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突然の視力低下に要注意!知っておきたい網膜を出血させる原因

2022

突然、視力が低下した!このような事態になって初めて、目の中でとんでもない緊急事態がおこっていることに気づく症例が増えています。

その原因はなんと見逃しやすい網膜からの出血!

糖尿病がある人、また健康な人でも加齢による目の衰えは避けることができません。まずはどのような症状なのかを把握して早期発見することが何よりも大切です。

気が付きにくい網膜の異変・・・突然の症状でやっと気付く網膜の出血とは?

「健康診断で視力検査をしてるから大丈夫!」と思っていると、ある日、突然、視力が低下して社会的失明の危機に陥ることがあります。社会的失明とは完全な失明ではなく、日常生活が困難になるほどの視力低下のことをいいます。

社会的失明となると、たとえメガネなどで矯正しても「視力が上がらない」「真ん中付近の見たい部分の視力が失われる」など・・・非常に苦痛を感じる日常生活になってしまいます。なぜ、こうなる前に間に合わなかったのでしょうか?

それは気が付きにくい「網膜の出血」に原因があります。まずは目の構造から、網膜がどのような役割をしているのかみていきましょう。

目の構造と働き

  • 水晶体(カメラでいうとレンズの役割)
  • 網膜(レンズである水晶体が取り込んだ映像を映し出すスクリーン
  • 視神経(スクリーンに映し出された映像を脳に伝達)

このように網膜は水晶体が外から取り込んだ映像を映し出すスクリーンの役割をしている目の重要な部分です。白内障や緑内障ではなく視力低下などが起きた場合、水晶体や視神経には異常はなく、網膜に原因があると考えられます。

網膜の中には黄班(おうはん)と呼ばれる直系1.5mmの黄色いシミのようなものがあります。この黄斑が視力の心臓部であり、私たちはこの黄班の狭い範囲だけが視力通りに見えていて、その他はおおまかにしか見えていません。

健康診断で行われる視力検査はこの黄班のさらに中央0.2~0.35mmの中心窩(ちゅうしんか)という視力が鋭い部分を診ます。ですから中心窩から外れた周りの網膜の異変は視力検査ではわかりません。

網膜の傷みは自覚症状がない!怖い網膜の出血

突然の視力低下は黄斑以外の網膜の毛細血管がなんらかの原因で傷ついてしまい、そして目を濁らせてしまうためにおこります。そのまま放っておけば失明にもつながるのが網膜の出血です。早く見つけて治療をしなければいけません。

しかし網膜の毛細血管が傷みはじめても、実際は自覚症状がほとんどありません。そのため、ある日、突然の視力低下にびっくりして眼科に駆け込み、そこで初めて網膜から出血していたことがわかる場合が多々あるのです。

網膜の出血でおこる症状

  • 急な視力低下
  • 物がゆがんで見える
  • 小さく見えたり、暗く見えたりする
  • 見たい部分が見えない

網膜から出血する原因

網膜から出血する原因は大きくわけて2つあります。

  • 糖尿病網膜症
  • 加齢性黄斑変性症

では、この2つの症状について網膜がなぜ出血するのか詳しくみていきましょう。

高い血糖値が作る新しい血管の弊害!糖尿病の3大合併症のひとつ糖尿病網膜症

糖尿病はさまざまな合併症を引き起こす病気ですが、糖尿病網膜症は、糖尿病腎症と神経病と共に、糖尿病の3大合併症のひとつです。そして日本の成人における失明原因でみると、1位の緑内障に続いて、この糖尿病網膜症が2位という高さです。

生活習慣病のひとつである糖尿病が原因でおこるこの糖尿病網膜症は、まさに現代病のひとつといってよいでしょう。失明原因の第2位でもあるのですから、非常に怖い現代病でもあります。ではなぜ糖尿病になると網膜が傷ついてしまうのでしょうか?

