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日本脳炎の予防接種は受けた?20歳までのワクチン定期接種

children vaccinated

平成7年~18年度生まれのお子さんをお持ちの保護者の方に確認していただきたいことがあります。お子さんの予防接種は全てお済みでしょうか?

子どもの予防接種はたくさんあるので管理が大変かと思いますが、平成7年~18年度生まれのお子さんは日本脳炎の予防接種が完了していない可能性があるので、改めて確認していただきたいのです。

この期間に生まれた子どもだけ日本脳炎の予防接種が完了していない事情、ややこしい日本脳炎の摂取スケジュールについて解説していきます。

日本脳炎は計4回受ける必要がある定期接種

国は、感染する可能性が高く発症すると危険ないくつかの病気に対し、子どもに予防接種を受けさせることを定めています。これを「定期接種」といい、費用は国の負担(つまり無料)として各自治体で接種を実施しています。

2016年時点では、DPT・ポリオ・BCG・MR・日本脳炎が定期接種に指定されています。自治体から予防接種のお知らせが郵送で届くので、だいたいスケジュー通りに接種をこなしていくと13歳までには全ての予防接種が完了することになりますね。

日本では北海道を除き、1994年から日本脳炎の定期接種が実施されるようになりました。接種は全部で「1期接種で3回+2期接種で1回」と計4回受ける必要があります。

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vaccination schedule of Japanese encephalitis

日本脳炎の予防接種のスケジュール

1期接種
生後6ヶ月~90ヶ月の間に6~28日の間隔をおいて「初回免疫」を2回受けます。さらに2回目の接種から1年以上経過後に「追加接種」を1回受けます。

標準的なスケジュールは、初回免疫が3~4歳の間、追加免疫が4~5歳の間です。

2期接種
9~13歳の間に接種を1回受けます。標準的なスケジュールは9~10歳の間です。

1期・2期の予防接種を完了させることで、日本脳炎に対する免疫がしっかりつきます。

平成17年~平成21年だけ定期接種が行なわれなかった

ところが、平成17年~平成21年度の間だけ、日本脳炎の定期接種が行なわれていませんでした。この期間に日本脳炎の定期接種を受ける予定だった平成7年~平成18年度生まれの子どもは、接種を受けそびれている可能性が出ているのです。

理由は、日本脳炎ワクチン接種後にADEM(急性散在性脳脊髄炎)を引き起こす例が報告され、当時使われていたマウス脳由来ワクチンに重篤な副作用を起こすリスクがあると判断されたためです。

平成17年5月には、国から各自治体に「日本脳炎ワクチン接種の積極的勧奨の差し控え」が通達され、定期接種を行なわい方針に切り替わりました。

平成21年には副作用のリスクが低いvero細胞ワクチンが承認され、近年の地球温暖化で日本脳炎の感染リスクが懸念されることから、平成22年から再び日本脳炎の予防接種が積極的に勧奨されることになったのです。

ADEMはワクチンのアレルギー反応で起こる脳脊髄炎です。日本脳炎以外の定期接種でも発症し、確率は5万人に1人とそれほど高くはありません。

しかし重篤な脳神経症状を伴い死亡することもあるため、日本脳炎ワクチンは危険と判断されたわけですね。

保護者を戸惑わせた平成17年~平成22年

その結果、平成17年5月20日~平成22年3月31日までの間、これから日本脳炎の予防接種を受けるはずが中止になった子ども、途中まで予防接種が済んでいる状態の子どもが出ることになりました。

ちなみにこの期間中には、厚生労働省から「定期の予防接種における日本脳炎ワクチン接種の取扱いについて」といった勧告が通知され、希望すれば予防接種を受けることは可能になっていました。

ただし「日本脳炎に感染するおそれの高い者は、各自がワクチン接種による副作用のリスクをふまえた上で判断し、同意書に署名した上で接種を受けることが可能」という条件つきだったのです。

当時、子ども供を持つ親御さん達は日本脳炎にかかる確率とワクチン接種による重篤な副作用が起こる確率を両てんびんにかけ、どうするべきか悩みました。

私の家族も平成13年生まれで1期接種の途中で接種が差し控えになり、かかりつけの小児科から説明を受けたのですが、かなり戸惑いました。

「ワクチンには副作用のリスクもありますけど日本脳炎にかかる可能性がゼロともいえませんので、受けられる時は自己判断で…」と、先生も明言しづらい印象だったことをよく覚えています。

平成22年以降は日本脳炎の定期接種が復活

新ワクチンが承認されたことで、平成22年4月からは新ワクチンによる1期の予防接種、8月からは2期の予防接種が、日本脳炎の定期接種として再び勧奨されるようになりました。

