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植物性より魚!オメガ3はウイルス陽性でも肝がんリスクを下げる

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最近大人気のω(オメガ)3不飽和脂肪酸。必須脂肪酸のαリノレン酸をはじめ、さまざまな健康効果が期待されている栄養素です。

ω3不飽和脂肪酸は植物性油脂の一部や魚に豊富に含まれていることがよく知られています。

今回は有名なαリノレン酸やEPA、DHAに加えてDPA(ドコサペンタエン酸)の4つについて肝がんリスクを下げる効果が研究されました。

まずはω3不飽和脂肪酸自体について知ろう

最初は化学のお勉強になります。ちょっと厄介ですが、一度覚えてしまうと脂肪について判断するのにとっても役に立ちますから、少しだけおつきあい下さい。

まず、よく耳にするω3とかω6とかについてです。脂肪酸は4つ以上30個くらいまでの炭素が一列に並んだ構造をしています。その片方の端にはカルボキシ基という-COOHの構造を持つものがついています。

そして反対側にはメチル基という-CH3の構造のものがついています。このメチル基の炭素を1番目として、3番目と4番目の炭素の間の結合が最初の二重結合になっているものをω3不飽和脂肪酸といいます。

名前で混乱するのは学者さんたちの都合かも

例えば、αリノレン酸は別名all-cis-9,12,15-オクタデカトリエン酸とも言います。何か数字がついてますね。この9,12,15と言うのはカルボキシ基から数えた二重結合の位置なのです。

実は化学者さんたちはカルボキシ基側から、生理学者さんたちはメチル基側からカウントするのです。

私たちが普段目にする脂肪酸の話題は生理学側(栄養素としての見方)なので、ω3というカウントをするんですよ。

マスコミなんかも混乱に一役買っている?

DHAがドコサヘキサエン酸の略称であることはみなさんよくご存じだと思います。これは上のαリノレン酸の別名・オクタデカトリエン酸の方と同じルールに従った名前なんですね。

αリノレン酸と同じルールに従うと、DHAはセルボン酸と言う名前になります。同じくEPAのエイコサペンタエン酸はチムノドン酸と言う別名があります。

こうした別のルールに従った名前が混在しているのはあまり褒められたことじゃないんですが、もうすっかりおなじみになってしまったので、良いことにしておきましょうか。

不飽和結合の数と形は重要な要素なので意識しておこう

とは言え、意識しておいて頂いたほうがいいこともあります。まず不飽和結合の形ですね。αリノレン酸の別名の頭に”all-cis-“とありますが、これは不飽和結合が全部シス型であることを示しています。

一方、エライジン酸というオレイン酸の異性体がありますが、これは別名trans-9-オクタデセン酸という名前になります。つまりω9トランス脂肪酸なんですね。

今ではトランス脂肪酸を避ける傾向はすっかり定着しましたから、いいことだと思いますが、この難しそうな方の別名で表されていると、トランス型かどうかがわかりやすいというメリットがあります。

もう一つは不飽和結合の数です。不飽和脂肪酸は不飽和度が高くなる(不飽和結合の数が増える)ほど酸化されやすくなります。

ですので、不飽和結合の多い脂肪酸を多く含む油ほど早く食べなくてはいけません。もちろん加熱によっても参加は進みますので注意が必要ですね。これを判断するには長くて難しそうな方の名前が役にたつのです。

この名前のルールは「炭素の数+不飽和結合の数+エン酸」と言う規則でできてます。ですから○○エン酸という名前の脂肪酸はすべて不飽和脂肪酸です。

皆さんになじみの深い炭素数18の脂肪酸を見てみましょう。18はギリシャ語でオクタデカ(8=オクタ+10=デカ)と言います。また、不飽和結合が1個の場合、数は示しません。なのでオクタデカ+エン酸でオクタデセン酸となります。

これはオレイン酸を含む一価の不飽和脂肪酸のことですね。2つの場合は「ジ」と言うギリシャ語の数詞を使います。オクタデカジエン酸はリノール酸などの2価の脂肪酸です。

αリノレン酸は上で書いた通りオクタデカトリエン酸です。「トリ」は3です。以降、4が「テトラ」、5が「ペンタ」、6が「ヘキサ」と続きます。もちろんそれ以上もありますが、私たちの生活には関係ないので省略です。

