健康生活TOP 目の症状 白目のたるみで疲れ目やドライアイに?結膜弛緩症に注意したい人

白目のたるみで疲れ目やドライアイに?結膜弛緩症に注意したい人

鏡で目をチェックする女性

年齢とともに眼が乾きやすくなったり、あるいは良く涙が流れるようになったりと言うことが話題になります。これは「歳だから何でも乾く」とか「年寄りは涙もろい」で済ませられることが多いのですが、実は立派な病気なのです。

病気と言っても、感染症やがんなどの悪いものではなく、視力を失うような危険性はありません。しかし、日常生活において不自由を感じる程度に不快感がもたらされることもあります。

結膜にしわができる病気、結膜弛緩症(けつまくしかんしょう)。あまり有名ではないこの病気と治療について見てみましょう。

結膜弛緩症は加齢に伴って結膜にもしわができるのが原因

人は加齢に伴って全身にしわができてきます。このしわは美容的な影響を別にすれば、基本的に問題のないものですね。

もちろん、とんでもなく太っていた人が急激に痩せた場合、余った皮を切除する必要が出てくることもありますが、これは例外です。

このしわは、眼の中にもできることが判っています。とはいえ、眼の場合表面は皮膚ではなく粘膜です。

粘膜ににしわができると言うことは、皮膚とは異なる状況が起こると考えられます。

結膜は粘膜なのに、常に外気にさらされているため、表面を濡らしておく必要があるので、水分が行き渡りやすい形状が重要になっています。

眼にしわができると、水分が均一に行き渡りにくくなります。これが今回話題の症状と密接な関係があるのです。

結膜とは二つの組織を「結ぶ膜」のこと

子供のころにかかったはやり目などのイメージから、結膜と言うとまぶたの裏の眼瞼結膜を連想する人も多いでしょう。眼の検査を行うときに、まぶたを裏返して「結膜が充血してますね」などと言われた経験のある人も多いでしょう。

しかし、結膜と言うのはまぶたの裏だけではなく、眼の表面も覆っている組織なのです。眼球の表面は強膜と言う白い膜と、角膜と言う黒目の部分の透明な膜で覆われています。結膜は、まぶたの裏側から白目の部分の強膜を結ぶように覆っている膜です。

まぶたと眼球を結ぶ膜であることから結膜と名付けられました。この膜がまぶたの裏と眼の表面をつないでいるおかげで、コンタクトレンズがずれても眼の裏側にまで行ってしまわないのです。

今回の話題の「結膜のしわ」は、眼の表面にある眼球結膜にトラブルが起こるもので、一部は結膜円蓋部にも及びます。場合によっては眼瞼結膜にも影響が出ることがありますが、主役は眼球結膜と言って良いでしょう。

年齢を重ねると結膜にもしわができる

もともと結膜は眼球がスムーズに動けるように、少し余裕を持った張りで作られています。あまりにピンと張っていると、突っ張れてしまって眼が動かせないですね。ことろが、長年眼を使ってゆくと、この余裕が大きくなってたるんでしまい、しわを作ります。

このしわができる原因は、主に眼の動きによる、物理的な変化だと考えられていますが、炎症や病変の可能性も検討されています。

若い頃から白目に水ぶくれができやすい人は要注意かもしれません。白目の水ぶくれ自体はそれほど問題になる症状ではありませんが、原因となる眼のリンパ管拡張症は結膜の浮きをもたらし、長期間の後には結膜にしわを作ることが示唆されています。

リンパ管拡張症による白目の水ぶくれ(結膜嚢腫)が繰り返される人は、念のため眼科を受診して相談しておきましょう。繰り返される白目の水ぶくれは嚢腫を外科的に取り除いた方が良いこともあります。

一方、炎症が原因で結膜にしわができる可能性はありますが、実際の臨床ではあまり見られないそうです。やはり、加齢による衰えが最も大きな原因であるようですね。

眼にしわができるというのも不思議な感じですが、視力には影響のない部分ですのでそれほど心配する必要はありません。生活に影響が出たら治療しましょう。

結膜のしわによる不快症状が気になったら受診を

結膜にしわができる病気を結膜弛緩症と言います。結膜がたるんでしまった病気という意味ですね。しわ自体は結膜が角膜を覆っていないことから視力に影響を出すことはありません。

