健康生活TOP 睡眠薬と睡眠導入剤の違い!不眠症改善薬の種類と市販薬の話

睡眠薬と睡眠導入剤の違い!不眠症改善薬の種類と市販薬の話

睡眠薬とベッドで横になっている女性

「睡眠」は人間が生命を維持するために大切な生理現象であり、身体を休めるだけでなく傷ついた細胞の修復や成長も行っています。

しかし近年、なかなか眠ることのできない「不眠症」の増加が社会問題となってきているようです。寝つきが悪かったり、直ぐに目を覚ましてしまったりと症状は様々ですが、悪化すると精神疾患の原因にもなります。

そこで睡眠に障害がある場合に使用される薬、睡眠薬が登場します。

これは不眠症の増加と共に使用者数も増加傾向にあるのです。しかし、私たちは本当に睡眠薬を理解しているのでしょうか?

睡眠薬の5つの種類とそれぞれの特徴

睡眠薬とは不安や緊張を取り除き睡眠を助ける薬です。不眠の問題は現代社会だけの問題ではなく、古代の時代から不眠症で悩まされている人はいたようです。

古代エジプトでは不眠に対する治療法として麻薬である「アヘン」を使用しており、古代ギリシャではハーブなどを調合することで睡眠を補助していたそうです。

「眠れない」と言う問題は各時代の人にとって重要であり、様々な対策を考えていたのですね。

そして現在では睡眠薬が不眠症の問題に対応してくれますが、大きく分けて以下の5種類があります。

  • バルビツール酸系
  • ベンゾジアゼピン系
  • 非ベンゾシアゼピン系
  • メラトニン受容体作動薬
  • オレキシン受容体拮抗薬

昔からある強力な睡眠薬「バルビツール酸系」

バルビツール酸系は1964年に発見された歴史の古い睡眠薬です。バルビツール酸系の睡眠薬を服用すると「脳の活動を強力に抑制」することで、睡眠をもたらせます。

バルビツール酸系の特徴としては「即効性の高さ」「効果の強さ」が上げられますが、反対に「依存しやすい」「長期服用で効果が減退」とのデメリットもあります。

つまり、服用することで即座に眠りにつくことができますが、長期的な使用においては徐々に効果が薄れ、服用量が増加して過剰摂取となってしまうことがあります。

「始めは効いていたのに…」「もっと薬を下さい」などと量が少しずつ増えてしまい、依存度が増加してしまうことが問題です。

また、バルビツール酸系は安全面においても問題がある薬で、大量に摂取することで「呼吸困難」により死亡する可能性も否定できません。

現在ではバルビツール酸系は「向精神薬」の指定を受けており、睡眠薬として使用は基本的には行っておらず精神科医の処方も14日分が限度です。

睡眠薬による自殺はバルビツール酸系睡眠薬の使用によるのもですが、現在では不眠症には処方されることはありませんので、他の睡眠薬とは区別した方がよさそうですね。

しかし、その他の睡眠薬がどうしても効かない場合には処方される可能性がありますので、覚えておいたほうがよい薬です。

バルビツール酸系睡眠薬の主な商品名
  • ベゲタミン
  • ラボナ
  • チクロパン
  • バルビタール
  • イソミタール など

睡眠薬の中では一番普及している「ベンゾジアゼピン系」

多くの睡眠薬の中で一番使用されているのが、ベンゾジアゼピン系睡眠薬です。ベンゾジアゼピン系は脳の「GABA受容体」に作用することで、神経伝達物質であるGABAと結合しやすくなります。

GABAは脳神経を抑制させてリラックスさせる作用があることから、GABA受容体が活性化することは脳の活動を抑えて睡眠状態を作り出すのです。

GABA受容体が活性化することで得られる作用を紹介します。

  • 不安を解消する抗不安作用
  • 緊張した筋肉を和らげる筋弛緩作用
  • けいれんを抑える抗けいれん
  • 睡眠作用

このように脳の働きが抑制されることで、筋肉の緊張や不安がなくなり睡眠を得ることができるのです。この薬の特徴は重い副作用がなく、高い効果が期待できることで、大量に服用しても死亡することはまずありません。