その原因は血糖値です。糖尿病になり血糖の高い状態が続くと網膜の細い血管が少しずつダメージを受けて、変形したり、詰まったりするのです。

失明に導く「新生血管」

高い血糖値が続き、網膜の毛細血管が傷ついてしまうと、代わりに酸素を届けるための「新生血管」が作られます。そして、この新生血管こそが網膜を出血させる元凶となります。

傷ついた毛細血管の代わりに酸素を届けるために作られた新生血管ですが、もろくて切れやすいという欠点があり、新生血管が増えれば増えるほど、出血する原因となり、しだいに範囲はドンドン広がってしまいやがて網膜が大出血をおこしてしまいます。

加齢によって目の機能が蝕まれる!超高齢化社会の日本で増加する加齢性黄斑変性症

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加齢性黄斑変性症はその名の通り、加齢によって発症する病気です。日本では比較的少ないとされていましたが、近年になって超高齢化社会、そして食事の欧米化にともない、患者数が一気に増加してきました。

国内の最新疫学調査によるとすでに発症している人は43万人、そして予備軍は678万人もいるとされ、眼科医療では現在、最重要疾患となっています。筆者が定期健診に眼科にいった時も注意を呼びかけるポスターが大きく待合室に貼られていました。

この加齢性黄斑変性症は中高年から一気に増加する病気ですが、さらになりやすい人のタイプを確認しておきましょう。

  • 50才以上
  • 男性
  • タバコを吸う人

加齢性黄斑変性症はこの3つの条件が揃った人に多いのが特徴です。とくに男性の発症は女性の約3倍といわれ、またタバコを吸わない人に比べて4~5倍も多く発症するといわれています。

また最初のうちから両目に発症する人が約20%、高齢になっていくほど両目発症率が上がっていきます。50代というとまだ定年退職前ですし、加齢性黄斑変性症といっても、このようにまだ現役の頃に視力低下、失明の危険性がある怖い病気なのです。

加齢性黄斑変性症は2つのタイプに分かれます。

  • 萎縮型
  • 滲出型

加齢性黄斑変性症(萎縮型)

加齢によって黄斑部分の組織が萎縮、つまりちぢまってくるタイプです。加齢によってなぜ黄斑がちぢまってくるのかは詳しい原因はまだわかっていません。

症状の進行は遅く、視力障害にまでなることは稀ですが、滲出型に変わることがあり油断はできません。定期的に診察し、観察を続けることが大切です。

滲出型

糖尿病網膜症と同じように新生血管が原因で網膜が出血するのが滲出型です。この滲出型も早期発見、治療が必要でです。早いうちならば中心窩にまで達していない新生血管はレーザー光凝固術などで食い止めることが可能です。

また中心窩に達した新生血管も抗血管新生薬で治療が可能です。しかしなぜ、加齢によっても新生血管が作られてしまうのでしょうか?それは加齢による新陳代謝の衰えが関係しています。

誰も年を取ると細胞の生まれ変わりである新陳代謝が衰えてくるものです。網膜の細胞も同じで、常に新陳代謝を繰り返しています。

新陳代謝というのはその過程でどうしても老廃物が生まれてしまいます。若い頃ならば消化されていくのですが、加齢により網膜の働きが弱くなると老廃物を処理しきれずに、しだいに溜まっていくことになります。

この溜まった老廃物が軽い炎症を起こすようになり、その炎症を鎮めるために新生血管が作られてしまうと考えられています。

日本の失明原因の上位に食い込む糖尿病網膜症と加齢性黄斑変性症

網膜の出血が原因でおこる糖尿病網膜症と加齢性黄斑変性症は、日本の失明原因の上位を占めています。決して他人事ではありません。
日本の成人における失明原因のコピー2
「厚生労働省 難治性疾患克服研究事業 網膜脈絡膜・視神経萎縮症に関する研究班 研究報告書2006」より

糖尿病網膜症と加齢性黄斑変性症を進行させるな!新生血管の増加を食い止めるの治療方法

ご紹介してきたように、突然の視力低下からはじまり、失明の危険性まである糖尿病網膜症と加齢性黄斑変性症ですが、どのような治療がされるのでしょうか?進行をストップさせるには新生血管の増加を食い止める治療方法が行われます。

