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難病指定の悪性関節リウマチとは?関節リウマチとの違いと治療法

痛い症状が出る病気にはいろいろありますが、「膠原病(こうげんびょう)」はとにかく身体中のあちこちに強弱さまざまな痛みを伴う疾患です。

膠原病の最も代表的な「痛い疾患」の1つに、「悪性関節リウマチ」があります。

おそらくみなさんは、「関節リウマチ(あるいは単にリウマチ)」ということばは耳にしたことがあると思いますが、そのためか、悪性関節リウマチと(非悪性、もしくは良性)関節リウマチとを混同されるケースも少なくありません。

実はこの両者、まったくの「別もの」と考える必要があります。

よく「関節リウマチが進行・悪化したものが悪性関節リウマチである」という解釈がなされることがありますが、これが大きな誤解になっているのです。

今回は悪性関節リウマチについて、可能な限りお話していきたいと思います。

リウマチ性疾患とは?悪性関節リウマチと関節リウマチの違い

「悪性関節リウマチ」は膠原病の一種です。

膠原病とは、自己免疫疾患(自身の体内の特殊な抗体が自身の正常な細胞や組織を攻撃し、破壊する免疫反応)の一種・一部疾患の総称です。

悪性関節リウマチが膠原病の一種であり、関節リウマチとはまったく別の疾患であるということは、関節リウマチは膠原病に属さないのか?ということになると、これもまた違います。関節リウマチは、悪性関節リウマチ同様、膠原病に属する疾患なのです。

なぜならば、関節リウマチも悪性関節リウマチと同じく自己免疫疾患だから・・・少々ややこしい話になってきたかもしれませんね。

それぞれの症状などは後回しにすることにして、まずはこのあたりをちゃんと分類するところからはじめましょう。

「悪性関節リウマチ」と「関節リウマチ」を分類する

それでは、膠原病の代表的疾患である2つのリウマチ性疾患、悪性関節リウマチと関節リウマチについて、以下の表に分類します。該当するものに○、該当しないものに×をつけますので、比較してみてください。

病名 自己免疫疾患 膠原病 血管炎 特定疾患(難病指定) 医療費助成
悪性関節リウマチ
関節リウマチ × × ×

いかがでしょうか?要は、血管炎(血管の炎症)があって特定疾患に指定され、医療費助成があるの悪性関節リウマチで、そうでないのが関節リウマチであると分類されることになります。

本来病気は、その症状や治療法が重要なのですが、医療費助成という公金導入の有無がかかわると、このように厳密な分類が必要になります。

もちろん難治性か否かなどの差もありますが、お役所の都合で複雑化しているという側面も多少はあります。

それではここからは、悪性関節リウマチの症状や特徴、治療方法などについて見ていくことにしましょう。

指定難病46:悪性関節リウマチ(リウマトイド血管炎)の症状や治療法

悪性関節リウマチはあくまでもリウマチ性疾患なので、症状のベースとなるのはリウマチです。

ただ、血管に炎症が起こる「血管炎」を伴うのが悪性関節リウマチの最大の特徴であるといえます。

悪性関節リウマチであらわれた炎症をともなう血管炎の症例写真
(出典…炎症を伴う紫斑(血管炎)-公益財団法人日本皮膚科学会)

上の写真は血管炎による病変です。足首のあたりに小さな潰瘍も見られます。

このように、悪性関節リウマチは紫斑・紅斑や潰瘍など、関節以外にも病変が及びます。しかし非悪性の関節リウマチでは、関節以外に炎症性病変が起こることはありません。

悪性関節リウマチの定義と血管炎病変について

なぜ血管炎というファクターが加わるだけで難病か否かが分かれるのかというと、ほとんどの場合、血管炎は全身性疾患であり、関節だけを破壊するにとどまらない可能性が極めて高いからです。

血管炎による破壊は、全身の細胞や組織、臓器などの破壊、壊死といった重篤な症状を及ぼすリスクが高いと考えられます。非悪性の関節リウマチでは、上記のような「全身性」の形で症状が重篤化することはありません。

ただ、関節リウマチも全身の関節に破壊が現れる可能性があるため、「全身性疾患」であると定義されることにはなります(詳細は後述します)。

したがって、悪性関節リウマチは次のように定義されます。

悪性関節リウマチ(リウマトイド血管炎)
既存の関節リウマチに、血管炎をはじめとする関節外症状を認め、難治性もしくは重篤な臨床病態を伴う場合、「悪性関節リウマチ」と定義されます。

ただし、内臓障害がなく、関節リウマチの関節病変が進行して関節の機能が高度に低下して身体障害がもたらせる場合には悪性関節リウマチとは言いません。

(出典…悪性関節リウマチ(リウマトイド血管炎)とは-難病情報センター)

ちなみに、何度か登場している「リウマトイド血管炎」という用語は、悪性関節リウマチを外国で呼ぶ場合の呼び方”rheumatoidvasculitis”の日本語訳です。

悪性関節リウマチに見られる傾向は?