さらに、平成7年度~平成19年度生まれ(平成7年4月2日~平成19年4月1日生まれ)の人で予防接種を受けそびれてしまった人も「特例対象者」として、20歳未満のうちならいつでも定期接種として接種が受けられるようになりました。

平成7年度~平成18年度生まれの人は現在、小学生~20代にあたる世代かと思います。20歳を過ぎてしまった人は対象ではないのですが、20歳未満なら定期接種として費用が国の負担、つまり無料で受けられるので、忘れずに4回の接種を済ませましょう。

実際には、平成22年後も日本脳炎の定期接種の案内が行き届いていなかったり、前回の予防接種からかなり年月が経って保護者の意識が薄くなっていたりする事情から、接種を受けそびれた子どもが多く出ています。

定期接種が復活したとはいえ、保護者も気持ちは複雑です。「新ワクチンの安全性は信じていいの?」「途中まで受けたのだから、ある程度の免疫ができているのでは?」「最初から受け直しなのか?」「案内は来るの?」と新たな迷いが生じるからです。

このように日本脳炎の予防接種はややこしくなっているので、次に平成7年~18年度生まれの子どもが受ける日本脳炎の予防接種スケジュールについてまとめました。

年齢別に見る!日本脳炎の予防接種はこのように受ける

まずはお子さんの母子手帳を見て、日本脳炎の予防接種がどこまで済んでいるのか確認してください。

次に、お子さんの年齢では接種をどのように受けることになっているのか確認していただき、受けていない接種があれば母子健康手帳を持参の上、お住まいの地域の医療機関で接種を受けることをおすすめします

日本脳炎の予防接種の標準的な接種スケジュール

次の表では、厚生労働省が勧奨している日本脳炎の予防接種の、標準的な接種スケジュールを生まれた年ごとにまとめています。(平成26年度4月1日時点の状況)

日本脳炎の予防接種の標準的な接種スケジュール

生まれた年 不足している接種 I期接種の受け方 Ⅱ期接種の受け方
平成19年度以降 なし 通常通りに接種を受ける。 通常通りに接種を受ける。
平成17~18年度 1期の追加接種を受けていない人がいる。 各市町村から届く追加接種の案内に沿って接種を受ける。 1期接種が済んでいる人は9歳以降、20歳未満までに2期接種を受けることが可能。
平成13~16年度 1期の接種回数が不足、または2期接種を受けていない。 1期接種が済んでいない人は各市町村で接種が可能。 1期接種が済んでいる人は9歳以降、20歳未満までに2期接種を受けることが可能。
平成9年度~平成12年度 2期接種を受けていない人がいる。 1期接種が済んでいない人は各市町村で接種が可能。 1期接種が済んでいる人は9歳以降、20歳未満までに2期接種を受けることが可能。
平成8年度 2期接種を受けていない人がいる。 1期接種が済んでいない人は各市町村で接種が可能。 各市町村から届く2期接種の案内に沿って接種を受ける。
平成7年度 2期接種を受けていない人がいる 1期接種が済んでいない人は各市町村で接種が可能。 希望者は各市町村で2期接種を受けることが可能。
平成6年度以前 なし 不要 不要

(厚生労働省 日本脳炎「生まれた年ごとの、具体的な影響と対応」より参照)

※各自治体から届く案内に沿って定期予防接種を受けてきている場合のスケジュールです。

自治体によって対応が異なっていたり、年度ごとに国の対応が変化する可能性がありますので、接種を検討される場合はお住まいの地域の市町村で情報を確認されることもおすすめします。

次に年齢ごとの予防接種のスケジュールについて説明します。

平成6年度以前、平成19年度以降に生まれた人

各自治体から届く案内に沿って日本脳炎の定期接種を受けていれば、接種を受けそびれることなく完了させることができます。

平成17~18年度生れの人

各市町村からも1期追加接種の案内が届く予定になっているので、1期の接種が完了していない人は案内に沿って、医療機関で接種を受けてください。

2期の接種の案内については未定ですが、1期の接種が完了している人なら9歳以降に2期の接種が受けられるので、医療機関に問い合わせて接種を受けてください。

平成13年~平成16年度生まれの人

すでに1期接種の案内が届いているはずですが、1期の接種を受けそびれている人がいます。1期の接種が完了していない人は、医療機関に問い合わせて接種を受けてください。

2期の接種の案内については未定なので、2期の接種が済んでいない人は医療機関に問い合わせ、早めに接種を済ませるようにしてください。

平成9年~平成12年度生まれの人

2期の接種の案内については未定です。1期または2期の接種が済んでいない人は、医療機関に問い合わせて20歳未満のうちに接種を完了させてください。

平成8年度生まれの人

2期の接種の案内が届く予定なので、案内に沿って20歳未満のうちに2期の接種を受けてください。1期の接種が済んでいない人は、20歳までに接種が完了するようスケジュールを組んで医療機関で接種を受けてください。