レーザー光凝固術

レーザー光凝固術は、保険もききますし、体への負担も少なく日帰りでできる最も一般的な治療方法です。

筆者は以前、網膜剥離の手術を受けた経験があるのですが、その時の術後にレーザー光凝固術を受けました。ピリッとした感覚はあるものの我慢できない痛みなどはありませんでした。とても手軽で安心して受けられる治療方法です。

この治療方法はレーザーで、酸素不足になった網膜細胞を焼いてしまい、それ以上の出血を防ぎます。しかしなぜレーザーでまだ生きている網膜細胞を焼いてしまうのでしょうか?

じつは残念なことに一度、酸素不足になっってしまった網膜細胞は再び酸素を送ることができません。よってこれ以上、新生血管を作らせることを食い止めるために酸素不足になった網膜細胞を焼くことでそれ以上の進行を食い止めるわけです。

レーザー光凝固術による治療を受ける中でよくある誤解が、この治療方法により網膜を元の状態に戻すことができると思っている人が多いことです。

レーザー光凝固術は、症状の進行を食い止めるためのものであり、網膜の細胞すべてが共倒れになること(つまり失明)を回避するための治療だということを認識しておいて下さい。

レーザー光凝固術はとても効果的な治療方法ですが、新生血管が黄斑の中心窩付近にある場合は黄斑付近にレーザーをあてることになるので組織がダメージを受け、さらに視力低下や見えない視野の範囲が広がってしまう可能性もあります。

硝子体手術

レーザー光凝固術で網膜の症状を食い止めれなかった場合や、すでに進行しすぎてしまい、網膜剥離や硝子体出血まで悪化してしまった場合におこなわれる治療方法です。

眼球に3つの穴を開けて、顕微鏡で見ながら、網膜の出血や剥離した網膜を治療します。

予防には生活習慣の見直しと血糖コントロール、そして物が歪んでみえないかのチェック

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糖尿病網膜症の予防方法はなんといってもまず、血糖をきちんとコントロールすることです。また加齢性黄斑変性症の場合も下記のように食生活、生活習慣を見直すことで発症を予防することができます。

  • 緑黄色野菜を多めに摂る
  • タバコをやめる
  • 激しすぎる運動はしない
  • アルコールを控えめにする
  • ストレスを発散させる
  • サングラスをする

緑黄色野菜、とくにほうれん草に含まれているルテインという成分の摂取が少ないと網膜症を発症しやすいといわれています。また青魚やナッツなどの摂取も予防に効果的な食事です。

サングラスは有害な太陽の光から目を守るためにとても有効です。太陽光の青い光が網膜に有害物質を発生させるといわれているので、紫外線対策と合わせて青色をガードしてくれるサングラスを選びましょう。

またこれらの予防策に加えて、日頃から習慣化してほしいのが、片目で物がゆがんでみえないか?のチェックです。目というのは片方に異変がおきても片方の目が欠陥を補ってしまうために気が付きにくいものなのです。

40代からは定期健診を!日頃の視界チェックは超重要

糖尿病の人は内科には行っても眼科を受診する人はとても少ないと聞きます。糖尿病を発症した時点で、糖尿病網膜症が合併症としてあらわれるリスクがあるので、糖尿病の人は必ず定期的に眼科を受診するようにしてください。

加齢性黄斑変性症は50才からの発症が主ですが、目は40代から一気に衰えてきて、緑内障などを発症するリスクも高まります。できるのならば40代からは定期的に眼科を受診しておくことをおすすめします。

会社などで行われる健康診断の視力検査には眼底検査の項目がないのが普通です。ですから、とくに50才からは定期的に眼底検査を眼科で受けておくことをおすすめします。

気持ちよくクリアな視界というのは生きていく中でとても重要なことです。網膜が出血する網膜症は早期発見、治療によってその結果が大きく変わってきます。

日頃から視界がどのように見えているのか?新聞を読む時、パソコンでネットサーフィンをする時、テレビを観る時、人の顔を見る時・・など、些細な視界の変化にも気づくように注意を払いましょう。

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