注意点としてベンゾジアゼピン系の睡眠薬には「筋弛緩作用」があり、足のふらつきなどが見られるため、服用したらすぐにベッドに入る必要があります。さらに安全な薬ですがアルコールとの併用では作用を強めてしまう可能性があるので覚えておきましょう。

ベンゾジアゼピン系の主な商品名
  • ハルシオン
  • レンドルミン
  • デパス
  • リスミー
  • エバミール
  • ロヒプノール
  • ロラメット
  • エリミン
  • サイレース
  • ユーロジン
  • ネルボン
  • ベンザリン
  • ドラール
  • ソメリン など

ベンゾジアゼピン系に改良を加えた「非ベンゾジアゼピン系」

世界中で使用されているベンゾジアゼピン系の睡眠薬ですが、全く問題がない訳ではありません。特に筋弛緩作用があることから、ふらつきによる転倒による事故が発生することがあったのです。

そこで睡眠作用はそのままで筋弛緩作用を抑えて作られたのが、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬です。

さらに非ベンゾジアゼピン系では睡眠薬使用における様々な問題を軽減しています。例えば「服用翌朝の眠気」「集中力の低下」などですが、これらの症状が発症するリスクを軽減させているのです。

また睡眠薬の使用を中止した場合、一時的に「リバウンド」と言って、寝つきが悪くなる症状が見られますが、この症状を軽減させる改良も行っています。

非ベンゾジアゼピン系は抗不安作用を弱めた薬でもあり、不安が原因の不眠症には効果が薄く睡眠が改善されないこともあります。睡眠効果もベンゾジアゼピン系と比較して弱く、症状の軽い不眠症には効果があっても、重い不眠症には効果が少ない可能性もあります。

副作用を少なくした分、作用も軽くなったと理解して下さい。

非ベンゾジアゼピン系の主な商品名
  • マイスリー
  • アモバン
  • ルネスタ など

自然な眠りに導く「メラトニン受容体作動薬」

自律神経の乱れが不眠症を発症させる原因の一つと前述しましたが、乱れの要因として「体内時計」の存在があります。私たちの身体には体内時計が備わっており、生活のリズムが作られます。

体内時計は「時計遺伝子」とも呼ばれており、交感神経と副交感神経を制御しているのです。夜になると副交感神経が優位に立って、体温が低下して眠くなるのも時計遺伝子に関係があったのです。

人間は夜になると脳で分泌されるメラトニン(ホルモン)が、メラトニン受容体に作用することで眠気を感じます。しかし時計遺伝子が乱れているとメラトニンが分泌されずに、メラトニン受容体は刺激させずに眠気を感じることはないでしょう。

メラトニン受容体作動薬はこれまでのGABA受容体に作用する睡眠薬とは違い、脳のメラトニン受容体を人工的に刺激する薬です。これにより自然な眠気を感じることが可能になり、また体内遺伝子の乱れも改善させてくれるのです。

メラトニン受容体作動薬は新しい薬で臨床データが多くはなく、現状では大きな副作用はありませんが、全てが解明されている訳ではありません。特に長期間の服用についての情報はありませんので、その点には注意が必要かもしれません。

自律神経の乱れが関係している不眠症には効果が高いのですが、あくまで作用は軽く短時間の睡眠作用しかありません。その意味で寝つきを改善させる働きはありますが、睡眠途中で起きてしまう中途覚醒の対策にはならないかもしれません。

しかし、リバウンドなどの副作用も少ないことから、軽度の不眠症ではオススメできる睡眠薬でしょう。

メラトニン受容体作動薬の主な商品名
ロゼレム

覚醒を阻止する「オレキシン受容体拮抗薬」

オレキシン受容体拮抗薬は2014年に発売されたばかりの新しい睡眠薬です。人間は起きている状態(覚醒時)には、オレキシンと呼ばれる神経ペプチドが増加しており、オレキシン受容体を阻害することでオレキシンの作用を弱めて睡眠を促します。

