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腎臓病患者の食事療法で塩分やタンパク質の制限が必要な理由

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慢性腎臓病の治療に必要なのは薬を飲むことだけではありません。食事に気をつけることや生活習慣を改善することも大切な治療になります。

食事療法としては特に塩分をタンパク質を減らすように言われますが、腎臓病の方はなぜこれらを減らしたほうがよいのでしょうか。これらを減らすことで腎臓に対してどのように影響するのでしょう。

塩分制限が必要な理由は腎臓と高血圧の関係にあった!

日々の生活の中で、血圧は時間帯や精神状態などによってとても変動しやすくなります。それをいつも、だいたい一定の値に安定させておく役割を持つ器官のひとつが腎臓です。腎臓には血圧を調節するという働きがあるのです。

腎臓病になって腎臓が十分に働けなくなると、高血圧になってしまいます。また高血圧が腎臓に負担をかけて、腎臓の働きを悪くさせてしまうこともあります。

このように腎臓と高血圧には密接な関わりがあり、腎臓病を進行させてしまわないためには血圧を上げないようにすることが重要です。

よく言われることですが、塩分を摂り過ぎると血圧は上がってしまいます。そのため腎臓病の方は塩分摂取量を控えるようにしておくことが必要です。

ではなぜ塩分を摂り過ぎると血圧が上がってしまうのでしょうか。それは塩分のナトリウムが問題になります。血液中のナトリウム量は、いつでもある程度一定に保たれています。多すぎては良くありませんし、少なすぎてもダメです。

血液中にナトリウムが増えると、体内の水分は血液中に入り込んで濃度を薄めようとします。血液の水分量が増えると血液の量が増えることになります。血液が巡る血管は変わらないのに血液量が増えてしまうと、血圧は上がってしまいます。

このため腎臓病の方は高血圧にならないようにするためにも、塩分摂取量を制限することが大切なのです。

タンパク質制限は腎臓の負担を減らすのにとっても重要!

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食事をすると、その栄養素は消化吸収されて血液中に入ります。そして血液の流れにのって全身のあらゆる細胞に届けられます。そこでエネルギーとして働くのですが、その結果老廃物が生まれ血液中に排出されます。

その老廃物を含んだ血液をろ過して、きれいな状態に戻してくれるのが腎臓です。老廃物など体にとって不要となったものは、尿として排泄されていきます。

食事で得られる栄養素とは「タンパク質」「炭水化物」「脂肪」です。このうち炭水化物と脂肪は体内でエネルギー源として使われると、後に残るものは二酸化炭素と水だけになります。それらは息、尿、汗として出て行きます。

それに比べてタンパク質の場合には、エネルギーが使われた後に尿酸や尿素窒素などの「窒素化合物」と呼ばれるものが残ります。窒素化合物は有害物質のため排出されるのですが、そのためには腎臓がろ過をしなくてはならず負担となります。

タンパク質の量が増えれば増えるほど、腎臓もろ過の仕事が増え負担は大きくなってきます。腎臓の機能が低下してろ過が十分に行えなくなると窒素化合物は排出できなくなり、「尿毒症」になってしまいます。

尿毒症は血液中にたまった老廃物の毒素が全身に回ってダメージを与えてしまう状態です。強いかゆみが出たり、下痢や吐き気、麻痺やけいれん、ひどくなると意識がもうろうとして昏睡になってしまうこともあります。

腎臓病が進行してしまう前にタンパク質の摂取量を制限しておけば、腎臓の負担を軽くして進行を抑えることができるのです。

でもタンパク質の制限しすぎはダメ!アミノ酸スコアで適切な量を意識して

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ただし、ただタンパク質を減らせばよいわけでもありません。タンパク質は筋肉や血液など体を作るために必要な栄養素です。体を作るための栄養素が不足してしまっては、体にもっと負担をかけることになってしまいます。

またタンパク質を制限したことで全体の摂取エネルギーが減り過ぎてしまうことも問題です。エネルギーが不足してしまうと、体は筋肉などを分解してエネルギーにしようとします。

それでは筋肉が痩せていってしまいますし、分解の際には血液中に老廃物が大量に増えてしまいます。その老廃物が腎臓の負担にもなります。

そのためタンパク質はただ減らすのではなく、制限量を守って不足させないようにすることも大切なのです。それには良質なタンパク質を適量摂るようにしましょう。

良質なタンパク質とは?

タンパク質は数種類のアミノ酸が結合してできています。そのアミノ酸の中には、体内で合成することのできない必須アミノ酸があります。この必須アミノ酸をバランスよく含んだ食品が、良質なタンパク質の食品です。

良質なタンパク質の食品の目安となるのが「アミノ酸スコア」です。これは食品中に必須アミノ酸がどのくらいの割合で含まれているかを表した数値です。100に近いほど良質な食品と言えます。

例えば

  • 牛乳
  • 牛肉
  • 豚肉
  • 鶏肉
  • アジ
  • イワシ
  • カツオ

などが100です。大豆は86、白米では65になります。

動物性タンパク質のほうがアミノ酸スコアは高くなりますが、偏らない食事をするために大豆製品などの植物性タンパク質も摂るようにして下さい。

タンパク質を制限するとエネルギー摂取量も減ってしまうため、油脂や砂糖をうまく使ってエネルギー補給もするようにしてください。

カリウム制限が必要なことも…茹でたり水にさらしたりして減らそう

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カリウムは通常、尿として排泄されています。その排泄には腎臓が関わっていて、そのため腎臓の機能が低下してくるとカリウムがうまく排泄されなくなります。

カリウムが排泄されずに血液中のカリウム濃度が高くなり過ぎてしまう(高カリウム血症)と、手足のしびれが出たり不整脈が起きたりします。このような時にはカリウムの摂取量が制限されることもあります。

カリウムはほとんどの食品に含まれているミネラルです。水溶性のため茹でたり、細かく切って水にさらしたりすることで減らすことができます。茹でたときの茹で汁は捨てるようにしてください。

中にはカボチャ、トウモロコシなどのように茹でてもあまりカリウムが減らない野菜もあります。果物では、そのまま食べるより缶詰のほうが減らせます。缶詰のシロップは飲まないようにしてください。

腎機能が低下することで血液中のリン濃度が高くなってしまうこともあります(高リン血症)。このような場合にはリンの摂取制限が必要になってきます。

また高リン血症や腎機能低下との関係でカルシウム不足になってしまうこともあります。そのような時にはカルシウム製剤で補う場合もあります。

制限の内容は人それぞれ!主治医と相談してしっかり把握しておこう

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腎臓病の患者さんにとって食事療法はとても大切です。ただその内容については、腎臓病の進行度合いなどによって違ってきます。制限の内容は一人一人違うのです。

自分がどのくらいの摂取制限をしたほうがよいのかについては、必ず主治医の指示に従って下さい。そして大変かもしれませんが、進行を抑えるためにもきちんと指示を守るようにしましょう。

食事療法を早めに始めたほうが、その内容は軽くすみます。腎臓病の症状がそれほど進んでいないうちならば、食事の制限も軽くてすむのです。進行してしまうと、少しずつ制限の内容は厳しくなってしまいます。

ただしとにかく減らしておけばよいというわけでもありませんから、医師の指導のもとに、必要な分だけ減らしていくようにしましょう。

腎臓病と診断された方は早い時期から医師に相談し、食事療法を行っていくようにしてください。そうすることで進行を少しでも食い止めることができます。

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