健康生活TOP 軟膏とクリームの違いは?似てるけど使い分ければ早く効く外用薬

軟膏とクリームの違いは?似てるけど使い分ければ早く効く外用薬

手にクリームを塗る

かゆみや痛みを和らげる塗り薬には、主に軟膏とクリームがあります。軟膏はやや硬くてベタベタし、クリームは軟膏よりさらっとして伸びが良いといった違いがありますね。

塗り薬は軟膏とクリームを使い分けると、よりきれいに早く治すことができることをご存知ですか?「今まで家にある物を使っていた」「何となく選んでいた」という方は、軟膏とクリームの違いと上手な使い分け方をチェックしてみてくださいね。

軟膏とクリームのどっちが良い?実は好みで選んでOK?

外用薬のコーナーに軟膏とクリームが並んで販売されている時、どのような基準で軟膏とクリームを選び分けますか?

「軟膏のほうがしっかり塗れそう」「クリームのほうがべたつかなくて良さそう」と、単純に塗り心地で選ぶ人も多いのではないかと思います。

このように好みで軟膏とクリームを選び分けるのはズバリ正解です。

市販の外用薬の場合、軟膏とクリームは薬の薬効に大差があるわけではありません。また病院で外用薬が処方される場合でも、軟膏とクリームのどちらを使うか決める時には患者さんの好みや使いやすさも取り入れます。

しかし厳密に言うと、軟膏やクリームなど剤型(薬の形)の違いは、単に塗り心地を変えるだけが目的で作られていません。剤型によって薬の効き方も違っているのです。

ですから正式には「外用薬は用途や患部の状態にあわせて使い分ける」のがベストなのです。

この記事では、主に市販の軟膏・クリームを使い分ける場合を対象に説明を進めていきたいと思います。

皮膚へ直に塗って効きやすい!外用薬の特徴は

市販の塗りは気軽に使えるため、薬の効く仕組についてあまり気に留めることは少ないですよね。改めて塗り薬の役割、その特徴についてチェックしてみましょう。

薬の種類について

薬は以下のものから構成されています。

主薬 薬を使う本来の目的を果たす成分
基材 薬効を持たない添加剤のことで、主薬の性質を安定させたり使い心地を良くしたり、主薬を吸収しやすくする作用を持っている
その他の添加物 薬のかさ増し、水に溶けやすくする、苦味をおさえる、微生物の増殖をおさえるものなど様々ある

薬を大きく分類すると内用薬・注射・外用薬の3種類があります。

内用薬は飲み薬のこと。飲むと腸から成分が吸収されて血液に入り、患部へ行き渡ることで症状をしずめます。こ

注射は針を刺して薬を血液や組織に直接入れるので即効性があります。

外用薬は体の外から使う薬。塗り薬、目薬、湿布などがあります。患部に直接薬をつけるので患部の炎症を効率良く治し、全身には薬の成分が届きにくいので大きな副作用が起こりにくいメリットがあります。

内服薬の効く仕組を「経口吸収」と呼び、対して皮膚から塗る外用薬が効く仕組を「経皮吸収」と呼んでいますよ。

外用薬の主役と基材の相性について

皮膚に直接塗る外用薬は、次のような順序で体に作用して効き目を発揮します。

  1. 主薬の入り混じった基材が皮膚表面の角質層に浸透する
  2. 角質層から広がった主薬がさらに奥へ浸透していく
  3. 主薬が皮下組織に吸収され、成分が炎症をしずめる

主薬はそのままでは皮膚に吸収されにくいので、基材に溶け込むことによって皮膚から吸収されやすくなります。外用薬は質量の90%が基材で、主薬の質量はごくわずかです。

角質層は、皮膚の表面を覆って異物が皮膚組織に侵入するのを防ぐバリアの役割を持っています。バリア機能が紫外線やウイルスといった有害な刺激の侵入を防ぎ、また肌内部の水分が蒸発するのを防いでくれるおかげで、肌が健やかに保たれているのです。

当然ながら、薬を塗った時にもそのバリア機能は薬をブロックします。そこで、基材や主薬が皮膚に少しでも吸収されやすくなるよう、主薬の性質、薬を使う用途にあわせて相性の良い基材を選び、患部にあった剤型の薬を作ります。

効果をより知るために!塗り薬の剤型・基材の違いを勉強してみよう

少し専門的なお話になりますが、塗り薬の剤型や基材についても説明したいと思います。

塗り薬の剤型の違い

塗り薬は軟膏、クリーム、そのほかにジェル、ローションなどさまざまな剤型があります。これらの違いは一言で簡単に言うと「基材に使われる油分と水分のバランス」になります。

基材の性質には油性と水性があります。油と水は基本的に分離してひとつにまとまらないので、水性と油性の成分が入り混じる薬を作る場合には、油分と水分を混ぜ合わせる(乳化)させるために「界面活性剤」が添加されます。

