健康生活TOP 目に関する病気や症状 視界に黒い点や糸くずが漂う飛蚊症の見え方!検査や治療の必要性は?

視界に黒い点や糸くずが漂う飛蚊症の見え方!検査や治療の必要性は?

視界に虫が飛んでいるように見えることから飛蚊症(ひぶんしょう)と呼ばれる症状があります。

蚊と言う表現をしていますが、必ずしも虫のように見えるわけではなく、黒い点や糸くず・もや・リング・水滴などのように見えることもあります。

いつも見えているわけではなく、白い背景を見つめると見えやすいともいわれています。この症状は生理的なものと病的なものに分かれ、治療を必要とするものがありますので見分け方に注意して下さい。

飛蚊症の見え方は?特徴的な飛蚊症の症状

  • 目の前の景色の中に、ぽつんと黒い点が浮いているように見える
  • 半透明や白の糸くずのようなニョロニョロした形のものが見える
  • 丸い輪のようなものが見える

またこれらが混ざって見える場合もあります。目を動かすとこれらがついて来るように見えるのが特徴です。

飛蚊症で現れる見え方の症状イメージ画像

見えている点や糸くずのようなものは外界にあるのではなく、自分自身の目の中にあるわけで、自分の目の中の状態を自分で見ているような状態になっています。

加齢によって起こりやすい飛蚊症は多くの場合治療しなくていい

眼の中には硝子体(しょうしたい)と言う透明なゼリーが詰まっています。少しのコラーゲンと、大半が水でできた組織で、眼の形をキープするのに役立っています。

この硝子体も年齢とともに組織が変化してくることで、水分がコラーゲン線維から分離する離水と言う現象が起こります。ゼリーや寒天を長い間放置していると、シロップがにじみ出してくるのと同じ現象ですし名前も一緒ですね。

分離した水が影を落とすのが飛蚊症

離水が起こると、分離した水分が水晶体の中に空洞を作ってそこに溜まります。そうするとその部分は屈折率が異なるので、網膜に影を緒とします。これが飛蚊症となって見えるのです。

眼球の中で影を作り出している線維と水分の分離した場所などは一定の場所なのですが、物を見るために眼球を動かすたびにわずかずつ移動しますから、虫のように見えるものは目の動きとともにゆっくりふわっと移動します。

一方、離水が進むと、硝子体全体が縮んで網膜からはがれることもよくあります。これを後部硝子体剥離と言いますが、さらに飛蚊症の症状が強くなります。この硝子体剥離自体は病気ではなく生理的なものですから心配はありません。

しかし後部硝子体剥離では、網膜が引っ張られることで網膜に損傷が起こる場合もあります。そうなると病的なものになりますので、治療が必要になります。

60歳前後なら飛蚊症を放置していいのか検査してもらうと良い

50代くらいになったら、特に目のトラブルがなくても、定期的に眼の検診を受けて病的なものに発展しないように注意しておくのがいいですね。

軽い飛蚊症くらいであれば、2年に1回程度、眼底検査や白内障・緑内障などの検査を合わせて受けておくと安心です。

一方、眼科医会は特に60歳前後の突然の飛蚊症は、原因の確定のために眼科の受診、精密検査を受けることを奨めています。

後部硝子体剥離がないかどうかや、後部硝子体剥離からくる病気、網膜裂孔の有無をチェックし、放置しておいてもいいのかどうかをしっかり検査で診てもらうことが大切なのです。

(参考…黒いものが飛ぶ 飛蚊症 – 公益社団法人 日本眼科医会)

飛蚊症は治らないが慣れると見えなくなることもある

飛蚊症は治りません。治す方法がないわけではありませんが、現段階ではリスクの方が大きいので日本国内では専門治療を行っているところも少ないです。

最近ではパルスレーザーを使って混濁部分を細かく粉砕する治療もありますが、これも必ず治るというものでもありませんし、費用もかかります。

ある程度以上の重症例では、医師の判断で健康保険が効くようにしてもらえるかも知れませんが、基本的には自費治療です。

生活に支障が出るほどのレベルであれば、もう飛蚊症ではなく水晶体混濁と言う病名で治療の対象になるかもしれません。こればかりは受診してお医者さんの判断を仰がないと判りません。

