健康生活TOP おたふく風邪・流行性耳下腺炎 大人もかかるおたふく風邪は春から夏に流行!その症状と特徴

大人もかかるおたふく風邪は春から夏に流行!その症状と特徴

man and children of mumps

最近では季節性が薄れてきたとはいえ、相変わらず春先から夏休み前にかけて流行することが多いおたふく風邪ですが、2016年は大流行の年になりそうな気配が見えてきています。

ワクチンが任意接種になってから、4~5年ごとの大流行と言う傾向も復活してきたようですので警戒が必要ですね。

おたふく風邪の症状

正式には「流行性耳下腺炎」という病名の「おたふく風邪」。お多福のお面のように頬が腫れることからおたふく風邪と呼ばれることがポピュラーになっていますね。

原因になっているのはムンプウイルスというヒトからヒトへ感染して症状を引き起こすウイルスです。ムンプスウイルスは保菌者との接触や飛沫(咳やくしゃみによる唾液が飛ぶこと)によって周囲の人に感染していきます。

感染すると耳下腺とその下にある顎下腺に炎症が起こり、首が腫れることで頬が腫れたように見えるのです。他にも

  • 発熱
  • 顔の疼痛
  • 喉の痛み
  • 腹痛・嘔吐(膵炎を併発した場合)

といった症状がみられます。

おたふく風邪に似た症状があっても別の原因による唾液腺炎の場合もあります。これを見分けるには病院で血液の採取による検査を行わなければなりません。

おたふく風邪は衛生上のコントロールで予防することが難しい

おたふく風邪にかかることが最も多いのが4~5歳くらいです。それを含めて3歳から6歳で全患者数の6割を占めています。実はこれが春から夏に流行していた原因でもあるのです。

この年齢と言うのは、子供が初めて集団生活に入る年代ですよね。つまり、学校や幼稚園でもらってくる病気の典型であるということなのです。

おたふく風邪は終生免疫なので罹患年齢とともに罹患者数は減る

おたふく風邪は、感染したことによる獲得免疫が終生有効になるもののひとつです。ですから、子供たちが大きくなるにつれて、だんだん患者数は減ってくるという訳なのです。

3歳で幼稚園に行き始める子供はまだ人数が少ないため、人数が多くなる4歳時点で感染者が増えるのは自然でしょう。また、1年保育の子供が入ってくる5歳時点でも多くなる可能性は高いです。

ですので、4~5歳におたふく風邪患者の人数的ピークが来るのは自然なことなのですが、これは飽くまで集団の中の人数と言う意味であることを忘れてはいけません。

近くに感染者がいた時、ある特定の人物に限って見た場合その人が免疫を持っていなければ、年齢に関係なくおたふく風邪にかかる危険性と言うのは常に存在するのです。

ただ、大人になるにつれて、一つの集団の中に感染者がいる確率が下がるだけと言うことなんですね。

おたふく風邪は潜伏期間が長く潜伏期間中にも伝染する

おたふく風邪の潜伏期間は14日から25日間です。そして、発症を顔が腫れ始めたときとすると、その7日前から9日後の、合計16日間が他人に移してしまう可能性のある時期なのです。

特に顔が腫れ始める3日前から4日後の一週間が最も感染力の強い時期です。

period of mumps has infected force

つまり、半分は「おたふく風邪とわからない時期」にウイルスをまき散らしてしまうんです。これでは感染拡大を防ぐのは難しいですよね。

うがい手洗いは重要だけれど予防は難しい

おたふく風邪は飛沫感染と接触感染ですから、手洗いについては接触感染の予防にある程度有効です。しかし、飛沫感染については年齢的に対人距離の短い子供たちは防ぎにくいのが実情でしょう。

おたふく風邪に限らず、飛沫感染の距離は1メートルとされています。くしゃみなど飛距離の長いものだと1.5メートル以上とも言われていますね。せき・くしゃみマナーが不充分な年代では危険性が増します。

そのため、おたふく風邪は法律によって学校感染症第二種に指定されていて、顔が腫れ始めてから5日を過ぎ、全身状態が良くなるまで出席停止を命じられます。

また、感染者が増えた場合学級閉鎖や学校閉鎖と言う措置が取られることもありますね。学級閉鎖と言えばインフルエンザと言うイメージがありますが、インフルエンザも同じく学校感染症第二種に指定されています。

