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長寿のサーチュイン遺伝子にレスベラトロールは効果なし!?

レスベラトロールと言う、いわゆる健康成分をご存知でしょうか。ブドウに多く含まれることから赤ワインでの含有量が高く、高脂肪食を食べるのに長生きなフランス人の健康を保っていると言われたこともある物質です。

既にサプリにもなって日本や欧米でも販売されています。遺伝子レベルで長寿を支えているとも言われていますね。

でも、残念なことに血中レスベラトロール濃度と死亡リスクには関係がないと言う結果が出てしまいました。

長寿の秘訣!サーチュイン遺伝子の活性化

微生物から人間に至るまで、さまざまな生き物の身体の中にはサーチュイン遺伝子と言うものが存在しています。この遺伝子が活性化されるとサーチュインと言うたんぱく質がたくさん作られるようになります。

サーチュインは、細胞分裂のときに行われる動作を抑制する働きを持っているため、細胞の活動がゆっくりになります。その影響で細胞の寿命が延びると言うことが、微生物や動物実験などいくつかの実験で示されました。

gene to suppress the cell division

つまり、サーチュイン遺伝子が活性化すると、余分な細胞分裂を抑えて細胞自体の寿命を、ひいてはその生物自体の寿命が延びると言うことなんですね。微生物では70%くらいの寿命延長も見られたとか。

もしこれが人間にそのまま当てはまれば、80年の寿命が136年に延びるわけですから、研究に携わる人たちが色めき立つのも当然ですよね。

この現象が人間に対して人為的にコントロールできるようになれば、単に寿命が延びるだけでなく、様々な副次的作用も起こってくるでしょう。

良い影響としては、がんの細胞分裂もゆっくりになりますから、病気の進行が遅くなりますね。その間に治療が行いやすくなるかもしれません。

一方で細胞分裂がゆっくりになると言うことは、傷の治りが遅くなったりお肌のターンオーバーがゆっくりになったりするかも知れません。これはちょっと困った副作用と言えるでしょう。

しかし同じグループが行った別の研究では、非分裂細胞でも同じように寿命の延長が確認されたのです。非分裂細胞とは細胞分裂を終えた細胞で、それ以上分裂する事のない心筋細胞や脳細胞のようなものですね。

線虫と言う原始的な生き物は、身体のほとんどがこの非分裂細胞でできています。にもかかわらず、微生物の分裂性細胞で見られたのと同じようにサーチュイン遺伝子と同じ働きを持つ物の働きによって老化が抑制されました。

つまり、二種類の老化プロセスのどちらもがサーチュイン遺伝子の活性化によって抑制されたと言うことなんですね。

現段階で、高等生物としては哺乳類のネズミの仲間までにおいて、老化防止・寿命延長効果が観察されています。人間では、この寿命延長に働くたんぱく質と同様の働きを持つ酵素が7種類確認されています。

これらが人間に対しても寿命の延長に役立ってくれるものと期待されていますが、現段階ではまだ確証が得られていません。

サーチュイン遺伝子はどうすれば活性化するのか

activation of a gene

結論から言うと、摂取カロリーを抑えると活性化すると言うことが判っています。

これは、もともと第二次大戦前夜のヨーロッパで、戦争などで食糧が不足すると、人間の寿命にどの程度悪影響があるのかと言う研究において行われた動物実験で得られたデータなのです。

その際に、ネズミの仲間を実験動物にカロリー制限を行ったところ、寿命が1.5倍になったと言う、予想に反した結果が得られたことから研究が始まりました。

そこからもっと原始的な生き物に遡って、カロリーを制限する実験と、それによって活性化され寿命を延ばす働きを持つ遺伝子の探索が行われたと言うわけです。その結果見つかったのがサーチュイン遺伝子であったと言うことです。

一方、人間に対してこうした実験を行うのは、危険が伴いますのであまり行われていません。カロリーの制限は行き過ぎると身体を壊しますからね。

そこで次に探し続けられたのが「サーチュイン遺伝子を活性化する物質」なのです。つまり、「カロリーを減らしたのと同じ効果を持つ物質」が探し求められたと言うことですね。

