を上げてしまう要因
  • 大量飲酒
  • 妊娠によるつわり
  • 抗がん剤投与
  • 排便時のいきみ
  • 殴打などによる腹部の打撲
  • 陣痛

アルコールが発症の原因となることが大部分で、アルコールで嘔吐の反射中枢が正しく働かなくなることが原因と考えられています。

いずれにせよ食道に強い圧力がかかることで食道の壁が完全に破れてしまうことでこの病気を発症することになります。食道は下部左側の壁が薄く弱くなっていますからここが破れることがほとんどです。

激しい痛みが特徴!?どんな症状がでるの?

特発性食道破裂では食道が裂けてしまったことによる強烈な胸の痛みなどが主な症状になりますがそれだけでなくそこから食べ物や空気が漏れることによる症状も発生しとても危険です!

症状をまとめると

  • 胸痛
  • 腹痛
  • 気胸などによる呼吸困難
  • 皮下気腫
  • 敗血症

などが特徴です。特に胸痛と腹痛はこの病気になった人のおよそ50%で見られます。

食道が裂けたことで生じる胸痛の他に裂けたところから空気が漏れ、胸の中に空気が溜まってしまう気胸という症状があり肺を膨らませることができなくなるので呼吸がしづらくなると感じます。

漏れ方によっては皮膚の下に空気が漏れ、膨らんでいるように見える皮下気腫になることもあります。

また本来非常に綺麗である胸の中やお腹の中ですが裂けた場所から食べ物など不潔なものが漏れた場合そこで細菌が繁殖してしまうことで炎症や痛みを感じることになります。ひどくなると膿が溜まって膿胸とよばれる状態にまでなります。

さらにこのままの状態が続くと血管内に細菌が侵入することで血液中にたくさんの細菌が増えてしまう敗血症になることもあります。

細菌を倒してくれる白血球が盛んに反応してしまい血圧低下や心拍数低下となるショックの他、出血を止めてくれる血小板が血栓を作り全身の血管内で詰まってしまう播種性血管内凝固症候群につながることもなります。

いずれにせよ非常に危険な状態で24時間以内に治療が開始されなかった場合およそ25%程度の死亡率です!

このように食道が破けてしまったことだけでなく続いて発症する症状が危険ということがお分かりいただけたのではないでしょうか?一時的に痛みが収まったからと言ってそのままにしておくのではなく、早めの受診を心がけましょう!

特発性食道破裂の検査の流れと診断は?

繰り返す嘔吐後の吐血などと激しい痛みから病院を受診するとまずはじめに医師の問診を受けます。ここで嘔吐後の強い痛みを訴えることを忘れてはいけません!この特発性食道破裂とマロリー・ワイス症候群を区別する上で重要な症状になるからです。

続いて胸部レントゲン撮影や胸部CT検査をおこなって食道からの空気や水分の漏れを確認します。同時に水や膿が溜まっていないかも確認します。

また上部消化管内視鏡検査を用いて食道を直接観察して判断することもありますが、気胸や気腫などを悪化させる可能性があるので病院によっては基本的に行わないことにしているところもあるようです。

命の危険!治療法は緊急手術!

診察によって命の危険があると医師が判断した場合は緊急手術を受けることになります。

手術は胸を大きく切り開く開胸手術が行われます。お話したように胸の中にはきれいではない様々なものが漏れ出してしまっているので清潔な水で洗い流してドレナージという掃除機のような器具で全て吸い取ってしまう手技を行います。

さらに穴が空いてしまっている食道を塞ぐ手術を同時に行います。単純に糸で縫合する方法の他にパッチを当てて穴を塞いでしまうパターンもあります。

また単に塞ぐだけでなく損傷があまりにひどい部分を切除してその後の治りを良くするように処置をします。

緊急手術を受けるというと恐ろしい感じもしますが速やかに診察を受け適切な手術を受ければ死亡率は大幅に減少しますから安心ですね!

一方で特発性食道破裂になった人が全員手術をうけるわけではなく体調が安定している人はブドウ糖点滴、抗生物質投与、胃酸分泌抑制薬投与、胃酸などが漏れないように食道内吸引、胸の中のドレナージなどを行う保存療法となることもあります。

特発性食道破裂にかかりやすい人の特徴は?

アルコールの多量摂取などを契機とした嘔吐がこの病気の原因の70%になっています!晩酌を頻繁にする人や一度の飲酒量が多い人は注意すべきでしょう。

特に中年男性に多いと言われています。仕事帰りの一杯も楽しいものですが飲みすぎないようほどほどに自制しないといけませんね!

また胃食道逆流症や脳虚血疾患を患っている人は胸の方の食道とお腹の方の食道の動きの連携が低下していることから発症しやすくなってしまうことが知られています。

マロリー・ワイス症候群と特発性食道破裂はココが違う!

最後にマロリー・ワイス症候群と特発性食道破裂の似ているところと異なるところをまとめておきましょう。

マロリ・ーワイス症候群 特発性食道破裂
裂傷の場所 胃と食道のつなぎ目 食道の下部
出血 多い それほど多くはない
痛み ない or ほとんどない 胸や腹の強い痛み
呼吸困難感 ない ある
ショック ほとんどない ある
治療 基本的に保存療法、ときに内視鏡手術 ほとんどの場合緊急手術、ときに保存療法
死亡率 低い 高い(全体では15%もの死亡率!)
とにかく強調したいのはマロリー・ワイス症候群で死ぬことはめったにありませんが特発性食道破裂では容易に命を落としてしまうことです!嘔吐後に吐血があり胸やお腹の痛みを感じたときはすぐに医師の診察を受けましょう!

多くの人が経験する飲酒からの嘔吐に潜む危険!

ここまでで飲酒などから嘔吐を繰り返すと命にかかわるかもしれないことがお分かりいただけたのではないでしょうか?

社会人ではお酒を飲みに行く付き合いも避けられないことも多々ありますが、飲みすぎの危険性は成人病に限りません。

たかがお酒であっという間に命を落とすことにつながってしまいますから他人にあまりにお酒を勧めたりハメを外しすぎたりしないようにしましょうね!

そして何より少しでも危険だなと自分や周囲の人が感じたときには速やかに病院に向かいましょう!

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