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おならがよく出る!?過敏性腸症候群(IBS)ガス型の治療、改善法

腹部が張る女性

過敏性腸症候群(IBS)と言う一連の身体症状があり、これはお聞きになったことのある人も少なくないと思います。

学会による定義ではおなら(ガス)が良く出ることを主症状とする分類はありませんが、実際の診療ではおならを主症状とした病型分類も行われています。

おならが良く出てしまうということは、症状自体が生命に関わるものではありませんが、社会性の問題として悩みを抱えておられる方も少なくありません。生活の品質の維持向上のため、治療と対策について見てゆきましょう。

過敏性腸症候群は機能性消化管疾患のひとつ

「機能性」と書かれる病気は、「器質性」と書かれる病気と対になるものです。器質とは臓器に見られる形のことですので、その形に異常があるのが器質性疾患です。つまり、炎症や出血が起こっていたり、できものができていたり、委縮していたりと言う変化です。

一方、機能性とは痛みや不快感などの自覚症状、下痢や便秘などの症状があるにもかかわらず、検査しても器質的な異常が見つからないものを機能性疾患と呼んでいて、この過敏性腸症候群はこちらに分類される病気なのです。

過敏性腸症候群は消化管の出口寄りの病気

機能性消化管疾患の分類と名称

機能性消化管疾患は、大きく分けて2つに分類されます。1つは胃・十二指腸に関して起こる「機能性ディスペプシア」です。現在でも使われる用語ですが、いわゆる「神経性胃炎」や「ストレス性胃炎」と呼ばれたものです。

これらは検査しても炎症が見つからないので、胃炎と呼ぶのは適当ではないとして機能性ディスペプシアと言う名前が使われるようになりました。

厳密には、器質的な異常が見つからず、全身性の疾患や代謝性の疾患も見つからないのに、慢性的にみぞおちが痛んだり胃もたれが続いたりするものをこう呼んでいます。

一方、小腸から直腸までの中部・下部消化管に起こるのが「過敏性腸症候群」です。やはり原因となる器質的な異常や病気が見つからないのに、慢性的にお腹が痛くなったり不快感が続く病気で、便秘や下痢が伴うものです。

慢性的に続かなくても、治っては再発するということを繰り返す場合も当てはまります。

IBSガス型の症状

  • お腹が張る
  • お腹からグルグル、ポコポコ、とガスの音が鳴る
  • 頻繁におならが出る
  • おならしたくないのにガスが漏れていく

基本の下位分類は便通の状態に応じて分けられる

過敏性腸症候群は便秘を主体とするものと、下痢を主体とするものに分けられます。一方、その2つが交互に現れるタイプのものもありますし、いずれにも当てはまらないものもあります。

現在はこの4タイプに分類することが基本ですが、実際の診療の場面では、少し異なる病型分類をされていることもあります。おそらく最後の「いずれにも当てはまらない」と言うものに含まれるサブタイプだと思われます。

1つは、強い腹痛に続いて大量の粘液が排泄される「分泌型」、もう1つは排便のトラブルではなくおならが大量に発生する「ガス型」です。この2つは排便によって一時的に症状が治まりますが、しばらくするとぶり返してきます。

慢性の下痢を症状とするタイプでは、始終トイレに駆け込むことになりますので、その精神的なストレスや社会的な問題が見過ごせません。同時に、ガス型も社会的な問題が非常に大きくなりますね。

人前でおならをするわけにはいけないと、必死で我慢する状態や、ガスを出してしまうためにしょっちゅうトイレに行くという行動は、慢性の下痢を主体とするタイプと同じストレスを抱え込むことになります。

機能性の病気は、検査で異常が見つからないためお医者さんも診断に苦慮することが少なくありませんが、それでもしっかり相談して適切な治療を行ってもらうようにして下さい。

おならは発生源が判っているのでそこから対策する

ちょっと言い方は悪いですが、音がせず臭いが目立たないおならであれば、いくら出てもそれほど問題じゃありませんね。そもそも臭いのきついおならは、それ自体が腸の中の環境悪化を示唆しています。

ですので、まずは臭いの少ない健康なおならを作ることを意識しましょう。そしてもうひとつ、本来必要のないおならの体積は減らすように工夫するのも対策になります。

飲み込んだ空気はゲップかおならになる

固唾を飲むと言う言葉があるように、緊張が続いている時には口の中に溜まった唾液を飲み込むという動作を良く行います。この時には、少なからず空気を一緒に飲み込んでいるのです。