一方で、飛蚊症の原因になっている水晶体の濁りや剥離した部分と言うのは、意外に時間が経つと網膜に映っていても意識の方でそれを除外してしまえるようなメカニズムが働きます。

つまり、それはあって当然のものだから、脳の機能で見えなくしてしまうということですね。

例えば、網膜には毛細血管がいっぱい存在していて、そこには血液が流れています。その血液には赤血球がたくさん含まれていますね。

赤血球は赤い色素をたくさん含んでいるので、青い光をよく吸収します。つまり、青空やブルーライトを見た時には、本当は黒い赤血球の影がいっぱい見えているはずなのです。

しかし、それは「あって当然」のものなので、眼や脳の働きによって見えないものとして処理しているのです。これと同じメカニズムが、ある程度までは飛蚊症の原因に対しても働きますので、そのうち見えなくなるということが起こります。

逆に言えば、何か月・何年と言うスパンでいつまでも消えない飛蚊症と言うのは、原因が悪化している可能性もありますから、必ず受診して下さい。

私も片づけなくちゃいけない趣味の品とかは、あまり見えなくなっているんですよね。良くみんなに叱られます。他の人から見たら飛蚊症なみに鬱陶しいガラクタなのでしょう。

飛蚊症は加齢だけでなく若者にも起こることがある

もちろん一過性の飛蚊症は年齢にかかわりなく起こることがありますが、そうではなくて、場合によっては網膜剥離などにつながりかねない危険な飛蚊症が起こることもあるのです。

▼関連記事
若年性飛蚊症を軽減するための5つの方法

中等度以上の近視の人は要注意

大規模な研究データは見当たりませんでしたが、病院での研究などによると、中等度以上の近視の人に若くても離水や後部硝子体剥離による飛蚊症が見られると言う報告があります。

これはおそらく、軸性近視で眼球が大きいことが、離水や後部硝子体剥離を起こしやすいからではないかと考えられています。

ですので、飛蚊症が気になったら眼科を受診して眼底検査を受け、治療の必要性の有無を判断してもらえば、それほど心配する必要はありません。

50代と60代の飛蚊症の意味

先にお話しした加齢による後部硝子体剥離は60代の人に好発します。しかし、強度・中等度近視の人は、10年早い50代に好発するというデータがあります。

ここで強度とか中等度と言う言葉が出てきましたが、これは視力のことではありません。矯正に用いられるレンズの度数で決められます。

とは言え、実際のところ軽度から中等度になったらいきなりリスクが増えるわけではなく、徐々にリスクも上がってゆくわけですので、レンズの度数に一喜一憂せず、普段から目の健康には注意を払っておいて下さい。

どうしても度数が気になったら、眼科で検査してもらうか、眼鏡やコンタクトを作ったお店で尋ねてみて下さい。中等度が-3D超~-6D以下、強度が-6D超~-10D以下です。

老眼は度数で見ることが多いですが、近視は学校などの視力検査のイメージから視力で見ることが多いですね。でもコンタクトや眼鏡を作る時には度数も測りますから、その時に聞いておきましょう。

生理的な飛蚊症が病的なものになる場合の治療について

先にお話しした通り、後部硝子体剥離は網膜から硝子体が剥がれてしまう現象です。名前の通り後ろの方から剥がれてきます。そうなると、まだくっついている部分と剥がれた部分の境目は不安定になっていますね。

それが衝撃などで揺れてさらに剥がれようとする時に、網膜を引っ張ってしまってそこに裂け目を作ってしまうことがあります。そうなると視力にも悪影響が出る原因になることがありますので治療が必要になります。

網膜裂孔までなら外来でも治療できる

この網膜に穴が開いてしまうことを網膜裂孔と言いますが、ここからの小量の出血や剥がれ落ちた細胞によってさらに黒く見える飛蚊症が引き起こされます。

網膜裂孔が起こるメカニズムをあらわしたイラスト

そして、この網膜裂孔を放置すると、そこから水分が網膜の中に入り込んで網膜が2枚に剥がれる網膜剥離と言う現象が起きます。すると視野の一部が欠けたり視力が低下したり、最悪の場合視力を失います。