外用薬は剤型によって、配合される基材の性質、界面活性剤や添加剤の有無が次のように異なります。

外用薬の剤型 油性の基材 水性の基材 界面活性剤 添加物
軟膏
クリーム
ジェル
ローション

◎…多く使われている 〇…使われている
△…使われることもある -…ほとんど使わない

ジェルやローション→クリーム→軟膏の順に、基材は水分より油分のほうが多くなるので、油分の多い軟膏は油分のべたつきが多くなります。

油分が少なく水分の多いジェルやローションはさっぱりと水っぽくなります。そしてクリームは、その中間で油分のコクを持ちながら軟膏よりさっぱりした質感になるのです。

基材に油性と水性がある理由

なぜ基材に油性と水性があるのかというと、主薬が水溶性か油溶性かによって皮膚に塗った時の吸収率が良くなる基材の相性が異なるためです。

例えば、角質層は油分が多いので基材も油性のほうが皮膚には浸透しやすいのですが、主薬が油溶性の場合は基材を水性にしたほうが主薬が薬に溶け込みやすい場合もあります。

逆に、主薬が水溶性成分の場合は基材の油分を多くしたほうが角質層に浸透する効果が高まる場合もあります。

主薬と基材のなじみやすさ、基材と皮膚の相性の2点を考慮しながらベストな状態で基材の種類や量が決まるのです。これは薬によってバランスが異なります。

基材の長所と短所

このように薬の使用感だけでなく薬の効きやすさを左右する基材には、それぞれ長所と短所があります。油性の基材、乳化作用を持つ水性の基材、水性の基材の特徴をチェックしてみましょう。

基材の成分には、皮膚科でもらう薬や市販薬のパッケージで見かける名前もあるかと思います。

【油性の基材】
軟膏によく使われる基材で、疎水性(水をはじく性質)があります。

主な油性の基材

  • 白色ワセリン
  • 流動パラフィン
  • ミツロウ
  • プラスチベース
  • 植物油 など

油性の基材には次の長所と短所があります。

長所 短所
  • 患部を保護する作用が高い
  • 細菌が繁殖しない
  • 刺激性が低い
  • べたつく
  • 主薬が皮膚へ吸収されにくい

油性の基材を使う軟膏は、患部を保護する効果が高く皮膚への刺激性が低いので、炎症を起こしている患部にも使えるのが特徴です。

【水性の基材(乳化作用を持つもの)】
クリームによく使われる水性の基材で、油分と乳化する性質を持っています。

乳化作用を持つ基材

  • 親水ワセリン
  • ラノリン など

乳化作用を持つ水性の基材には次の長所と短所があります。

長所 短所
  • 主薬が皮膚へ吸収されやすい
  • 伸びが良い
  • べたつかない
  • 刺激がある
  • 浸出液を吸収しない

油分と一緒に配合しても分離しないので、なめらかなクリーム状の質感を保つことができ、油分を含むことで角質層に主薬が浸透しやすくなります。

しかし患部が炎症を起こしてジュクジュクしている場合には適していません。浸出液が患部に再吸収されるので炎症が悪化しやすくなります。

また乳化させるためには皮膚を刺激しやすい界面活性剤を添加しなければならず、基材も刺激を持つので、この基材を使った塗り薬を使うと人によっては患部にしみたり炎症が悪化したりする場合があります。

【水性の基材】
油分を含まない基材です。さっぱりした伸びの良い塗り薬に使われています。

主な水性の基材

  • マクロゴール
  • グリセリン

水性の基材には次の長所と短所があります。

長所 短所
  • 水で洗い流しやすい
  • さっぱりしている
  • 浸出液を吸着する
  • 主薬の吸収率が悪い

水性の基材を多く使っているジェルやローションは浸出液を吸着するので、ジュクジュクしている患部の再生を助ける作用も期待できますが、薬の油分が少なく角質層に浸透しにくいため、主薬も吸収率はあまり良くありません。

塗り薬に使われる基材は、油性と水性で長所と短所がはっきり分かれているんですね。

知ればもっと早く治せる!クリームと軟膏を使い分けるポイント

外用薬に使われる基材の特徴を改めて知ると、どのような時にどの塗り薬を使えばよいのか、なんとなく想像がつくようになってきませんか?次に、互いに似ている軟膏とクリームについて、使い分け方のポイントを説明します。

軟膏の使い方:使用に適した症状

【軟膏が適している皮膚の症状】

  • かゆみ
  • 湿疹
  • 水泡
  • 潰瘍
  • びらん
  • 角化
  • かさぶた
  • 乾燥

軟膏は刺激が少ないので、あらゆる皮膚症状にも使うことができます。特に痛みや化膿が起こっている場合は、クリームを塗るとしみて痛みが起こったり悪化したりするので、クリームではなく軟膏を塗るのが適しています。

また軟膏は、患部に密着して水で流れ落ちにくく皮膚を保護する作用が高いので、傷口に薬をしっかり効かせたい時、患部が乾燥してカサカサ・ごわごわしている時の保湿にもとても効果があります。