平成7年度生まれの人

すでに2期接種の案内が届けられています。20歳の誕生日を迎えてしまうと特別接種者の対象から外れ、国の負担(無料)で接種が受けられなくなってしまいます。

接種を受けそびれている人は医療機関に問い合わせ、自費で接種を完了させてください。(接種1回の費用は5,000円前後です。)

通常なら3~5歳の間に1期、9~13才の間に2期を受ける場合に国から費用を負担してもらえるのですが、特別接種者はそれ以外の期間でも生後6ヶ月~20歳未満なら、いつでも国の負担で接種が受けられるという措置がとられているのです。

うっかり受けそびれたままお子さんが20歳になってしまわないよう、母子手帳をチェックしてみてくださいね!

日本脳炎とは?その症状や感染経路

日本脳炎の予防接種が必要な理由も把握しておきましょう。

日本脳炎は、蚊が媒介するフラビウイルス科「日本脳炎ウイルス」によって発症する感染症です。

日本・東アジア~南アジアに広く分布している病気です。

日本脳炎の症状

日本脳炎の潜伏期間は6 〜16 日間です。発症すると

  • 38℃以上の高熱が数日間続く
  • 悪心
  • 嘔吐
  • 頭痛
  • 腹痛・下痢
  • めまい

などの症状が起こります。続いて、脳炎による神経症状が現れます。

  • 光線過敏(光を浴びるとアレルギー反応ををこす)
  • 筋肉硬直
  • 不随意運動・震戦(意識と関係なく筋肉が動く)
  • けいれん(主に小児にみられる)
  • まひ
  • 意識障害

日本脳炎は脳に直接大きなダメージを与えるため、患者のおよそ30%の人が死亡、生存者の45〜70%以上には、精神障害、まひ、後遺障害など脳神経の後遺障害が残ってしまいます。

特に乳幼児や高齢者ほど深刻な状況に陥りやすくなっています。

現在の日本脳炎の発症件数は

日本では予防接種が積極的に勧奨され始める1967年まで、1966年の約2,000人をピークに毎年多くの患者が発生していました。

1970年以降は予防接種が広まったおかげで患者数が激減し、1990年代以降は年間に10人以下の患者数となっています。平成18年以降は死亡者も出ていません。

年(平成) 18 19 20 21 22 23
報告患者数(人) 7 10 3 3 4 9
死亡者数 1 0 0 0 0 0

(国立感染症研究所「感染症発生動向調査」・厚生労働省「人口動態統計」より)

1980年代以降は高齢者が多く、その中には予防接種を受けていない人が目立つのが特徴です。しかし近年では若い人の患者も見受けられます。

患者数は年間10人とわずかでも、アジアを中心に海外では年間3~4万人もの患者が発生していることが分かっており、日本人も油断することはできません。

感染を起こすウイルス

日本脳炎は、ウイルスを持つブタ→ブタの血を吸った蚊→ヒトの経路でウイルスに感染して発症する「人畜共通感染症」です。ウイルスに感染したヒトからヒトへ日本脳炎が感染することはありません。

また、ウイルスに感染した全ての人が日本脳炎を発症するわけではありません。ウイルスに感染して発症するのは100~1,000人に1人の確率で、その他の人は発症せずに無症状で済むとされています。

日本脳炎の発症はまれではありますが、現在でも国内のブタがウイルスを保有している確率は比較的高いため、蚊に刺されるとウイルスに感染してしまう可能性があります。

例えば、国立感染症研究所の「ブタの日本脳炎抗体保有状況 -2015年速報第15報-」では、西日本の兵庫県以外の全ての県、関東地方や東北地方では複数の県でブタのウイルス感染が確認されていることも報告されています。

また北海道をはじめ日本の冷涼な気候の地域では蚊が少ないため、ウイルスに感染しやすいのは蚊の多い西日本と思われていましたが、温暖化により蚊の発生範囲が北上しており、日本のほとんどの地域でウイルスに感染するリスクが高まってきているのです。

コガタアカイエカは身近にもいる?

