健康生活TOP 肝機能 肝機能改善を願うなら深海鮫の肝油より野菜の食物繊維が効果大!

肝機能改善を願うなら深海鮫の肝油より野菜の食物繊維が効果大!

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肝機能向上を謳うサプリは数多くありますが、スクアレンを主成分とする深海鮫の肝油もその一つです。しかし、残念なことにまだ明快な効果は確認されていません。

そして、肝機能を向上させるなら、もっともっと身近なところに良い食べ物があるんですよ。それは野菜と雑穀なのです。

昔から摂られていた栄養、肝油

肝油と言えば、40代以上の人なら学校や幼稚園で配布されていた懐かしい記憶があるんじゃないでしょうか。あれは主にタラの肝油でしたが、製品によっては安価な鮫やエイの肝油も利用されていました。

いずれにせよ肝油の摂取の主な目的はビタミンAの補充でした。昔は栄養事情が悪く、子供の夜盲症が問題になっていたのですが、いわばその時代の名残が、昭和50年くらいまで残っていたのです。

ビタミンAと言っても、ニンジンのβカロテンのようなプロビタミンA(ビタミンA前駆体)ではなく、ビタミンAそのもののレチノールですので手っ取り早い栄養源だったと言うわけです。

スクアレンの効果はない?

鮫の肝油で効果をもっともアピールされているのは、このスクアレンと言う油脂の一種です。サプリメントの宣伝を見ると、スクアレンには

  • 肝機能障害の改善
  • 免疫賦活作用
  • 酸素の補給
  • 臓器活動の活性化
  • 抗癌作用

などの効果が期待されているようですが、国立健康・栄養研究所によると、「ヒトでの有効性・安全性については信頼できるデータは見当たらない。」と言う事でした。

また、毒性については、マウスにおける半数致死量は体重1kgあたり5gだったそうです。

深海に住む魚からもらう肝臓の油

鮫と言う魚には浮き袋がありません。そのため、高速で泳ぐことでヒレによって揚力を発生させ、水中で浮いていられるようになっています。いわば飛行機と同じ原理です。

しかし、それだけでは体力的に厳しいのかもしれません。肝臓に油を貯めることで少しでも比重を軽くして、水中での位置決めに貢献させているのです。で、私たち人間はその油を利用させてもらっていると言うわけです。

映画ジョーズのイメージで人を襲うために海面近くにいる魚と思われがちですが、鮫はむしろ海底で餌を求めることの方が多い魚なんですよ。

鮫は回遊魚としての性格を持つグループと、海底に生きているグループに分かれています。私たちが鮫の格好良い姿と言うイメージで見るのは回遊性の方ですね。

肝油の原料になっている方は格好良い流線型の体形ではなく、平べったい形の鮫が多いようです。

いずれにせよ、強い魚で、深海と言う厳しい環境に生きているなどの事実から、健康に良さそうというイメージが付いたのでしょう。

人間も普通につくっているスクアレン

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このスクアレンと言う油脂は、人間の身体の中でも肝臓などで普通に作られているものなんです。だいたい1日にサプリ1日分量程度のスクアレンは人間の身体でも作られています。

でも、人間の身体にはほとんどスクアレンが存在していません。さてさて、どうしてでしょう?

中間体と言う位置付け

スクアレンは糖質が脂肪酸に生合成されたり、脂質を代謝する過程で存在するアセチルCoAと言う物質から作られます。そして、そのあとコレステロールへと姿を変えるのです。

つまり、糖質や脂質からコレステロールが作られてゆく過程の中間にある物質なのです。だから人間の身体の中にはスクアレンの形ではそれほどたくさんの量が存在していないのです。

実際、サプリとしてスクアレンを摂った場合、それがどのように代謝されるのかの研究は見当たりませんでしたが、おそらくは同じ運命をたどるのではないでしょうか。

なぜ、様々な薬理効果が期待されたかと言うのは想像の域を出ません。しかし、レチノールやビタミンD、またのちほど説明する物質など、鮫の肝油に含まれる他の要素の効果をスクアレンのものとしていたのかもしれませんね。

そして、レチノール(ビタミンA)もビタミンDも、過剰摂取による危険性がある脂溶性ビタミンですので、サプリでの摂取には注意した方が良いと言うのもまた事実です。

肝臓から脂肪を取り去ろう!肝臓でつくられる脂肪の消化液

肝臓障害の入り口は脂肪肝と言っても過言ではないでしょう。肥満やお酒の飲み過ぎで肝臓を傷めてしまう過程には常に脂肪肝が関わっています。

そうなってくると、肝臓から脂肪を取り去ることを考えるのが、肝機能改善への早道と言う事になるんじゃないでしょうか。

肝臓内でコレステロールを原料にしてつくられる胆汁酸

脂肪を消化するために肝臓で作られる消化液が胆汁です。その成分のうち、脂肪を水と混じりやすく乳化させるのが胆汁酸と言う物質なのですが、これは肝臓内でコレステロールを原料として作られます。

この胆汁酸は十二指腸で消化管に流し込まれ、脂肪を乳化させた後、小腸下部で再吸収されて肝臓に戻り、再び胆汁成分となるために再利用されます。

しかし、一部は再吸収されずにそのまま食べ物と一緒に大腸に移動し、さらには便となって排泄されてしまうわけです。

食物繊維は脂肪や胆汁酸を横取りしてしまう!

