健康生活TOP 腰痛 ちょっとしたコツで違う!介護で腰痛になるのを防ぐ筋肉の使い方

ちょっとしたコツで違う!介護で腰痛になるのを防ぐ筋肉の使い方

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介護は毎日のことですし、重労働で腰を痛める人は少なくありません。腰は身体の真ん中にあるので、どんな動作をするにも関係しています。その分、日々の動きをちょっと意識するかしないかで、腰の負担は大きく変わってきます。

忙しさで自分の事は二の次にしてしまいがちですが、長く続けるためにも、身体のメンテナンスは大切です。毎日の身体の動きをちょっとの振り返って、少しでも負担の少ない動きを身に付けましょう!

もちろんこの動き方は、介護していない方も、日常生活でも役立ちますよ。

身体の負担を減らしてかしこく使う!ボディメカニクスを知ろう

ボディメカニクスとは、簡単に言うと、身体を動かす時の仕組みのことです。正しいボディメカニクスは身体の負担をなくす、あるいは最小限にする身体の使い方のことを言います。同時に早く効率的に身体を動かすことにつながります。

ボディメカニクスの基本

基本的な動き方を取り上げます。

  • 重心を低くする
  • 膝を曲げ、腰を落とす
  • 足を肩幅より少し広く開く
  • 腹筋を使い、骨盤を安定させる
  • 運ぶ人、物に出来る限り近づく
  • 身体をねじらず、肩と腰を平行に保つ
  • 大きな筋肉を使う
  • 水平移動をする
  • てこの原理を応用する
  • 運ぶ人、物を小さくまとめる

色々挙げてありますが、ポイントは、重心、てこの原理、大きな筋肉、の3つです。では、一つ一つ考えてみましょう!

まず重心を意識する

重心は身体の真ん中にあります。普通に直立の姿勢だとおへその下あたりにあります。これは体型や姿勢、物を持った時に変化します。

立った人の身体を横から見た場合、重心から垂直に線を引いた重心線が、耳、肩、腰、膝の後ろ、かかとを真っ直ぐ通ると、バランスが取れています。例えば前かがみになると重心線は前になり、仰け反ると後ろになり、バランスが悪くなります。

物を運ぶ時、立っている時、座る時に軸が一列にそろっていることは大切です。

重心を低くする

物体は重心を低く、底面が広いものほど安定します。人体も同様です。なるべく膝を曲げて腰を落として重心を下げ、両足を開くことで安定性が増します。

重心は底面の真ん中に保つことで安定します。両足を前後に開けば前後の安定性が増し、横に開けば左右の安定性が増します。これは次の姿勢に素早く動くことの出来る姿勢でもあります。

例えばバレーボール選手やテニス選手が、ボールが来るのを待ち構えている場面を思い浮かべてください。まさに膝を曲げ、腰を落とし、足を左右に開いています。安定していて、素早く次の動作に移れる姿勢なわけですね。

骨盤を安定させる

悪い姿勢は、前かがみ、仰け反り、頭の突き出し、猫背、膝の伸びすぎです。骨盤が安定していないと悪い姿勢になりやすくなります。

重力が重心線以外のところにかかり、ズレを生じさせないよう、膝を軽く曲げ、腹筋と臀部の筋肉を引き締めることで骨盤の位置を安定させることが大切です。お腹に空気をためて踏ん張りましょう。

出来る限り近づく

運ぶ時は、相手の人または物の重心と、自分の重心を合わせた新しい重心が生じます。それぞれの重心が新しい重心に出来る限り近づくことで負担を少なくします。腕を前に伸ばした状態で物を持たず、腕を曲げて自分に近付けましょう。

身体をねじらない

身体をねじると姿勢が不安定で力を適切に入れにくく、腰を痛める原因になります。肩と腰を平行に保ち、身体をねじらず正面を向きます。

大きい筋肉を使う

使う筋肉は、手指よりも腕、腕よりも太もも、ということです。太さを考えても、全然出る力が違うと分かりますよね。それだけ大きな筋肉を使った方が、身体の負担を少なくすることが出来ます。足の位置を決め、腰を十分に落とし下肢を使います。

以外と男性は腰を痛めがちです。腕の力があるので、身体全体を使うより腕の力に頼ってしまいがちになり、腰を痛める方が多くおられます。是非、直ぐに腰を痛めることはなくても、後々のことを考えて、ボディメカニクスを意識してみてください。