そして見つかったのがレスベラトロールです。レスベラトロールはポリフェノールの一種で、植物が病気などの外敵から身を守るために作っている物質であるフィトアレキシンの一つです。

ブドウの皮やピーナッツの皮、漢方薬として使われるイタドリやその抽出物などに含まれています。このレスベラトロールを投与したマウスはサーチュイン遺伝子が活性化されたと言う動物実験もあります。

また、健康食品やサプリのメーカーなどによると、メタボリックシンドロームの予防改善や脂肪肝の予防改善にも効果があると謳われています。

その他にも、先にお話しした細胞分裂の抑制にもかかわるのですが、がんの発生を予防する効果もあると言われていますよ。

でも、残念ながらある程度の健康的な効果は報告されているものの、寿命が延びると言うところにまでは至っていないのが現実です。

イタリアの自治体で行われた研究は寿命を延ばす効果を否定した

イタリアのトスカーナ州フィレンツェ県のコムーネ・グレーヴェ・イン・キアンティで、高齢者を対象に10年弱の経過観察によるレスベラトロールと寿命の関係が研究されました。

この町で、高齢者を対象に尿の中に排泄されているレスベラトロールの代謝物の濃度と、様々な病気の因子、罹患率、死亡リスクについての研究が行われました。

その結果ですが、全死亡に対してレスベラトロール代謝物の排泄量、つまり、体内のレスベラトロールの度は全く関係していませんでした。

さらに炎症マーカーの値、心血管疾患の罹患率、がんの罹患率などもレスベラトロールの濃度に影響されていると言うことは観察されませんでした。

ですので、体内のレスベラトロールの濃度が高くなっていても、西洋の食事の中では寿命や健康には影響がないとこの研究発表は締めくくられています。

但し、これは飽くまで通常の食事から得られるレスベラトロールの効果を示した観察研究です。ですので、もしかすると医薬品化された濃度や純度、有効成分含有量を持つレスベラトロールなら異なった結果が出るかもしれません。

例えば、哺乳類で寿命が延びたと言う結果が得られたマウスでの実験では、餌の重量の0.04%のレスベラトロールを与えたと言うことです。これは体重100gあたり6mg/日に相当します。

これを体重60kgの人間に当てはめると、1日あたり3.6gのレスベラトロールを摂ったことになります。そこで、赤ワインにはどのくらいレスベラトロールが入っているのかを見てみましょう。

総スチルベン化合物(レスベラトロールなど)の平均含有量は、赤ワインで4.37mg/L、白ワインではわずかに0.68mg/Lでした。

ピロ・ノワール種、メルロー種、およびツヴァイゲルトレーベ種から作られた赤ワインは高いレスベラトロール含有量を有していました。

これに基づいて考えると、人間で寿命が延びるほどレスベラトロールを摂ろうとすると、毎日ドラム缶4本分のワインを飲まなくちゃならなくなります。

ですので、様々な研究成果はありますが、飲食物だけから有効な量を摂るのはちょっと難しそうですね。だから、研究でも影響なしと言う結果が出たのでしょう。

キアンティは日本ではキャンティとも呼ばれていて、有名なイタリアワインの名前にもなっています。D.O.C.G.キアンティ・クラッシコ、美味しいワインですよね。リストランテ、いわゆる「イタ飯屋さん」には必ずあります。

クラッシコじゃない普通のキアンティワインならフルボトル1000円ぐらいからあるので、お値段もお手軽だからピザやパスタのお供に最適です。こちらは気軽なピゼリアやトラットリアにも必ず置いていると言っていいでしょう。

レスベラトロールには副作用が予測されているので注意も必要

そうなってくると、現段階で私たちがレスベラトロールを摂る方法と言えばサプリと言うことになりますね。しかし、それでも3.6gと言うのはかなりの量です。

なんでも大量にぶち込めばいいと言うイメージもあるアメリカ製のサプリですら、せいぜい300mgのカプセルが最大クラスです。これを毎日12カプセルも飲めば多分害が出るでしょう。

実際、日本の国立健康栄養研究所によるデータで、動物実験においてこの量を1か月続けた場合、脂質の代謝や血液の成分に異常が出ると言う中毒最少量の1.3倍余りになります。