昔のイメージでは、幼稚園から小学校低学年にかけて麻疹とおたふく風邪は当たり前の病気でした。

今となってはできれば避けて通りたい病気です。確率は低いですが合併症の危険もありますしね。

おたふく風邪は歴史ある病気なのに特効薬がない

おたふく風邪は、おそらく様々な感染症の中でも相当長い歴史を持つものの一つと言って良いのではないでしょうか。最初におたふく風邪を記録に残したのは医聖ヒポクラテスです。

エーゲ海の最北部にあるタソス島で発生した耳の近くが腫れる流行り病として記録しています。この記録によると睾丸が腫れると言う症状も同時に記録されていたそうです。

特効薬はなく対症療法のみが行われる

おたふく風邪にかかったら対症療法しかありません。おたふく風邪を治す薬と言う物は存在しないのです。

流行性耳下腺炎およびその合併症の治療は基本的に対症療法であり、発熱などに対しては鎮痛解熱剤の投与を行い、髄膜炎合併例に対しては安静に努め、脱水などがみられる症例では輸液の適応となる。

国立感染症研究所にして、このあっさりした対応しか掲載できないくらい治療法がない病気なのです。ただし、2週間もすれば自然に治る病気でもあるんですね。

先に紹介したヒポクラテスは紀元前400年ごろのお医者様です。そこから2500年くらい経った今も特効薬がないのは、自然に治ってしまう子供にとっては軽い病気だからかも知れません。

おたふく風邪は合併症に注意を払う必要がある病気

有名なところでは、大人がおたふく風邪にかかると男性不妊の原因になるということですね。しかし、これには少し誤解があります。まず、必ず男性不妊の原因である睾丸炎を合併するわけではないということです。

思春期以降の男性がおたふく風邪にかかると、20~30%程度で睾丸炎を合併するとされています。ですから70~80%は男性不妊の原因にはならないということなんですね。

そしてもう一つ、女性の場合5~7%で卵巣炎を合併することもあるんですよ。男性よりリスクは低いとはいえ、思春期以降の女性にも生殖系合併症の危険はあるんです。

思春期以降っていつごろからだと思いますか?

これは国語の問題と言った方が良いでしょう。思春期以降とは「思春期が始まってから後」のことです。以上や以前など、区切りの数値を示す場合「~を以って」と言う表現ですので、そこに示された数値や時点が含まれます。

「降」は「後」の意味ですので、例えば水曜日以降とは「水曜日を以って後とする」と言うことで、月曜日や火曜日と区別していると言うことです。

ですから、思春期以降と言った場合、第二次性徴が見られ始めた時からと言う意味になります。これは個人差が大きいものですが、概ね10歳くらいから後はそう言ったリスクのある年代になると言うことですね。

つまり、10歳くらいから後におたふく風邪にかかると、男の子の場合将来男性不妊症になるリスクがあり、女の子の場合でも卵巣炎を起こす可能性があると言うことなんですよ。

確かに思春期以降と言われて思春期が終わったらと考えてしまう人も多いでしょう。

いずれにせよ合併症のある病気ですから注意するに越したことはありません。

予防にはワクチンが有効!でも副反応のリスクを知っておこう

おたふく風邪には予防用の生ワクチンが存在します。抗体陽転率は、外国のものに比べて日本のワクチンでは高く、12か月~20か月の子供で92%から100%と言う数値が得られています。

一方、接種8年後でも抗体陽性は維持されているという研究結果もありますので優秀な成績だと言えるでしょう。しかし、ワクチンである限り副反応もついて回ります。

おたふく風邪ワクチンは接種したほうが良いのか

副反応を一つの原因として定期接種から外されたおたふく風邪ワクチンですが、本来はしっかり接種した方が良いと考えられています。

(抜粋)

本疾病は飛沫による気道感染のため伝搬力は比較的強く、容易に家族内感染、施設内感染を起こす。

発症者の多くが自然に治癒軽快することもあり、深刻な健康被害を被った症例の存在が一般に認知されていない。しかしながら、重篤な合併症がまれならず存在する。

おたふくかぜワクチンは積極的に使用すべきとするのが世界の趨勢であり、WHOはおたふくかぜを撲滅可能な疾病としてリストしている。

ところが、わが国のワクチン接種率は30%程度であり、およそ4年に一度の全国規模の流行を今も繰り返している。

このように、国立感染症研究所はおたふく風邪の危険性について、世間一般の認知度が低すぎることを懸念しています。危険度が充分知られていない病気の予防接種で、副反応による被害が出た場合そちらばかりがクローズアップされるんですね。