水平移動をする

脚を広げ、脚の間を移動させます。そうすれば、安定した体勢のまま重心を動かすことができます。また、なるべく上下に動かさない動きをする事で負担を減らします。ベッドの上で体を動かす時、ベッドと車椅子の移乗の時など、これを意識します。

てこの原理を応用する

”てこ”はより小さな力で大きな力を引き出すことが出来る、効率良い力の伝え方です。自分の身体全体が”てこ”になったとイメージしてください。支点を決め、そこを中心にして身体全体を動かすイメージです。

例えばベッド脇に膝を押し付け、両膝を、”てこ”の支点に利用します。肘をベッド上にあて、そこを支点にして手前に引き寄せたり、上半身を起こしたりも出来ます。この時も、大きな筋肉を使うことを意識します。

小さくまとめる

出来る限り、動かす体や物をコンパクトにしましょう。そうすることで、相手の重心がまとまります。広がっていると重心を近づけにくくなります。

また、接地面を少なくすることで摩擦が減り、負担の軽減につながります。動かす相手の腕を胸の上で組む、膝を立てる、足を交差させる、等々をすることで、そう出来ます。

では、これらの基本が様々な介護の場面でどう応用できるか考えてみましょう!ここでは介護の細かい技術よりも、ボディメカニクスを意識した動き方に焦点を当てています。

介護で応用しよう!①寝返りをうたせるとき

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寝返りをうたせるのは、持ち上げるわけではないので負担がないように思えますね。でも、意外と腰にくるんです。

向こう側に向けたいとき

まず相手の身体をコンパクトにします。腕を胸の前に組み、手前側の膝を立てます。

相手の膝と手前の肩を押します。この時、足の筋肉を意識し、脚を前後に開き、腕よりも足の筋肉を使って押します。膝は曲げますが、腰は曲げないでください。

手前側に向けたいとき

同じように相手の身体をコンパクトにします。腕を組み、向こう側の膝を立てます。

相手の立てた膝と、向こう側の肩を持ち、手前に引きます。この時、腕の力はほあまり使いません。てこの原理を使います。膝をベッドに押し付け、腕は伸ばしたまま、腰を落とします。

これによって足の筋肉を使います。腰は曲げず、膝を曲げ、うんと腰を落としてみてください。

身体をベッド上で手前に寄せる

シーツ交換をするときや、車椅子に移乗するときに行なう動作です。

相手の身体をコンパクトにします。腕を胸の前に組み、脚をもう片方の足の上に乗せます。

相手の肩の下、お尻の付け根の下に腕を差し込みます。この時、足を前後に開き、体を水平に動かして、太ももの筋肉を使って、腕を差し込みます。腰は曲げません。

てこの原理を使って手前に引き寄せましょう。膝をベッドに押し付け、腰をうんと下げます。腕の筋肉ではなく、足の筋肉を意識します。

腰は自分で下げているつもりでも、十分に落ちていないことが多いです。大げさ?と思う位、腰を下げて丁度良いのです。このとき腰の筋肉は使わない、と考えましょう。仰け反ったりもしません。

②食事介助をする時

食事介助は力仕事ではありませんが、前かがみになりがちで、意外とこれも腰に負担がかかります。

座ってする時

あまり前かがみにならないように意識します。どうしてもしょうがない時は肘を付いたりして、重心を内側にすることを意識しましょう。

立ってするとき

足をそろえるより、軽く前後に開いた方が良いです。かがむ時は腰を曲げるのではなく、膝を軽く曲げるように意識しましょう。

③ベッドから車椅子に移乗する時

相手の立つ力を出来る限り引き出すのはもちろんのことですが、ここでは介護者の動きを考えましょう。

移乗

ベッドの端に座った状態の相手を、出来る限り近い場所に車椅子を斜めに置きます。(片麻痺の場合、健側に置きます)介護者は足を開き、膝を曲げて腰を落とし、ベッドから車椅子へ出来るだけ水平移動をさせましょう。

この時身体をひねらないよう、自分の体全体の向きを変えながら行ないましょう。

高さ

ベッドの高さの調整ができればベッドを車椅子と同じ高さか少し高めにします。なるべく相手の立つ力を使い、不必要に持ち上げないようにします。

※介護者が椅子に座って行なう方法もあります。その場合も身体をひねらないようにしましょう。

④車椅子を押す時

これも腰痛の原因になることが多いんです。

登り坂

腕を伸ばし、足の筋肉を使って押します。なるべく背中を丸めたり、腰を曲げないようにしましょう。

下り坂

急な下り坂は向きを変え、後ろ向きで下るのが安全です。この時は腕を曲げ、車椅子を自分に密着させます。後ろの様子を見ながら、背筋を伸ばして足のスタンスを広くとりながら降ります。