しかし、いくつかの不快な症状が出ることもありますから、気になったら眼科を受診して下さい。特にドライアイが起こったり、もともとあったドライアイが悪化したりすることが良く起こります。

たるんだ結膜は下に集まる

結膜がたるんでしわができると、それは重力に従って下の方に集まります。顔のしわも、お腹のしわも、重力と言う強敵にやられたという感じで私たちを嘆かせますが、眼の中のしわも例外ではないのです。

眼球結膜がたるんだことによってしわができると、そのしわは下まぶたの縁のあたりに集まります。この部分は、上まぶたの上の方で出てきた涙をいったん貯めておく涙液メニスカスと呼ばれるスペースで、瞬きをすることでその涙が眼の表面を潤すようになっています。

そして、余分な涙は眼の内下側にある涙点から鼻の方に排出されて行くようになっているのです。ところが、この涙液メニスカスにしわが集まっていると、涙を貯めておくことが難しくなります。

そうなると、瞬きしても充分に眼を潤すことができず、ドライアイを起こしてしまいます。また、このしわが邪魔になって、涙点への涙の排出が上手く行われず、皮膚の方に流れ出てしまう「なみだ目」現象も起こりやすくなるのです。

結膜がたるむと異物感が出る

下まぶたの上にしわが集まってくると、それによって眼の異物感が出てくることは想像できますね。実際、結膜弛緩症では眼の異物感を訴える人も少なくないようです。

もともとドライアイがある人は、後でお話しする外科的な治療を受けた方が良い場合もあります。これは涙液メニスカスが小さくなっていることで点眼薬や人工涙液が充分行き渡らないという現象が起こるからです。

ドライアイがある人の場合は、乾燥から物がかすんで見えにくいという症状が起こることもありますので、症状に気づいたら早めに眼科を受診しましょう。

さらに、まばたきの際に下に集まったしわと、上まぶたがこすれあって結膜が真っ赤に充血してしまうという現象が起こることもあります。

そしてもう一つの特徴的な症状に、結膜下出血があります。これは必ずしも結膜弛緩症でだけおこるものではありませんが、眼の異物感やなみだ目と同時に起こった場合は、念のため受診して下さい。

症状としては白目の部分がべったりと赤く染まると言うものです。見た目の派手さの割に、重症ではありませんから、他の症状がなければ放っておいても心配ありませんが、他の症状があるようなら、受診することで結膜弛緩症が見つかるかもしれません。

顔に刻まれたしわは、その人の人生の重さを表す美しいものだという言い方をすることもありますが、眼の中のしわはあまり値打ちがありませんよね。どうやったら治るのでしょうか。

結膜弛緩症は手術で治すことが多い

軽症であれば点眼薬で治療することもありますが、結膜弛緩症の治療の中心は手術です。手術と言っても比較的簡単なもので、局所麻酔で行われ多くの場合入院の必要もありません。いわゆる「日帰り手術」ですね。

簡単な手術の割に治療効果が高く、90%以上の人で症状の改善が見られます。一方、他の病気を合併している場合は手術だけでは完治せず、合併症の治療も必要になります。

単なるたるみの場合はつまんで縮める手術が行われる

眼球結膜だけがたるんでしわになり、下の方に集まっているという単純型結膜弛緩症の場合は、たるんだ結膜を引っ張って縮める手術が行われます。なんとなく美容整形のフェイスリフトを連想させますね。

しかし、眼の手術は美容目的ではありません。しかもフェイスリフトより安全性が高く医療効果も確実です。

当院では小林顕先生が世界で初めて考案した結膜弛緩症鑷子を使用し、「結膜焼灼法」にて治療を行います。手術は局所麻酔をしたのち約5分程度で終了します。

結膜を切除、縫合せずに手術を行えますので、術後の不快感がほとんどありません。患者様の満足度も非常に高く、喜ばれています。

結膜弛緩症鑷子の外観

結膜弛緩症鑷子(small tip)の外観(ASICO AE-4368S)

結膜焼灼法の術前術後の比較写真

(※鑷子(せっし):ピンセット)

(※症例写真で緑色に写っているのは、フルオレセインという蛍光色素を使って紫外線を当て、涙の状態をわかりやすくして検査している画像です。)