これは報道などの責任もあるでしょう。副反応による被害者の救済が国によって行われるべきなのは当然として、、ワクチンを接種しないことで国民が被る恐れのあるリスクも同時に報道してほしいものです。

おたふく風邪ワクチンはいつ接種するのが良いのか

おたふく風邪は、先にご紹介した通り集団生活を始めるとリスクが急激に高まります。ですので、保育所や幼稚園に通うようになる前に充分な免疫を獲得しておくことが好ましいのです。

国立感染症研究所・感染症情報センターのスケジュール案によると、1回目は13か月齢で、2回目は小学校入学前1年間で接種する2回を推奨しています。任意接種で受けることができるのは12か月以降です。

他の予防接種と合わせてスケジュール管理するための表が、国立感染症研究所によって配布されていますので、利用されるのも便利じゃないかと思います。

「乳幼児予防接種スケジュールVer 2」国立感染症研究所 感染症情報センター
infant vaccination schedule

もちろん大人になってから受けても問題ありません。また、ワクチンメーカーによると、すでに免疫を持っている人がワクチン接種を受けても問題ないので、罹った経験があるかどうか判らない時は接種するよう勧めています。

いずれにせよ、接種前にはお医者様によく相談して、ベネフィットとリスクを充分理解してからにして下さい。

また、上に子供がいる場合、その子が幼稚園や学校から持って帰ってしまう可能性も低くありません。そうした場合はお医者様と相談の上、できるだけ早く接種した方が良いでしょう。

おたふく風邪は決して軽い病気ではなく、合併症には危険なものがあることをよく知っておきましょう。

おたふく風邪ワクチンは危険ではないのか

ワクチンと言う物には必ず副反応が付いて回ります。生ワクチンの場合、弱毒化した病原体を使用するものであるため、基本的には元の病原体によって起こる症状と同じものが見られることが多いようです。

おたふく風邪ワクチンは1989年に新三種混合ワクチン(MMRワクチン)と言う形で定期接種に組み込まれましたが、副反応による無菌性髄膜炎が発生したため、わずか4年で定期接種から外れています。

これはワクチンの組み合わせによって、麻疹のワクチンが免疫抑制状態を作り出し、そこにおたふく風邪ワクチンが無菌性髄膜炎を発生させたことが原因だろうと考えられています。

そのほか、海外でのニセ論文騒ぎなどもあった影響も多少はあるのでしょう、おたふく風邪ワクチンは副反応が怖いと言うイメージがついてしまったようです。

生ワクチンの副反応はその病原体が持つ性質

しかし、注意してほしいのは「生ワクチンによる副反応はその病原体が持つ性質である」と言うことです。つまり、その病気にかかってしまったら副反応と同じ危険性がより高く現れるということなんですね。

生ワクチンは弱毒化されています。つまり、野生株のウイルスに感染するより軽く済むその病気にかかることで免疫を得ることが目的なのです。

ですから、おたふく風邪ワクチンで熱が出て耳の下が腫れる症状が出る人も100人に3人くらいの割合でおられます。一方、不顕性感染を除いて、自然感染すれば70%は耳の下が腫れるわけですから弱毒化の効果は表れていますね。

また、自然感染の場合、睾丸炎や卵巣炎、膵炎なども4%~20%くらいの人に現れます。一方ワクチンの副反応としてはほとんど現れません。

さらに、問題になった無菌性髄膜炎ですが、副反応としては0.1%~0.01%程度つまり1000人から10000人に1人くらいの割合で発生しています。これが自然感染になると1%~10%つまり10人から100人に1人の割合になっているんです。

無菌性髄膜炎は細菌性髄膜炎より症状が軽い

無菌性髄膜炎は発熱・ 頭痛・ 嘔吐を主症状として、首が前に曲がらなくなったりすることもある症状を持つ病気です。そのほか腹痛や下痢なども起こることがありますが、生命に危険が及ぶこともある細菌性髄膜炎よりはずっと症状が軽い病気です。