日本のどこにいても、コガタアカイエカに遭遇する確率は高いです。日本でヒトを吸血する蚊といえば、しま模様が特徴のヒトスジシマカがよく知られていますが、コガタアカイエカも私達の身近に潜んでいます。

コガタアカイエカとヒトスジシマカの特徴

種類 外見 体長 出没場所 媒介するウイルス
コガタアカイエカ 体が暗好色
口器や脚に白い帯がある
約4.5㎜ 日本全土
水田・豚舎の近く
(夜間は民家)
日本脳炎ウイルス
西ナイルウイルス
ヒトスジシマカ 体は白黒のしま模様
背中に白い縦線がある
約4.5㎜ 東北地方より南
水たまりや草むら
デング熱
西ナイルウイルス
ジカ熱
どちらの蚊もさまざまなウイルスをヒトに感染させるおそれがあるので、虫除け対策もしっかり行いましょう。

また都会部にも日本脳炎やデング熱のウイルスを持つ蚊が進出してきていることにも注意してください。

予防定期接種が必要な理由は?新ワクチンの副作用や疑問について

マウス脳由来のワクチンはすでに製造が中止され、出まわっていません。現在使われているのはvero細胞から作られた「乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン」です。

新ワクチンは旧ワクチンとタイプが異なり、ADEMを起こす確率は低いと考えられています。また、ほかのワクチン同様に接種後3日以内にはワクチンの副作用が起こる可能性もありますが、2~3日で自然に回復します。

日本脳炎のワクチンで起こりやすい副作用

  • 発熱
  • 注射部の発赤・腫張
  • 蕁麻疹
  • 発疹

まれにアナフィラキシーやけいれんといった重篤な副作用が起こることもあるので、接種後は子どもの体調を慎重に観察し、異常のみられる時はすぐ受診する必要もあります。

また平成24年には、日本脳炎の予防接種後の死亡事故が2件発生しました。しかし乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンと事故に因果関係があるとは考えにくいとされています。

「日本脳炎に関する小委員会」での専門家による評価の結果、亡くなった方々の二つの事例についての評価についてはいずれの事例もワクチンとの直接的な明確な因果関係は認められず、他の要因により発生した可能性が高いとされました。

またADEM及びその他の脳炎・脳症の例(19 例)についても調査情報をもとに検討した結果、半数以上の症例で感染症等の他の要因によって起こった可能性があり、これらは紛れ込み事例である可能性が高くなっています。

よって、乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンを用いた予防接種の積極的な勧奨が続けられているのです。

間隔があいてしまったけど大丈夫?

接種差し控えによって、予定していた予防接種のプランが変わってしまった人が出てきてしまいました。

差し控えの5年間によって前回の接種から間隔があいてしまっても、残りの接種を受ければ免疫をつけることができ、最初から受け直しする必要もありません。

特別接種者は20歳未満ならいつでも残りの接種が受けられ、標準的なスケジュール通りの年齢(1期は3~5才・2期は9~13才)に実行できなくても問題ありません。

日本脳炎の定期接種は本当に必要?

日本では、子ども定期接種を日本脳炎に感染するリスクの高い成人も任意接種を受けることになっています。

蚊の多い地域に住む人・日本脳炎に感染するリスクが高い地域に渡航する人が任意で接種を受けなければならないことは言うまでもありません。

しかし日本では発症数が年間10人以下とまれな病気になっており、接種後に重篤な副作用が起こるリスクもゼロではないことから「日本脳炎の定期接種を勧奨する必要があるのか?」と考えてしまう人もいるのではないでしょうか。

もしも国が日本脳炎の定期接種を勧奨しなくなったら、日本には子どもを中心に日本脳炎ウイルスに対する免疫のない人が急増し、発症リスクが上昇することが推測されます。

長期間ワクチン接種を停止すれば、国内でウイルスが活動している以上、再び流行する恐れがあります。韓国では、予防接種を緩めた結果、1982年に患者発生が約10倍に急増した(1197人)経験があります。

また日本脳炎ウイルスを保有するブタが非常に多くなっていること、日本全土にコガタアカイエカが分布していることからも、私達は日本脳炎の予防接種をきちんと受けておくことがのぞましいといえるのです。

日本脳炎は過去の病気ではない!流行予防のために接種を

日本脳炎は完全に撲滅した病気ではありません。地球温暖化で蚊の行動範囲が拡大していることから、今後は日本脳炎の流行地域が拡大する可能性も否定できないのです。

また私事になりますが、親戚が1960年代の幼少時に日本脳炎を発症して重い知的障害が残り、若くして亡くなっていました。お葬式の時、私はまだ子どもでしたが周りの大人達が「予防接種があれば…」と泣いていたことは覚えています。

当時年間2,000人といわれる患者の1人がこんな身近に出ているので、人ごとではない病気だと警戒している次第です。

気になるのは、差し控えによって接種を受けそびれ肝心の免疫がついていない子どもがまた増えていることです。平成7年~18年度生まれの人は早く接種を完了していただきたいと思います。

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