健康生活TOP 耳垂れ 大人の耳垂れには大人ならではの原因と対処法が!放置は危険

大人の耳垂れには大人ならではの原因と対処法が!放置は危険

耳に違和感を覚える女性

耳垂れと言うと、赤ちゃんや幼児に見られる症状と言うイメージがありますね。確かに大人では乳幼児ほど高い頻度で見られることはありません。しかし、決して珍しいものでもありませんし、種類も多いのです。

ひとくちに耳垂れと言っても、本当は耳垂れじゃない「耳垂れのような耳垢」から、生命にも関わりかねない危険な耳垂れまで、実にさまざまな物があるのです。

今回は大人の耳垂れについて、その種類を見ていきましょう。大人の耳垂れは基本、耳鼻科へ受診されるようにお願いしますね。

耳から液体が出てくることが耳垂れなので範囲は広い

耳に入った水が出てくるのを別にして、耳から何らかの液体が流れだすことや、流れ出した液体のことを耳垂れと言います。耳垂れと言う名前は通称で、正しくは「耳漏」(じろう)と言います。

ただ、耳垂れの方が通りがいいのと、発音だけでは「痔瘻」と同じになっちゃいますので、話し言葉では耳垂れと言う事が多いようです。この液体にはさまざまな特徴があり、その特徴ごとに多くの原因が考えられるのです。

赤ちゃんや幼児の耳垂れについては、病気のこともありますが、耳掃除のし過ぎの場合もあるのです。乳幼児の耳垂れは、お母さんが気づくことが多いので、たいてい小児科や耳鼻科で見てもらうことになるでしょうし、それで問題ありません。

今回のお話は大人の耳垂れです。一応、大人と言うのは小児科の範疇から外れる15歳以上としておきましょう。

まずは耳垂れの種類と特徴を見る

粘っこいとかサラサラだとか、耳垂れにはさまざまな性状があります。また複数の特徴が混じったものもありますので、そのあたりから見てみましょう。それぞれの原因などについてはのちほど詳しく見て行きます。

耳垂れの呼び方 耳垂れの性状
漿液性 粘り気のない薄黄色の液体
膿性 膿なので黄色や黄緑色で濃厚
粘液性 粘り気の強い液体
粘膿性 粘液に膿が混じったドロッとしたもの
水様性 無色透明で水のような液体
血性 血液・血液が含まれている

このように見た目だけでも様々な種類があり、この他の特徴として臭いものや無臭のものと言った、臭いの強弱も特徴の一つに挙げられます。

耳垂れに見えて耳垂れではない耳垢は心配無用

耳垂れに見えるものですが、実は柔らかい耳垢が出てきているだけといったものが、稀に見られます。これはそもそも耳垂れではないので心配ありません。

日本人の8割以上が乾いたタイプの耳垢ですから、こうした現象は多くの場合起きませんが、湿ったタイプの耳垢の人が耳周りのお手入れを怠ると可能性が出てきます。

耳の中は自浄作用があるので、耳掃除をしなくてもこうした現象はめったに起こりませんが、せめてお風呂に入った時に、タオルで耳の穴の周りぐらいはふき取っておきましょう。

一方、耳掃除のし過ぎは本当に耳の中の炎症を招きますので、綿棒や耳かきの使い過ぎはあまりお勧めできません。

漿液性の耳垂れは耳かきのし過ぎが原因になる

漿液性と言っても、サラサラの液体が流れ出てくると言う事より、耳に違和感を感じて綿棒でこすってみたら、黄色っぽい液体が綿棒に浸みたと言うケースが多いです。こうしたものは外耳道湿疹によって引き起こされることの多い症状です。

外耳道とは鼓膜から外側の耳の穴ですので、ちょうど綿棒や耳かきを突っ込んで掃除する場所ですね。先にもお話しした通り、この部分には自浄作用があるので、本来掃除する必要性のない場所です。

耳の穴は、外耳道や鼓膜の新陳代謝で浮いてきた垢の部分を、自動的に耳の穴の外側へ運ぶような機構になっているのです。ですので、いつも耳の穴の周りをふき取っておくだけでいいのです。

しかし、耳がかゆくなったりして、つい綿棒や耳かきを突っ込んでしまうと、外耳道の表面に傷がつきます。そうするとこの自浄作用の働きが悪くなって耳垢が溜まります。

その結果、耳がさらに痒くなって耳かきをすることになり、綿棒などで耳垢を外耳道に押し込んでしまう事にもつながるのです。押し込まれた耳垢は、新たな耳垢の排出を妨害すると同時に、シャンプーの時などの水分を吸ってふやけます。

