健康生活TOP メタボリックシンドローム トマトは加熱で効果大!ナリンゲニンで生活習慣病を予防する

トマトは加熱で効果大!ナリンゲニンで生活習慣病を予防する

トマト料理

トマトと言えば健康野菜の一つとして常に注目されてきたように思います。昭和の昔には、トマトには糖分が多いので糖尿病患者は食べてはいけない、などと言われていたことを考えると隔世の感がありますね。

実際のところトマトに含まれる糖質はキャベツと同程度、たまねぎの半分くらいしかありません。もちろん昔とは栽培品種が変わったと言うことも影響しているでしょう。

今回はトマトに多量に含まれる健康成分でありながら、あまり注目されてこなかったナリンゲニンに注目してみましょう。

トマトの注目成分はカロテノイド・脂肪酸・フラボノイド

トマトと言えば一番に思い浮かぶのがカロテノイドであるリコペンです。抗酸化作用を持つ真っ赤な色素で、もはやトマトのヘルシーさを表す代名詞となっていますね。

もう一つは略号13-oxo-ODA、正式名13-オキソ-9,11-オクタデカジエン酸です。でも、「こんな長い名前知らないよ」と言う人がほとんどでしょう。

しかし毎食トマトジュース1杯を飲むだけで、脂肪肝や脂質異常症を抑制すると言うことがテレビの健康特集などで取り上げられたとたん、スーパーの店頭からトマトジュースが消えたことは皆さん覚えておいででしょう。

その有効成分がこれなのです。この物質は2012年に京都大学の研究グループが脂肪肝に効く脂肪酸の一種として発表しました。

第3の注目成分ナリンゲニンはフラボノイドの代表選手

今回話題の物質はナリンゲニンと言うものです。フラボノイドに分類される生理活性を持った物質で、ナリンゲニンはそのフラボノイドの代表的な物質と言っていいでしょう。

人間にとっての必須アミノ酸であるフェニルアラニンから、植物の身体の中で生合成されるものです。そして、その後いくつかの酵素の働きでアントシアニンになる物質でもあります。

途中の流れは省きましたが、必須アミノ酸からアントシアニンに生合成されてゆく途中にある、非常に重要な物質であると思って頂けば判り易いかと思います。

このような性質の物質ですので、大変有用な働きを持っています。フラボノイドですからもちろん抗酸化活性が高いことは言うまでもありません。

ナリンゲニンはラジカル捕捉能が高いとされています。つまり、人間の細胞を傷つけるヒドロキシルラジカルやスーパーオキシドアニオンラジカルを捕捉して、無害な水に変えてしまうと言うことですね。

この2つのラジカルは、いわゆる活性酸素と呼ばれるグループに属します。活性酸素を無害化するこの働きも、抗酸化作用の一つに数えられます。

細胞を使った試験管内実験では、人間の肺上皮癌に対する抗がん作用や、人間のリンパ球系において抗酸化作用が認められています。さらに細胞レベルでの動物実験では腫瘍増殖抑制や抗炎症作用も認められました。

その他、アレルギーを抑制したり、動物実験ですが血液中の尿酸を減らす作用もあったと言うことです。

私たちの細胞を傷つける悪い物質を無害にしてくれる、抗酸化作用の強いナリンゲニン。

その他にもアレルギーや腫瘍が増えるのを抑えたりと様々な効果が認められていますよ。

ナリンゲニンは肥満が原因の病気を抑制する事が判った

2014年、日本の九州保健福祉大学大学院の研究グループは、このナリンゲニンが肥満を原因とする病気の抑制に効果があると言う論文を発表しました。

それによると、動物実験において高脂肪食を与えられたグループでは、脂肪細胞において炎症などを引き起こす物質が増えていました。

一方、ナリンゲニンを高脂肪食と同時に投与したグループでは、そうした物質の増加はほとんど見られず、対照群として標準食を投与されたグループに近い脂肪組織の状態だったと言うことです。

肥満と病気の間では白血球が重要な役目を持っている

ここからの説明はちょっと複雑な内容ですので、そうしたものを読むのが面倒な方は「脂肪がたまり過ぎると病気の原因になる」とだけ覚えて頂いて、次の「メタボリックシンドロームの真相~」の見出しまで飛んで下さい。