手術は、局所麻酔ののち、瞳の周囲の白目の部分(主に眼の上側)を専用のピンセットでつまんで行います。上の引用文のリンクソースから手術の動画を見ることもできますが、あまり気持ちのいい絵ではありませんので、閲覧注意と言うことにしておいて下さい。

このピンセットは、眼のカーブの合うように作られているので、つまむとたるんだ結膜が眼から持ち上がって、ピンセットの先で、眼の反対側にはみ出します。そこを電気で焼き縮めるということを数か所に対して行うのです。

そうすると、たるんだ結膜全体が縮められて、下の方に余った結膜のたるみが引きあげられて解消するのです。

円蓋部挙上型では手術が複雑になる

強膜やまぶたから結膜が剥離してたるみが出るタイプの結膜弛緩症と言う病状もあります。これは、最初の眼の構造の絵を見て頂いて、結膜円蓋部と言う部分に注目してください。この部分、特に下まぶたのこの部分や、それに続く結膜が元の位置から外れることがあります。

そうすると、まばたきに伴って結膜が外にはみ出してきて結膜弛緩症の症状が起こります。こうした原因で起こる結膜弛緩症には、上で紹介したような手術は不適当です。

まず、結膜円蓋部を元の位置に戻してやらないといけないため、手術が難しいのです。お医者さんも、単純型の手術で充分経験を積んだお医者さんでないと、このタイプの手術は行えないそうです。

手術にはいろいろな方法がありますが、基本的には結膜円蓋部を元の位置に戻すために、結膜を引っ張り伸ばしてから一番奥で眼球の強膜に縫い付けると言うものが代表的です。

この方法だと入院せずに日帰りで行える手術になります。その他、わざと結膜の裏の組織を剥がすことで、炎症が起こって元の位置に癒着するのを利用したり、熱で焼いて固定したりする方法もあります。

これらは、病状や患者さんの体調に合わせてコントロールされますので、あらかじめ充分な説明を聞いてから手術に臨みましょう。また、このタイプの結膜弛緩症の場合、結膜が剥がれた原因を突き止めて治療しておかないと、再発する可能性が高くなります。

眼の手術と言うとどうしても緊張しますが、この手術は視力に関係ない部分で行われる手術ですので、必要以上に怖がらなくてもいいですよ。

結膜弛緩症の予防法は?できることから続けよう

結膜弛緩症は顔のしわと同じで、加齢に伴って発生している部分が少なくないので、予防するのが難しいという部分は否定できません。顔のしわを減らすために、たんぱく質をしっかり摂っている人は、少しはましかもしれないと言う程度ですね。

一方、皮膚と同じで引っ張り延ばす癖がつくとしわができやすいのも事実です。ですので、摩擦によって結膜が引きのばされないように注意しておくことが、予防につながる可能性はあります。

眼はこすらないのが基本

多くの人は子供のころに「眼をこすってはいけません」と言うしつけを受けた経験があるでしょう。これはほこりなどで角膜・結膜を傷つけたり、そこから感染したりすることを防ぐ意味で行われたいたしつけです。

一方、眼をこするということは、結膜にも少なからず負担をかけていることになります。これがそのまま結膜弛緩症の原因になるかどうかのデータはありませんが、「結膜に対する摩擦」が原因になることは判っていますので、眼はこすらないようにしましょう。

眼をこすってしまうときと言うのは「眠い時」「眼に異物感がある時」「眼にかゆみがある時」ですね。いずれも洗眼液や点眼薬で対応できるものばかりですから、そうしたものをうまく利用しましょう。

眠気はともかく、異物感や痛み・かゆみが止まらない時は、それ自体が受診するべき症状だと考えてもらった方が良いです。

ドライアイは早めに対策しておく

ドライアイは眼精疲労と言う観点からよく話題になる症状ですね。目の表面が乾いてしまい、不安定な涙の膜による屈折異常から眼のかすみを訴えたり、疲れ目や異物感を訴えたりする症状です。

目の表面が乾くと、まばたきをした時に、眼瞼結膜と眼球結膜の間の摩擦が増えてしまいます。そのため、結膜が常に引っ張られる状態が繰り返されて、だんだん結膜がたるんできてしまうのです。