これが限度を超えて空気を飲み込む量が増えたものを空気嚥下症(くうきえんげしょう)または呑気症(どんきしょう)と呼んでいます。

これによって胃に送り込まれた空気は、ゲップとなって口から出てくるか、そのまま腸に送り込まれて、最終的におならとなって出てくるかのどちらかになります。

大まかに言って、スリムで胃や腹筋の緊張が弱い人は胃が膨らんで空気を貯め込み、ゲップとなって出てくることが多く、体格が良くて胃や腹筋の緊張が強い人は、空気が胃を通過して腸に送り込まれ、おならになりやすい傾向があります。

ストレスによる空気嚥下症は薬で対応することもできる

おならにせよゲップにせよ、どちらも人前では余りしたくないものですよね。ですので、空気を飲み込まないということが大切になります。

必要以上に緊張が続いて固唾を飲みっぱなしになっているようでは、ストレスによって他の身体的トラブルも起こりかねません。自分がいつも唾を飲んでいないかと言うことをチェックしてみましょう。

もし、そうした傾向が感じられたら、口の中に唾が溜まるような状態になった時に、肩の力を抜く方法を探してみて下さい。それだけで空気を飲み込む量が減ると思いますよ。

とは言うものの、自分の努力だけでストレスが排除できない場合は、消化器内科を受診しておならやゲップについて相談すると同時に、唾を飲み込むストレスについてもお話ししてみましょう。

弱い精神安定剤など、心を落ち着ける薬で対応できることもあります。精神安定剤と言うと身構えてしまうかもしれませんが、弱い効き目のお薬は自律神経失調症やひどい肩こりにも使われる程度ですから、まったく心配ありませんし、症状が治まればすぐやめられます。

空気を飲み込む原因は早食いにもある

そして、空気嚥下症のもう一つの原因は早食いです。想像がつくと思いますが、早食いすると一緒に飲み込んでしまう空気の量が飛躍的に跳ね上がります。

特に空気を飲み込みやすいのが汁物と麺類です。すすって食べるタイプのものは、おならやゲップに悩んだ時はしばらく敬遠して様子を見ましょう。

また、自分は早食い気味だなと思う人の場合、一つの食べ物を口に運んだら、一旦箸置きに箸を置くぐらいのペースで食事を摂る習慣をつけてみましょう。それだけで空気を飲み込む量は格段に減ります。

仕事が忙しい生活の中で、そんな悠長なことをする時間はないと思った人は、その考え自体がストレスによる空気嚥下症をもたらしていると思ってもらって差し支えありません。

空気嚥下症はそのまま過敏性腸症候群のガス型につながるものではありませんが、かなり密接な関係があると見て良いでしょう。

もしかすると、空気嚥下症によるおならが気になる人が過敏性腸症候群のガス型の一部に位置付けられる可能性も否定できません。

飲食物によって体外から気体を取り込んでいる可能性もある

体外から気体を取り込んでしまう現象は早食いや唾を飲む行動による空気嚥下症ばかりではありません。例えばガムを噛むという行動も空気嚥下症につながりやすいものですね。

ガムを噛むとその甘さと咀嚼の刺激でたくさんの唾液が出ます。それを飲み込む時に空気も一緒に飲み込んでしまうという訳です。

緊張によって口の中に溜まった唾液も、ストレス解消のために噛んだガムによる唾液も、人によってはまったく同じように働くことがあります。おならやゲップが良く出る人はガムも控えておいた方が安全です。

外から取り込むガスの代表は二酸化炭素

二酸化炭素、つまり炭酸ガスは飲み物の中によく入っていますね。ビールやコーラ、その他の炭酸飲料を飲むとゲップが出ます。ゲップにならずに腸の方へ送られた炭酸ガスは、一部が腸で吸収されますが、それ以外はそのままおならになってしまいます。

ですので、炭酸飲料やビールをたくさん飲むとおならも増えてしまうということになります。飲み物によって炭酸ガスの含有量は異なりますが、一般的な飲み物の中で最もガス圧が高いのはシャンパンです。

しかし、シャンパンとビールでは飲む量が全然違いますよね。また、コーラやサイダーなどとビールを比べた場合、節度ある飲酒の範囲のビールであれば、ペットボトル1本のコーラと大差ありませんが、飲みすぎやすいのがビールの欠点です。

いずれにせよ、炭酸ガスを含んだ飲み物は、ガスを直接体内に送り込んでいるわけですので、おならを増やしてしまう結果につながります。気になる場合は炭酸ガスを含んだ飲み物は避けましょう。