すると、外耳道の表面の皮膚もふやけ、炎症や湿疹が発生するのです。また、アレルギーやシャンプー、プールの塩素などの影響で外耳道湿疹ができることもあります。

この外耳道湿疹はかゆみが強いので、ついつい耳かきを突っ込んで掻いてしまいます。すると耳の中の皮膚は薄いので、すぐに掻きむしったようになります。

肌に湿疹ができてかきむしってしまうと、汁が出てくることがありますね。漿液性の耳垂れはあれと同じものです。浸出液と呼ばれるあれの正体は漿液である間質リンパ液なのです。

耳鼻科を受診してお薬をもらって下さい。そして、耳を触る癖はなくすように気を付けましょう。

感染してしまうと耳から膿が出てくる

外耳道炎や外耳道湿疹を掻き破ってしまい、そこに細菌が感染すると膿が出てきます。これが耳から出てくると「膿性耳漏」と言う耳垂れになります。

多くの場合、皮膚常在菌の黄色ブドウ球菌や緑膿菌などが傷ついた外耳道に感染して炎症を起こし膿を出します。この膿が耳垂れとなって出てくるのです。

場合によっては外耳道におできやニキビのような膿の溜まりを作ることがありますが、これは大変痛いものなので、耳鼻科に出向かれる人がほとんどだと思います。

こうしたものが潰れると、痛みはましになりますが、その際溜まっていた膿が耳垂れとなって出てきます。

鼓膜炎は外耳炎と中耳炎の中間地点

鼓膜は外耳と中耳を仕切っている膜ですが、この鼓膜に炎症が起こると鼓膜炎と言う事になります。症状としては中耳炎のような症状が出やすいのですが、中耳に炎症がないことが確認されると鼓膜炎と言う事になります。

中耳炎とは違って、20代~40代の女性に良くおこる病気で、2つあるタイプのうち肉芽を形成するものは、慢性的な耳垂れが特徴になります。

それほど頻度が高いわけでもなく、重症化しやすいものでもありませんが、不快感が強いので耳鼻科で治療を受けられた方が良いですね。

基本的には耳に点す抗菌薬などで治療します。耳に不快感があるからと言って、綿棒などで刺激すると悪化しやすいので注意して下さいね。

ここまでは割合頻度の高い耳垂れでした。でも、まだまだ耳垂れの原因はたくさんあるんですよ。

中耳炎は大人でも子供でも耳垂れの原因になる

中耳炎と言うと耳の奥に強い痛みを感じるいやな病気です。そして、ひどくなってくると鼓膜が破れて膿の様な耳垂れが出てくることもあります。

もちろんそれは困った状態なのですが、中耳は鼓膜の奥なので、そこに液体が溜まるのはもっと困ります。何せ難聴の原因になりますからね。ですから、鼓膜を切開するなどの方法で、わざと耳から液体を抜く手術をしたりもするのです。

急性中耳炎は風邪の病原体が耳に回って起こる

中耳炎は子供に多い病気ですが、もちろん大人でもかかることのある病気です。人の鼻と耳は耳管と言う管でつながっていますので、風邪のウイルスや細菌がその管を伝って耳に行ってしまう事があるんです。

そこで繁殖してしまうと炎症が起こり中耳炎が発生します。鼻の側から回り込んでくるので、耳の方から見ると鼓膜の向こう側と言う事になります。炎症がひどくなってくると鼓膜が破れて、膿性の耳垂れが発生します。

こうなってくると炎症部位からは膿が出て、鼓膜の奥に溜まりますし、炎症部位はひどく痛みます。治療は耳鼻科のお医者さんで抗菌薬や抗ウイルス薬、抗炎症薬などを処方してもらうことになるでしょう。

膿が多すぎる時は鼓膜を小さく切開して膿を抜くこともあります。これが最も一般的な急性中耳炎です。

原因はほとんどが鼻から回り込んできた細菌やウイルスですので、鼻を正しくかむことで予防できるケースがかなり多いようです。

鼻と耳を繋ぐ耳管は普段は閉じていますが、ちょっとした動作で開きます。その典型的な例が耳抜きですね。外気圧が変化すると耳が詰まった感じがしますが、鼻をつまんだ状態で鼻をかんだり、物を飲み込んだりすると解消します。