人間が意識を保つ(覚醒)状態を維持するには、オレキシンが必要なのでそれを減少させることで、自然に眠りに導くのです。

睡眠効果は長く中途覚醒などの不眠症にも効果があり、大きな副作用は報告されていません。

皆さんは「ナルコレプシー」と呼ばれる、突然眠ってしまう病気を知っていますか?通称「眠り病」ですが、この病気の原因もオレキシンの減少であり、メラトニン受容体作動薬はこの病気と同じ状況を作り出します。

この病気は突然「コクッ」と眠ってしまう病気で、同じことがオレキシン受容体拮抗薬の服用でも起きる可能性が指摘されています。

薬を服用した時間によっては眠気が翌日まで引きずることも考えられますので、特に服用した翌朝には車の運転などは控えた方がよいでしょう。

オレキシン受容体拮抗薬の主な商品名
ベルソムラ
副作用ばかりが取り上げられがちですが、きちんと効果が証明されているれっきとしたお薬です。

服用の際の注意点だけはきちんと理解し、意識しましょうね。

睡眠薬と睡眠導入薬(睡眠導入剤)、睡眠改善薬って何が違うの?

不眠症が増加することで睡眠薬に対する考え方も改善されてきましたが、その中で市販薬とし睡眠効果を謳う商品も多くなっています。それが

  1. 睡眠改善薬
  2. 睡眠導入薬

と呼ばれる分野です。睡眠薬とはどう違うのでしょうか?

1.ドラッグストアで購入できる「睡眠改善薬」睡眠薬ではない

睡眠薬は危険との認識から、長く処方薬としてのみ購入可能でしたが、現在ではドラッグストアなどの薬局において気軽に購入できる睡眠薬があります。

これは「睡眠改善薬」「睡眠補助薬」と呼ばれる薬で、正式には睡眠薬ではありません。

よく睡眠改善薬を使用して「全然効き目がないっ!」って文句を言う人がいますが、睡眠効果は高くはないようです。睡眠改善薬で有名なエスエス製薬の「ドリエル」ですが、同社のホームページにも以下の記載があります。

リンク:睡眠改善薬ってどんなもの

ドリエルは「睡眠改善薬」です。「睡眠薬」ではありません。

睡眠改善薬とは、医師の処方が必要な「睡眠薬」ではなく全国の薬局・ドラッグストアでご購入いただける「寝つきが悪い」、「眠りが浅い」といった一時的な不眠症状※を緩和する薬です。

