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筋肉痛が治らない?長引く筋肉痛の症状は危険な病気のサインかも

首が痛い女性

運動したり、普段行わない肉体労働を行ったりしたときに次の日に現れる筋肉痛。痛いのは痛いけど、原因が判っているだけに苦笑いしながら「あいたたた」なんて言ってる人も多いですよね。特に運動会シーズンに多いかも知れません。

一方、特に運動した覚えもないし、肉体労働もしていないのに筋肉痛が出てくるのは気持ち悪いです。こうした場合では、特に問題のないケースから、ちょっと厄介な病気が裏に潜んでいる物までさまざまな原因が考えられます。

あなたの筋肉痛だと思っている症状は、本当に心配ないものでしょうか?

筋肉痛の原因は乳酸ではない!筋繊維に起こるミクロの傷が痛みを起こす

私自身も学校時代に乳酸が筋肉の疲労物質で、それが蓄積することで筋肉痛が発生すると習いましたし、それから後になっても長い間そうだと思っていました。

しかし、乳酸と言う物質は実際には疲労物質ではないし、筋肉痛の原因でもないことが21世紀に入ってすぐに判ってきたのです。

乳酸は筋肉のエネルギー物質だった

激しく急な運動を行うと、糖が分解されて乳酸が発生します。この乳酸はエネルギー物質として生産されていて、ミトコンドリアでのエネルギー取出しを待っている状態なのです。

ですので、運動している筋肉中からは、たくさん乳酸が検出されると言う事に繋がります。このことが誤解されて、乳酸が溜まって筋肉が疲労したり筋肉痛が発生したりすると思い込まれてしまったのです。

実際には、細胞外に存在するカリウムイオンの過剰な蓄積が筋肉の疲労をもたらしていると言うことが、現在では判っています。そして疲労した筋肉に乳酸を与えると言う動物実験で、筋肉は疲労から回復したと言う結果が得られてもいるのです。

筋肉痛は筋繊維に付いたミクロの傷が原因だった

運動によって引き起こされる筋肉痛には、運動を行っている最中から痛みが始まり、運動を終えると痛みが引く現発性筋肉痛と、運動の翌日を中心に発生する遅発性筋肉痛があります。

私たちが普段筋肉痛と呼んでいるのは遅発性の方ですね。これは主に力を入れて緊張している筋肉が引き伸ばされる時に、筋肉の繊維に細かい傷がつくことで起こります。この傷のついた筋肉の繊維には痛みを感じる神経がありません。

しかし、その繊維が炎症を起こすことでプロスタグランジンやプラズマキニンなどの炎症物質が集まり、筋肉を包んでいる筋膜に痛みを起こすのが、いわゆる運動翌日の筋肉痛だと考えられています。

運動による筋肉痛は普段からの運動と入浴で軽減できる

筋肉痛を効果的に取り除く方法はあまりありません。一方、予防的な方法はいくつか見つかっています。ひとつは激しい運動が予想される前日に、40℃以上のお風呂でしっかり温まることで予防効果が期待できる可能性があります。

また、筋肉痛を起こした運動と同じ内容の運動を、事前に行っておくことで筋肉痛が軽減できます。しかし、いずれにせよ最初の回では筋肉痛が出そうですので、徐々に運動量を増やしてゆく方がよさそうですね。

準備運動や運動後のアイシングなどは、けがを防いだり、より大きな怪我が隠れていた場合の手当てには有効ですが、科学的なデータとして見た場合、筋肉痛に対する予防効果はありません。

中年にもなると若い時と違って筋肉痛は一日置いてやってくるなんて言いますが、実験で得られたデータによると、若者でも老人でも時間的な差はほとんど見られなかったそうですよ。

女性は注意!全身の筋肉がひどく痛む線維筋痛症は原因の判らない病気

運動による筋肉痛は負荷のかかった筋肉だけが痛むのに対して、線維筋痛症は全身の筋肉に痛みが起きる病気です。常に全身が痛む場合もありますが、痛む場所が移動しつつも、常にどこかが痛んでいると言うケースもあります。