これは鼻をかむ動作や物を飲み込む動作で耳管が開き、外気圧と中耳の気圧が同じになるからです。つまり、風邪を引いたときに不適切な鼻のかみ方をすると、ウイルスを含んだ鼻水が開いた耳管を通って中耳に行ってしまうんですね。

鼻水をためておくと細菌が増え、中耳炎や副鼻腔炎、また気管支炎や肺炎につながることがあります。

鼻水はすすらずに、鼻をかんで鼻の通りを良くしておきましょう。

【上手な鼻のかみ方】

1.鼻をかむ前に、口からいっぱい息を吸います。

2.口をとじて…

3.片方ずつ、もう片方の鼻をきちんと押さえて鼻をかみます。

4.鼻水が鼻の下に残らないように、ごしごしこすらず軽く押えるようにきちんと拭い取りましょう。

これは耳鼻咽喉科医会が、主に子供とその親に対して配布しているパンフレットの引用ですが、大人でも正しく鼻をかんでいない人っているんじゃないでしょうか。それが急性中耳炎の原因になるんです。

急性中耳炎の治療を中途半端にすると滲出性中耳炎になる

痛みがなくなったからと言って、急性中耳炎の治療を中途半端に終えてしまうと、滲出性中耳炎と言う痛みはないけれど難聴になってしまう中耳炎に移行することがあります。

滲出性中耳炎は、滅多に鼓膜に穴が開かないことから、むしろ鼓膜に穴をあけて中の液を排出する方が多いのですが、これは粘液性であることが多いようです。

一方、滲出性中耳炎の状態で風邪を引くと、再び急性中耳炎の症状を起こし、粘膿性の耳垂れが出る場合もあります。いずれにせよ、きちんと治療を終えて、滲出性中耳炎を完治させないと慢性中耳炎に移行してしまいます。

慢性中耳炎では鼓膜に穴が開いたままになり、粘膿性の耳垂れがずっと続くこともあります。これを放置すると難聴になってしまう事もあるのです。

真珠腫性中耳炎は耳垂れが特徴で難しいケースも多い

真珠腫と言うと何となくきれいなイメージがありますが、正体は耳垢が固まったものです。先にお話しした通り、耳垢は何もしなくても外耳道を通って外に出てきます。

ところが、本来角質層を持たない鼓膜の内側に、外側の皮膚が入り込み、そこで耳垢を作ってしまう事があるんです。その部分でできた耳垢は外に出ることができませんので、だんだん溜まって塊になります。

そこに細菌が棲みつくと、骨を溶かす酵素を出すようになるんですね。これが真珠腫です。症状としては難聴と耳垂れが最も多くなっています。しかし、稀に症状が出ない物もあるので要注意ですね。

真珠腫性中耳炎の耳垂れは、粘膿性や膿性、時として血液の混じった膿性で、悪臭を放っていることが多いのが特徴です。こうした耳垂れが出たら、一刻も早く受診して下さい。

この病気が進むと耳鳴りや顔面麻痺、髄膜炎に進むこともあるため手術で治すしかありません。症状が進むと聴力を失うこともあります。

この病気は、子供の頃の繰り返す中耳炎が原因になることがあります。大人になってからでも、何らかの原因で耳管が詰まると遠因になり得ます。数は少ないですが、先天性のものもあるようですね。

統計的なデータがあるわけではないのですが、いわゆる「耳抜き」が苦手な人は中耳に負圧がかかりやすく、真珠腫の原因となる組織が中耳に入り込みやすいので要注意だと言われています。

そして、この真珠腫性中耳炎が耳の最も深い部分に入り込むと、さらに大変なことになります。

・錐体部真珠腫、錐体尖真珠腫

中耳にできた真珠腫が耳の骨の最も深いところ(錐体部)に進展したものです。

多くの場合、顔面神経に沿って深い部分に入り込んでいきます。

治療法は手術しかありませんが、内耳道(耳と脳をつなぐ通路)や内頸動脈にまで進展していることも多く、聴力を犠牲にせざるを得ない場合も稀ではありません。また、手術後も再発に対して十分な注意が必要です。

この手術は脳神経外科と連携して、先に開頭手術を行ってからと言う方法が採られることもあるぐらい難しいものになるので、専門性の高い一部の大学病院でしか行っていないようです。