胃の中で炭酸ガスを作り出す胃薬

最近流行のH2ブロッカーのような胃薬ではなく、昔ながらの制酸剤・胃散には炭酸水素ナトリウム(重曹)が用いられています。この重曹は胃酸を中和する働きがあるためお薬として使われているのですが、その際に炭酸ガスを発生させます。

手作り入浴剤としてバスボムを作ったことのある方ならわかりやすいかと思いますが、あれは重曹とクエン酸を混ぜて作りますね。つまり、重曹を飲むということは、発泡入浴剤をお風呂に入れた時と同じように、お腹の中でガスを発生させているのです。

もちろん、あれほど大量に飲むわけでもありませんし、出たガスはゲップとしても出てゆきますから、全部おならになるわけではありません。とは言え、お腹の具合が良くないと、つい胃薬などに頼りたくなります。

そうした場合でもおならが気になる時は、炭酸水素ナトリウム・重炭酸ナトリウム・重曹(全部同じものです)を成分に含んでいる胃薬は避けておいた方が良いですね。

ビールや炭酸飲料はゲップが出ると言うイメージが強いものですが、おならにもなってしまうんですね。気を付けましょう。

腸内環境を整えることがおならの質を向上させる

食物繊維が豊富なサツマイモやごぼうをたくさん食べるとおならはどうなるでしょう。そう、一般的な常識の通りおならは増えます。

では過敏性腸症候群では食物繊維は避けた方が良いのでしょうか。実際にはそうではありません。確かに食物繊維をたくさん摂るとおならの量は増えますが、食物繊維が不足すると「悪臭の強いおなら」が増えてしまうのです。

おならの成分には無臭のものと悪臭を持つものがある

おならの成分として最も多いのは口から飲み込んだ空気です。だいたいおならの70%~90%がこれになります。ですので、その約80%が窒素で約20%が酸素と言うことになりますし、それらはまったく無臭です。さらに二酸化炭素にも臭いはありません。

次に、小腸で消化吸収されなかった食物は、大腸で腸内細菌によって発酵を受け、二酸化炭素の他、水素や一酸化炭素、メタンガスなどを発生させます。これらにも臭いはありません。

一方、腸内環境があまりよくなく、いわゆる悪玉菌が多くて、たんぱく質など硫黄やアミノ酸を含む食物の残りが悪玉菌によって分解されると、硫化水素やインドール、スカトールなどの悪臭物質を作り出してしまいます。

硫化水素は卵の腐った臭いともいわれる悪臭物質として有名ですね。インドールは「うんこ臭」の代表的なものですが、大腸菌によってもたらされます。ですので、腸内環境が良い方向に向いていて大腸菌の活動が抑えられると臭いがましになります。

しかし、一方でインドールは病原性を持つ細菌の増殖を抑える働きを持っていますので、まったく無くしてしまっては具合が悪いですし、無くなることもありません。

スカトールも便のにおいの原因物質です。ですので非常に臭いわけですが、実はインドールもスカトールも、非常に低い濃度ではお花の香りがするんです。

おならのガスの中でそこまで濃度を下げられることはあり得ませんが、腸内環境を整えることである程度までは悪臭を抑えることができます。後はアンモニアやチオール類と言う悪臭物質も、良くない腸内環境では多く発生します。

食物繊維をたくさん摂るとガスが出るがそれは無臭

食物繊維は小腸までで消化吸収できない炭水化物のことです。ですので、そのまま大腸に送り込まれてきます。不溶性食物繊維は大腸でもあまり分解されません。大半は便のかさ増やし、水分を維持することによって便の状態を良い状態に保つ働きをします。

一方、水溶性食物繊維はいわゆる善玉菌によって分解され、短鎖脂肪酸になり大腸の活動エネルギーになるとともに、他の臓器のエネルギーとして供給されるのです。

その際、水素ガスや炭酸ガス、メタンなどを発生しますがそれらままったく無臭です。また、炭酸ガスや水素ガスは大腸で吸収されて肺から排泄される分もあります。実際、大腸での水素発生量は呼気を測ることで計測できるんです。

もちろん、トータルで見れば食物繊維を多く摂るとおならの量は増えますが、身体全体で見た場合、腸内環境の改善で身体的ストレスが減って過敏性腸症候群が抑制される可能性も無視できません。

ヨーグルトなどのプロバイオティクスを積極的に取ると同時に、食物繊維やオリゴ糖などを野菜・果物・海藻などからふんだんに摂るようにしましょう。

余談ですが、水素ガスと言えば話題の水素水を飲んでもおならが増えることはありません。食物繊維から発生する水素ガスに比べれば、無視できるほど少量しか入っていないからです。