「睡眠薬」とは異なり、慢性的な「不眠症状」ではなく、「一時的な不眠症状」に使用するもので、かぜ薬などに使用されてきた有効成分の眠くなる作用を利用したお薬です。

睡眠改善薬は上記した睡眠薬の成分ではなく、市販されている風邪薬などに使用されている「眠くなる成分」を利用し、軽い不眠症状に対して改善を促す薬です。

したがって、作用も弱くいわゆる不眠症には効果が見られないことが多いのです。あくまで睡眠の手助けを行う薬だと理解して下さい。

2.睡眠導入薬と睡眠薬はなんと同じ薬のことを指している

近年、睡眠薬以外に「睡眠導入薬」と呼ばれる薬がありますが、違いはどこにあるのでしょうか?この2つの薬はともに病院処方され、睡眠作用に変わりもありません。

はっきり言いますと睡眠薬と睡眠導入薬に違いはなく、同じ薬のことを指しています。

睡眠薬には大きく分けて2つの作用タイプがあります。

  1. 即効性があり作用は短時間のタイプ
  2. 中途覚醒を防ぎ作用が中、長時間のタイプ

このように睡眠薬の中で特に即効性があり作用が短期である薬を睡眠導入薬と呼んでいるのです。

睡眠薬には製品によって様々な特徴があることから、医師が診断することで最適な薬を処方しているのです。

睡眠薬の中でも「ハルシオン」「マイスリー」「アバモン」…などは即効性が期待でき、作用も3時間程度と睡眠導入薬と考えてよいと思います。

またメラトニン受容体作動薬のロゼレムも睡眠を促す作用に違いはありますが、睡眠導入薬に分類してもよさそうです。

睡眠薬と睡眠導入薬の違いは「即効性」と「効果の持続性」にあったのです。

睡眠導入薬は寝つきをよくする薬で、一晩中の効果はありません。

自分の症状をよく医師に説明して合った睡眠薬を処方して貰いましょう。

市販の睡眠改善薬で不眠症を治そうとする人にありがちな失敗例

睡眠改善薬は求めやすい値段で販売されており処方せんもなしで手軽に購入できるので、常備しておけば眠れない時にも安心…と思われるかもしれません。

ですが、薬を飲んだのに「効果が感じられなかった」「気分が悪くなった」といった結果に至り、ガッカリしてしまうこともあるようです。

睡眠改善薬を飲んだ時の失敗には次のような一例があります。

  • かえって睡眠が浅くなった気がして翌朝スッキリしない
  • 翌日に眠気が残って日中に眠い
  • 翌日にだるさ、吐き気といった不快感が残る
  • 飲んでいくうちに効かなくなってきた
  • 飲んでいくうちに副作用のような症状が強くなってきた

こういった現象は睡眠改善薬の成分と性質を見れば紐解けてくるのです。

睡眠改善薬の成分とその性質

抗ヒスタミン剤
抗ヒスタミン剤を主作用成分にした薬は、ヒスタミンのはたらきを抑えることで眠気をもよおす目的のものです。

抗ヒスタミン剤によって起こる眠気には、睡眠の質が浅くなりやすく翌日まで眠気が残りやすいという性質があります。睡眠改善薬を飲んだのに気持ち良く眠れなかったり、翌日に眠くなるのはそのためです。

吐き気やのどの渇きが起こることもあります。

ブロムワレリル尿素
頭痛薬や風邪薬に配合されるブロムワレリル尿素が主作用成分の薬は、興奮を抑えることで眠りにつきやすくする目的のものです。

吐き気、発疹、ふらつきなどの副作用がみられることがあります。

生薬
鎮静作用のある生薬を配合しており、緊張、イライラ、興奮を抑えて眠りにつきやすくする目的のものです。眠気をさそうというよりも神経の興奮によって眠れない状態をやわらげるといった薬になるでしょう。

作用がおだやかですが、吐き気やかゆみなどの副作用がみられることもあります。

薬の違いをしっかり理解して正しく選ぼう

睡眠改善薬は宿泊先で枕が違って寝付けない、腹の立つことがあって眠れない…など、一時的な不眠の場合にピンポイントで使うことがいいのです。

2~3日の使用で効果がみられない、体質に合わないという場合は使用を続けてはいけません。長期連用すると副作用が強くなったり薬が効きにくくなってしまい危険です。

睡眠改善薬には脳を眠らせる作用はありません。不眠症には脳に深い眠りをもたらす睡眠薬、睡眠導入剤での治療が必要になり、睡眠改善薬を飲んでも効果はありません。

睡眠薬や睡眠導入剤は医師の処方が必要な薬で、睡眠改善薬とは成分や眠気をもよおす仕組みが異なるものです。

一時的な不眠ではなく長期の不眠症に悩んでいる人は、睡眠薬や睡眠改善薬を使うとかえって悪化する可能性があります。

医師に相談して適切な薬を処方してもらうようにしてください。

日本でのイメージは悪い薬?心配せず必要な人は睡眠薬を使用しよう

「私、眠れなくて睡眠薬を飲んでいるの?」と聞いたら、皆さんはどう思いますか?「神経質な人なんだなぁ?」とか「辛そうだなあぁ?」とか思いますが、中には「え~ヤバいんじゃない!」などと考えてしまうかもしれません。

実は日本では睡眠薬の服用はあまりよいイメージはありません。世界的に見てみると睡眠薬は普通の薬であり、常備薬として持っている家庭も多いのです。

また、出張や旅行が原因で生活環境に変化がある場合には、当たり前のように使用しています。しかし日本では「睡眠薬=やばい」「睡眠薬=自殺」などと連想されてしまい、睡眠薬の使用を隠している人も大勢います。