ただしべたべたするので、患部が狭い場合、べたついても差し支えない場所に塗ると良いでしょう。

クリームの使い方:使用に適した症状

【クリームが適している皮膚の症状】

  • かゆみ
  • 赤み
  • 湿疹
  • 乾燥
  • 皮膚のごわごわ

患部の湿潤がない時は、薬が浸透しやすいクリームを塗るのが適しています。べたつかないので、広範囲に塗り広げたい時にも快適に使えます。

皮膚疾患が長く続き皮膚がごわごわと硬くなっている場合の保湿にも適しています。また水虫の薬には、主薬がよく浸透するよう軟膏ではなくクリームが用いられます。

痛みや化膿のある傷口に塗るのは避けます。水や汗で流れ落ちやすい場所にもあまり適していません。

軟膏とクリームを使い分けるとより効果的

また、炎症が起きてから回復するまで同じ薬を使い続けるよりも、患部の症状の変化に合わせて軟膏とクリームを使い分けるほうがより回復が早くなります。

例えば

・水疱ができてその後にじゅくじゅくした場合にまずは軟膏を使い、かさぶたになって皮膚のかさかさがかゆくなったらクリームに切り替える

・クリームを塗っていたけど刺激を感じているようなので軟膏に切り替えてみる

といった具合です。

どちらを選べばよいのか分からない場合

同じ薬から軟膏とクリームが出ている場合など、軟膏とクリームのどちらを選べばよいか分からない場合もあります。

わかる範囲で患部の状態に合わせ、上記の基準で適している方を選びましょう。しかし最初に述べたように市販薬の場合は両者に大差があるわけではないので、使用感の好みも含めて選んで問題ありません。

「選び方が少し間違ったかな?」と思うような場合でも炎症が大きく悪化することは少ないのですが、迷う場合は薬剤師に相談するのが一番安心です。また患部の炎症が強い場合は必ず皮膚科の治療を受けるようにしてください。

軟膏とクリームに共通する正しい取扱い方

軟膏やクリームのどちらを選ぶにしても、取り扱い方が間違っていれば、薬の効果を発揮させることはできません。外用薬の正しい取扱い方をおさらいしておきましょう。

  • 外用薬を塗る前には手指をよく洗い、清潔な状態で薬を扱う
  • 薬は少し厚めにしっかりと塗る
  • 使用上の注意を守る
  • 薬を塗った後は手指をよく洗い、薬が手指に残らないようにする
  • 薬の油と水が分離していたら有効期限内でも使用を中止し廃棄する

ステロイド入りの外用薬について

市販されている外用薬の中には「よく効くタイプ」「短期間でしっかり治すタイプ」の塗り薬にステロイド配合のものがあります。

かぶれや虫刺されのしつこいかゆみなどの一時的な皮膚症状には、ステロイド入りの外用薬を使うのもかうのもおすすめです。

軟膏やクリームはしっかり塗るのが効果的ですが、ステロイドが入っている場合は使用所の注意を守り、薬の出し過ぎに注意して皮膚には薄くのばすように使いましょう。

ステロイドは抗炎症作用や免疫抑制作用がとても高い成分です。副腎皮質から分泌される糖質コルチコイドと同じもので、皮膚から吸収されると速やかにかゆみや痛み、炎症をしずめます。

ただしステロイドは皮膚から吸収されやすく、たんぱく質や脂質の代謝に影響するので皮膚の再生が遅くなったり、免疫を抑制することで毛穴に細菌が感染しやすくなる副作用が生じやすくなります。

使用し始めてかぶれ、刺激、ニキビが出たらステロイド入りの外用薬の使用を中止し、薬剤師に相談するか皮膚科の治療に切り替えてください。ステロイドの使用を中止すれば副作用はおさまります。

またステロイド入りの外用薬を常用すると、皮膚の再生が遅くなる作用によって皮膚が薄くなったり血管が透けて顔が赤くなる副作用(酒さ様皮膚炎)を起こすことがあるので、長期連用をしてはいけません。

市販されているステロイド入りの外用薬は、病院から処方されるものに比べ、ステロイドの作用がマイルドなので、大きな副作用を起こす心配は少ないのですが、人によっては皮膚の副作用が目立ったり治りにくくなる場合があるので、慎重に扱うようにしましょう。

患部の状態と使用感の好みで使い分け、早くきれいに治そう

軟膏とクリームの主な違いは、薬を構成する基材の違いだということがお分かりいただけたと思います。

  • 軟膏はべたつくけどどの皮膚症状にも使える
  • クリームはじゅくじゅくしている傷以外に使え、使い心地が良い

この特徴を覚えておくと、市販の塗り薬で上手に皮膚のトラブルを解決することができるかと思います。

購入する際に店頭で迷ったら、気軽に薬剤師さんへ相談してくださいね。
キャラクター紹介
ページ上部に戻る