また、この病気は圧倒的に女性に多く、年齢層も40代から50代に多発します。まだ原因が判っていないだけに厄介な病気です。

学会が設立されたのは2009年になってから

たくさんの患者さんがおられたのに、原因はつかめないし、一般的な検査ではどこにも異常が見つからない。しかも心因性をうかがわせる兆候などもあったりして、なかなか本格的な研究に取り掛かる機運が醸成されていなかったという背景もありました。

それでも、日本では2003年になってやっと行政が動き出し、2009年には学会も設立されて、2011年にはガイドラインも策定されました。それによると線維筋痛症とは次のような病気です。

線維筋痛症は、原因不明の全身の疼痛(wide-spread pain)を主症状とし、不眠、うつ病などの精神神経症状、過敏性腸症候群、逆流性食道炎、過活動性膀胱などの自律神経系の症状を随伴症状とする病気である。

近年、ドライアイ・ドライマウス、逆流性食道炎などの粘膜系の障害が高頻度に合併することがわかってきている。

疼痛は、腱付着部炎や筋肉、関節などに及び四肢から身体全体に激しい疼痛が拡散し、この疼痛発症機序のひとつには下行性痛覚制御経路の障害があると考えられている。

(下行性痛覚制御経路:脳から脊髄に向かって、末梢から上がってくる痛み信号を抑制する働きを持つ経路)

このように、多彩な症状と、生活の品質を著しく落とすであろう症状の数々が知られています。

原因は不明だが有効なお薬は見つかっている

原因が不明ですから根治するためのお薬ではなく、痛み止めとして有効で生活の品質の回復に役立つと言う意味です。それでも線維筋痛症は、その痛み自体が次の痛みを呼ぶこともあるので、まず今の痛みを取ると言うのは有効ですね。

お薬の名前はリリカカプセル(一般名:プレガバリン:ジェネリックはありません)です。もともと帯状疱疹の後の神経痛に効くお薬として登場し、その後さまざまな末梢神経の障害による神経痛用に用途が広がりました。

そしてこの線維筋痛症にも有効なことが判ってきて採用され、現在では中枢神経障害性疼痛にも用いられています。今後、線維筋痛症と神経障害性の疼痛のお薬として活躍することが最も期待されているお薬です。

線維筋痛症は筋肉痛と言うにはひどすぎる痛みだと言われています。真偽のほどははっきりしませんが、この病気の痛みに耐えかねて自殺するほどだとか…。

左右対称の痛みが出る!リウマチ性多発筋痛症は四肢の筋肉や肩の痛みが特徴

リウマチと言う名前がついてはいますが、有名な関節リウマチとは別の病気です。主に肩の痛みとして現れることが多く、つぎに次に首・おしり。太ももと続きます。

多くの場合、左右対称に現れる痛みが特徴です。線維筋痛症ほどではない物の、やはり女性に多い病気で50歳以上の人に多く見られ、70代から80代にピークがあります。

リウマチと言う名前だが関節は侵されない

「ある日突然両腕が肩から上に上がらなくなって、特に何も運動していないのに筋肉痛が出てきた。」と言うのが典型的な症状です。もちろんお尻や太ももの場合も、部位こそ違え、こうした動きにくさが出ます。

そして、それがそのまま治らずに、だんだんこわばりなどが出てくるようになります。こわばりは安静にしていると余計に悪くなるようで、少し動かしていた方が良いようですね。

基本的にそれほど悪性の病気ではなく、一部の例外を除いて命に別状があるようなものではありません。治療を続けることで、2~3年くらいでお薬も必要なくなることが多いようです。

もちろん、関節リウマチのように関節に後遺症を残したり、臓器に病気が残ったりすることもありません。

発熱などが伴った場合は要注意

基本的には心配の少ない病気ですが、

  • 38℃以上の発熱がある
  • こめかみのあたりに頭痛がある
  • 視力の異常がある
  • 物を噛む時の顎の動きに異常がある

こういった場合は精密検査が必要です。

日本の患者さんには少ないのですが、欧米ではこの病気と巨細胞性動脈炎と言う病気の合併が良く見られます。もしかすると原因が同じなのかもしれないと言う考え方もあります。

これらの症状は巨細胞性動脈炎の合併を疑わせる症状なのです。この病気もリウマチ性多発筋痛症もステロイド薬が良く効きますので、副作用に注意しながらそれを長期間使うことになるでしょう。