そして睡眠薬を使用する罪悪感から、不眠症を治療せず我慢してしまうケースが多く見られます。

なぜこのように睡眠薬が悪者になったのかははっきりしませんが、その理由の中にはテレビドラマの影響が否定できません。昔も今もドラマで見られる自殺のシーンは睡眠薬の過剰摂取が多く、「睡眠薬=自殺」と連想されるのも無理はないでしょう。

しかし、医師によると現在の睡眠薬では、数十錠を一度に飲んだ程度では死亡することはないようです。自殺するためには数百~数千錠を服用する必要があり、実際には不可能だったのですね。

また、処方される薬の量も限られており、現在では睡眠薬での自殺はできないと言っても過言ではないのです。無理に睡眠薬を大量に飲んでも、「胃の洗浄」など苦しい治療をされるだけで全く意味のないことなのです。

実際に今でも自殺目的で大量の睡眠薬を摂取する人がいるそうですが、病院で苦しい思いをするだけで、その目的を果たすことはできないのが現実だそうです。

睡眠薬は決して「悪い薬」ではなく、その他の薬と同じく私達の健康を守る「良い薬」だと思って下さい。

間違った認識を捨てよう!安心して使用できる睡眠薬

一般的には情報が少ない睡眠薬ですが、その理由は睡眠薬の使用を「悪いこと」として認識している風土がありそうです。

しかし、今回紹介した通り現在普及している睡眠薬の大部分は危険性も少なく、安心して使用できるものばかりです。

不眠症はほかの病気と同じで悪化させてしまうと、治療を行っても早期の改善は難しい病気で、無理をすることで精神疾患を発症させたり自律神経を乱してしまったりする可能性も高いのです。

また、効果の薄い市販の睡眠改善薬を使い続けるのも問題であり、効果がなかったら病院で睡眠薬を処方してもらうことも重要だと思います。

睡眠薬を「普段の睡眠リズムを整えるための薬」だと思って、もっと気軽に使用してみませんか?

不眠症ってどんな病気?不眠症の正体とその種類を考える

「果報は寝て待て」とか「寝る子は育つ」など睡眠に関することわざは多く、また季節によっては「春眠暁を覚えず」「睡眠の秋」のような言葉もあります。

ところで皆さんはよく眠れているでしょうか?

「あーまた眠れない!」「うーイライラする」このような声を上げてバッと布団から起き上がる…これは不眠症を発症している人が毎晩行う恒例儀式です。

この人のケースでは寝入りに問題があるらしく、眠いと感じて布団に入ってもなかなか眠ることができないようで、じっと布団で目を閉じているうちに段々とイラついて爆発してしまったのでしょう。

確かにこれが毎日だったら嫌ですよね。しかし、このような人が少しずつ増加しています。

不眠症の定義とその原因となる5つの要因

不眠症とは「眠れない病気」です。しかし人間は眠らないと死んでしまいますので、正確には「眠りにくい病気」と考えた方がよいかもしれません。

日本では20%程度の人が何らかの形で睡眠に問題があるとの統計があり、なんと5人に1人が不眠症を発症している可能性があるのです。

不眠症の定義について日本睡眠学会では以下のように説明しています。

A.不眠症の定義:

夜間中々入眠出来ず寝つくのに普段より2時間以上かかる入眠障害、一旦寝ついても夜中に目が醒め易く2回以上目が醒める中間覚醒、朝起きたときにぐっすり眠った感じの得られない熟眠障害、朝普段よりも2時間以上早く目が醒めてしまう早朝覚醒

などの訴えのどれかがあること。

そしてこの様な不眠の訴えがしばしば見られ(週2回以上)、かつ少なくとも1ヵ月間は持続すること。不眠のため自らが苦痛を感じるか、社会生活または職業的機能が妨げられること。などの全てを満たすことが必要です。 