目の表面を潤すために目を閉じると、ベル現象といって、眼球が上を向く動きが起こります。この時涙が足りないと、摩擦が発生するということも問題になります。

ですので、ドライアイかなと感じたら、できるだけ早く適切な治療を受けましょう。また、ドライアイは予防も可能です。ドライアイのメジャーな原因からの予防を見てみましょう。

画面表示は見下ろすように見る癖をつける
テレビやデスクトップパソコンの画面は、設置場所の関係で眼より高い位置にあるケースがありますが、これはドライアイの原因になります。目の位置より画面が上にあると、画面全体を見る時に大きく目を見開かなくてはなりません。

これが眼の乾燥を進めてしまう原因になるのです。ですので画面の上の端が目の高さくらいより下になるように配置を工夫しましょう。また、ブラインドタッチができない人は、上目遣いで画面を見ることもありますが、これもよくないです。

普段はキーボードを見て打鍵している人でも、画面を見る時は顔を起こして見る癖をつけて下さい。一方、ノートパソコンは、ほぼ問題なく画面を見下ろすことになるのでリスクは少ないですね。

一方、タブレットやスマホですが、こちらはドライアイより眼精疲労が問題で、結膜弛緩症にはあまり関係しないかもしれません。見る角度より凝視時間が長く、使用距離が短いことが問題になります。長時間使うなら大きい画面のパソコンがお勧めです。

エアコンの風に直接当たらない
冷房は、室内機の熱交換機のところで空気中の水分を凝結させて室外に排水しますから、エアコンから出てくる風は湿度が低いものになっています。

暖房は温度だけを上げるため、空気中の水分はそのままで、飽和水蒸気量が増えるため湿度が下がります。(湿度(%)=水蒸気量÷その温度での飽和水蒸気量×100)

どちらも湿度が低くなっているので、乾燥した状態の風ですから、直接当たってしまうと眼が乾きます。直接風に当たらいようにして下さい。

また、状況に応じて加湿器を使うこともドライアイや風邪対策に有効ですので、うまく利用されることをお勧めします。

コンタクトレンズの使用に注意する
ハード・ソフトを問わず、コンタクトレンズの使用は眼の乾燥を進めます。コンタクトレンズ使用者の70%~80%にはドライアイの疑いがあるというデータもあります。

点眼薬や人工涙液の併用など、適切な使用をしている人には問題が起こりにくいので、コンタクトレンズを使う際には、定期的に眼科の受診を行うようにして下さい。受診間隔はお医者さんとの相談で決めれば問題ありません。

このことは、おしゃれ用のカラーコンタクトレンズでも全く同じですので、眼科を受診せずにカラーコンタクトを使ってはいけません。

短期的な安全性を主張して、安易なコンタクトレンズ装用を行う人は少なくありませんが、眼の結膜が剥がれ、しわが寄って異常が発生するという症状は、若い時からの注意で予防できると考えて下さいね。

また、視力矯正用のコンタクトレンズを使っている人は、非常用に眼鏡を常備されていると思いますので、眼に異常を感じたら、ためらわず取り外して眼鏡に切り替えて下さい。

どうしてもドライアイと言うと目先の症状に気を取られがちですが、長いスパンで見てもリスクの多いものですから、しっかり治療しなくてはいけません。

結膜弛緩症は加齢による変化なので若い時から生活習慣に注意しておく

このように、結膜弛緩症と言うのはある程度「年齢のせい」ですので避けて通れない部分は否定できません。ですから、涙があふれて止まらないとか、眼のかすみや乾きによる不快感があるとかいう症状が現れたら、対症療法であっても受診して治療することが勧められます。

そして、症状が重ければ日帰り手術でスッキリと治してしまうという選択肢もあります。ただ、この病気は加齢によるものが多いため、持病を持っておられる方も少なくないでしょう。

そうした場合、持病の治療との関係で手術ができなかったり、手術の方法を検討しなくてはいけないケースがあるかもしれません。現在治療中の病気がある場合は、カルテを眼科に回してもらう相談をしましょう。

まったく治療中の病気がない場合でも、念のため簡単な内科的検査を受けてから手術に臨むべきです。

さらに、この病気は若い時からの習慣やドライアイによって引き起こされる部分が多いので、若い時から眼を大切にする習慣を身に付けておくことが大きな予防になるでしょう。

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