ですので、酸化が早い順に並べるとαリノレン酸>リノール酸>オレイン酸ということになり、さらに飽和脂肪酸のステアリン酸が最も酸化されにくい油ということになります。

DHAやEPAになると5か所、6か所と不飽和結合があるので、すごく酸化されやすい脂肪酸と言えるんですよ。

魚を食べると肝がんに罹りにくくなる!?国立がん研究センターの研究結果

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国立がん研究センターが日本国内において初めて行った「魚を食べる量と脂肪酸」と「肝がんの罹患率」についての研究は、9万人余りを対象に11年間追跡して行われたものです。

その結果、「魚をよく食べる人はC型肝炎ウイルス陽性でも肝がんのリスクが下がる」と言うものだったのです。詳しく見てゆきましょう。

魚はω3不飽和脂肪酸の宝庫

この研究では

  • 「肝がんの発症リスク」に対する「魚を食べる量」
  • ω3不飽和脂肪酸を多く含む魚を食べる量
  • ω3不飽和脂肪酸自体の摂取量

を見ています。

さらに、ω3不飽和脂肪酸についてもALA(αリノレン酸)・EPA(エイコサペンタエン酸)・DPA(ドコサペンタエン酸)・DHA(ドコサヘキサエン酸)の4つについてそれぞれの影響も測られました。

その結果、魚には優れた効果が期待できるという統計データが集まったのです。

統計上は白身魚が足を引っ張った?

この研究では最も摂取量が少なかった人のリスクを1として、対象となる人を5つのグループに分けて見ています。

その結果、「魚を食べた量」「ω3不飽和脂肪酸を摂った量」「αリノレン酸の量」では統計的に意味を持つデータが取れませんでした。

一方、「ω3不飽和脂肪酸が多い魚を食べた量」「EPAの量」「DPAの量」「DHAの量」は摂取量が多くなるほどリスクが下がったのです。

ただし、「魚を一番多く食べた人のリスクの平均」「ω3不飽和脂肪酸が多い魚を一番多く食べた人のリスクの平均」はどちらも0.64と30%以上低いリスクを示しています。

ただ、魚全体ではデータのばらつきの上限が0.01~0.02くらい1を超えていたために、意味のある数値とみなしてもらえなかったのです。

一方ω3が多い魚の方ではばらつきの最高値が0.9内外でしたので、リスク低下が有意(偶然ではなく統計的に意味がある数値)であるとされました。

これを見比べた場合、データのばらつきの原因は白身魚にあるのかなと思えなくもないですよね。

脂肪酸ではαリノレン酸がお荷物だったのかも

脂肪酸ごとのデータで見た場合、αリノレン酸を摂った量が一番少なかったグループ以外についてはリスクが0.84~0.75と、下がってはいるもののあまり大きな差でもない上にデータのばらつきも大きかったため有意ではありませんでした。

一方、他の3つの脂肪酸では最も多く取った人のリスクが0.64~0.56と大きく下がっているだけでなく、データのばらつきの最大値も0.8~0.9とはっきり有意であることが示されました。

しかし、4つの不飽和脂肪酸の合計では、リスク低下とデータのばらつきの関係から有意とはみなせないデータになっていたのです。

C型肝炎ウイルスが陽性でも魚がリスクを下げる

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んに進行しやすいことはよく知られているので、肝炎ウイルス検査を受けましょうという呼びかけがよく行われてますよね。

今回の研究の中では肝炎ウイルスのチェックも行われています。それによると約9万人の内、肝炎ウイルス陽性だった人はおよそ1300人、そのうちC型がおよそ900人でした。