このように、同じ耳垂れを伴う中耳炎でも、様々なものがあり、中には危険度の高いものがありますから油断しないようにして下さいね。

本当に危険な耳垂れは生命が危ぶまれる

先に紹介した耳垂れの性状の中で、実際に危険性が高いのは「水様性」と「血性」のものです。また、上で紹介した悪臭のする耳垂れが出る真珠腫性中耳炎でも、症状が進行した場合、敗血症になって生命が危ぶまれることもあります。

血性のものは、多くの人が受診されると思いますが、水のような耳垂れではなかなか受診されません。でもかなり危険な場合もあるので気を付けましょう。

外傷性の耳垂れは漿液性または水様性で頭蓋骨の中から来ている

交通事故などで頭を打った時、水のような耳垂れが出ることがあります。これは頭蓋底骨折と言う、頭の底で脳を受け止めている部分の骨折によって、脳脊髄液が漏れ出してきている物なのです。

脳脊髄液は無色透明な液体ですので、水様性と言うのが適切かもしれませんね。事故の直後であれば、事故との因果関係を疑って、事故の時には病院に行っていなくてもすぐ受診される人が多いでしょう。

しかし、少し間をおいてから出てくる例もありますので、突然水のような耳垂れが出たら急いで病院に行ってください。初診は耳鼻科で良いでしょう。

特殊な症例ではありますが、実際10年前の事故が原因で発生したと言うものがあるくらいなのです。

こうした外傷性の耳垂れは、血性になる場合も多いので、それが混じったものが出てくる可能性もあります。いずれにせよ事故直後の耳垂れや、鼻血ではない鼻からの液体の漏れ出しには厳重な注意が必要です。

難病の中にも耳垂れを症状として持つものがある

多発血管炎性肉芽腫症と言う難病があります。難病申請している人は2000人ほどですが、申請していない人や診断がついていない人が多いのではないかと考えられています。

一般的には発熱、食欲不振、倦怠感、体重減少などの全身症状とともに、
(1)上気道の症状(膿性鼻漏、鼻出血、難聴、耳漏、耳痛、視力低下、眼充血、眼痛、眼球突出、咽喉頭痛、嗄声など)、
(2)肺症状(血痰、咳嗽、呼吸困難など)、
(3)腎症状(血尿、乏尿、浮腫など)
(4)その他の血管炎を思わせる症状(紫斑、多発関節痛、多発神経炎など)
が起こります。
通常は、(1)→(2)→(3)の順序で起こることが多いのですが、必ずしも順番通りではありません。

(中略)

最初は、鼻や耳の病気、あるいは胸の病気を思わせる症状がでて、後で腎臓を含め全身の血管炎による多臓器の症状を呈する場合があり、注意が必要です。

このように、初期症状として耳漏(耳垂れ)を認める場合があるので、参考にして下さい。

最近追加されたもう一つの難病

そしてもう一つ、2015年7月に医療補助対象の難病に指定された「好酸球性副鼻腔炎」も耳垂れが出ることがあります。慢性副鼻腔炎と言えば、いわゆる蓄膿症ですが、それより症状が重く難治性のものです。

この副鼻腔炎では非常に粘り気の強い耳垂れが起こることがあり、これを止めることは困難だとされています。ステロイド薬で一時的には軽くなるものの、薬をやめると再び悪化します。

鼻の中の内視鏡検査と血液検査で診断できますので、鼻づまりがひどくて粘り気のある耳垂れが出た場合は、出来るだけ早く耳鼻科を受診して下さい。診断が付いたら、医療補助について病院と相談してみて下さい。

しつこい外耳道炎と血性耳漏は悪性腫瘍の可能性がある

慢性外耳道炎と言う診断を受け、長期間治療を続けているのに、一向に治る気配がない場合悪性腫瘍の可能性が考えられます。

外耳道がんは比較的珍しい悪性腫瘍ですが、血性の耳垂れを伴うことがありますので、血の混じった耳垂れが出る慢性外耳道炎の場合、念のため組織検査を受けられるのも良いでしょう。

外耳道がんは手術可能なうちに発見されると5年生存率は80%以上ですが、手術ができない物だと半分にまで下がってしまいます。

耳の中のがんと言うのは珍しいですが、これも耳垂れを伴う耳の病気の一つなんですよ。
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