健康生活TOP 寿命 ストレスで老化する原因はDNAに!テロメアの長さと寿命

ストレスで老化する原因はDNAに!テロメアの長さと寿命

DNA遺伝子

ちょっと懐かしい話になりますが、昔の刑事ドラマの犯行現場シーンでは「おい、指紋は取れたか」とか「毛髪が見つかりました」「犯人の血液型は…」などのセリフが多かったように思います。

しかし、最近のドラマを観ていると「DNAの検出はできたか」「被害者のDNAサンプルと一致しました」など、セリフが変わっています。

いわゆる科学捜査って言うものでしょうが、現在では個人を特定する方法としてこの「DNA検査」が利用されています。

このようにDNAは指紋のように個人を特定できる物質と考えている人もいると思いますが、実は私達の身体や生命に関係している大切なものなのです。

今回はこのDNAが、ストレスで精神障害などを起こしてしまう原因になっているというお話です。

染色体とDNAとはどのようなものなのか?

化学や医学の発達は私達の知らない生命の秘密を解き明かそうとしています。その中で研究が進んでいるのがゲノムの分野と言われています。

最近聞く言葉に「ゲノム解析」と言う言葉は、生物の細胞核に貯蔵してある遺伝子情報を解析することを意味しています。

特に遺伝子情報は病気の予防や治療にとって、重要な情報が含まれているため、様々な研究が続けられています。

ゲノムとは「染色体」と「遺伝子」が合わされた言葉であり、生物を構成する「生命の源」と言っても過言ではありません。

DNAと遺伝子の区別がついていますか?

よく遺伝子のことをDNAとして表現することがありますが、厳密に説明しますと遺伝子とDNAは別のものです。

実はDNAは「記憶媒体」であって、遺伝子は「記録された情報」のことを意味していたのです。DNAとは「デオキシリボ核酸」の略語であり、遺伝子と言う意味ではありません。

しかし、多くの人に「DNAの意味を教えて?」と質問すると、答えとして「遺伝子のことでしょう」と返ってきます。

「遺伝子」とは「遺伝子情報」のことであり、DNAはあくまでそれを刻んでいる媒体のことなのです。飛行機に搭載されているブラックボックスと録音内容に似たような関係ですよね。

そしてこのDNAを格納しているのが染色体なのです。

長いDNAを格納しているのが染色体

人間の身体は多くの細胞からできています。各細胞には細胞核と呼ばれる核が1つ存在しており、その中にDNAが含まれています。しかし、遺伝子情報を記録しているDNAはとても長く(2m程度)そのままでは細胞核に納めることができません。

そこである種のタンパク質と結合することで、規則正しく折りたたんで収納する必要があったのです。この折りたたまれたDNAは「クロマチン」と呼ばれており、30nm(ナノメートル)の大きさにまで小さくなります。

このままでは解析は難しいのですが、細胞分裂の時には変異性質がありその変異したものを「染色体」と呼ぶのです。

染色体はX型の紐のような形状をしており、特定の薬品で観察しやすいように染めることができることから「染色体」と言う名称が付けられたようです。

染色体は2本で1組を形成しており、細胞核の中に複数組含まれています。人間の場合では23組(46本)の染色体が細胞核に含まれています。

難しいので染色体をおさらいしてみよう

「ゲノム」「DNA」「遺伝子」「クロマチン」「染色体」など、ちょっと頭が混乱してきそうになってしまいましたが、ここでおさらいをしてみましょう。

  1. 人間の身体は細胞でできている
  2. 細胞には細胞核と呼ばれる核がある
  3. 核の中には折りたたまれたクロマチンがある
  4. 細胞分裂の時にクロマチンがX型の染色体構造を作る
  5. 染色体はくさり状のDNAが含まれている
  6. 23組46本のDNAに遺伝子情報が書き込まれている
簡単に言っちゃうと「人間の細胞には23組46本のDNAが染色体の形で格納されている」ということです。

染色体を保護しているテロメアは細胞分裂のカウンター

細胞分裂を行うともちろん染色体もコピー(再合成)されます。そこで再合成する時に染色体を保護するために必要なのが「テロメア」です。

テロメアは染色体の末端部分に構成されている複合タンパク質です。Xの形をした染色体の4つの先端についており、細胞分裂時に染色体を再合成するためには重要な働きをします。

実はテロメアは細胞分裂を起こす度に短くなる特性があります。これは人間にはテロメアを活性化させる「テロメラーゼ酵素」が少ないためですが、この理由から細胞分裂の度に短くなってしまいます。

cell division and telomere

このように細胞分裂をきっかけに短くなるテロメアですが、一定の短さになると細胞分裂を止めてしまい「細胞不活性」の状態を作り出してしまうのです。

テロメアは染色体を保護するだけでなく、保護できなくなる位に短くなることで、細胞分裂そのものを止めるカウンターの働きも担っていたのです。

テロメアの残りで寿命が解る可能性が!

