健康生活TOP 口・歯に関する症状や病気 死亡リスクもある!?実例を交えて紹介するインプラント治療の失敗例

死亡リスクもある!?実例を交えて紹介するインプラント治療の失敗例

私には仕事柄インプラントの知識を少しくらいは持っています。また近年の歯科医療においてインプラントが増加しており、それにつけて様々なトラブルも起きている現実も知っています。

しかし昔であれば口腔外科や一部の専門医でしか行われていなかったインプラントが、小さな町の歯科でも行えるようになっていたのは気が付いていませんでした。

しかし忘れないで貰いたいのは、「やる」ことは歯科医と患者の自由ですが、「上手にできる」ことはその医師の技量によって違いが出てくるということです。

インプラントは技術的には確立されていますが、実際に治療するのは神ではなく、人間である歯科医です。そこには技術とは関係のないミスがつきまとっています。

インプラントにまつわる失敗について紹介しましょう。

歯医者で人が死ぬなんて…過去にあった恐ろしい現実

2007年にその事故は発生しました。東京都八重洲にある歯科医院でインプラント治療による死亡者が出たことは、当時大きな話題になったのです。

歯医者と言うと「虫歯」「入れ歯」「クリーニング」「歯周病」などが主な業務であり、人間が死亡するなんて考えられないことから私も驚いたことを覚えています。この事故の簡単な経緯を紹介しましょう。

  1. 患者は70歳の女性
  2. 入れ歯を作ろうと思ったが医師の勧めでインプラントを選択
  3. 4日後にインプラントの手術を受ける
  4. インプラントを埋め込む穴をドリルで空ける途中で大量出血する
  5. 医師が手で穴を押さえることで出血が止まったように見えた
  6. 止血されたと思いインプラント本体を装着
  7. 患者が唸り声を上げて意識不明に陥る
  8. 酸素飽和度が減少してくる
  9. 救命措置を取る
  10. 救急車を要請
  11. 死亡を確認

このケースではインプラント本体を埋めるために開けた穴が深くなりすぎて、「右オトガイ下動脈」が断裂したとの診断が司法解剖の結果出されています。つまりドリルで穴を空ける際に、動脈の一部に穴を開けていたのです。

また動脈に穴を開けたにも関わらず、ガーゼによる圧迫で止血できたと勘違いして、インプラント本体を装着することでさらに症状を悪化させていたのです。

この医療事故では民事、刑事と両面での裁判が行われていますが、その中で特に注目したいのが、「危険意識を持っていたか?」です。

つまり治療を行った歯科医師は、「下顎をドリルで穴を空けるとオトガイ下動脈を傷つける可能性がある」ことを認識していたかが問題です。

この話は口腔外科やインプラントの専門家に聞くと当たり前の話です。しかし裁判ではどうも事故を起こした医師は知らなかったとも供述していたそうです。

歯科治療において死者が出るなんて、私たちには考えられないことかもしれませんが、インプラントの世界では実際にあった現実だと理解しなくてはいけません。

ちなみのこの亡くなった患者の死亡原因は「窒息死」だったそうです。つまり動脈から流れた血液によって呼吸ができなくなった(溺れてしまった)のです。適正な救急措置が迅速に取られていたらと思います。

インプラントで注意するべきトラブル

インプラント治療は確立された治療法であり、条件付きでも保険適用になっているのがその証拠とも言えます。

しかし治療後に起きるトラブルの声は、少ないながらもあることから、それらを把握することは大切な行為と言えます。

インプラント本体が上顎洞へ落ち込んでしまう

虫歯の治療で歯科に訪れたAさんは、歯科医の熱心な勧めでインプラントを装着することにしました。説明によると麻酔を使用するので、痛みは全くないはずでしたが、実際には治療中は痛みが酷く途中で中止してもらったそうです。

翌日も痛みが酷いことから大学病院の口腔外科で、レントゲンを撮って検査したところ、インプラントを装着する骨を越えて、「上顎洞(じょうがいどう)」と呼ばれる骨の空間にインプラント本体が落ち込んでいたのです。

これはインプラント用の穴が大きかったのが原因か、インプラント本体を締めすぎたのが原因か不明ですが、大学病院で取り除く手術を行わなくてはなりませんでした。

また神経に障害が出る可能性もあることから、これからも副作用にも十分な注意が必要になっています。

歯茎が腫れて痛みが出る

人工歯根と骨の結合に問題があった場合に出る症状が、歯茎の腫れとそれに伴う痛みです。原因は「骨の強度」「骨密度不足」などが考えられますが、人工歯を早期に装着することで障害となることもあります。

この症状が出ると人工歯根に負荷がかからないようにすることが重要で、人工歯を取り除いて再度結合を待つ方法が取られます。また歯肉のケアや口腔内を清潔に保つことで、症状が治まることも珍しくありません。