一例を見れば、水素水では製造時の段階で多いものでも7ppm程度ですが、普通に食事をしている人の腸の中で発生し、それが吸収され、さらに全身を回って使われてから残った分が肺から排出される量は、多い場合で57ppmでした。

メタンガスと言うと、毒ガスで非常に悪臭が強いと言うイメージがありますが、実際には無害ですし無臭です。あれはメタンガスが発生するような環境には、悪臭物質がたくさん存在するためについてしまった誤ったイメージなのです。

ですので、短期的に見ればおならが増えるかもしれませんが、食物繊維とプロバイオティクスで腸内環境を整えることは、ガス型の過敏性腸症候群にも良い影響を与えるのです。

おならが多いのなら問題のない場所で出してしまう

特に女性にとっては、おならと言う生理現象に対して恥ずかしさが付きまとうため、我慢することを意識するあまり症状を悪化させることが少なくないようです。

人によってはトイレですら外に音が漏れるのをはばかって、小用の時におならを我慢する人もおられるとか。でも、トイレは排尿・排便のための場所です。そこでおならを出しておくことで、それ以外の場所でのおならを抑える方がいいと思いませんか。

トイレで座る前には軽く体を動かしお腹をマッサージ

今の社会では多くの人が運動不足気味であり、またデスクワークに就いている人や立ちっぱなしの職業の人ではお腹周りの運動量は極度に少なくなっています。

ですので、トイレに入った時には、お腹を中心に軽く身体を動かし、いわゆる「のの字マッサージ」を数回行ってから用を足しましょう。

これは個人的な経験からお話ししますが、おならはゆっくり出そうとか、無理に出そうとかすると音が出ます。むしろリラックスして自然に出てゆくようにお腹を緩めると、静かに出ていってくれます。

トイレに限らず、周囲に人がいないという機会があるごとに、おならを出してしまっておくと、我慢している時間が少しは減るでしょう。

おならは我慢できるがお腹でガスの音がする

おならは何とか我慢しても、お腹の中でガスが動くグルグル・ゴロゴロ音がなってしまうのもおならと同じくらい困りますよね。これはおならが出きっていないことが原因なのです。

お腹の中で発生したガスは泡となってガスだまりを作り、それが原因でグルグル・ゴロゴロと音が出るだけではなく、おならとして排泄されにくくなっています。これに対してはお薬が有効です。

お医者さんで腹鳴について相談すればガスコン(一般名:ジメチルポリシロキサン・ジェネリックあり)と言うお薬を処方してもらえるでしょう。お腹の中でおならの泡を消し、排泄しやすくするお薬です。

このお薬は吸収されませんから副作用はほとんどなく、あってもおなかが緩くなったり、吐き気が出たり、お腹が気持ち悪くなって食欲不振になったりする程度です。

また、市販薬としてこの主成分に乳酸菌などを配合したガスピタン(小林製薬)、ザ・ガードコーワ整腸錠PC(興和)など、数社から出ていますので、試してみられても良いかもしれませんね。

ガスピタン商品画像
ガスピタンa - 小林製薬株式会社

ザガードコーワ整腸錠pc商品画像
ザ・ガードコーワ整腸錠PC - 興和株式会社

ストレッチやマッサージでガス抜きをする

一人でいる時はなるべくおならを出し、腸にガスを溜めないようにしたいですね。意識してガスを抜いておくことで、おならが人まで出る心配を減らすこともできるでしょう。

ヨガのガス抜きのポーズ

ヨガに「ガス抜きのポーズ」というポーズがあります。簡単なので是非実践してみてください。

  1. 仰向けに寝て両膝を抱きかかえる
  2. 息を吐きながら膝を胸に引き寄せお尻を持ち上げる
  3. 体を丸めた状態で呼吸を5回行う
  4. 体を元に戻す

ガス抜きのバウエルマッサージ

ガスを追い出していくマッサージです。自分で実践できるので覚えておくとお腹が張る時に重宝しますよ。

仰向けに寝て膝を曲げ、ゆっくり息を吐きながら

右側の骨盤の上

右側の肋骨の下

左側の肋骨の下

左側の骨盤の上

膀胱の上

の順で5回ずつ押していく

※妊娠中、強い腹痛のある時はお腹を押さないでください。

中年男性の中には、男性用小用トイレのように隣同士に人が立っていても豪快におならをする人もいます。トイレですから良いんですけど、さすがにあれはねぇ…少しは遠慮してほしいです。
キャラクター紹介
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