もちろん脂肪の過剰な蓄積が身体に良くないことは、どなたでもご存知のことと思いますが、なぜそれがいけないのかと言うことになると意外に知られていません。

これには様々な要因があるのですが、特に炎症に関することが最も大きな要因なのです。そのあたりを少し見て行きましょう。

私たちの血液の中には、バイキンなどが身体に入ってきた時にそれをやっつけてくれる、白血球と言う細胞があることは皆さんよくご存知だと思います。

この白血球にもいくつかの種類があるのですが、その中で最も大きな「単球」と言う細胞が肥満と病気の間で重要な役割を果たしているのです。

肥満すると脂肪細胞に引き寄せられるマクロファージ

単球は血液の中にいるとわずか数日で寿命を迎えてしまいますが、多くは血管から外に出て行きます。血管の外に出た単球はマクロファージ(大食細胞)と呼ばれる細胞に姿を変えるのです。

マクロファージは寿命が長く、多くは数か月程度の寿命を持っています。一方、マクロファージに変化してから後でも、単球であった時代の性質も残しているのです。

脂肪細胞は、いわゆる肥満状態になると肥大化してきます。それがある程度の期間続くと脂肪細胞からはMCP-1(Monocyte Chemotactic Protein-1:単球走化性タンパク質-1)と言う物質が分泌されるようになるのです。

このMCP-1はその名前の通り、これの濃度が高い方へ単球・マクロファージを移動させる物質です。つまり、マクロファージを引き寄せる物質だと言っていいでしょう。

肥大した脂肪細胞から分泌されたMPC-1によって血液中から引き寄せられた単球は、マクロファージとなって脂肪組織の中に入り込みます。

そのマクロファージは脂肪細胞に由来する遊離脂肪酸に刺激されてTNF-αと言う物質を分泌します。

TNF-αは本来腫瘍に対抗したり、感染を防御したりするための物質なのですが、これが過剰になると関節リウマチなどの病気を呼ぶことが知られています。

さらに、このTNF-αの刺激によって脂肪細胞は遊離脂肪酸をより多くマクロファージに供給すると言う悪循環が起こります。そして、このサイクルの脇ではMCP-1によって単球を呼び寄せる傍分泌と言う現象も強化されるのです。

そしてTNF-αはインスリンの効きを悪くすると言う働きも持っているため、糖尿病を引き起こす原因になることもあります。TNF-αだけではなくアディポサイトカインと言う物質群はメタボリックシンドロームと深い関係があります。

トマトは加熱で効果大!ナリンゲニンで生活習慣病を予防するs

メタボリックシンドロームの真相・アディポサイトカインの暗躍

肥満すると分泌が増えるTNF-αはアディポサイトカインと言うグループに属していますが、これらもすべて肥満、特に内臓肥満によって分泌が増えるのです。

このアディポサイトカインはことごとくメタボリックシンドロームの悪化に関わる物質で、肥満すると必要なものが出なくなったり過剰に出たりして病気を呼んでしまうのです。

アディポサイトカインの分泌破綻が様々な病気を呼ぶ

先にお話しした通りTNF-αは、病気の原因としてはインスリン抵抗性を上げるだけですが、脂肪細胞の働きから見た場合、そもそもアディポサイトカインの分泌を破綻させてしまう元凶とも言うべきものなのです。

他のアディポサイトカインにはどんなものがあるのでしょう

(抜粋)

レプチン:食欲を抑える働きをしていて、蓄えている脂肪が増加すると分泌が高まって食欲を低下させ、肥満を防いでいます。

しかし脂肪がたまりすぎると、レプチンの分泌が過剰になっても満腹中枢が適切に反応しない状態となります。そのためにさらに食べ過ぎ、太りすぎになっていくのです。

PAI-1(パイワン):内臓脂肪の増加とともに分泌が高まり、血栓ができるとそれを融解させるプラスミンの働きを妨げ、血栓を大きくし、血流をさえぎる状態をつくります。

メタボリックシンドロームでは脂質異常症・高血圧・糖尿病があって動脈硬化が進行しますので、そこに血栓のできやすい状態が加われば、心筋梗塞や脳梗塞の危険が高まります。

このほか、血圧を下げインスリンの効きを良くし、傷ついた動脈を修復する働きのあるアディポネクチンの分泌が減ってしまいます。さらに、血圧を上昇させるアンジオテンシノーゲンの過剰分泌が起こります。

このように、脂肪組織の肥大に始まった分泌の悪循環によってメタボリックシンドロームはどんどん悪化してゆくのです。

ナリンゲニンと脂肪組織の関係がわかったところで、そのナリンゲニンを効率良く摂るにはどうすればいいのでしょうか?