下顎に痺れや麻痺が出る

Bさんは1ヶ月前に下の歯に対するインプラント手術を行ったのですが、その翌日から水を飲んでも上手く飲み込むことができなくなりました。沢山含むと口の横から「ピューと」水が溢れる感じで、唇が麻痺しているように感じています。

手術から暫くは仕方がないと思っていたBさんですが、流石に1ヶ月も経過したので不安に思って歯科医に相談にいったそうです。

歯科医からは「下歯槽神経」の損傷が原因で、唇やその周辺組織の「知覚異常」「麻痺」が起きていると説明されました。

しかし治療はビタミン剤などを服用することで、神経を活性化させるしかないと言われ、「1年程度は様子を見て下さい」と言われたのです。

症状は少しずつ改善されたBさんでしたが、1年経った今でも麻痺を感じることは多く、「こんなことならインプラントやらなかった方が良かったなぁ」と思うこともあるそうです。

…このように、下顎にある下歯槽神経を刺激することで、下顎に痺れや麻痺が出ることがあります。特に顎の骨が小さい女性では、少しの狂いで下歯槽神経に人工歯根が接触してしまうことがあります。

そうなると唇が痺れて動きが悪くなり、回復するには数ヶ月かかることもあります。このトラブルは歯科医の技術力や事前の検査内容によって、違いが出てくるので歯科選びは慎重に行いましょう。

咬み合わせが狂ってしまう

インプラントを行う理由の一つに、咬み合わせの改善があります。人間にとって咬み合わせは思っているよりも重要で、「頭痛」「吐き気」「肩こり」などが咬み合わせの悪さから出ている可能性もあるのです。

インプラントは本来、咬み合わせを修正する治療なのですが、反対にそれを悪化させてしまうことがあります。この原因はインプラントの設置位置のズレです。

つまり歯科医のミスと言うことです。正しい位置が数ミリ狂うだけで、咬み合わせは最悪になり、正常な歯まで痛めてしまうかもしれません。そうなったら折角入れた人工歯根を取り除いて、時間をあけて骨の再生を待つしかありません。

咬み合わせに重点を置いている歯科医を選ぶようにしましょう。

人工歯根が歯茎から露出する

人工歯根を埋め込む際に誤って、歯茎から飛び出してしまうことがあります。「えー冗談でしょう!」と思うかもしれませんが、少ない症例ですが実際にある話です。

これは事前検査不足と歯科医の技術不足によるもので、最悪では神経を切断してしまう危険性もあります。

骨の太さや厚みは事前に検査すれば解ることで、人工歯根の長さも決められています。それが露出してしまうのですから、お粗末としか言えない技術力ですよね。

事前検査で自分の顎骨が十分適合となっているのかを聞いておいた方が良いでしょう。

インプラントを安全に行うためのチェックポイント

手術は「大工仕事」と言いますが、まさしく医師の腕によって様々な結果をもたらします。インプラントも同じで経験豊かな歯科医であれば、そう難しくない治療と言えるでしょう。

そこでインプラントを安全に行うための歯科医選びのチェックポイントをまとめてみました。

  • インプラントだけでなく口腔内全ての治療計画を立ててくれる
  • レントゲンやCTで詳しく骨の状態を分析してくれる
  • 口腔内検査(細菌など)を行ってくれる
  • インプラントの実物を見せて丁寧な説明をしてくれる
  • メリットだけでなくデメリットの説明をしてくれる
  • どんな質問も答えてくれる
  • 費用が明確にされている
  • 費用が大学病院と比較して乖離していない
  • 治療が失敗した場合には無料で再治療してくれる(保証がある)
  • 治療後のメンテナンス計画がしっかりできている

ここにまとめたポイントは歯科医にとって無理難題ではなく、当たり前のことばかりです。しかし中にはこの当たり前のことを嫌がったり、避けたがったりする医師もいます。

そのような場合には治療を止めて、他の病院を探すことも失敗しないためには重要な行為です。

歯科医を見極めるのは患者しかいません。まずは実績が豊富な病院を探してみると良いでしょう。

しっかり見極めて安全なインプラントライフを

皆さんは歯科業界がどのような状況にあるかご存知ですか?実は歯科医は飽和状態で、これからますますビジネスとして歯科業界は苦しくなると言われています。

その理由が「虫歯の減少」と「人口の減少」です。特に虫歯はフッ素が一般的に普及してから減少を辿っており、昔と比較して虫歯の子供は大幅に減少しています。

歯科医は生き残りのために自由診療に力を入れており、その一例がインプラントです。しかし高額な報酬を得ることは、粗悪な技術で安易に行う歯科医も存在しており、冒頭で紹介したような事故も発生しています。

何よりも私達がインプラントに対しての知識を持つことが大切で、それによって安全な治療を得ることができるのです。

ちょっと怖い話もしましたが、きちんとした病院であればインプラントは安全に行うことができる優れた医療です。

さあ、しっかり見極めて楽しいインプラント-ライフを送ろうではないですか?人生は何でも食べられることが幸せなのですから…。
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