網膜の下ではなく中に入り込んでと言うのは、網膜と言うのは一枚の膜ではなく、10枚の層が重なってできているからです。

網膜の構造
(出典…眼底OCTのすべて・網膜組織)

この中で10番の網膜色素上皮層だけが他の9層とは発生の由来が異なるため、多くの場合、9番と10番の間で剥離が起こるのです。

ですので、特に水晶体が離水して縮みやすい中高年齢層では、飛蚊症が現れたら眼科を受診して眼底検査を受けて下さい。

網膜裂孔だけで網膜剥離に至っていなければレーザーを使った光凝固術で、裂孔の周囲を固定し、それ以上裂孔が広がらないようにして網膜剥離を防ぐこともできます。

光凝固術はお金がかかるので限度額適用認定証を利用する

レーザーを使った光凝固術の場合、入院の必要もありませんし、10分程度の治療で済みます。もちろん健康保険の対応ですが、やや高額になることもあります。

ですので、この治療を受ける時はあらかじめ健康保険の限度額適用認定証を入手しておき、医療機関に提出しておくことがお勧めです。

特に所得の少ない方は、これを使うと窓口で支払う金額が少なくて済む場合があります。もちろん、これを使わなくても後から申請すれば、高額療養費制度によって一定以上負担した金額は返ってきますが、それまでの間立て替えておくのももったいないですしね。

限度額適用認定証は医療機関ごとの計算になるので、複数の病院で限度額適用認定証を使って支払った自己負担額が、高額療養費制度の限度額を超えることもあります。その場合は翌年度に申請して払い戻しを受けて下さい。

この治療では高額療養費の対象になる可能性が高いのは、国民健康保険に入っている方で年間所得210万円以下の方と、協会けんぽや健康保険組合などの保険に入っている方で報酬月額が27万円以下の方です。

もし網膜剥離に進んでいて入院手術の対象になった場合、さらに自己負担額が高くなりますから、念のため全所得の方の自己負担額の上限を紹介しておきます。

所得区分 ひと月あたりの自己負担額上限
住民税非課税の人 35,400円
(24,600円)
年収約370万円以下
国保:年間所得210万円以下
健保:月額報酬27万円以下
57,600円
(44,400円)
年収約370万円~約770万円
国保:年間所得210万円~600万円
健保:月額報酬27万円~51.5万円
80,100円+
(総医療費-267,000円)×1%

(44,400円)

年収約770万円~約1,160万円
国保:年間所得600万円~901万円
健保:月額報酬51.5万円~81万円
167,400円+
(総医療費-558,000円)×1%

(93,000円)

年収約1,160万円以上
国保:年間所得901万円以上
健保:月額報酬81万円以上
252,600円+
(総医療費-842,000円)×1%

(14,100円)

ここで総医療費とあるのは10割負担の時の医療費のことです。つまり、真ん中の所得の人で見た場合、自己負担額が80,100円になると言うことは、総医療費は267,000円です。

つまり、自己負担額が80,100円を超えた分は3割負担(30%負担)ではなく1%の自己負担に減るということです。

例えば3割負担で、窓口での支払額が90,000円になった場合、総医療費は300,000円ですね。その場合、限度額適用認定証を持っていると窓口での支払いが80,100円+(300,000円-267,000円)×1%=80,430円で済むということです。

網膜裂孔の光凝固術でここまで高額になることはないと思いますが、所得が少ない方では充分範囲に入ってくる可能性があります。

国民健康保険の方は市区町村役場の健康保険窓口、協会けんぽの方は各都道府県支部、企業の保険組合の方は企業ごとの窓口に申請して限度額適用認定証を入手して下さい。

なお、表の中で下段にカッコ書きで示されている金額は、直近12か月の間で3回以上限度額に達してしまった場合の、4か月目からの上限額です。

網膜剥離は基本的には手術で対応することになる

不運にして網膜剥離にまで進んでしまった場合には、手術で対応することがほとんどになるでしょう。手術の方法も様々ですが、進行しないうちに対応できれば失明の危険性はうんと少なくなります。