また、リウマチ性多発筋痛症は後遺症などを残しませんが、巨細胞性動脈炎の場合、視力を失うことがあるので注意が必要です。

この病気は50歳以下ではほとんど起こりません。高齢者の病気と言って差し支えないと思います。

肉離れは筋肉や筋膜の物理的損傷で起こる

良く肉離れと言いますが、経験のある人でさえどんなものかは意外と知られていませんね。一言で言うと筋肉が縮み過ぎた結果、筋膜や筋繊維が損傷したと言う物です。

実は普通の筋肉痛も、筋肉が引き伸ばされるのに対抗して縮もうとすることによって、ミクロの傷がたくさんできるのが発症のきっかけです。でもマクロの眼で見て筋肉は損傷していませんので、症状の重さの差だけではなく本質が少し違う物なのです。

肉離れにはレベルがある

最も軽い肉離れは筋膜や筋繊維自体は傷んでいない状態で、筋繊維の間にある結合組織が破損した状態のものです。筋肉の中で内出血が起こっている場合もあります。

筋繊維や筋膜が無事なので動かせないと言う事はありませんし、力の入り具合にもほとんど影響しません。それでも動かすと違和感や痛みが発生します。

中等度の肉離れが、一般的に「肉離れ」と呼ばれている物です。筋肉の繊維や筋膜が一部損傷し、断裂している状態です。押すと傷みますし動かしても痛みが強くなります。

動かせなくはないのですが、運動と言うレベルで動かすことは不可能です。ほとんどの場合、見た目的には腫れているだけですが、中にはへこんだり内出血が見える重症のものもあります。

最も重い症状は肉離れとは呼ばず、筋断裂と呼ぶことが多くなります。肉離れを繰り返してゆくうちに完全に断裂してしまった重度の症状です。

へこみが見えたり、内出血が出たり、切れた筋肉の端がこぶになったりする症状が肉眼で見えます。

肉離れはスポーツによるものが多い

スポーツと言う事になると、若者の症状かと言うとそうとも言い切れないのです。特に、中年以降でも走っている人や野球をしている人は結構多いですね。この走ると言う運動が肉離れを引き起こすことが多いのです。

部位としては太もも裏側のハムストリングスです。主に短距離走のゴール付近で頑張り過ぎて起こすことが多いのですが、ある程度年齢が上がってくると野球のベースランニングや長距離のラストスパートにも危険は潜んでいます。

予防の基本は充分なストレッチなのですが、発症後のリハビリでもストレッチは重要になります。急性期の数日間が過ぎたら、お医者さんの指導の下、軽いストレッチから始めましょう。

肉離れは完全に怪我ですから、急性期のアイシングとその後のストレッチが基本になります。でも、それ以前に無茶はしないようにしましょうね。

筋肉が痛んでいるのではなく内臓に原因がある場合

虫垂炎や腹膜炎では、お腹の筋肉に常に力が入っていたり、お腹に触れられると反射的に力が入ったりします。そしてお腹を押して離す時にいやな痛みが出る場合があります。

これは筋性防御と反跳痛と言う二つの現象で、筋肉は関わっているものの痛みも原因も内臓にあります。

発熱が現れたらすぐに受診

他の筋肉の痛みでもそうですが、痛みと同時に発熱が現れた場合、治療を必要とする状態になっていると考えて差し支えありません。

ですので、痛みの出る前に何をしていたかと言う事を頭の中で整理して、しっかりお医者さんに伝えられるようにしておきましょう。

また女性の場合、お腹周辺の痛みの場合は妊娠と生理に関する情報も準備しておいて下さいね。

診断の際にお腹をゆっくり押して反応を見るのは、こうした現象を観察しているのですよ。

難病だが比較的患者数が多い多発性筋炎・皮膚筋炎

この病気は既に2万人を超える患者さんがおられ、さらに毎年1000人~2000人の方が新規発症されていると言いますから、決してレアな病気とは言い難くなってきています。

症状の中心はあちこちの筋肉の痛み、疲れやすさ、筋肉に力が入らないと言ったものです。これが多発性筋炎の症状で、これに特徴的な皮膚症状が重なると皮膚筋炎と言う名前になります。