胆汁酸によって乳化された脂肪は水に混じりやすい状態なので、栄養分として小腸で吸収されます。しかし、そこに水分を含みやすい食物繊維がたくさんあると、それが乳化された脂肪や胆汁酸を持って行ってしまうのです。

と言う事で、食物繊維は食べた脂肪分の吸収を阻害するだけではなく、体内でコレステロールから作られた胆汁酸も持ったまま体外に出て行ってしまいます。

そうすると、本来再吸収して再利用されるはずだった身体の中の胆汁酸が不足しますから、肝臓はLDL-c(悪玉コレステロール)を原料に胆汁酸を補充することになるわけです。

なぜHDL-c(善玉コレステロール)を使わないかと言うと、LDL-cの方がずっとコレステロールの含有量が多いからです。

血中のコレステロール濃度が下がると、当然のごとく脂肪細胞の脂肪分がコレステロールの原料として補充されていきますので、肝臓周りに付いた脂肪が減っていくと言うわけです。

肝臓に優しい食物繊維って?

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さて、こうした話になると、水溶性と不溶性のどちらの食物繊維がより有効なのかと言う話になりがちですが、それは特に意識しなくてもOKです。

と言うのも、コレステロールや胆汁酸を吸収する働きは水溶性食物繊維の方にあるのですが、不溶性食物繊維は大腸の動きを活発にして、コレステロールを横取りした水溶性食物繊維を素早く排泄する役目を持っているからなんです。

食物繊維の賢い摂り方

糖質や脂質、アルコールがお好きで脂肪肝の危険度が高い人は、食物繊維の多い野菜などを好まれないことも珍しくありませんね。でも、ちょっと工夫すれば意外に食物繊維って摂れる物なんですよ。

食物繊維の一日摂取量の目安は

  • 成人男性で25g前後
  • 成人女性で20g前後

が必要であるようですが、実際のところ14g程度しか取れていないと言う統計もあります。

そこで、まずは食物繊維を摂りやすい食材をご紹介します。

  • そば
  • ライ麦パン
  • しらたき
  • さつまいも
  • 切り干し大根
  • かぼちゃ
  • ごぼう
  • たけのこ
  • ブロッコリー
  • モロヘイヤ
  • 糸引き納豆
  • いんげん豆
  • あずき
  • おから
  • しいたけ
  • ひじき

これらは標準的な一食あたりで2~3gの食物繊維が含まれているので積極的に摂ろうと、厚生労働省が推奨しています。

また、全粒粉パスタや雑穀米などを利用しても食物繊維が多いうえに、主食ですから絶対量も増えますよね。キノコごはんなんてのも美味しいかもです。

さらにレジスタントスターチやオリゴ糖、難消化性デキストリンも食物繊維にカウントされますから、そうした機能性食品も利用できるでしょう。

糖尿病予防のトクホで難消化性デキストリンの粉末が販売されていますが、これだと1日量で15gの食物繊維が摂れます。ただ、薬局などで見ると、1gあたり12円とちょっと割高です。

場合によっては通販などで1kgなどの大袋で売っているものをお求めになるのがお得かもしれませんね。

このようにして、コレステロールの吸収を減らすと同時に消費を多くして肝臓を保護するのが、一番確実な食生活の組み立て方だと言えるでしょう。

スクアレン?スクアラン?化粧品に使われる硬化油のお話

ところで、スクアレンと言う成分名に関して、聞いたことがあるような、ちょっと違うようなと言う感覚をお持ちの方もいらっしゃるのでは?

「スクワレン」は、読み方の違いで同じものを指していますが、世の中には「スクアラン」(スクワラン)と言う油脂もあるんですよ。

実はスクアランは、スクアレンを原料に水素添加して硬化させた油脂です。水素添加、どこかで聞いた名前ですね。

そう、マーガリンやファットスプレッド、ショートニングなどを作る時に使われる工業技術のことです。同時にトランス脂肪酸を生み出す副作用を持っている技術でもあります。

実際のところ、スクアレンは脂肪酸部分に不飽和結合を6か所持っている、酸化されやすい油脂なのです。ですから、長期間空気に触れる化粧品などに使うには酸化されやすすぎて良くないのです…。

そこで不飽和結合に水素添加することで飽和させたのがスクアランです。スクアランは6か所の不飽和結合がすべて飽和させられていますので、食用油脂に見られるトランス体の心配はありません。

実は鮫の肝油の違う成分にがん抑制の効果が…!?

スクアレンに関しては今後もあまり期待が持てそうにないのですが、鮫の肝油には違う成分があって、それは今後に期待できるかもしれません。

いえ、すでに補助的な働きとしてではありますが医療現場に取り入れられているようです。

動物に広く存在するアルキルグリセロールと言う化学物質のグループですが、特に鮫の肝臓に最も多く含まれています。

そして、その中でもニシオンデンザメと言う魚の肝油には2-メトキシアルキルグリセロールと言う物質が含まれ、これが強いがん抑制作用を持っている事が判っています。

海外では既にがんの治療に臨床的に用いられている実績もあるようですので、個人レベルの健康食品としては難しいでしょうが、今後は医療機関向けの生物由来の抗がん剤として活躍するかもしれませんね。

何にせよ、肝臓のことを考えて鮫の肝油をサプリとして摂取するのは賢くなさそうです。しっかりと野菜を食べて食物繊維をとっていれば、おのずと肝臓は元気になってくれるでしょう。

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