手術の場合、入院が必要になりますし、お薬の種類や数も大変です。場合によっては、上の表で最も高額所得の人ですら限度額が適用される可能性があります。

そうした場合でも、限度額適用認定証を持っていれば、限度額までの窓口支払いで治療してもらえますから安心ですね。

仮に住民税非課税の人だった場合、30万円くらいの自己負担額の窓口支払いがあったとしても、実際に支払うのは35,400円と食費だけでいいのですから。

こうした制度を利用して、できるだけ早く治療に望むことが楽で安価に治療を受けるコツです。もちろん外来で使えますから安心してくださいね。

飛蚊症と似ているが飛蚊症ではないものもある

飛蚊症と似ているけれど飛蚊症ではない症状と言うものもいくつかあります。その中には注意した方が良いものや、まったく心配ないものもありますので少し見てみましょう。

多くの場合、眼の中に「何か」があって、それが見えているという現象で飛蚊症もそれに当てはまります。しかし、脳の側で見ていると言うケースもあるのです。

閃輝暗点はあまり似ていないがそれでも飛蚊症と思う人がいる

これは個人的な経験ですが、知人に「ひどい飛蚊症でものが見えにくい時がある」と言っていた女性がいたのですが、後から閃輝暗点だったと判りました。

閃輝暗点は視界にきらきら光る物が現れて、それがどんどん外へ広がって消えて行くという物ですが、見え方は個人差が大きくいろいろな表現をされることが多くなっています。

ほとんどは片頭痛の前駆症状として知られていますが、まれに脳梗塞の症状であることもあります。閃輝暗点の後に片頭痛が現れないということがあれば、念のため脳神経科を受診された方が良いですね。

光視症は一度眼科に行った方が良い

頭をぶつけたときに「目から火が出た」と言いますね。これは実際に光が見えているのです。頭をぶつけたときに、水晶体が動くことで網膜が引っ張られ、そこに光があるという刺激として受け取ってしまうのです。

先にお話しした後部硝子体剥離によって網膜が引っ張られるときにも、同じように光が見える時があります。

ですので、光源が何もないのに、頭を動かしたときなどに光が見えると言ったことがある場合は眼科を受診して眼底検査を受けることをお勧めします。

シェーラー現象はまったく心配がない生理的現象

青空を見ている時などに、無数の小さい白い点が素早く飛び交っているのが見えることがあります。これはシェーラー現象と言って、全く問題のない現象で、健康な人でも普通に見えるものです。

先に、血管の中の赤血球は青い光をよく吸収するため、黒い影が見えるはずだが、人間の脳の働きで見えなくなっているという説明をしました。

一方、血管の中には赤血球以外のものもいろいろ流れています。その中でも大きいのは白血球です。白血球は赤血球のように青い光を吸収しません。ですので、赤血球に対応した人間の眼には白血球は光って見えるのです。

白血球は赤血球より大きいものの、数の面では1/1000くらいしかありません。そのため通るたびにそれが見えてしまうことがあるんですね。

青空の妖精と言うメルヘンな名前で呼ばれることもあるくらい無害なものですから、心配しないで下さい。飛蚊症がゆっくり動くのに対して、シェーラー現象は非常に素早く動くのが特徴です。

そう言えば、子供のころ白い点が飛んでいるのを不思議に思っていつまでも見ていた記憶があります。でも、夕方になると消えるんですよね。

飛蚊症が気になったらとりあえず眼科へ行こう

たまに起こるぐらいならそれほど心配はないでしょうが、毎日のように飛蚊症が現れるようであれば念のため検査した方が良いですね。いわゆる中年になったと自分で感じたら、そういう年代だと考えましょう。

そして治療の必要性をお医者さんから指摘されたら、お役所などに行って限度額適用認定証を受け取り、治療に備えましょう。

キャラクター紹介
ページ上部に戻る