テロメアが短くなると細胞は活性化を失い細胞分裂を止めてしまいますが、そうなると起こるのが「細胞老化」です。つまり、細胞が分裂して新しい細胞が生まれないので、老化が起きてしまうと言う訳なのです。

細胞が分裂せずに老化が進むと人間は死んでしまいます。正確には病気を発症して最終的に死亡してしまうでしょう。

この考え方では「人間の寿命はテロメアの長さで決まっており、また現在のテロメアの長さを知ることで残り寿命が解る。」ことを示唆しています。

現在の状況では倫理観の問題から、個人でテロメアを調べて残り寿命を判定するサービスは行われていませんが、ガンなどの病気予防の観点から今後利用する研究などが進められているそうです。

テロメアと精神疾患の関係とは

実は多くの精神疾患とテロメアの長さが関係していると言われています。特に「うつ病」を発症している患者のテロメアは短いことが知られています。

はっきりとした原因は解明されていませんが、アメリカの大学の研究においても「うつ病の人の方が一般人よりも老化スピードが早い」との報告もあります。

うつ病は現在では精神的な病気だけではなく、脳内物質が影響していることが解明されています。もしかしたらその原因の一つに、テロメアによる細胞老化が関係している可能性があるのです。

また、「認知症」とテロメアの長さについての関係性を指摘する研究者もいます。テロメアの長さが短い人ほど認知症を発症しやすいと言うもので、「アルツハイマー型認知症」「レビー小体型認知症」などに当てはまるそうです。

これらの議論は「卵が先か?ニワトリが先か?」との議論と同じで、

「テロメアが短いから精神疾患が発症したのか?」「精神疾患が発症したからテロメアが短くなったにか?」

といった疑問を生んでしまいますが、テロメアが関係しているのは事実ではないでしょうか。

テロメアが短くなる要因を探せ!喫煙・肥満・ストレスの話

人間の寿命が様々であるようにテロメアの長さも個人個人で違います。しかし、一定の要因でテロメアが短くなることが最近の研究で解ってきています。

その意味ではその要因を排除することで、テロメアが短くなるスピードを遅くして老化を予防できることになりますね。

喫煙はテロメアを短くする最大要因か

イギリスの調査ではタバコの喫煙者は、非喫煙者と比較して約7年分のテロメアが短いことが報告されています。タバコが健康に悪いことは常識なので、ここでは説明しませんが染色体にまで影響していたとは驚きです。

この理由には諸説ありますが、「タバコを吸うことで体内に活性酸素が生まれそれが染色体を傷つける」などの理由が上げられています。さらに精神疾患患者には喫煙者が多いと言うことも当てはまるのではないでしょうか?

タバコを吸うことは肺などの気管支に悪影響を与えて、肺ガンなどのリスクが高まります。これはもしかしたらテロメアが短いことで細胞老化が促進されて、細胞がガン化したことが理由なのかも知れません。

肥満とテロメアの長さに関係があった

イギリスの同じ調査で肥満者もそうでない人との間に約8年分のテロメアが短くなっていることが報告されています。太っているだけで8年も寿命が短いとしたら、それは大変なことなのではないでしょうか?

実はテロメアの減少を抑える遺伝子があることが解明されています。それが「サーチュイン遺伝子」でアメリカの研究者が発見しています。

この遺伝子は「長寿遺伝子」とも呼ばれており、テロメアが短くなるのを防いでくれます。しかし、この遺伝子を活性化させるには身体を飢餓状態にすることが必要で、食事を制限する必要があります。

肥満の原因は過食が大部分であることから、肥満者はサーチュイン遺伝子が活性化できない状態なのです。したがってテロメアが短くなる速度も速く、その分短くなっているのです。

慢性的なストレスはテロメアを短くする

精神的な心理状態とテロメアは大きく関係しています。特にストレスはテロメアを短くしてしまう大きな要因であり、それが精神疾患へと移行してしまう原因になっているようです。

なぜ、ストレスがテロメアと関係しているかの解明はできていませんが、ストレスは寿命と関係性があるのは事実だと思います。

特に「夜間勤務」「シフト勤務」「長時間勤務」などは大きなストレスを起こし、テロメアが短くなる要因となります。また「人間関係」などの対人ストレスも同様なので注意が必要です。

何事にも悲観的な人はテロメアが短いとの報告があります。

「思い悩んで寿命が尽きる」なんて聞いたことがあるようなセリフですが、これは本当の話だったのかもしれませんね。

テロメアを短くさせないためにできること

テロメアが様々な精神疾患や寿命と関係性があるのはご理解いただけたと思います。それではテロメアを長持ちさせる(短くさせない)ためにはどうしたら良いのでしょうか?

これはいたって簡単です。それは…「健康的な生活を送る」これだけで良いのです。

  1. タバコを吸わない(禁煙する)
  2. 運動をして肥満防止
  3. 食べ過ぎないでサーチュイン遺伝子を活性化させる
  4. 悲観的にならず楽しく生きる

このように列記してみると全て当たり前のことばかりではありませんか?やっぱり昔から言われている健康法はそのまま正しかったのですね。

テロメアにより不老不死も可能なのか?

テロメアはその長さで細胞分裂の回数を制御していますが、これはまるで「細胞分裂の回数券」「命のチケット」とも言えるのではないでしょうか?

一時期話題になった世界で初めてのクローン羊の「ドリー」ですが、ごく短命で死んだことは有名な話です。この原因の一つがドリーの細胞に含まれる、テロメアが短かったと報告されています。

このように遺伝子のコピーであるクローンではテロメアが短くなる問題があるそうです。近年、医療分野でクローン技術に期待がかかっていますが、そこでも越えるべき問題の一つとしてテロメアの長さがあるのでしょう。

しかし、短くなったテロメアを長くする方法が発見されれば、いつの日か人間は不老不死を手に入れることができるのかも知れません。

また近い将来、テロメアを調べて自分の残り寿命が解る技術が確立されるでしょう。もしそのような時代がきたら、貴方は知りたいと思いますか?自分の残り時間を?そしてほしいですか不老不死を?

わたしはちょっと…考えますね。

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