これらの人々に対する魚の効果はどのようなものだったでしょう。

肝炎全体ではデータのばらつきが大きすぎた

肝炎ウイルス陽性の人全体で見た場合、魚やω3不飽和脂肪酸の摂取量との関係はデータのばらつきが大きすぎて、はっきり意味のある数値が出ませんでした。

しかし、全体的なグラフのイメージから言うと、中途半端に多い量を食べると却って肝がんリスクが上がり、多く食べると肝がんリスクが半分くらいになるという風に見えます。

残念ながら、具体的な摂取量はわからないので推測するしかありません。水産庁による平成21年のデータを見ると、日本人1人当たり1日74.2gの魚を食べているとなっています。

消費者の「魚離れ」が依然として進行しています。

魚介類と肉類の国民1人1日当たり摂取量の推移をみると、魚介類が長期的に減少傾向にあるのに対し、肉類はほぼ横ばい傾向にあり、平成18年には初めて肉類の摂取量が魚介類を上回りました。

その後、19年、20年と魚介類と肉類の摂取量が拮抗していましたが、21年には肉類と魚介類の摂取量の差が拡大しています。

消費量についてのグラフなどは、上の引用元をご覧下さい。魚の消費量が減っているというのは、肝がん予防の観点からもよくないですよね。

ということで、あくまで推測ですが、これを中央値と考えれば、多く食べるというのは100gから150gくらいになるでしょう。

多分、サバの片身を焼いて食べるだけで充分この量に達するんじゃないかと思います。

青魚なのでω3不飽和脂肪酸もたっぷりですし、何より安いのがいいですよね。冷凍のものも含めれば一年中同じような値段で売ってますし。

C型肝炎にはEPAとDPAが有効だった

C型肝炎ウイルスの感染者に限って見れば、魚全体とEPA・DPAの摂取量が多い人に効果が見られました。

なぜかω3不飽和脂肪酸の摂取量やDHAの摂取量については有意の差とならず、ここでもαリノレン酸は影響を及ぼしませんでした。

ただ、DHAについては、やはりデータのばらつきの上限が、ほんのわずか1.0を超えていたので有意とされていません。平均のリスクを見れば0.3~0.4の範囲ですので効果はあるんじゃないかと期待したいところですね。

全体として肝炎ウイルスを持っている人のデータのばらつきの大きさが気になるところなんですが、もしかするとすでに肝炎を発症している人には魚の脂肪分が負荷になるのかもしれませんね。

それに対してウイルス陽性だけど発症していない人では脂肪酸が有効に働く可能性があると考えられなくもないです。

なぜ魚の脂肪酸が肝がんを抑制するのか

研究グループはω3不飽和脂肪酸の抗炎症作用に注目しています。特にEPAやDHAについてはこれまでから抗炎症作用があることは知られていましたので、これが肝がんの前段階になる肝炎を抑制したのではないかと推論しています。

また、インスリン抵抗性を改善するということも知られています。単独で糖尿病を治療できるほど大量のω3不飽和脂肪酸を魚から食べることは無理にしても、肝炎の引き金になるインスリン抵抗性を軽減しかのかもしれませんね。

αリノレン酸はDHAやEPAの原料になるが効率は低い

αリノレン酸は、生物の体内でリノール酸から作られますが、その時に必要な不飽和化酵素を人間が持っていないため、必ず食物からとる必要がある必須脂肪酸になっています。

一方、EPA、DPA、DHAなどは、αリノレン酸に炭素伸長酵素と不飽和化酵素が働くことで作り出されますが、この酵素は人間の体内にありますので、厳密には必須脂肪酸ではありません。

しかし、このαリノレン酸からDHA・EPAなどへの代謝は効率が悪いため、DHA・EPAなどは食べ物から直接摂った方が、体内で効率よく働いてくれるのです。

具体的にどの脂肪酸がそのように役に立つのかはわかりませんが、多くの研究はEPA、DHAについて健康に寄与する有効性を示しています。

ですから少なくとも肝がんの予防にはαリノレン酸より、EPA、DPA、DHAを魚から食べるのが最も効果的だということが言えるでしょう。

サバやサケなどは年中入手できますが、秋にはサンマという強力な助っ人が登場します。お値段は安く、生のサンマ100gにはω3不飽和脂肪酸が約4gも含まれるという高効率さです。

つい日本酒のお供にしたくなりますが、肝臓のことを考えるなら、ご飯のお供にしておきましょうね。

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