※車椅子を押すのは、背の高い方はどうしても腰が曲がり、腰に負担がかかってしまいがちになります。車椅子介助の時はコルセットなどを着用して予防しましょう。

⑤排泄介助をする時

かがむ動作が多くなるので、意識してボディメカニクスの動きをしましょう。

ベッド上で

ベッドの高さが調整出来るなら、自分の腰よりちょっと下の位置にして腰を付けましょう。

低い場合はちょっと失礼して片膝をベッドに乗せてしまいましょう。前かがみになって重心が自分より前になってしまうことを出来る限り防ぐためです。

トイレで

座らせたり立たせたり、服の着脱などでしゃがんだり立ったりする動きがどうしてもあります。この、ちょっとした動きの時も、足を広げること、膝を曲げて腰を落とすこと、を意識しましょう。

相手を奥に座らせたいとき

トイレに座ったものの、座りが浅い、というときです。相手を持ち上げようとするとどうしても前かがみになり、腰を痛めます。持ち上げるのではなく、まず自分の腰を落とし、相手と同じくらいの高さになります。

相手を左に傾け、左肩を支えながら浮いた右の腿をもって奥に押す、逆に右に傾け、左を押す、という事を深く座れるまで繰り返します。

持ち上げるのではなく、傾けて押す、という事です。もちろん、この時も自分が膝を伸ばしたまま前かがみにならないようにしましょう。

普段の生活でも応用しよう!気が緩んでいる時こそボディメカニクスを意識して

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介護の現場ではなくても、日常生活でもボディメカニクスを意識すると効果がありますよ!気が緩んでいるときこそ、腰を痛めやすいのです。

掃除機をかける時

足を前後に開き、身体はその中を水平移動させます。腕の力で掃除機をかけず、膝の曲げ伸ばしで体重移動をさせる感じです。前かがみになるのではなく、膝を曲げて腰を落としましょう。

物を持ち上げる時

膝を曲げ、腰をしっかり落とし、荷物を抱えます。膝が伸びたままだと腰を痛めます。

腕を曲げて自分に出来る限り近づけ、足の筋肉を使って持ち上げます。仰け反ったり前かがみにならず、真っ直ぐに持ちましょう。

ゴミを捨てる時

ゴミ捨てで意外とぎっくり腰になる時があります。捨てる時も前かがみにならず、足を一歩前に出して膝を曲げる、と意識してみましょう。

食器を洗うとき

前かがみになりがちな場面です。腰をシンクに付けてしまいましょう。シンクが腰の位置より低い場合、痛めやすいと言えます。足を一歩前に出し、膝をシンクに付けましょう。

なるべく姿勢を良くして前かがみにならないよう注意しましょう。腰を曲げてかがまず、膝を曲げて低くなることを意識してください。

ボディメカニクスをマスターすれば筋肉がつき腰が楽になる

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忙しいとついつい、小さな筋肉を使ってちょこちょことした動きをしてしまいがちです。でも、それは腰に負担をかける動きでもあります。すぐには出なくても、積み重ねることで腰のダメージは大きくなってゆきます。

ボディメカニクスを意識した動きは身体全体を使うため、始めは”疲れる”と感じるかもしれません。でもその分、大きな筋肉を使いますが、腰への負担は少ないのです。

だんだん慣れてくるとコツがわかり、また必要な筋肉も付いてきます。腰が楽になってきた、と感じられると思います。

またボディメカニクスは全身の動きなので、筋トレやストレッチをして、ボディメカニクスの動きをしやすくしましょう。

場所的に大きな動きがしにくい場合もあります。そのような場合、動きやすい環境を整えることが出来れば、そうした方法も考えてみましょう。

すでに腰を痛めている方、膝を痛めている方は、注意してください。適切な治療をしましょう。

女性は生理の時などに腰痛になることもあります。そうした時はお腹に力も入れにくいので、無理をしないようにしてください。コルセットなども適宜使いましょう。

毎日のちょっとした動きに注意して、少しでも腰の負担を蓄積しないようにしてください。無理をしないことも大切です。それが長く、楽に介護を続ける秘訣です。介護される側も、介護者が元気でいれば安心していられますものね!

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