加熱したトマトでメタボ予防をしよう!

今回話題のナリンゲニンはもともとグレープフルーツの苦味成分として知られたフラボノイドでした。

最近になって、このナリンゲニンにはアディポサイトカインの分泌を破綻させてしまう元凶のMCP-1の分泌を抑制する効果がある事が判ったのです。最初に紹介した九州保健福祉大学大学院の研究グループの研究です。

しかし、これまでグレープフルーツのナリンゲニンは口から食べたのでは吸収されにくいと言う事が判っていました。

トマトのナリンゲニンは吸収されやすい

グレープフルーツに含まれるナリンゲニンは、配糖体と言って糖と結びついた形のものです。それに対してトマトに含まれるナリンゲニンはアグリコンと言って糖とは結びついていない原形のままの物なのです。

イタリアの国立食品栄養研究所の研究によって、ナリンゲニンはトマトから、それも加熱調理してペースト状になったものからが吸収効率が高いと言うことが示されました。

それによると、グレープフルーツやオレンジを摂った場合、血液中のナリンゲニン濃度はあまり上がらず、そのピークは食べてから約5時間後に現れました。

一方トマトペーストの場合、濃度は良く上がり、ピークは約2時間後だったと言うことです。

これについて、グレープフルーツやオレンジに含まれるナリンゲニン配糖体は、小腸で酵素によって糖が外されてから大腸に近いところで吸収されているのだろうと研究グループは推測しています。

それに対してトマトに含まれるナリンニゲン・アグリコンはそのまま吸収可能なので十二指腸寄りの小腸か、あるいはもっと胃に近いところで吸収されたのだろうと考えています。

なぜ加熱調理した方が良いのかはわかっていない

論文中には生のトマトやトマトジュースとの比較については述べられていません。ですので、なぜ加熱調理したものが良いのかについては不明です。

しかし、この研究では被験者にトマトペーストを使ってパスタを調理したものを食べてもらって、さらに残ったソースをぬぐって食べるためのパンも準備しておいたと言うことです。

食べた量は朝食用と言うことで2500kJ分と言いますから、600kcal弱ですね。体重67~81kgの成人男性が対象でしたので、決して多い量ではないと思います。

これは私の推測ですが、加熱調理したものだと水分が減っているため生のトマトよりたくさんの栄養成分が摂りやすいからじゃないかと思います。

ナリンゲニンは生のトマト100gあたり0.8mgから4.2mg程度含まれています。この研究で被験者に食べてもらったのはナリンゲニン換算で3.8mgだったと言うことです。

一人前のパスタを調味するのであれば煮詰めた方がよさそうですね。

ナリンゲニンはリコペンの働きをサポートする

この研究の中で、トマトの赤い色素であるリコペンが持っている抗酸化作用が、ナリンゲニンによって強化されることも見いだされたそうです。トマト、まさに鬼に金棒ですね。

ここで気になるのは、研究グループがイタリアの物だと言うことです。イタリアのトマトで加熱用と言えばサンマルツァーノ種ですよね。あの縦長で尖った真っ赤なトマトです。

長いトマト

どうも研究で使われたものは、日本で普通に生で食べているトマトとは違うような気がします。ですので先に紹介した含有量のばらつきは、品種が違うことによるものなのかもしれません。

サンマルツァーノ種は加工用トマトとして作られていますが、日本では加工用トマトの生産は少なく輸入に頼っているのが現状です。

それでもイタリア産のトマトの水煮缶は日本で生のトマトを買うより安く買えることも少なくないですね。

台所に常備しておいて自家製トマトソースを作ってメタボ対策!と言うのはいかがでしょうか。

日本人は世界一の健康寿命を誇っていますが、平均寿命も長いため寝たきり期間が長いのが難点です。一方、主要国の中ではイタリアも日本と並んで健康寿命の長い国です。

イタリア人の健康は国旗の色によるものだと言われます。緑のオリーブ・白のたまねぎ・赤のトマトですね。リコペン、13-oxo-ODA、そしてナリンゲニンは、いずれも加工したトマトから効率よく得られる成分です。

和食文化によって長寿を維持しているとも言われる日本人が、トマトを上手く取り入れれば、寝たきり期間を短くして健康寿命を延ばせるかもしれません。それには若いうちからの食生活が重要ですよ!

キャラクター紹介
ページ上部に戻る