多発性筋炎・皮膚筋炎は膠原病の一つ

この病気の原因は完全には判っていませんが、膠原病の一つですので、自己免疫が悪さをしていることは間違いありません。しかし、今のところはそれだけです。

また患者さんは女性に多く、年齢層では中年に多くなっていますが、子供から老人まで幅広く分布しているようです。

症状として特徴的なのは筋肉に力が入らないと言うもので、かなり重症化することがあります。腕が挙げられなくて髪のお手入れや洗濯物干しが困難になるレベルから、枕から頭を上げるのが大変といったレベルにまでなることがあります。

脂漏性皮膚炎と間違えられやすい皮膚筋炎

皮膚筋炎で最も特徴的なのは、まぶたがむくんで真っ赤になるヘリオトロープ疹です。その他にも、頭やいわゆるTゾーンのような皮脂の多い部位にも皮膚炎が現れることがあります。

そのため脂漏性皮膚炎と誤診されることもありますので、筋肉症状がある場合、それをお医者さんにしっかり伝えて下さい。初診の際の問診票に皮膚炎の他「腕が上がらない」「身体が動きにくい」などと記入するのが良いですね。

治療にはステロイド薬が使われます。ステロイド薬は免疫抑制効果があってそれが副作用になることも多いのですが、自己免疫疾患であるこの病気では、逆に免疫抑制効果も治療効果になり得ます。

さらにステロイドだけでは効き目が弱い場合、免疫抑制剤も使われることがあります。この場合には、副作用に充分な注意が必要になります。

炎症が治まっても筋力低下が残る

この病気では間質性肺炎やがんを併発しない限り、ほとんどの人が日常生活に戻れます。しかし、高齢になるほど症状が治まった後に筋力低下が残る傾向があるようです。

残念ながら、この筋力低下を治療する方法は見つかっていません。現段階ではリハビリが唯一の方法と言う事になります。

また、この病気は伝染することはありませんが、家族の中で複数の患者さんが出ることがあるため、遺伝的な要因は否定できません。

しかし、もし家族の中で複数の筋力低下の患者さんが現れた場合は、遺伝病である筋ジストロフィーなどを疑う方が先決になるでしょう。

この病気は筋肉痛が主症状の一つですので、もし皮膚炎を併発したり、力が入りにくいなどの症状が出たりしたら、すぐに受診して下さいね。

それほど多いわけではないが他にも筋肉痛を伴う病気がある

筋肉痛は、意外と多くの病気に関係する症状です。その症状は様々ですが、いくつかを紹介しておきましょう。有名な病気として挙げられるのはパーキンソン病ですね。これは割合多くの患者さんが筋肉痛を経験されるようです。

また、栄養としてはカリウムの欠乏症でも筋肉痛が現れることがあるので、偏った食事には注意しましょう。

がんでも筋肉痛が起こることがある

がんの随伴症状として先に難病として紹介した「多発性筋炎・皮膚筋炎」が起こることがあります。この場合、がんが原因で筋肉痛が起こっていると言う事ですね。

また、お年寄りを中心に見られるサルコペニアも筋肉痛の原因になります。

さらに、昔事件になったトリプトファンと言うアミノ酸のサプリによって引き起こされた、好酸球増加筋肉痛症候群という珍しいものもありましたね。

事故で筋肉痛が出ることもある

これは個人的な経験の話なのですが、バイクで転倒したりすると、ぶつけた覚えもない場所を含めて翌日、強烈な全身が筋肉痛に見舞われます。友人たちにも同じような経験があったので、共通認識になっていました。

おそらくこれは、転倒の際に身体を守るため、反射的に全身の筋肉に力を入れて防御しているのだろうと思います。その結果が力の出し過ぎによる翌日の筋肉痛と言うわけです。

バイクに限らず、意外とこうした現象を経験されている人も少なくないんじゃないでしょうか。

筋肉痛にはさまざまな原因がありますが、我慢できる程度の痛みであっても1週間以上続くようであれば受診して下さい。ひどい痛みなら、初日でお受診して血液検査から始めるのが良いと思います。
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