なお精神的なストレスや身体的苦痛のため一時的に夜間良く眠れない状態は、生理学的反応としての不眠ではありますが不眠症とは言いません。

これでも解るように不眠症の症状は1つではなく、人によって様々な状況を生み出しているのです。そしてその状況が長期に渡って、苦痛の原因となることが定義の条件となっています。

不眠症の原因には大きく分けて5つの原因があると考えられており、それを「5つのP」と呼びます。なんか変なネーミングで「謎かけ」みたいですが、さっそく5つのPを紹介しましょう。

  • P-1:Physical(身体的な原因)
  • P-2:Philological(生理的な原因)
  • P-3:Psychological(心理学的な原因)
  • P-4:Psychiatrica(精神医学的な原因)
  • P-5:Pharmacological(薬理学的な原因)

P-1:身体的な原因は身体の不調が不眠症の原因

身体的な原因とは「腰痛」「筋肉痛」「痒み」「咳」などが原因による不眠症です。例えば腰痛が酷い人が寝ていると、数時間で腰が痛くて目を覚ましてしまいます。

私もそうなのですが、特に布団が柔らかいと腰が痛くて眠ることが困難になります。また、アレルギーによる痒みや、喘息が原因の咳も睡眠を妨害する理由になります。

また一晩で何回もトイレに起きる人がいますが、特に女性や高齢者には尿意によって睡眠を阻害されることが多いようです。

P-2:環境の変化で眠れない生理的な原因

「枕が変わると眠れない」このような話を耳にしたことがあると思いますが、確かに寝ている環境が変わってしまうと睡眠にも影響が出てしまいます。

旅行でホテルに泊まると眠れなくなったり、入院して眠れなかったりすることは珍しいことではありません。また、海外旅行で時差による体内時計の乱れも不眠症の原因になります。

このように日常生活の環境やリズムが乱れることによって、不眠症を発症してしまうのが生理的な原因です。

P-3:つい考え込んでしまう心理学的な原因

社会を生きていくためには、様々な悩みや疑問と葛藤しなくてはいけません。しかし、それを睡眠にまで持ち込んでしまっては、不眠症の原因になってしまいます。

特に布団に入ってからも頭の中は悩み事で一杯では、心は常に緊張状態であり眠ることなんかできませんよね。

特に日本のようなストレス社会では、心理的な負担が不眠症を発症させるケースが増加しています。

P-4:精神疾患が原因の精神医学的な原因

ストレス状態が続くことは精神的な負担が増加し、最終的に「うつ病」などの精神疾患を発症させる場合があります。このような精神疾患は不眠症の発症原因になります。

「パニック障害」「不安障害」「自律神経失調症」など、精神的な疾患が原因の不眠症を精神医学的な原因と呼びます。

P-5:薬の副作用で眠れなくなる薬理学的な原因

慢性的な持病で薬を服用している人は多いと思います。特に高齢者の中には沢山の種類の薬を併用して飲んでいることも珍しくはありません。

しかし、その中の一つに睡眠を妨害する薬があったらどうでしょう。きっとなかなか眠れない日々を過ごす結果になると思います。

このように服用している薬が原因による不眠症を薬理的な原因と言います。また薬以外にも「アルコール(お酒)」「ニコチン(タバコ)」「カフェイン」など薬物性の高い物質が原因の不眠もここに含まれます。

最近では「エナジードリンク」としてカフェインを過剰に含んだドリンクが発売されており、若い世代に人気があるようです。このようなドリンクを日常的に飲んでいるとカフェインの過剰摂取となり、不眠症の原因にもなります。

薬理的な原因にはこのように普段の生活で身体に取り入れている物質も多く含まれます。

不眠症の原因は様々な理由が考えられます。5つの原因に心当たりがあれば病院で相談しましょう。

P-3、P-4の現代人に多いストレスが原因による不眠症

不眠症の原因を5つのPで説明しましたが、この中には非常に関連性の高い項目が2つあります。それがP-3、P-4で、共に精神的なストレスが要因となっています。

増加している不眠症の多くがストレス原因だった

ストレス社会である日本は至るところにストレスが隠れています。「満員電車」「学校、会社の人間関係」「病気」「恋愛」「疲労」「借金」…これらはストレスの一部ですが、まだまだ沢山のストレスが存在しています。