膠原病全般に言えることですが、悪性関節リウマチは女性の発症率が高く、男性の2倍ほどにのぼります(関節リウマチはもっと女性のほうが多いです)。

発症年齢は、関節リウマチよりもいく分高く、60歳代がピークになります。

非悪性の関節リウマチ同様原因は不明ですが、悪性の関節リウマチを発病した患者さんのご家族内にリウマチ性疾患を発病する確率は12%と高く、現在のところ遺伝との具体的なかかわりはわかっていないものの、まったく無視することはできません。

ちなみに、これは家族内に悪性の関節リウマチの患者さんがいない家族の誰かがリウマチ性疾患を発病するリスクの約3.6倍にのぼると説明されます。白血球のHLA-DR4と呼ばれる抗体が、関節リウマチ遺伝因子の1つであると考えられています。

悪性関節リウマチによる死亡率は14%とかなり高く、膠原病の中でも非常に恐ろしい病気であるといわなければなりません。特に、後述する間質性肺炎をはじめとする呼吸器の疾患が重篤化しやすく、これが致命傷になってしまうことが多いです。

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悪性関節リウマチに見られる症状は?

全身の部位、期間に重篤な炎症性疾患を伴うとても重い症状が見られます。非常に多様な症状なので、典型的なものを以下に列挙します。

悪性関節リウマチの典型的症状

  • 関節リウマチによる多発関節炎(一般的に見られる関節リウマチの症状)
  • 38℃以上の高熱
  • 体重減少とともに現れる皮下結節(ひかけっせつ・皮膚の下にできるしこり)
  • 炎症性紫斑(上の画像のような炎症を伴う皮膚病変)
  • 筋肉痛
  • 筋力低下
  • 間質性肺炎(自己免疫反応による肺組織の破壊・壊死による非細菌性の重篤な肺炎)
  • 胸膜炎
  • 多発単神経炎(神経障害の一種)
  • 消化管出血
  • 上強膜炎(じょうきょうまくえん・目の疾患)(以上は急性的全身性症状)
  • 皮膚の潰瘍や壊疽(えそ・皮膚組織の壊死)(以上が部分的症状)など

悪性関節リウマチの治療法は?

膠原病は多様な疾患群です。中には通院で症状をコントロールする疾患もありますし、入院が不可欠な疾患もあります。

非悪性の関節リウマチは、手術などがなければ通院治療が主ですが、悪性関節リウマチに関しては、ほぼ入院加療が必要です(寛解まで)。

治療の方針は、基本的には抗リウマチ薬(副腎皮質ステロイドのプレドニンやプレドニゾロンやメトトレキサートなどの抗リウマチ薬)の投与です。つまり、関節の破壊を食い止めるための治療が最優先されます。

状態によっては血漿(けっしょう・血液の成分)中にある原因物質を除去するための「血漿交換法」と呼ばれる特殊な治療方法も導入されます。

ただ、これらの治療法はあくまでも一般的な方法にしかすぎません。

というのも、上の症状のところでも触れたように、悪性関節リウマチは血管炎による全身性の急性症状を発症する可能性が高く、やはり患者さんの病状によって適切な治療が最優先されるケースが多いからです。

特に、呼吸器の疾患の重篤化は非常に危険であり、場合によっては呼吸器内科との連携も密接でなければならない患者さんも大勢います。

悪性関節リウマチは粘り強く治療することが大事

以上のように、膠原病の中でも発病者が飛びぬけて多いリウマチ性疾患のうち、難病の悪性関節リウマチについてお話してきました。かなり重篤な疾患であることがご理解いただけたかと思います。

悪性関節リウマチの場合は、強い気持ちを持って、とにかく粘り強く治療することが大切です。また、医療費助成などの医療制度も有効に活用していただきたいと思います。詳細は病院や役所などでご相談ください。

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