特に赤ちゃんの場合、単に不機嫌なだけとか、異常に興奮するといった症状しか現れないこともあるようですね。

いずれにせよ、おたふく風邪のウイルスが原因である場合、対症療法しかありません。重症の場合は入院して点滴を受けるなどの措置が取られる場合もあるでしょう。

ムンプス難聴は治らない聴力障害であることが多い

病名について先にも少し触れましたが、ムンプスとは流行性耳下腺炎、つまりおたふく風邪のことです。

この病気は15歳未満の子供、特に5歳から9歳にかけての子供に難聴をもたらすことが知られています。

この難聴は、多くの場合急激に片側だけに起こり、重症の聴力損失を伴った急性高度難聴です。片側だけなので見落とされることが多いのも危険性の一つと言えるでしょう。

ムンプス難聴はおたふく風邪患者の0.01%~0.5%くらいの割合で発生しています。つまり200人~10000人に1人の割合ですね。割合幅があるのは、見落とされることが多いからかもしれません。

一方、ワクチンの副反応でこの難聴が起こったかどうかは判っていません。これは可能性はあるものの発見しにくいということなのでしょう。いずれにせよそれほど大きな数字ではないようです。

このように、おたふく風邪ワクチンによる副反応で起こる症状は、ワクチンを打たずにおたふく風邪にかかった時の方がはるかに起こりやすいものなのです。

おたふく風邪が流行しているときにワクチンは打たない方が良い

おたふく風邪ワクチンによって免疫が成立するのは、接種後およそ1か月と言われています。ですから、できるだけ早く接種しておいた方が良いですね。

よく、上の子がかかったからと言って慌てて下の子にワクチンを打とうとすることがあるようですが、これはお勧めできません。お医者様に予防について相談しておきましょう。

長い潜伏期間がリスク要因になる

おたふく風邪が流行している時に感染してしまい、先に紹介した長い潜伏期間の間に「おたふく風邪が流行っているからワクチンを打っておこう」となると、よくありません。

もし感染して潜伏期間中だった場合、既におたふく風邪のウイルスが体内で増殖している時期に、弱毒化されているとは言えさらにウイルスを追加してしまうことになるので副反応が出やすくなります。

実際、副反応が出た人の分析を行ったら、ワクチン株のものではなく野生株の遺伝子が検出される例もそれほど少なくはないのです。

ですので、集団生活に入る前や、流行期以外の時期を選んで、お医者様によく相談して接種を受けるようにしましょう。

麻疹ワクチンとの混同

同じ子供の病気として有名な麻疹の場合、麻疹にかかっている子供と接触した時期がはっきりしている場合は、72時間以内にワクチンを接種すると発症を予防することができることもあります。

一方、おたふく風邪の場合は同じような対応をしても、必ずしも予防にならないだけでなく、上で示したような副反応の危険もありますから、そうした接種方法はしないようにしましょう。

同じ子供の病気でも対応はいろいろです。今は情報も集めやすいですし、お医者様にも相談しやすいと思うので、しっかり知識を身に付けて対応しましょうね。

何度もかかる人はおたふく風邪とよく似た病気に注意

「おたふく風邪は終生免疫なはずなのに何度もかかったことがある」と言う人がまれにおられます。確かに、かかった時に充分な免疫が獲得できなかったというケースはゼロではありません。

でも、2回目ならともかく「何度もかかった」と言う人は、別の病気と間違われている可能性があります、

反復性耳下腺炎と言う病気がある

反復性耳下腺炎は、やはり子供に多い病気です。ただ、ウイルス性の病気ではなく、唾液腺が未発達なために起こる病気ですから、思春期になれば自然治癒します。

それまでの間は炎症が起こったらお薬で抑えるという治療が繰り返されることになるでしょう。感染が起こっている場合には抗生物質の投与があるかもしれませんし、炎症の度合いによってはステロイドも使われます。

水分補給やマッサージも有効ですので、お医者様の指導に従って、親御さんが適切に対応してあげましょう。

ほかのウイルスも耳下腺で炎症を起こすことがある

手足口病の原因ウイルスであるコクサッキーウイルスや、呼吸器疾患の原因になるパラインフルエンザウイルスも耳下腺に感染して炎症を起こすことがあります。

おたふく風邪が疑われるような顔の腫れが出た場合、おたふく風邪ワクチンの接種経験やおたふく風邪の感染経験があればその情報を正しくお医者様に伝えましょう。

そうした場合、ウイルスの分離など、より慎重に診断してくださることで正しい治療が素早く行われるでしょう。

ひとくちにおたふく風邪と言っても、軽く考えられませんね。

任意接種なので有料ですが、できれば予防接種を受けてしっかり予防したいものです。

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