私達はこのようなストレス社会の中で生き抜く必要があるのですが、急に複数のストレスが重なったり、体調が悪い状態でストレスを浴びたりした場合に、ある症状が発症する可能性が出てきます。

それが自律神経の乱れである「自律神経失調症」です。

無防備な状態でストレスを浴びると自律神経に異常が

自律神経とは無意識化で身体を制御する働きのことで、「交感神経」「副交感神経」をスイッチしながら身体の機能を制御しています。活動期(緊張期)に作用する交感神経は主に昼間優位に働き、身体を緊張させることで活発に活動を推進させます。

また、副交感神経は身体を休めたり、回復したりする時に優位に立つ神経で、主に夜間や睡眠中のリラックスした環境で働きます。

人間の精神はストレスを無防備に浴びると大きなダメージを受けてしまいます。例えば「仲の良い友達から思いがけない悪口を言われた」時はどうですか?

「ズッキン!」「ど、ど~ん」と心に刺さりますよね。このように無防備でストレスを浴びると、なかなか立ち直れない程のダメージを受けてしまうのです。

この例で説明しますと、仲の良い友人と会うのですから、身体は緊張しておらずリラックスモードに突入していることが考えられます。これは自律神経が副交感神経優位にあると想定されます。

この状態で思いもしない悪口を言われるのですから、心はたまったものではありません。しばらくは立ち直れないようになってしまいますね。

しかし、これが相性の悪い上司の呼び出しだとしたらどうですか?「どうせ怒られるだけ」「また小言かよ」と初めから疑っているので、自律神経は緊張して交感神経が優位になるでしょう。

この状態で怒られてもそんなにダメージを受けることはありません。「また怒られちゃった!」で終わることが大半だと思います。

自律神経が乱れてしまう原因は、「無防備な状態でストレスを浴びてしまうこと」「ストレスを浴び続けて常に交感神経が優位にある」などであり、これが自律神経失調症の発症に繋がります。

自律神経失調症と不眠症の関係を探る

自律神経は基本的に昼間が交感神経、夜間は副交感神経が優位にあります。これは仕事など活動期には「心拍数」「呼吸数」を上げ、身体を活発に動かすことができるようにしているのです。

反対に夜間帰宅してからは身体を休めるために、「心拍数」「呼吸」を下げてリラックスした状況を作るのです。

しかし、これが反対に作用したらどうなると思いますか?夜ゆっくり休みたいのに、妙に鼓動は高鳴り呼吸も早くなります。身体がうずうずして何かやらないと収まりがつかなくなるのです。

このような状況が自律神経失調症の始まりで、副交感神経が優位にあるべきにも関わらず、交感神経が優位にあるままになっていることが考えられます。

人間は眠りにつくと体温が低下します。これは副交感神経が優位にある状態で、深い眠りにつくためには重要な体温変化と言えます。しかし、交感神経が優位のままで寝ようとしても、身体の体温は高いままで深い眠りには入れません。

また、心拍数や呼吸も高く「うお~寝ていられねぇ」と飛び起きてしまうこともあるでしょう。

自律神経失調症とは様々な原因により、自律神経の制御が乱れてしまい、交感神経と副交感神経に支障をきたしてしまいます。自律神経失調症の症状を紹介します。

  • 耳鳴りやめまい
  • 顔のほてり
  • 動機や胸の締め付け、圧迫
  • 息切れ
  • 急な発汗
  • 睡眠障害
  • 手足の冷え
  • 疲労が解消しない
  • その他

現代の不眠症の多くが自律神経と関係しており、これからの増加が懸念されています。そしてその対策として「睡眠薬」が使用されているのです。

ストレスが自律神経を乱すのは事実です。

定期的なストレス発散は不眠解消にも重要な意味があるので、できるだけ積極的に行いましょう!

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