ですので、安易にレスベラトロールを大量に摂ったりしないように注意して下さい。

また、レスベラトロールには女性ホルモンのような働きが知られていますので、乳がん、子宮がんや卵巣がんの他、子宮内膜症や子宮筋腫などのように、ホルモンに影響を受ける病気のある人は摂ってはいけません。

さらに血液凝固成分である血小板の働きを妨げますので、手術を受ける予定のある人は、少なくとも2週間前から飲むのをやめる必要があります。

そして、同じ理由から血液を固まりにくくするお薬を使っている人も飲んではいけません。

レスベラトロールにはシトクロムP450と言う酵素グループの働きを邪魔することも知られています。この酵素グループは、様々な医薬品の代謝を行っていますので、レスベラトロールを摂るとお薬の効き方が変わってきます。

ですので、何かのお薬を使う時はお医者さんや薬剤師さんに、必ずレスベラトロールを摂っていることを伝えて下さい。

レスベラトロールサプリを海外から買う時の注意

レスベラトロールは人気のサプリ成分ですので、アメリカから購入することは簡単です。しかしここで非常に重要なことがありますのでレスベラトロールサプリを通販で買う時には見落とさないようにして下さい。

イタドリを原材料に使ったレスベラトロールは、日本では医薬品に当たるため、サプリとして販売することはできません。

個人輸入の形で海外通販で購入する分には問題ありませんが、医薬品などの個人輸入には数量の制限があります。

さまざまな医薬品や医療器具、化粧品などについて規定がありますが、国内では第2類一般医薬品にあたるイタドリ抽出物を使ったレスベラトロールのサプリについては、2か月分のみの輸入が許可されています。

この2か月分と言う表現ですが、60日分と考えて下さい。実はこの規定を超えてしまう製品が多いので要注意なんですよ。

アメリカの有名サプリメーカーのレスベラトロール製品について見てみると、ほとんどのものが1日量を1カプセルと表示しています。

そして、60カプセル入りのパッケージから、多いものでは180カプセル入りのものまでありました。

この中で、個人輸入が許されるのは60カプセル入りの物1パッケージだけです。それを超えた分は税関検査で引っかかり、廃棄同意書にサインを求められることになるでしょう。もちろんお金は返ってきません。

もちろん、中には赤ワインエキスだけで作られたものもあり、これは何百個でも輸入してOKです。しかし、お値段と内容量を見ると躊躇われるかも知れません。

同じメーカーで赤ワインエキスのレスベラトロールと、イタドリ抽出物のものとを比較してみましょう。

赤ワイン レスベラトロール含有量 3mg
カプセル・1パッケージ60カプセル入り 1,556円(1mgあたり8.64円)
イタドリ レスベラトロール含有量 100mg
カプセル・1パッケージ60カプセル入り 2,994円(1mgあたり0.50円)

17倍以上も価格に差があるわけですので、海外ではイタドリが大人気になるわけです。このような事情をよく知った上で、個人輸入を行う時には十分注意して下さい。

なお、イタドリの学名は”polygonum cuspidatum”、英語で”Japanese knotweed”、あるいは学名由来の”cuspidatum”と書かれていることが多いです。

この名前が一部にでも入っていれば規制対象ですよ。

現段階ではまだまだでも将来有望である成分

このように、現段階ではまだまだ寿命を延ばすと言った効果がサプリレベルで期待できるところにまでは届いていないようです。

さらに、メタボや糖尿病、その他の疾患についても充分な研究データはありません。ですので、今のところは残念な結果に終わっています。

しかし、様々な実験から将来に向けて研究開発が進むことは間違いないと思わせてくれる成分であることもまた確かです。

本格的に病気の予防改善や健康寿命の延長に役立つ利用法が見つかったら、今の日本の状況から考えて、きっと健康保険が適用される医薬品として活躍するようになるでしょう。

それに期待して、今は無茶な量を摂って体を壊したりしないよう、じっくり見て行くのが良いんじゃないでしょうか。

現段階では、過食を戒め腹八分目、無理のないカロリー制限でサーチュイン遺伝子に元気に働いてもらう方が現実的であるようです。

仕事を頑張ったから自分へのご褒美…とついつい食べ過ぎないようにしましょうね。

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